《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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第三話

「ん……? あれ……ここは……?」

 

 エドワードは硬い地面に寝心地の悪さを感じながらも目を覚ました。

 そして徐々に自分がなぜここにいるのかを思い出していた。

 

(そうだ……! 俺はここでカンバラーベア・亜種と戦ったが、剣を折られて死にかけていたんだった……でもなんで俺は生きているんだ……?)

 

 身体に痛みを感じるが、それはカンバラーベア・亜種に攻撃されたからではなく、硬い床で寝たときに感じる痛みだった。

 ゆっくりと起き上がり、辺りを見回すとそこには首が胴体と離れた状態で倒れているカンバラーベア・亜種がいた。

 そして、少しずつ思い出していく。

 

「そうだ……頭の中で声が聞こえて……石を抜いたと思ったら、カンバラーベア・亜種の首が切れて……俺はそのまま意識を失ったんだった……」

『そうだ。ようやく目を覚ましたか』

「……え!? だ、誰だ!?」

 

 慌てて周りを見回すが、誰もいないのはさっき確認したばかりである。

 頭の中に声が響いてくるので、これが気絶する前に聞こえた声だと確信する。

 そしてエドワードは自分の右手に収まっている不思議な形をした剣を見るのであった。

 

『そうだよ。お前が持っている”刀”が”俺”だよ』

「か……かたな?」

『あー……なんて言えばいいかな? 東の国で作られている剣のことだと思えばいい』

「東ってことは、シデン領とかのことか?」

『そうだ。実際に作られたのは違うけどな。そういう認識でいてくれ』

 

 エドワードはいきなりのことで混乱しており、頭が働いていない。

 それもそのはずだ。”話す剣”など見たことがないし、そんなのが実在するはずがないと思っている。

 

「俺を毎晩夢で呼んでいたのは……君? なのか……?」

『ん? 俺は助けてくれと叫んではいたが、誰かの夢に入り込むことなんて出来ないぞ? あと、俺には”時雨(しぐれ)”という名前がある』

「し、しぐれ……? あ、俺の名前はエドワード・シュリンプだ」

『エドワードか。よろしくな、俺の()()()()よ』

「……マスター?」

 

 エドワードはさらに混乱する。いきなり話す刀に”マスター”と言われても、なんのことか分からない。

 時雨(しぐれ)はエドワードが混乱するのは承知しているようで、ゆっくりと丁寧に説明していく。

 

『ああ、マスターだ。俺の声を聞くことができて、俺を抜くことが出来る者はなかなかいなくてな。

そんな奴に俺を使ってもらえたら嬉しいんだが……幸か不幸かエドワードの剣も折れてしまっただろ?』

 

 時雨(しぐれ)に言われて、カンバラーベア・亜種に折られた剣を思い出す。

 床に転がっている折れた剣を見て── 一年と少し愛用していたため──少し寂しい気持ちになった。

 

(まぁ確かにこの刀のお陰で助かったんだし、今使える武器も無いから別に構わないか)

 

「分かった。これからよろしくな。それと、礼を言い忘れていたよ。俺を助けてくれてありがとう、時雨(しぐれ)

『気にするな。俺も新しいマスターを見つけることが出来たし、お互いに良い出会いができたと思っておこう』

「そうだな。ところでカンバラーベア・亜種はどうやって倒したんだ? あと、俺は傷が無いのはなんでだ?」

『ああ、それはな──』

 

 時雨(しぐれ)はカンバラーベア・亜種を倒したときのことを説明し始めた。

 マスターになった際に使える特技や術などがあること。今回使ったのは〈魔神剣〉という剣撃を飛ばす特技を時雨(しぐれ)のサポートで放ったということ。

 傷が無いことに関しては、時雨(しぐれ)のマスターになった場合、レベルが上がると全回復するということなどだ。

 

「れ、レベル……?」

『ああ、レベルというのは”強さの質”だと思ってくれればいい。あいつを倒して以前よりも強くなった気がしないか?』

 

 時雨(しぐれ)に言われて、身体に力を入れたりして調子を確かめるエドワード。

 たしかにここにくる前よりも力強くなっていたり、身体が軽くなっている感じがしていた。

 

