《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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第二十四話

「な、ない! ここにあった神の眼が!」

『遅かったか……!』

 

 地位の高そうな服を着た神官がリオン達と一緒に神の眼が安置されている広間に来たのは、エドワードがフィリアを介抱しているときだった。

 ディムロスは神官がうろたえているのを見て、間に合わなかったことを悔やむ。

 

「おう、遅かったな」

「……何があった?」

 

 エドワードがリオンに事情を話す。

 その話を聞いて、リオンは苦虫を噛み潰したような顔をするのであった。

 

『バルバトスがいたの……!?』

『バルバトスがいただと!? 時雨(しぐれ)、一体どういうことだ!』

『まあ話せば長くなるから、また後で話そう。今は神の眼を追うことが先決だろ?』

 

 バルバトスがいたことに対してアトワイトとディムロスが驚き、時雨(しぐれ)に詳細を話すように詰め寄るが、今は神の眼を優先するように言われ何も言えなくなる。

 ルーティは神の眼が置いてあった台座の大きさに対してかなり驚いていた。

 

「う……うううん……」

「あ、目を覚ますぞ」

「フィリア、大丈夫かね……?」

「あ、アイルツ司教様……はっ! 私……大司祭様を止めることが出来ず……とんでもないことをしてしまいました……」

「ここで何があったのか教えてもらえるか?」

「はい。あの、でも……」

「この方達はセインガルド国王の使者だ。気にせずに、さあ」

 

 フィリアは大司祭であるグレバムとともに大聖堂に向かい、命じられるまま謎の物体が安置されている広間へ繋がる封印を解いてしまったこと。

 グレバムがバティスタ達に命じて謎の物体を運ぼうとしていたこと。止めようとしたらモンスターが現れて襲われたこと。

 その直後にエドワードが乱入してきて、フィリアが気絶するまでの内容などを話した。

 

「司教様……あの物体は一体……?」

「神の眼だ」

「ええ……!? まさか……あの天地戦争を引き起こす原因になったあの神の眼ですか?

どうしてそんな物がこの神殿に? 本当に、本物の神の眼なのですか?」

「ああ、そうだ」

 

 フィリアは神の眼がストレイライズ神殿に安置されていたことにショックを受けているようだった。

 リオンは気にせずエドワードに質問をする。

 

「エドワード。グレバムがどこに神の眼を運んだか分かるか?」

「いや──」

『──ダリルシェイド港だ。今なら間に合うかもしれない』

時雨(しぐれ)……? なぜ分かるんだ?」

『エド、今は俺を信じてくれ。早くしないと間に合わなくなる!』

『エド、時雨(しぐれ)の言葉は信じても大丈夫ですよ』

『ああ、詳しくは話せないが、こういうときの時雨(しぐれ)の言葉は従っておいて問題ない』

「……分かった。リオンもそれでいいか?」

「ああ……。だが、()()()も連れていくぞ? 尋問にかけてやる」

 

 拘束されているバティスタを見てフィリアは絶句したが、反対はしなかった。

 リオン達が気絶しているバティスタを担いで運ぼうとしているときに、フィリアが声を出す。

 

「あ、あの……私も連れて行ってくださいませんか……!?」

「……なぜだ?」

「私は知らず知らずとはいえ、大司祭様に加担してしまいました。

神の眼の封印を解き放った責任を取らなくては……」

「ちっ……。足手まと──」

「──分かった。じゃあよろしくな。俺はエドワード・シュリンプだ」

「フィリア・フィリスと申します。どうかよろしくお願いいたします」

 

 同行したいというフィリアの申し出に対して、リオンが余計なことを言おうとしたのでエドワードが話を遮り受け入れる。

 リオンは舌打ちをして、そのまま広間を出ていく。

 

「あいつは人見知りなだけだから気にしなくて大丈夫だよ」

「は、はい……」

 

 そしてフィリアを連れてストレイライズ神殿を出て、ダリルシェイドに戻る一行。

 今回に関しては、エドワードの馬のスピードに合わせて馬車も走る必要があった。

 かなり無理をさせているので本来であれば良くないのであるが、船の出港時間もあるので、今回は例外だった。

 

