《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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第二十六話

 海竜に乗り込んだ一行。

 すると海竜は勢い良く海の中に潜っていき、もの凄いスピードで海底奥深くに到達した。

 輸送艦に接続した海竜は、先程とは打って変わって大人しくなっていたのであった。

 

「つ、着いたのか……?」

『ああ。ここを出るとクレメンテが安置されている輸送艦”ラディスロウ”の中に入る』

「フィリアは危ないから残っていてくれ」

「え……」

 

 エドワードと時雨(しぐれ)が話をしている横で、スタンがフィリアに海竜へと残るように伝える。

 フィリアはスタンの提案に対し、あまり受け入れたくないようであった。

 

「だって何があるかわからない。だから危険を避けるためにも──」

「──ちょっと待て、スタン。勝手に決めるな」

「だってフィリアにもしものことがあったら危ないだろ!」

「だからそれを勝手に決めるなって言ってるんだって。時雨(しぐれ)がわざわざ連れて行こうといったのには理由があるはずだ」

『ああ、そうだ。フィリアはこのまま一緒に行ってもらう』

「もし何かあったらどうするんだよ!」

「そうならないように、俺とお前がいるんだろ? 俺らでフィリアを守ってあげればいい」

 

 エドワードと時雨(しぐれ)の説得に受け入れたく無さそうだったが、渋々受け入れた。

 フィリアは少し考えていたようだったが、顔を上げると連れて行ってほしいと伝える。

 

「フィ、フィリア……?」

「わ、私もなにかお役に立ちたいんです! スタンさんが心配してくださるのも嬉しいです。

で、でも私はいつも足手まといだとか役立たずだとか言われていて……そんな自分を変えたいのです!」

「……いい心掛けだ。その気持ちがあるだけで十分だ」

「エドワードさん……」

 

 フィリアの申し出にスタンは困惑するが、エドワードは微笑み、そして受け入れる。

 エドワードの微笑みを見て、フィリアは少し顔を赤らめるが、すぐに真顔になって「先を急ぎましょう」と伝える。

 

 そして三人は薄暗い輸送艦(ラディスロウ)の中を進んでいく。

 二個目の扉を開けたときだった。フィリアが急に立ち止まる。

 

「フィリア……どうしたの?」

「こ、声が……なにか……声が聞こえるんです」

 

 フィリアは声に耳を傾ける。

 エドワードとスタンには声が届いていないようであった。

 

『フィリア……フィリアよ……儂の元へ来るんじゃ』

「この声は……」

 

 声がする方向へふらふらと歩いていく。

 スタンはフィリアを黙ってみていたが、エドワードは周りに不穏な気配がするのを感じていた。

 ふらふらと歩いていくフィリアは、自分に水滴が落ちるのを感じた。

 

 そしてふと上を向いてみると、そこにはうねうねとした緑色の触手を持ったモンスターが天井に張り付いていた。

 フィリアが見た瞬間、モンスターは触手を伸ばしてフィリアを捕えようとする。

 

「きゃああ!」

「フィリア! 危ない!!」

 

 スタンがフィリアを助けようとディムロスを抜いて駆け出すが、触手の方が早くフィリアに届きそうであった。

 間に合わないとスタンが思ったそのとき、横から何かが通り、その余波で風が舞い上がった。

 そして、その何かがモンスターを突き刺し、そのままトドメを刺す。

 

「……絶空(ぜっくう)・参式」

 

 ()()()()()。エドワードの対空迎撃用の技である。

 モンスターを倒したエドワードは、驚きで座り込んでいるフィリアに手を差し伸べる。

 

「フィリア、大丈夫か?」

「は、はい。ありがとうございます……」

 

 エドワードの手を取って立ち上がるフィリア。

 薄暗くて誰も見ていなかったが、その顔は薄く赤みがかっていた。

 

「フィリア! 大丈夫か!?」

「はい、スタンさん。ありがとうございます」

「ほらだから言っただろ! フィリアは海竜のところにいてもらったほうが良かったんだって!」

 

 スタンが勢いよくエドワードに詰め寄る。

 しかしエドワードは呆れた顔をしてため息を吐いた。

 

「スタン……お前本気で言っているのか?」

「……な、なんだよ?」

「今のはモンスターの気配に気付けなかったお前が悪いんだろうが。それをフィリアがここにいるせいにするのはおかしいだろ?」

「べ、別に俺はそんなこと……」

「俺はもちろん、ディムロスも時雨(しぐれ)も気付いていたぞ。

この場の戦闘要員で気付いていなかったのは……スタン、お前だけだ」

『ああ、確かに我も気付いていた』

『まぁ薄暗かったから、慣れていないと難しいだろうけどね』

 

 時雨(しぐれ)がフォローするが、その言葉を聞いてスタンは気付き始めた。

 

「……気付いたか? ()()()()()()()()()()()()()()()

ソーディアンは確かに強い。兵器と言ってもいいくらいの存在だ。

だからといって、それを持ったからお前自身が強くなるわけじゃない。

それはソーディアンの力なんだ。その力を自分の力だと思わないように気を付けるんだ」

「……。ごめん、俺が悪かった。フィリアもごめんな」

 

