《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜 作:ねここねこねこ
「ここはハイデルベルグ城だ。貴殿らは何の用だ」
「私はセインガルド王国客員剣士のエドワード・シュリンプと申します。火急の件で、陛下への謁見を求めます」
「客員剣士だと……? 来るとは聞いていないぞ」
「ええ、なので
「どうするかは何用かを聞いてからにしようか」
「えっと……これは最重要機密事項なので、陛下に直接話します」
「なんだそれは? 用件を話せないようなやつを通すわけにはいかんな。帰れ!」
エドワードは兵士のあまりの剣幕にイラッとしてしまうが、これも兵士の仕事だよなぁと思い、どうしようか考えていると、
『エド。ここは一旦退こう。こういうタイプはいつまで問答していても無駄だ』
仕方ないので、
ハロルドは「私の晶術で吹き飛ばすのもいいわね♪」と乱暴なことを言い出したため、エドワードと
「じゃあどうするのよ。このままだとグレバムとやらが来ちゃうんでしょ?」
『俺に考えがある……この街には王族専用に作られた抜け道用の隠し通路があるんだ。そこから城に入ることが出来る』
「……いやいや、それはただの不法侵入だから! というか、何で知っているんだよ!」
自分の両親は破壊工作や不法侵入やら犯罪行為をしたがる傾向にあるのか? と少し不安になる。
だが、他に方法が思い付かないため迷っていると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「はい、どちら様ですか?」
「はっ! 私、先程エドワード殿とお話させていただいた、ファンダリア王国の兵士であります!」
「……え? い、今開けます!」
慌てて部屋のドアを開けると、そこにはつい先程エドワード達を邪険に扱っていた兵士が立っていた。
ただ、その時とは違い、直立不動で敬礼をしたまま動かなかった。
「あ、あの……どうされたんですか?」
「はっ! 陛下から”エドワード・シュリンプ殿を早急に城までご案内するように”と命令がございました!
先程は大変失礼いたしました!」
頭を下げて謝罪をする兵士に対し、エドワードは何がなんだか分かっていなかった。
それでも国王であるイザークと謁見が出来るということなので、とりあえずついていくことにした。
◇◇◇◇◇◇
ハイデルベルグ城に入ると、セインガルド城とはまた違った趣のある建物と内装にエドワードは息を呑む。
街を見ていても感じていたが、やはり地域によって文化などの違いがあることが面白いと思っていた。
謁見の間に入ると、そこでは玉座に座る国王のイザークとその横に似た顔の青年、そして年配の男性が立っていた。
エドワードは玉座の数メートル手前で膝をついて頭を下げる。
イザークが「面を上げよ」と言ったので、顔を上げて立ち上がる。
「セインガルド王国客員剣士のエドワード・シュリンプ殿だな。貴殿とリオン・マグナス殿の噂はファンダリア王国にも届いておるぞ」
「はっ。ありがたきお言葉でございます」
「先程は兵士がすまなかったな。私も
「いえ、彼は兵士として当たり前のことをしたまでで……
「なんだ、そなたは知らなかったのか?」
そう言ってイザークは一振りの剣を取り出す。それは突くことに重きを置いているであろう、細身の長剣であった。
その剣を見て、エドワードはすぐに理解した。
(あれは……まさか
「気付いたようだな。これはファンダリア王国伝わるソーディアンのイクティノスだ。貴殿の持つ
『久しぶりだな、
『ああ、久しぶりだな。……そのまさかだよ』
「あらぁ、イクティノス。あたしには挨拶はないのかしら?」
『い、いや、そんなことはないぞ。ここにいるとは思っていなかったから驚いただけだ。……久しぶりだな、ハロルド』
「ええ、久しぶり……でいいのかしらね」
エドワードは簡潔に今までのことを報告した。
「な、何だとっ!? 神の眼がグレバムという神官に奪われたというのか!?」
「はい。今、ソーディアンチームが集まり、対処しているところです」
「貴殿は一緒に追わなくて良かったのか?」
イザークが当然の質問をしてきたので、それについて
『賢王イザークよ。実はな、今グレバムにそそのかされて、ファンダリア王国の反乱軍がいつ動き出してもおかしくない状態なのだ。
ここで反乱を起こさせないために先に来たというわけだ』
「む……むぅ。にわかには信じられないな」
『イザークよ。
『ああ、そうだ。その件についても、あとはお前の許可があれば話せるんだ』
『おお、そうだったのか。それなら今この場で許可を出そう』
「それで……私達としてはグレバムが来て全てが手遅れになる前になんとかしたいと考えています」
「そうか。分かったぞ。早急に防備を固めつつ、反乱軍への対処をしようではないか」
イザークが横にいる老兵士に指示を出し、準備を始める。
そこで
「……なに? あやつか……。今出して大丈夫なのかは心配だな」
そう言って、反乱軍のリーダーが投獄された二年前の騒乱について語りだした。
二年前、サイリルの街を拠点にしていた反乱軍のリーダーであるダリス・ヴィンセントが突如脅しをしてきたとのことだ。
「イザークが早急に国王を辞任し、国を明け渡さないのであれば、武力行使も辞さない」という内容であった。
当時のイザークとしても、脅しに屈してはならないという周りの意見もあり、国と国民を守るためにどうするべきか苦渋の選択を迫られ、サイリルの街をファンダリア王国軍で囲み、鎮圧したとのことだった。
結果、ダリスは投獄されて今に至っている。
「陛下、
「むむぅ。そうであるな。だが、少しでも血を流さない方法を取るのであれば、説得するのが一番なのだが……」
「父上、それは私に任せてくれませんか?」
「ウッドロウか……」
「父上が今行っても、ダリス・ヴィンセントも意固地になる可能性もあるでしょう。それであれば王子として、次世代の者が話したほうが話も通じるかもしれません」
イザークの横にいた、銀髪の青年。賢王の息子であるウッドロウ・ケルヴィンは自分に任せるように話す。
少し考えたイザークは、「分かった。ウッドロウに任せてみるか」とダリスの説得をウッドロウに託す。
「そうだ、エドワード殿。よければ貴殿も一緒に行ってくれまいか?」
「私もですか?」
「ああ。ウッドロウもまだ未熟の身なのでな。フォローをしてやってくれ」
「……かしこまりました」
エドワードは頭を下げると、ウッドロウが近付いてきた。
そして「それではよろしく頼むよ」と言って握手を求めてきたので、その手を握る。
これからファンダリア王国のために、エドワードはダリス・ヴィンセントを説得するという大任をうけるのであった。
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