 馬車の中では軽く自己紹介をしただけで、全員が黙っていた。

 深刻な状況で雑談などしている余裕もなかったのだった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 ダリルシェイドに着いた一行はすぐに港へ向かう。

 

「よし! 着いたぞ! どの船だ!?」

『神の眼を運ぶなら、かなり大きな船でないと難しい。直近で出る船は……』

「あれだ! カルバレイス行きの船だ!」

「やばい! もうすぐ出発してしまうぞ!」

 

 全員が全力で走る。ただ、バティスタがいるのでエドワードだけが念の為港の入口で待機していた。

 

「む……むぐぐぐ」

「なんだ、もう起きたのか?」

「むぐぐぐ!」

「ん? 何言ってるかわからないぞ?」

「むぐ! むぐぐぐ!!」

「このむぐむぐ野郎が! ちゃんと言葉を話せ!」

『おい、エド……さすがにこの状況でふざけるのは良くないと思うぞ……』

「あ、そうだったな。待っているだけでは暇だったからつい……」

 

 時雨(しぐれ)にたしなめられて反省をしたエドワードは、バティスタを無視してリオン達の帰りを待った。

 そのまま乗っていったのであれば、次の便で追いかければいいだけだからだ。

 

 しかし、残念ながらあと一歩及ばず船は出港してしまった。

 リオン達がうなだれながら戻ってくる。

 

「ダメだったか……?」

「ああ。だが、港の人間に話を聞いたところ、今出港した船に大きな荷物を搬入したと聞いた。まずカルバレイスに向かったので間違いないだろう」

「よし、じゃあ後を追う前に陛下に報告に行くぞ。こいつ(バティスタ)も引き渡さないといけないからな」

 

 そう言って全員で城に向かうことにした。

 

『アトワイト。カルバレイスとはかつての第二大陸のことか?』

『ええ、そうよ』

『それなら船だと、例の場所の近くを通るのではないか?』

『私も同じことを考えていたの。あの方がまだあの場に残っているなら、ぜひ合流したいわ』

『え、あの偏屈爺さんのこと?』

時雨(しぐれ)! あの方にそんな言い方をするのではない!』

 

 時雨(しぐれ)がディムロスに怒られているときに、ちょうど城に入るところだった。

 そして、城の入り口ではなぜかヒューゴが待機していたのであった。

 

「ヒ、ヒューゴ様!?」

「ほう、その様子だとストレイライズ神殿でなにかあったとみえるな」

 

 あまり会いたくない相手だったが、事情を話すことにしたリオン。

 その話を聞いてヒューゴは軽く笑った。

 

「犯人に逃げられてしまったのか。まったく恥をかかせてくれたな」

「何……!?」

「リオン、抑えろ。……申し訳ございません。すぐにカルバレイス行きの船を出してもらうために陛下に謁見をしないといけないのです」

「……では私が陛下に取り合って、すぐにでも船を用意してもらおう」

 

 ヒューゴがここで助け舟を出そうとする。

 しかし、リオンはその申し出をきっぱりと断る。

 

「結構です。私とエドワードが直接陛下へ申し上げます」

「任務に失敗したお前達が参上したところで陛下は何を思われるか……。

さらに、事態はセインガルド国内だけの問題ではなくなっている」

「いえ、私とエドワードで陛下を説得してみせます!」

「……それであれば構わないが……。本当に私の助けは……」

「何度言わせ──」

「──ヒューゴ様。お気遣いありがとうございます。ことは急を要するので、これで失礼してもよろしいでしょうか?」

「ふむ……。分かった」

 

 ヒューゴはその場をどき、道を開ける。

 そのまま謁見の間へ行き、リオンとエドワードだけで報告することとなった。

 

 セインガルド王はグレバムに神の眼を奪われたことに対して、ヒューゴを信じたのが間違っていたと怒りを露わにする。

 任務をドライデンに引き継がせようとしたところで、エドワードが口を開く。

 

「陛下」

「なんだ! 今はお前の弁解を聞いている暇はない!」

「陛下」

「だからなんだと言っている!」

 

 セインガルド国王は激高しているが、エドワードは努めて冷静に口を開く。

 

