《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜 作:ねここねこねこ
飛行竜襲撃事件から少しの時間が経った。
依然として飛行竜、ソーディアン共に消息不明のままになっているが、王都ダリルシェイドは変わらぬ賑やかさであった。
それもそのはずだ。飛行竜襲撃に関しての発表は伏せられており、それは
そんな中、セインガルド王へ一つの情報がもたらされる。
「報告します。遺跡盗掘などで指名手配者されていたルーティ・カトレットとマリー・エージェントが現れたということです」
「ふむ……それでは兵を派遣して捕まえ──」
「──お待ちください、陛下。今回はリオンに任せてみてはいかがでしょうか?」
ヒューゴがセインガルド国王の言葉を遮り、リオンに任せるように進言する。
その言葉にセインガルド国王も
「……リオンにか? 盗掘者ごときに客員剣士など不要であろう」
「いえ、私独自の情報によるとルーティ・カトレットは
ソーディアンを持っているかもしれないという情報に、セインガルド国王も動揺を隠せない。
「ソーディアンを!? ……ううむ、それではリオンに任せるが良いか」
「はっ。念のためエドワード・シュリンプにも同行させましょう」
「それでは……いや、良い。そちに任せる」
「はっ! 今の話を聞いていたな! 至急リオンとエドワードにこのことを伝えるのだ!」
セインガルド国王はヒューゴに任せると言い、その言葉を聞いたヒューゴは近くにいた兵士にリオンとエドワードの二人にこの話をするように指示を出すのであった。
◇◇◇◇◇◇
子供の頃、見上げるといつも彼女は優しく微笑んでくれた。
時が過ぎ、成長するにつれ、その笑顔を見上げる必要はなくなっていった。
ただ、同じ目線になるにはまだ少し足りなかった。
父は僕に無関心だった。
だから僕は早く父に頼らなくても生きていける大人になりたかった。
僕の望むものは、ただ二つ。
全ては……彼女と対等になるために──
◇◇◇◇◇◇
「マリアン」
リオンがダイニングに入るとヒューゴ邸のメイドをしているマリアンが窓から外を眺めていた。
マリアンはリオンに呼ばれ、ハッとして振り向く。
「あ、エミリオ。ごめんなさい。近頃暖かくなってきたせいか……つい」
「ぼんやりしていたというのかい? それなら僕は邪魔しないよ」
リオンは笑顔を見せながらマリアンへと語りかける。
からかわれていると気付いたマリアンは、頬を膨らませて怒っていますというポーズを取る。
「もう、エミリオったら! いじめないでちょうだい。今日はお勤めなの?」
「いや、今日は任務なしだ。だから、
マリアンと一緒に──という言葉を飲み込んだリオン。
そんな言葉が暗に含まれているとは気付いていないマリアンは、リオンを嗜めるように口を開く。
「ダメよ、私よりもお若い方がそのようにだらしのないことを言っては」
「何を言うんだ。僕とマリアンじゃそれほど歳も変わらないじゃないか!」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、歳の差ばかりは縮まらないでしょ?」
「けど──」
リオンがマリアンに反論をしようと思ったときに、突然兵士が「失礼します」と入ってきた。
振り向くと、どうやらリオンに緊急の任務を伝えにきたと言うことだった。
リオンはマリアンとの楽しい時間を邪魔されたことに少し腹が立っていた。
「お前、緊急とはいえ、誰の許可を得て屋敷の中まで入って来たんだ」
「も、申し訳ありません……しかし……」
「言い訳などいい。さっさと任務の話をしろ」
少し不機嫌そうに兵士へ当たったリオンは、マリアンが席を外そうとしているのを見て「すまない、マリアン」とだけ話した。
マリアンは軽く笑って兵士にバレないようにウインクをすると、そのままダイニングから出て行った。
「指名手配されていた盗掘者を発見したと通報がありました」
