《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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第十二話

 アルメイダ襲撃事件から数ヶ月経っていた。

 この数ヶ月、エドワードは剣術・晶術の修行に加えて、モンスター討伐を繰り返しレベル上げにも勤しんでいた。

 リオンとも手合わせをする機会が増え、会話もそこそこ出来るようになっていたのであった。

 

「よし、今日は俺の勝ちだな」

「くっ。体調が万全であれば、僕は負けていなかった」

「リオンは負けるといつもそうだよな」

 

 毎回同じ負けた言い訳をするリオンに対し、苦笑いで返すエドワード。

 シャルティエも時雨(しぐれ)ももう慣れてしまったので、反応せずにスルーする。

 

「これで七十一勝六十八敗で俺が勝ち越してるな」

「……次は負けない」

 

 そう言って立ち去っていくリオン。

 初めのうちはリオンが勝ち越していたのだが、エドワードと時雨(しぐれ)の相性が良いのか、剣術向上が進んでいき徐々に互角になっていった。

 そして今はギリギリだが三連勝出来ていた。

 

『エドもかなり強くなったな。まさかこんなに早くリオンに追いつくとは思っていなかったぞ』

「俺もだよ。武術大会の時はあのままやっていたら負けていたからな」

 

 武術大会の時点では加速(アクセル)を使っても互角にはまだまだ届いていなかった。

 しかしながら、あれから数ヶ月経った現在では加速(アクセル)を使うことなく今の戦績を保っている。

 

『でも油断は禁物だぞ。あいつ(リオン)、負けるたびに強くなってるぞ。……サイヤ人かよ』

「さいや……? ああ、それは俺も感じている。時雨(しぐれ)の特性を活かしてこの状態なんだもんな。目標は時雨(しぐれ)の特性なしでリオンに勝つことだ」

 

 時雨(しぐれ)にはマスターの剣術を大幅に向上させるという能力がある。

 エドワードはこれを活かして、時雨(しぐれ)を持ったときの技術と時雨(しぐれ)を持っていないときの技術の差の溝を埋める作業をすることで、さらに強くなっていた。

 それでも現段階だと時雨(しぐれ)を持っていないとリオンに勝つことは出来ないのであった。

 

「じゃあ俺らも帰るか」

『ああ、そうだな』

「ほ、報告します!!」

 

 エドワードが帰宅しようとしたとき、一人の兵士が訓練場にやってきた。

 そこにはエドワードしかいなかったため、自分に報告があるとすぐに気付く。

 

「ん? どうしました?」

「そ……それがまた被害者が……」

「……また出たんですか」

 

 最近ダリルシェイドで『通り魔』が頻発していた。

 時間帯も分からず、どこに現れるのかも分からない。

 それでも近隣の街や村には出現せずに、王都ダリルシェイドに被害は集中しているのだ。

 

 今回で被害件数は六件目。

 人気(ひとけ)の無いところには行かないこと、一人では行動しないこと、女子供は無闇に出歩かないこと。

 セインガルド王は以上のように布告するも、被害は増えていったのであった。

 

 今回のことを重く見た国家は、布告とともに対策本部を設置。

 先日そのリーダーとして、セインガルド王国客員剣士であるエドワード・シュリンプが選ばれていた。

 エドワードもなんとかしないといけないと思っているが、解決策は見出せていなかった。

 

「被害者の特徴は?」

「はい……今回は二十四歳女性で、主婦の方です」

 

(なるほど……今回は女性か)

 

 夫と出かけていたが、たまたま一人になってしまったところを襲われてしまったということだった。

 エドワードは夫の話を聞きにいくことにした。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「あなたが被害者の旦那様ですか?」

「は、はい……客員剣士様」

 

 旦那の名前はジェームズという名前で、被害者の名前はサラという名前だった。

 ジェームズは終始泣いており、現時点で情報を得ることは難しいようであった。

 といっても、目を離した隙にいなくなっていたということなので、有力な情報を得ることは出来ないと思っていた。

 

「むう……なんだろうな、この感じ」

『エド、どうしたんだ?』

「いやね、目撃者が一人もいないってのがすごい気になるんだよね」

 