「陛下は仰いました。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と」

「それがどうした」

「これからその確保に動こうとしています。今、グレバムはカルバレイスに向かっています。

そして私達は今、グレバムの犯行を目撃していた人物も掌握しています」

「む、むう」

 

 エドワードの言葉に、徐々にまだ可能性があるのだと気付かされてしまうセインガルド国王。

 

「さらにグレバムの部下の者も捕縛しております。こちらは陛下とドライデン閣下が尋問されれば、さらに効率は上がるかと思います」

「陛下が船をご用意してくだされば、私とエドワードで必ず神の眼を取り戻します!」

「……そこまで言うのであれば分かった。余の船を用意させよう。尋問も任せるが良い。

ただし、船は少し時間がかかるがそれで良いのか?」

 

 セインガルド国王はついに船を出すことを認める。しかし、時間が掛かってしまうということに対して、時雨(しぐれ)が待ったをかける。

 

『エド、それではダメだ。少しでも早く出せる船を用意してもらえ!』

「……陛下。恐れながら、事態は急を要しております。それでは間に合わない可能性があります。

民間の船を接収する許可をください」

「む……そうか。分かった。それではリオン・マグナス、エドワード・シュリンプ! 二人に接収する船は任せるゆえ、自由に使うが良い!」

「「はっ!」」

 

 リオンとエドワードは謁見の間から出て、スタンたちと合流する。

 バティスタは兵士に引き渡し、再度ダリルシェイド港へ向かうのであった。

 

 偶然港に着いたばかりで、ほぼ時間を置かずにすぐに出港できる状態になっている船を二隻接収することができ、カルバレイスに向けて出発の準備をするのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「おかえりなさいませ。お早いお帰りですね」

「いや、まだ任務の途中なんだ」

 

 すぐに出なくてはいけないが、屋敷に帰ってきたリオンにメイドのマリアンは不思議な顔をした。

 そして周りを見て、誰もいないことを確認したあと、リオンの頭に手を乗せて微笑むマリアン。

 

「何かあったのね、エミリオ。お父様のこと?」

「……な、何を言うんだ……そんなんじゃ……」

 

 図星を当てられてしまい、動揺するリオン。

 マリアンは優しく微笑みながらリオンへと語りかける。

 

「ヒューゴ様……お父様の名前が大きすぎて嫌な思いもたくさんしてきたのだろうけど……それでもあなたはあなたよ」

「マリアン……でも僕は……」

「エミリオ、あなたはずっと苦しんできたのを知っているわ。でも今はあなたを認めて隣にいてくれる人がいるでしょ?」

「べ、別にエドワードはそんなやつでは!」

「ふふふ。私もよ、エミリオ」

「……マリアン」

 

 リオンにもう少し周りを見るようにと話すマリアン。

 ヒューゴばかりに拘る必要などないのだと。

 

「あなたは一人ではないわ。エドワードさんのお陰かもしれないけど、あなたは随分変わったわ。それも良い方にね」

「……」

「それでいいのよ。私は今の貴方のほうが好きだわ。もっと人を信頼なさい。あなたならもっと大きな人間になれるわ」

 

 少しずつ呪縛から解き放たれようとしているリオン。

 マリアンの言葉に笑顔を見せて答える。

 

「マリアン……ありがとう。僕は、僕のやるべきことを思い出せたよ。小さいことにこだわっている暇はないんだな」

「そうよ。今出来ることを精一杯やってきなさい」

「ああ! じゃあ行ってくるよ!」

「はい、いってらっしゃい」

 

 リオンはヒューゴ邸を出て港へ向かう。

 ヒューゴに会ったあと、エドワードに言われて接収はこちらでやるから、ヒューゴ邸でマリアンに会ってくるように言われていた。

 いつ戻ってくるか分からない任務で、ヒューゴのことで悩んでいるリオンに対してのエドワードなりの気遣いだった。

 

 結果、リオンはエドワードの言うとおりにして正解だと思っていた。

 決して口には出さないけれど、エドワードは分かってくれる。リオンはそんな気がしていた。

 そしてスタン達と合流して、カルバレイスに向けて出発するのであった。

 




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