「盗掘者ごときにどうして僕が出向かなければならない。お前達だけでどうにでもなるだろう」
「陛下もそう仰っていたのですが……ヒューゴ様がリオン様にお伝えしろと」
「ヒューゴ様が!?」
「ええ。そして指名手配犯の名前はルーティ・カトレットとマリー・エージェントというものです」
「ルーティ……カトレット?」
この名前を聞いた途端にリオンの顔が変わった。ルーティ・カトレットと名乗る人は世界広しといえどもそこまで多くはないであろう。
つまり、リオンの知っている人物でほぼ間違いはないということだ。
「実は、今までも散々逃げられていたのですが、ルーティ・カトレットは何やら不思議な剣を使うようなのです。
それに今回はその二名の他にもう一人加わっているとのことでしたので、エドワード様と二人で行くようにとのことでした」
兵士の言葉を聞いてリオンはある一つの確信へと至る。
「不思議な剣……なるほど、そういうことか。分かった。場所はどこだ?」
「ハーメンツの村です。先遣隊は先ほど出発しましたので、お急ぎください」
兵士はエドワードにも伝えなくてはいけないとのことで去っていった。
エドワードと一緒に行った方がいいと判断したリオンは、ダリルシェイドの入り口で待ち合わせようという伝言を兵士にお願いした。
「……聞いたか、シャル」
『ええ、ちゃんと聞いていましたよ、坊っちゃん。話にあった不思議な剣って……多分ソーディアンでしょうね』
「シャルと
『でも確か……ルーティって坊っちゃんの生き別れたお姉さんだったんじゃ?』
「いや、まだ決まったわけじゃない。なんせ僕もまだ会ったことはないからな。
どちらにせよ兵士達では手に負えないかもしれない。エドワードと合流してハーメンツの村に向かうぞ」
『はい、坊っちゃん』
リオンが入り口に到着して数分後にエドワードもやって来た。
今回は馬が用意されていたため、それに乗ってハーメンツの村まで向かう。
この一年でエドワードも馬に乗れるようになっていたのであった。
ハーメンツの村に向かいながら、エドワードとリオンは今回の指名手配犯について話す。
「ルーティ・カトレットとマリー・エージェント……それにもう一人いるということだったな」
「ああ、恐らくだがルーティ・カトレットはソーディアン所持者だ」
なぜ王国客員剣士が呼ばれたのか疑問に思っていたのだが、エドワードは合点がいったようだった。
しかし、まだ疑問は残る。
「それで俺らが向かうことになったのか……でも二人もいるのか?」
「いや、いらないとは思うが万が一を考えてだろう」
「万が一?」
エドワードはリオンの言葉を繰り返す。
その疑問に答えたのは
『ソーディアンが二本あったら……どうする?』
『そういうことですね』
「……そうだ。普段二人で組んでいたルーティ・カトレットがもう一人仲間に加えているんだ。その可能性はあり得る」
エドワードは全員の話していることに納得をする。確かにソーディアンマスターがもう一人いてもおかしくないし、そうでなくても手練れの可能性が高い。
もしリオンとエドワードのどちらか一人だけで捕縛に行き、やられてしまってソーディアンが奪われたら国家として大損失になってしまうからだ。
『それにしても次は誰かねぇ』
『……そ、そうですね』
「なんだシャル。旧友に会えるかもしれないのに嬉しくないのか?」
リオンはシャルティエが微妙な反応をしていることに気付き、質問をする。
シャルティエは答えづらそうにしながらも、リオンの質問に答える。
『……ソーディアンの中じゃ僕が一番若いから……どうも一緒にいると気疲れしちゃって…』
『まぁあの中にいるとそうなるよなぁ……』
「いや、お前もソーディアンでしょうに」
『あ、
やはり
もう慣れてしまっているのでそこまで気にしていないし、いずれ話してくれるだろうと思っている。
そしてハーメンツの村に着くと、そこには驚くべき光景が広がっていた。
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