《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜 作:ねここねこねこ
「へー! ここが王都ダリルシェイドかー!」
スタンが馬車から顔を出して呑気な声を出している。
エドワードは多分罪人として連れてこられている自覚がないんだろうなと少し呆れた顔をする。
馬車はそのままセインガルド城へと進んでいく。
「王国客員剣士エドワード・シュリンプとリオン・マグナスです。指名手配犯の捕縛任務を完了し、帰還しました」
「はっ! 任務ご苦労様です!」
城の入り口にいる兵士に話し、中庭でスタン達を降ろす。
スタン達に聞こえないように話したので、捕縛名目で連れて来られていると気付いていないスタン達。
「ここがセインガルド城だ。これから話をする場所に移動したいんだが、一般市民は武器の携帯が出来ないので一旦預けてもらえるか?」
「え……ディムロスを預けるのか?」
「ああ、頼む」
渋々全員が武器を預け、そのまま城内にある客間に移動する。
(最終的な判断は陛下にお願いするとして、捕まえるとなったときに武器があると面倒だからね)
エドワードはソーディアンマスターの希少性を分かっているため、もしセインガルド王が許可するのであれば釈放もあり得ると思っていた。
そのため、スタン達に悪感情を持たれないように客間に通し、先にセインガルド王に報告を兼ねて謁見する予定だった。
リオンも同じことを考えているようで、特に反対もされなかった。
「わぁ! こんなとこで待ってていいのか!?」
「ああ、大丈夫だよ。これからお茶とお菓子を持ってくるから、ゆっくりくつろいでくれ」
「なんか悪いわね! こんなにもてなしてもらっちゃって!」
「花がきれい」
スタンは客間の豪華さに驚き、ルーティももてなされていると感じて、機嫌は悪くないようだった。
そしてマリーは飾ってある花を見て、喜んでいるようだった。
「では、俺とリオンはちょっと席を外すから、あとは何かあればここにいる侍女に言ってくれ」
そう言って、客間から出てセインガルド王のいる謁見の間へと向かう。
その途中でヒューゴ・ジルクリストが待っていた。
「今戻ったのか。思いの外、時間が掛かったな」
「申し訳ございません、ヒューゴ様」
エドワードがヒューゴに返事をしようとしたところ、リオンが前に出てきて代わりに話す。
ヒューゴ曰く、ソーディアンを二本回収したことなども既にセインガルド王の耳に入っているとのことだった。
そこでヒューゴが驚くべきことを言い出した。
「捕らえた罪人を連れ、陛下のもとへ来い」
「ただの盗掘者を陛下のもとへ……?」
「あの者達には余罪の疑いがある」
「しかし……余罪と言っても恐喝やその程度と聞いていますが……」
リオンはただの盗掘者だと思っていた彼らをわざわざ国王の前にまで連れてこいと言ったヒューゴの意見に疑問を持つ。
「お前も覚えているであろう、先日の飛行竜の件を」
「……まさか、その犯人だと?」
「そうだ。そのことで陛下とドライデン閣下が、あの者達を直接尋問なさる」
「しかし、飛行竜の事件はモンス──」
「──かしこまりました。すぐに連れていきます」
「……早く連れてくるのだぞ」
ヒューゴは話に割り込んできたエドワードを一瞥すると早く連れてくるように伝えて、謁見の間へと戻って行った。
「リオン……どうしたんだ。あそこまで言う必要はないだろう」
「いや……別に」
「もしかしてルーティが原因だったりするのか?」
「……! お前、気付いていたのか!」
「まぁ、似ているなという印象だけだったんだがな」
リオンはため息をつくと、誰にも言わないように強く言ってから話し出した。
ヒューゴ・ジルクリストにはクリス・カトレットという妻がいたこと。
その間にルーティとリオンが生まれたこと。そして、リオンの物心がつく前にクリスはルーティを連れて出ていってしまったということ。
だからルーティとは初対面と言ってもいいくらいだから、もしかしたらルーティ本人もリオンを知らないであろうこと。
「なるほどな。……でも今回の件、多分だがスタンとルーティが特にヤバい気がするぞ」
「なぜだ?」
「お前は気付かなかったのか? 飛行竜にはソーディアンがあったんだぞ」
エドワードが話したヒントである程度の事情を悟ったリオン。
「……ま、まさかソーディアンを盗んだとでもいうのか?」
「ああ、そのまさかだ。どちらかのソーディアンが関わっていても不思議じゃない。
そしてどちらかが関わっていたとしたら、一緒に行動している時点で共犯確定だ」
「……ぐっ」
「だが、ソーディアンマスターは一定以上の資質が無いとなれないのはお前も知っているだろ?