 スタンは自分が間違っていたことに気付き、すぐに謝罪した。

 フィリアはフォローするように気にしていないと言っていて、エドワードはその様子を静かに見ていた。

 

「ま、そういうことでフィリアも油断しないようにな。

なにかの声が聞こえたっていうのも、多分奥に行けば分かるだろうから」

「は、はい! それと声が導いてくれているので、どちらに行けばいいのか……多分分かります」

 

 フィリアの指示通りに奥にどんどん進んでいくことにした三人。

 スタンもエドワードに説教をされてから、周りに気を配るようになりモンスターを見逃すことが減っていた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「あ! 剣がある!」

『あれがクレメンテだ』

 

 輸送艦(ラディスロウ)の一番奥に着くと、一本の剣が台座の中心に浮いていた。

 三人は油断せずに台座まで歩いていく。

 

『選ばれし勇者たちよ、よくぞここまで来た……』

「え、勇者!? ……俺のことかなぁ?」

 

 老人の声がしたと思ったら、スタンが自分が勇者だと言い始める。

 エドワードがそれはないだろうと心の中でツッコミを入れるが、口には出さずにいた。

 

『クレメンテ老、悪ふざけは大概にしてもらおう』

『そうだよ。爺さんがそんなことを言い出すと、単純なやつ(スタン)が信じちゃうだろ』

『なんじゃ、久しぶりに会ったのに。ディムロスは頭が固いのう。

……っと、お主もおったか。時雨(しぐれ)よ』

『今はここにはいないが、アトワイトとシャルティエもいるよ』

『なんじゃ、そんなに勢揃いで。……もしかして何かあったのじゃな?』

 

 クレメンテに神の眼が奪われたことについてディムロスが説明をする。

 悪い予感がしていたのか、あっさりとクレメンテは受け入れた。

 

『それじゃあ儂ものんびり眠っている場合ではないのぅ』

『そうしてもらえると助かる……それで爺さんのマスター候補を連れてきた』

『ほうほう! やはりお主の仕業じゃったか、時雨(しぐれ)よ。また()()というわけじゃな……?』

『まあ……ね』

 

 ソーディアンだけでどんどん話が進んでいくため、エドワード達三人は話についていくことが出来ていなかった。

 そこでエドワードが口を挟む。

 

「話がよく分からないんだが、クレメンテのマスター候補を連れてきたというのはもしかして……」

『そうじゃ。こちらに来なさい……フィリアや』

 

 いきなり名前を呼ばれたフィリアは驚きで言葉を発することが出来なかった。

 

『そう固くなることはない。儂が選んだマスターじゃ……嫌でなければ受け入れて欲しいのだがの?』

「私で……本当にいいのですか?」

『ああ、お主のその純粋さはもちろんじゃが……フィリアよ、お主には儂を欲する意志があった。

強くなりたいと願う、ひたむきな意志がな。故に、儂の声が聞こえたのじゃ。だから儂はお主に力を授けることが出来る』

 

 フィリアはクレメンテの言葉に対し、心が揺れる。

 今まで周りからは足手まといや役立たずと言われてきた。

 今回、グレバムに神の眼を奪われたときも、自分自身に戦う力があればエドワードと一緒に戦うことが出来た。

 

 神の眼の奪還チームに付いていくことを決意したが、ここまでの道のりであまりの力の無さに絶望しかけたほどだった。

 そんな自分を変えたい。フィリアはそう願っていたのであった。

 

『あとは最後の決断だけじゃ。フィリア・フィリスよ』

 

 フィリアは考えた。力を持つことは決して良いことだけではない。

 だが自分自身にとって、今選ぶべき選択肢は分かっていた。

 

「私は大司祭……いえ、グレバムから神の眼を取り戻してみせます。

何があっても、どんなことをしても……。それが私の責任、私の義務ですから」

 

 そしてクレメンテを手に取り、両手で上に掲げるフィリア。

 

「あなたと共に戦います。私に力を……クレメンテ!!」

 

 フィリアの声に呼応するかのようにクレメンテがまばゆく輝き出す。

 その光は目を開けていられないほどであり、エドワードとスタンは腕で顔を隠しながらその様子を見守っていた。

 

 

 光が徐々に収まっていくと、フィリアはクレメンテを下げて少し嬉しそうな顔をしていた。

 エドワードとスタンがフィリアに近付いていく。

 

「やったな、フィリア!」

「はい! スタンさん、ありがとうございます」

時雨(しぐれ)は……このことが分かっていたんだな」

『……ああ。そうなるな』

「あ! もしかしてこの声が時雨(しぐれ)さんですか?」

『そうだ。時雨(しぐれ)だ、よろしくなフィリア』

『我がディムロスだ。よろしく』

「はい! 時雨(しぐれ)さん、ディムロスさん……よろしくお願いします!」

「よし、じゃあすぐにでもカルビオラに向かおう! リオン達が情報収集しているとは思うが、早く着くことに越したことはないからな」

 

 エドワード達は海竜に戻っていくのであった。

 




ディムロス…気付いていたならスタンに教えてあげればいいのに。
これも修行なんですかね?

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