 今までの被害には目撃者が一切いないのである。

 そして被害者にも共通点がほぼ無いということもただの通り魔なのか分からなくさせていた。

 ジェームズに話を聞いたあとは、リオンのいるヒューゴ邸に向かうエドワード。

 

「ご、ご苦労様です!」

「ああ、お疲れ様です」

 

 ヒューゴ邸の入り口で話しかけてきたのは、数ヶ月前にエドワードを門前払いした門兵だった。

 あのあと、律儀な門兵はリオンに報告し、エドワードが本物の王国客員剣士だということを知って顔を青ざめさせていた。

 だが、リオンからは「あいつのことなんか気にするな」と興味ない素振りなのか、門兵を慰めたのか分からない言葉を貰っていた。

 しかしそれ以降、エドワードが訪問した際は顔パスとなり、すぐに執事が迎えに来る体制が整っていた。

 

「何の用だ、エドワード」

「ああ、()()()でまた被害者が出てね」

「……それなら僕の方にも報告は入っている。被害者の夫からは話を聞いてきたのか?」

 

 エドワードは話を聞いたが、有益な情報を得ることが出来なかったと話した。

 リオンも期待をしていなかったのか、「そうか」と返事をするだけだった。

 

「やっぱりあれかな。囮作戦でもしてみた方が良いのかな?」

「まぁ、それも悪くはあるまい。現状は何も進展がないわけだからな。お前の担当になって初の被害者だが、被害者が続出すると周りに何を言われるか分からないぞ」

「……そうだなぁ。ま、それならすぐにでも囮作戦をしてみようか。共通点がないとはいえ、やっぱり襲いやすそうな女子供が良さそうなんだよねぇ」

 

 そう言ってリオンのことを見るエドワード。

 

「な、なんだ! 僕はそんなことやらないぞ!」

「いや、だって見た目も年齢もバッチリじゃないか。俺がふらふら歩くよりも有意義だと思うけどね」

「うるさい、僕を子供扱いするな」

「あらあら、大きな声が聞こえてきましたが、どうしたのですか?」

 

 リオンが囮になるのを嫌がっていると、そこに一人の女性が現れた。

 

「マリアン!」

「エミリオ、囮くらい引き受けてあげなさいよ」

「……」

「そうですよね、マリアンさん! リオンが最適なんだよ!」

 

 事情を聞いたマリアンがリオンに対して囮になるように促す。

 マリアンはリオンが小さい頃に亡くなった母と似た顔をしており、リオンが唯一懐いている女性でもあった。

 そしてメイドとしてヒューゴ邸に雇われているのだが、唯一リオンのことを元の名前である()()()()()()()()()()()()()だったのだ。

 

 エドワードが冗談で「エミリオ」と呼んだ際は、激昂してシャルティエを抜いて襲ってきたほどである。

 何とか逃げ切ったが、それ以降は恐ろしくて絶対にその名を呼ばないようにしている。

 

「エミリオがやらないのなら、私がやっちゃおうかなぁ〜」

「……え!?」

「マリアン、それはダメだ!」

「だって今のままだと解決しないんでしょ? 何かあってもエミリオとエドワードさんが守ってくれるなら別に良いじゃない」

「いや、流石にそれは俺もOKとは言わないですよ……」

「……分かった。僕がやる」

「え?」

「囮役は僕がやると言ったんだ。ただし、僕を参加させるからには最速で事件を片付けるぞ」

 

 まさかこんなにすんなりと囮役を引き受けてくれると思っていなかったエドワードは、流石に驚く。

 そしてマリアンを見ると、悪戯が成功したような笑顔でエドワードにウインクをした。

 

(そうか……マリアンさんが上手くリオンを誘導したんだな。というかリオン……チョロすぎでしょ)

 

 心の中で苦笑いをしつつも、気が変わらないうちにさっさと仕事に取り掛かろうと打ち合わせを開始するエドワードであった。

 




謎の通り魔事件。リオンとエドワードのタッグで果たして解決ができるのでしょうか。
そしてマリアンのリオンの誘導が本当に上手だなと思いました。
多分自分のことを好きだって分かっていますよね、いや絶対。

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