そこを考慮してもらえるのであれば、もしかしたら助かる可能性もある。まずは早く謁見の前に連れて行こう」
エドワードはリオンが姉であるルーティを心配していることに少し喜びを感じたが、それでも危機的状況になっていることには不安を隠せなかった。
一旦客間に戻り、スタン達に事情を話すことにした。
「え!? 王様に会えるのか!?」
「いや、まぁ……そうなんだが……ちょっと事情が複雑でな。その前にスタンとルーティに聞きたいんだが…」
「何よ?」
「お前らのソーディアンってどこで手に入れたんだ?」
「はぁ? 何急に? あたしのは母の形見よ」
「えっと、俺はね……」
「……もしかして飛行竜にあったって言わないよな?」
「ど、どうしてそれを!?」
スタンが分かりやすい反応をしたので、ソーディアンを盗んだ犯人はスタンだと確定する。
あまり時間はないが、事情を簡単に聞くと飛行竜に忍び込んだ先でモンスターに襲われたらしいということ。
倉庫に逃げ込んだ先にディムロスがいたということだった。
スタンがそんな高度な嘘を演技込みで出来る訳がないと短い時間だが分かっていたので事実だと理解するエドワード。
その上で、エドワードの推測──ディムロスを盗んだこと──を話して尋問される覚悟をしておけと伝える。
「なんであたしまで一緒に行かなきゃいけないのよ!」
「お前は指名手配されてる盗掘者でしょうに……」
「だからあたしは
「分かったよ! とりあえずあまり陛下を待たせるとまずいから、さっさと行くぞ!」
話の通じないルーティを無視して、さっさと謁見の間に連れていくことにしたエドワード。
リオンはそばで見ていてため息をついていた。
謁見の間に入るとすでにセインガルド王、七将軍のグスタフ・ドライデン、オベロン社総裁のヒューゴ・ジルクリストがいた。
スタンは礼儀を知らないのか、謁見の間を見て「うわあ、すげえ豪華!」とはしゃいでいた。
トライデンがその様子を見て苛立ちを隠さずに強めに言葉を発する。
「国王陛下の御前である。全員、控えよ!」
エドワードとリオンは端で立っており、スタンとマリーはルーティの真似をして跪いていた。
そこにディムロスとアトワイトが持ってこられて、セインガルド王の前に置かれる。
「貴様達がなぜこの場に引き立てられたかわかるか?」
「……」
「王国管理下の遺跡を荒らし、街中で暴れる、恐喝、余罪はまだまだあるぞ!
それと……そこの男!」
「あ、はい」
「貴様が持っていたディムロスは、本来我が国が回収するはずだった物。それをなぜ貴様が持っている!?」
スタンは事前にエドワードに話を聞かされていたので、経緯をたどたどしくだが話す。
しかしドライデンには信用してもらえなかった。
「とぼけおって。いつまでもシラを切れると思うなよ!
飛行竜消失の件と併せて、たっぷりと話を聞かせてもらうぞ!」
「まずい……このままだとあたし達、確実に犯罪者にされちゃうわ!」
(いやいや、そもそも犯罪者だから……)
ルーティのひとり言を心の中で突っ込むエドワード。
犯罪者確定になりそうな状況で、ある男が声を上げたのであった。
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