《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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第三十話

 時は少し遡る。

 リオン達にグレバムを追うように伝えたあと、エドワードは大量に現れたバジリスクと戦っていた。

 

『さすがに数が多いな……』

「……だね」

 

 もう何体倒したか自分自身でも分かっていないのだが、それでも目の前には数え切れないほどのバジリスクがいた。

 下手に大技を使うと、隙を付いて石化攻撃を仕掛けて来る可能性もあったため、迂闊な行動はできなかった。

 

(このままだとジリ貧だな……)

 

 時雨(しぐれ)はエドワード以上に危機感を覚えていた。

 このままだとエドワードの体力が尽きるのが先になるからだ。

 

(仕方ないな……()()()()()()使()()()()()()()()んだが……)

 

 時雨(しぐれ)はこっそりと詠唱を始める。

 ソーディアンは基本的に自分自身で晶術を唱えることは出来ないのだが、時雨(しぐれ)だけは例外として使えるスキルがいくつかある。

 エドワードはそれには気付かずにひたすらバジリスクを狩っていた。

 

 

 

「こいつさっきから戦いにくいなと思っていたんだが、斬撃が効きづらいみたいだな……」

 

 バジリスクと戦い始めてどれほどが経ったのか分からない。

 肩で息をし始めたエドワードは、襲いかかってくるバジリスクの攻撃を避けながらカウンターで攻撃をするという方法に切り替えていた。

 幸いなことに連携プレーをしてこないため、少しずつ休息を取りながら戦えていた。

 

 しかし、急にバジリスクが後ろに下がったと思うと、二体同時に襲いかかってきたのである。

 

「うおっ!」

 

 急に攻撃パターンが変わったため、エドワードは少し困惑をしつつ攻撃を避ける。

 しかし一体の攻撃を避けきれず、左腕に攻撃を受けてしまう。

 そして傷口が徐々に石化を始めていたのであった。

 

(くそ……油断した。このままだとまずい……)

 

 エドワードもジリ貧になる未来が明確に見えてきたため、心の中で僅かな焦りが生まれていた。

 その焦りのせいで、今度は右のももに攻撃を受けてしまう。

 

「ぐっ……!」

 

 右足も徐々に石化を始めてしまう。

 避けるのも厳しくなってきたところで、バジリスクが全体的ににじり寄ってくる。

 

(おいおい……急に厭らしい連携攻撃をしてくると思ったら、ここで仕留めに掛かる気か……!?)

 

 追い詰められたエドワードは、今出来る大技で乗り切ろうかどうか考えていたところで、不意に時雨(しぐれ)が声を上げる。

 

「………よし! エド、今から()()()を呼ぶ! どうなっても恨むなよ!!」

「え……!?」

英霊召喚(サモン・エージェント)!!」

 

 時雨(しぐれ)英霊召喚(サモン・エージェント)を唱えた瞬間、エドワードとバジリスクの間に雷のような()が巻き起こる。

 スパークした光は近くにいたバジリスクを灰にした。

 そして更に輝きが増してきたところで不思議な声が聞こえてきた。

 

『……たくっ。こんなときに呼ぶんじゃないわよ! まぁいいわ。いくわよ! ────ディバインセイバー!!』

 

 地面に光の魔法陣が現れ、輝き出す。

 そして上空から雷が降り注ぎ、裁きの刃となってバジリスクに襲いかかる。

 

 

 

 雷が収まり、あまりの眩しさに右腕で目を隠していたエドワードが見たものは、大量のバジリスクの死骸であった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「こ、これは……? 一体何が起こったんだ……?」

 

 エドワードは自分が目にしたものが信じられなかった。

 時雨(しぐれ)()を呼んだかと思うと、その()が急に話し出し、大きな魔法陣とともに雷を放ってバジリスクを一掃したからだ。

 そして雷を放った()が徐々に無くなっていくと、そこから現れたのは赤い髪をした女性だった。

 

 赤髪の女性はエドワードの方を向き、話しかけてくる。

 

「久しぶりね……」

「……え?」

 

 エドワードには何の事か分かっていかなった。

 答えられずに困惑していると、

 

『ああ、久しぶりだな。()()()()

 

 時雨(しぐれ)の知り合いだと理解し、自分の知り合いでなかったことに安心しつつも、勘違いした自分に気恥ずかしさを覚えたエドワード。

 ハロルドと呼ばれた女性は、エドワードに近付いてくる。

 

「あたしを呼んだってことは、結構状況は切羽詰まって来たってこと?」

『いや……まだそこまでじゃないんだけど……』

「……? どういうこと? 説明しなさい!」

 

 時雨(しぐれ)に詰め寄るハロルド。時雨(しぐれ)も珍しくうろたえながらも状況を説明する。

 現状を把握したハロルドは、納得したよう顔をする。

 

「そういうことね。神の眼がついに奪われちゃったのか。相手はやっぱり()()()なの?」

『ああ。今はまだ正体を現していないがな』

「なるほどね……。それなりにまずい状況だと思うのだけれど……これも()()()()()()()なのね?」

『一応はな。だが、ハロルドをここで呼び出すのは流石に予定外だったよ』

「そもそもあたしを呼ぶこと自体が例外だったでしょ? まぁ気持ちは分からないでもないけど」

 

 そう言いながらエドワードを見るハロルド。

 ここまでの会話に一切ついて行くことが出来ていないエドワードは、急にハロルドに見られたのでたじろいだ。

 

「え、あ、その……」

「あんた……エドワードでしょ?」

「な、なんで──」

「──なんで分かるのかって?」

 

 エドワードは自分が言いたいことを当てられて、小刻みに頷いた。

 ハロルドは後ろを向いたかと思うと、数歩歩き、そして振り向いて驚愕の事実を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「当たり前じゃない。()()()()()のことくらい分かるわよ」

 




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