《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:灰猫ジジ

30 / 65
第二十九話

 スタンはエドワードを救おうと瓦礫をどかそうとしていたが、ディムロスや他の人達に諭されてグレバムを捕まえることに集中することにしていた。

 リオンが指示を出して先に進む。

 

「おそらくチェリクに向かったはずだ。急ぐぞ」

「わ、分かった……」

 

 走ってチェリクに向かっていく。

 カルビオラの入り口でバルックと出くわす。

 

「リオンじゃないか! やはりカルビオラに来ていたのか。それで……目的のものは見つかったのか?」

「……いや、まだだ。神殿内部で発見したが、隙を突かれて犯人に再び持ち去られてしまった。これからそれを追いに行くところだ」

「そうか……じゃあちょうど良かったかもしれんな」

「どういうことだ?」

「何かあるかと思ってな。私の傭兵部隊を連れてきた」

 

 バルックが援軍に来てくれたのだと分かったリオンは少し考えると、何かを決心したような顔でバルックへと口を開く。

 

「……バルック。頼みがある」

「珍しいな。なんだ?」

「神殿内部に僕の仲間がいる。モンスターに囲まれた僕たちを逃がすために殿(しんがり)を買って出てくれたんだ。

そいつを助けてやってほしい」

「……分かった。それなら私も協力しよう」

 

 リオンはバルックにエドワードを託してグレバムを追うことにした。

 目撃情報で魔物が大きな物体を運んでいるのが分かったとのことだったので、海に出てしまう前に追い付くことが必要であった。

 そして再び走り出そうとしたところで、バルックに呼び止められる。

 

「リオン」

「なんだ? 僕はもう行くぞ」

「……いや。お前が()()という言葉を口に出すとはな」

「うっ……」

「はっはっは! いや、からかったわけじゃないんだ。俺は良いと思うぞ。……絶対に救出してみせるからな」

「……ああ、頼んだ」

 

 リオン達が走り去ったのを見ていたバルックは、リオンの成長を微笑ましく思っていた。

 そしてすぐに部下に指示を出して、傭兵部隊とともに神殿に突撃する。

 

 

 

 

 

 

 しかし、大聖堂の地下に入ったところで見た光景は、大量のモンスターの死骸だけだった。

 リオンが話していた瓦礫も吹き飛んでいた。

 

「な……なんだこれは!? 何があったというのだ……!」

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 リオン達はどこにいるかも分からないグレバムを追い、チェリク方面へ向かっていた。

 

『くそ! グレバムはどこにいるのだ!』

『ディムロス、慌てても仕方ないわ。今は急ぐことだけを考えましょう……道を示してくれたエドワードのために』

『……ああ、そうだな。すまない、アトワイト』

『大丈夫よ』

 

(ああ……こんなときにいちゃつかないでもらいたいですよね。昔から周りの空気を気にしないんだから、この二人は……)

 

「あ! あそこに何かいるぞ!」

「グレバムだ! 急いで追うぞ!」

 

 ディムロスとアトワイトがいちゃついているのを心の中でツッコミを入れるシャルティエ。

 それを無視して走り続けていたところでスタンが何かを見つける。

 リオンがすぐにグレバムと判断し、走るスピードを上げていく。

 

「ちっ。もう追ってきおったか。だが、このままのペースなら俺の方が早く海に到達できそうだな」

 

 グレバムは自身が操るモンスターとリオン達の走るスピードを比べて追いつかれる前に海に出ることが出来ると判断した。

 事実、リオンが先に砂浜に到着したとき、数m先をグレバムがモンスターに乗って飛んでいた。

 

「はははははっ! リオン・マグナスよ! 残念だったな! これで俺を追ってくることは出来まい!」

「ちっ! 逃がすか! ──ストーンブラスト!」

「な! ぐあぁぁああ!!」

 

 リオンの苦し紛れに放ったストーンブラストはグレバムの腹と足に当たり、確実に骨を何本か折っていた。

 

「き、貴様ぁ……覚えていろ!」

「待て、グレバム!」

 

 更に追おうとしたのだが、リオンが出来る抵抗もここまでであった。

 スタン達が追いついた頃には、グレバムはすでに手出しが出来ないところを飛んでいってしまっていたのだった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 明け方。バルックと合流したリオン達は、ストレイライズ神殿で見た光景の、報告を受けていた。

 

「……というわけなんだ。君の仲間とやらの姿は確認できなかった……すまない」

「いや、いいんだバルック。生きている可能性があると分かっただけでも助かる」

「エドワードは生きているのか!?」

「……あくまで可能性だ。だが、あの程度のモンスター相手にやられるほど僕達セインガルド王国客員剣士はやわではないのは確かだ」

「よ、よかったぁぁ!!」

 

 リオンの言葉にスタンが喜びの声を上げる。

 その横でフィリアが隠れてガッツポーズをしていたのをルーティは見逃していなかった。

 

「フィ〜リア!」

「な、なんですか、ルーティさん?」

「エドワード……生きてるって聞いてそんなに嬉しかったのかなぁ?」

「な! ななななななにを仰っているんですか!」

 

 フィリアをからかうように話しかけるルーティに対し、明らかに動揺をしているフィリア。

 これを見て、勘付かない人間はいないだろう。

 

「ん? ルーティ、何を言ってるんだ? エドワードが生きていたら、みんな嬉しいだろ?」

「あ、あんたって本当に鈍いのね…」

 

 ただ一人(スタン)を除いて。

 

「そんなことはどうでもいい。次はどうやってグレバムを追うかだ」

「そうだな。この方角に行ったってことは、おそらくノイシュタット方面に向かったと見て間違いないだろう」

「よし、じゃあカルバレイス港から船を出して向かう。バルック、手配を頼む」

「分かった。私の権限内で出来ることは協力しよう」

「……全員で追うぞ。次こそグレバムに僕達の実力を見せつけてやる。行くぞスタン!」

「おお!」

「待ちなさいよ、あんた達! 慌て過ぎだって!」

 

 リオンとスタンが我先にと港へ向かっていく。

 その様子を見て、ルーティが追いかけていく。

 そしてフィリアとマリーが目を合わせて笑い、全員のあとを追うのであった。

 




面白い!また続きが見たいと思ったら、ぜひ高評価、お気に入り登録、感想をお願いします!

『MAJORで吾郎の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216811/

『MAJORで寿也の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216813/

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。