「たしかにその通りかもしれない……」

『それが”レベルアップ”という現象なんだ。モンスターを倒したときに”経験値”を吸収して強くなるんだ。俺のマスターになった特典だと思ってもらっていい』

「そうなのか。じゃあモンスターを倒しまくれば、さらに強くなるのかな?」

『まぁ簡単に言うとそうだな。でも本人の技術が向上しないと、力に振り回されるだけになるからそこは気を付けろよ』

 

 色々と説明を受けて頭がパンクしそうなエドワードだったが、考えるのを諦めて全て受け入れることにした。

 それよりも今はここを離れた方が良いと感じた。

 エドワードは時雨(しぐれ)を仕舞おうと一緒に落ちていた鞘を拾うが、改めて時雨(しぐれ)を見てみるとその美しさに見惚れた。

 

(柄は白なんだな。(つば)が丸いのはなぜだか分からないが、それはまあいい。刀身自体は細長くて先が()っている片刃か。

今までは両刃だったから、そこには慣れないといけないな。それにしても……本当に綺麗だな)

 

『……ん? どうした?』

「いや……時雨(しぐれ)ってめちゃくちゃ綺麗な刀なんだなと思ってな」

『おう! それか! そうだろう? 俺がそのように望んだんだから、もっと見惚れてもらわないと困るぞ!』

 

 笑いながら、褒められたことに満更でもない様子の時雨(しぐれ)

 エドワードは苦笑いをしながら、鞘に時雨(しぐれ)を納めて、荷物を持って洞窟から出る準備をする。

 そして、洞窟から出たときにはちょうど朝日が登ったところであった。

 

「俺って結構な時間気絶していたんだな」

『そうだな! 何回声掛けても起きないから死んだかと焦ったよ』

 

 「出会ったばかりのマスターが死んだら笑えるよな」と笑いながら話す時雨(しぐれ)

 不吉なことをさらっと言う時雨(しぐれ)にまた苦笑いで返すが、ある意味付き合いやすそうで良かったと感じていた。

 

(まぁ性格も合いそうだし、良い相棒になりそうだな)

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 ダリルシェイドに戻ったエドワードは、街に入る前に時雨(しぐれ)から注意を受けていた。

 

『人がいるところで俺に話しかけるなよ。俺の声を聞こえるやつは、周りには”ほとんど”いないからな』

「”ほとんど”? ……ってことは聞こえる人もいるってことか?」

『ああ。俺のように話す剣を持っているやつには聞こえるし、会話もできる』

「……待て待て! 時雨(しぐれ)みたいな刀が他にもいるってことなのか!?」

『俺以外は刀じゃなくて”剣”だけどな。あと六本あるぞ。まぁその辺はおいおい話すよ』

 

 時雨(しぐれ)に会ってから、新しいこと、聞きたいこと、不思議なことが満載になっているが、エドワードは少しずつ慣れていた。

 それでも時雨(しぐれ)以外に六本も話す剣がいる事実には驚きを隠せなかった。

 

(色々と聞きたいことはあるが……まぁ後で話してくれるって言っているし、今は一旦家に戻ってからフリックに戻ったことの報告をしに行こう)

 

 街に戻ったことで本来のユルさが戻ってきたエドワードは、いつもの調子に戻りつつ自宅に帰った。

 数日ぶりの自宅は特に何も変わったことはなく、軽く荷物の整理をしてから城に向かうことにした。

 時雨(しぐれ)は腰に差している。これは万が一盗まれたらということと、時雨(しぐれ)本人もついていくことを希望したためだ。

 

(今の時間なら……フリックは訓練場にいるはずだ)

 

 ちょうど訓練の時間帯だったので、訓練場に向かったエドワードは衝撃的な光景を目にした。

そこで見た光景は、セインガルドの兵士が全員倒れている姿と、唯一立っていた”黒髪の少年”の姿だった。

 

(こ、これは一体どうなってるんだ? なんで全員倒れているんだ……? しかもあそこに立っている少年は夢で見た……)

 

『……ちっ。厄介なやつがいたな』

 

 時雨(しぐれ)の声がしたと思ったら、黒髪の少年が勢いよくエドワードの方を向き、驚いた顔をする。

 手には護拳(ガード)の付いた曲刀を持っていた。

 少年はエドワードに対して話しかける。

 

「……お前は何者だ?」

 




まだまだ原作前です。
エドがレベルという言葉を知らないのは、一般人にはあまり知られていないという認識でいてください。

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