《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜 作:ねここねこねこ
第十五話
(ごめん……じっちゃん、リリス。俺はどうしてもセインガルドへ行きたいんだ)
金髪の青年は夜中にこっそりと自宅を出て、飛行竜がいるというセインガルド軍駐留地へと向かう。
兵士によって警戒はされていたが、青年は普段から走り回っている道なので、兵士がいなさそうなポイントを探しつつ飛行竜へと近付く。
(よし、今なら誰もいないな。ここから入ろう)
青年は
そして出発するまで隠れていようと貨物倉庫に身を隠すことにした。
「ふぅ……ここに隠れていれば問題無いだろう。後はセインガルドに着いたら仕官して、俺も兵士になるんだ!」
安心した青年は、夜も遅かったのもありそのまま疲れて寝入ってしまった。
「よし、じゃあ荷物も積み込んだな?」
「はい!」
「例の
「はい、確かに積み込みました!」
「分かった。それではこれから王都ダリルシェイドに帰還する! 飛行竜、発進!」
◇◇◇◇◇◇
飛行竜が飛び立ち、軌道も安定して来た頃である。
兵士達は仕事である見回りしていた。
「見回りは退屈だね〜」
「おい、そんなこと言うなって! 上官に聞かれたら大目玉だぞ!」
「そんなこと言ったって出発するまで厳重に監視していたのに、ネズミ一匹だって入れるわけないじゃないか」
「確かにそうだ……」
目の前を一匹のネズミが通っていく。
「ゴ、ゴホン! と、とにかく! さっさと見回りを済ませるぞ!」
「へいへい。……って何か聞こえないか?」
「え……? 確かに……これは……いびき?」
「もしかしてこの先にサボって寝ている奴がいるんじゃないか? 起こしてやろうぜ」
「お、おい!」
「こら! なにサボって……コイツ誰だ?」
兵士達の目の前にいたのは、いびきをかいて寝ている髪の長い金髪の青年だった。
侵入者と疑うが、それにしても警戒心がなさすぎるので毒気が抜かれていた。
「ど、どうするよ?」
「とりあえず起こすしかないだろ。おい! 起きろ!」
そう言って兵士が青年を蹴る。しかし青年は全く起きる気配がない。
もっと強く蹴るが、それでも起きなかった。
「はあはあ……この野郎、全く起きやがらねぇ!」
「……ん? ほえ? リリスか〜? もう少し寝かせてくれよ〜」
「寝ぼけてんじゃねぇっての!!」
兵士が再度青年を蹴ると、むくっと起き出した。
まだ寝ぼけているようであったが、徐々に覚醒し出して自分の状況を理解し始める青年。
「君は……誰なんだい?」
「え……えっと、俺はスタン・エルロンといいます」
名前を聞かれ、素直に答えるスタン。
「なんでここにいるんだ?」
「あの、俺、セインガルドに行って兵士になりたいと思ってたんです!」
「……ああ、それで飛行竜に忍び込んだってわけね」
「は、はい」
目的を素直に話したスタンに兵士達は困惑していた。
スタンが聞こえない小さな声で相談し始める二人。
「おい、どうするよ?」
「一旦、上官に報告するしかないだろう。俺が行ってくるから、ちょっと待ってろ」
そう言って、一人の兵士が倉庫から出ていく。
残されたスタンと兵士は気まずいながらも無言で過ごすしかなかった。
少しして上官と一緒に戻ってきた兵士。
上官はスタンを見て「飛行竜に乗り込んだ目的を言え」と言う。
スタンとしても素直に答えるしかないので、先ほどと同じ答えを話す。
「そうか……それなら仕方ないな」
「え……じゃあ──」
「──ああ、ちょっと私についてきたまえ」
そう言って、スタンを飛行竜のデッキまで連れていく。
デッキまで素直についてきたスタンを兵士二人と上官が囲み、剣を抜く。
そしてこれから何をされるのかに気付いたスタンは、後退りをする。
「よせ、やめろ……! やめてくれ……どうして俺がこんな目に!」
「機密保持のためだ。悪く思うな」
「俺はただ、セインガルドへ行きたかっただけなのに!」
にじりよる兵士に対し、「そんな……待ってくれよ!」と懇願するスタン。
しかし上官はため息を吐き、諦めたように話し出す。
「
そして兵士がスタンに斬りかかろうとしたところで、何かが飛んできて兵士の手に当たる。
兵士は思わず剣を落としてしまい、慌てて拾いながらスタンに詰め寄る。
「く……誰だ!? ……貴様。さては他に仲間がいるな?」
「し……知らない!」
スタンが両手を上げて知らないと言った直後、大きな振動とともに警報が鳴る。
「な、何事だ!」
上官が叫んだところで、船員がデッキに上がってきて報告をする。
「前方より、モンスターの大群が襲来! すごい数です!」
「馬鹿な! モンスターが飛行竜を襲うなどあり得んはずだ!」
「ご命令を!」
「総員、第一級戦闘配備! 中に入れさせてはならん!」
「はっ!」
そして上官は船員と船内へ戻って行き、兵士はデッキに現れたモンスターの対処に向かった。
「よし、今のうちに!」
スタンも逃げようと船内の入ろうとするが、そこにモンスターがやってきて攻撃を加えようとする。
間一髪避けたスタンはそのまま船内に戻って行った。
(このままじゃやられる! どこかに武器はないのか!?)
スタンは船内を探すが、武器が見当たらず困っていた。
そして、先ほど居眠りをしていた倉庫に近付いたときだった。
すでに侵入していたモンスターが目の前に立ち塞がり、後ろに逃げようとするも後ろにもモンスターが道を塞いでいた。
「しまった……!」
スタンは挟まれてしまい、逃げ道を探したときに階段を登った先にある扉を見つけてそこに逃げ込む。
そして扉の鍵を掛けて、一安心するがモンスターは扉を破ろうと体当たりをしている。
「じっちゃん! リリス! ……嫌だ! こんなところで死にたくない!」
だが、徐々にモンスターが扉を破壊していくのが見え、万事休すかと思ったそのとき、
『そこのお前』
「え?」
何者かの声が聞こえ、辺りを見回すスタン。
『ほう、我の声が聞こえるようだな。素質はあるということか』
「だ、誰だ!?」
声はすれど姿は見えぬといった状態に、さすがのスタンも警戒心を
『知りたいか? ならば奥まで来るがいい』
「奥…?」
声に従ってスタンが奥を見ると、何かが光ったのが見える。
そして光った先に向かうが、そこには誰もいなかった。
代わりにそこにあったのは、壁に丁寧に掛けられている一振りの剣だった。
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