《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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第三十二話

「やぁ〜っと着いたわねぇ! ……さ、寒い……」

 

 チェリクからスノーフリアに船で移動したエドワード達。

 着いて早々にハロルドが寒いと騒ぎ出したので、まず雑貨屋で毛皮のコートを買いに行くことにした。

 そこでハロルドはまた騒ぎ出す。

 

「え!? このコート高いわよ! なに三千ガルドって!? ボッタクリじゃない!?」

「か……ハロルドさん……ちょっと」

「何言ってるのよ! こんなの五百ガルドが相場ってとこよ!」

「……ちっ。そこまで分かってんじゃあ仕方がない。相場通りで売ってやるよ」

「当たり前でしょ!」

 

 毛皮のコートを合計千ガルドで購入したハロルドは、すぐさまコートを着て外に出る。

 エドワードもハロルドを追いかけて店を出る。

 

『ハロルド……お前……』

「いいじゃない。六千ガルドが1/6になったのよ!」

 

 絶句する時雨(しぐれ)を無視して、またエドワードと腕を組んで歩き出す。

 エドワードは何も言えないので、黙って一緒に歩くことにした。

 

「さて、ここからどうするの?」

『西にあるティルソの森から、サイリルの街に行くぞ。かなり寒いから、準備はしっかりしていこう』

「ああ、分かった」

 

 エドワード達はスノーフリアを出ると、ティルソの森に入る。

 森は雪が降っていて、空気もとても澄んでいる場所であるが、モンスターがたまに出るため油断はできなかった。

 

「魔神剣!」

 

 モンスターを倒し、時雨(しぐれ)を仕舞うエドワード。

 そして奥に進んでいると、道が雪によって塞がれていた。

 

「これじゃあ通れないな」

「ふむ……ちょっと後ろに下がってて」

 

 エドワードを下がらせると、ハロルドは晶術の詠唱を始める。

 その詠唱を聞いて時雨(しぐれ)が声を上げる。

 

『エド! ハロルドを止めろ! 上級晶術を使う気だぞ! ここらへん一体を焼け野原にするつもりか!!』

「え……!? ちょ、ちょっと!!」

 

 エドワードはハロルドを羽交い締めにすると口を塞ぐ。

 口を塞がれたハロルドはすぐに詠唱を止めて、大人しくなる。

 

「あら〜、エドったら大胆なんだから〜! 母さんに欲情しちゃったの?」

「え、あ、え!? ……ご、ごめんなさい!!」

 

 意地の悪い笑みを浮かべて笑うハロルドの声を聞いて、慌てて離れるエドワード。

 ハロルドは「別にまだ抱きしめてていいのにぃ〜」と、自分の身体を抱きしめながら身悶える。

 時雨(しぐれ)はその姿を見て、苦笑いをしていた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 ティルソの森を出て、サイリルの街に入ったエドワード達は宿で部屋を取る。

 さすがに数時間も外に出ていると、身体が冷えていたため、部屋の暖炉で二人寄り添うように座る。

 

「ふー、流石に寒かったわねぇ」

「ええ、そうですね」

『それにしてもハロルド、()()()()を持ってるなら、わざわざ上級晶術をぶっ放さなくても良かっただろうが』

「えへへ、忘れてたのよぉ!」

 

 三十歳前後の年齢であるハロルドが、年甲斐もなくテヘペロする。

 そしてすぐに真顔になって話し始める。

 

「それよりも……気付いた?」

『ああ。明らかに外が物々しい雰囲気になっていたな。……やはり早くハイデルベルグに行ったほうが良いな』

 

 サイリルの街は反乱軍がいるため物々しい雰囲気になっており、今にも内乱が勃発してもおかしくない状態だった。

 エドワードは気付いていないが、時雨(しぐれ)はこれがグレバムの仕業であると分かっていた。

 今回はファンダリア王国の国王であるイザークが殺されてしまう前に、イクティノスと接触することが目的であった。

 

(スタン達はまだノイシュタット方面にいるはずだから、時間はあるはずだ。ウッドロウともなんとか会えると良いけどね)

 

「それにしてもお腹空いたわね! 時雨(しぐれ)、ここだと何が美味しいの?」

『あーっと……ボルシチかな? 身体が温まるし、オススメだ』

「じゃあ早速食べに行きましょ! ほら、エドも早く行くわよ!」

 

 エドワードはハロルドと出会ってから、終始そのテンションに押されっぱなしであった。

 だが、少しずつではあるがその温かさに心が癒やされていくのが分かっていた。

 

(この人(ハロルド)って本当に俺の母さん……なんだな……)

 

 そう思うと嬉しさのあまり、軽く笑ってしまう。

 ハロルドはそんな様子のエドワードに気付かないまま、もう一度声を掛ける。

 

「ほら! エドってば! 早く行くわよ!」

「分かったよ……母さん」

 

 その声はハロルドには届かなかったけれども、時雨(しぐれ)にははっきりと聞こえていた。

 そして心の中で時雨(しぐれ)は、ハロルドとの間にエドワードが生まれて良かったと思うのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 サイリルの街で一泊したエドワード達は、そのままハイデルベルグへと向かう。

 首都ハイデルベルグは、サイリルの街から真北に進むだけなので、迷うことなく到着することが出来た。

 

「ようやく着いたわね!」

『ああ。早速ハイデルベルグ城へと──』

「──まずは宿よ! 私達はすっっごい寒い思いをしているんだからね!」

 

 ここでもハロルドの勢いは衰えることはなく、どんどん進んでいく。

 エドワードとしても、ここまで強行軍で来たようなものだったので、ハロルドの体力は心配していた。

 そして部屋で少し休んだ後、アポイントを取るためにハイデルベルグ城へと向かうのであった。

 




『エド、俺のことも"父さん"って呼んでも良いんだぞ。』
「……うるさい。」


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