《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:灰猫ジジ

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第四十話

「あの……エドワードさんとハロルドさんは恋人関係なのですか!?」

 

 フィリアの突然の質問にエドワードは戸惑う。

 実の母親と伝えるのは簡単だが、見た目と年齢的にも明らかに親子とは違うし、そもそもハロルドは千年前の歴史上の人物である。

 どういう風に説明をしようと悩んでいると、フィリアは何かを察したような表情をする。

 

「あ……ごめんなさい。そうですよね。私ったら……聞かなくても分かることなのに……」

「え、いや……そうじゃなくて……」

「いえ、いいんです! 分かっていますから! ……私、応援していますね!」

「いや、ちょっ!」

 

 半泣き状態のフィリアは言いたいことだけ言うと、エドワードの静止を聞かずに部屋を飛び出した────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ〜っと終わったわよぉ〜! まったく、()()()も余計なものを作るんだから!」

『まぁそれは仕方ないよな。とりあえず目処が立っただけ良かったと──』

「──おっと!」

「きゃっ!」

 

 部屋を飛び出したところで、フィリアは話し合いが終わりエドワードの部屋に入ってきたハロルドにぶつかり、尻もちをついてしまう。

 お尻を押さえながらぶつかった先を見ると、先程まで話題に出していた本人が目の前にいることに気付き、フィリアは慌ててしまう。

 ハロルドはその様子を見て、何かを察したかのような悪い笑みを浮かべていた。

 

「はっは〜ん! エドったら、こんなに可愛い女の子を部屋に連れ込んで泣かすなんて、悪い男に育ったわね!」

「え、いや……俺は何もしていませんよ!!」

「はいはい、言い訳は後で聞くからね。あなた……大丈夫かしら?」

「……は、はい」

 

 フィリアはハロルドから差し伸べられた手を取り立ち上がる。

 そして、身なりを整えると、「失礼します」と言って部屋を出ていこうとして、ハロルドに腕を掴まれる。

 

「おっと! ちょっと待ってね! あなたは……フィリアだったわよね?」

「え、ええ。そうですわ」

「せっかくだから一緒に話をしましょうよ。あなたからも科学者のような匂いがするし」

 

 戸惑いながら返事をするフィリアを強引に座らせて、ハロルド自身はエドワードの隣に座る。

 その様子を見たフィリアは少し苦々しい顔をするが、すぐに表情を元に戻した。

 

「飛行竜では現ソーディアンチームとはほとんど話せなかったから、改めて自己紹介をするわね。

あたしの名前はハロルド・ベルセリオス。一応科学者やっているわ」

「は、はい。存じております。千年前の天地戦争で地上軍の大佐をしてらしたハロルド博士……」

「そうそう! よく知っているわね! ついでに言うと、時雨(こいつ)は私の旦那で、エドはあたしの息子なのよ〜! 良かったら仲良くしてあげてね!」

「は、はい! …………? え? い、今なんと仰いましたか?」

「良かったら仲良くしてあげてね?」

「い、いえ。その前です……エドワードさんの……お、お母様?」

「あ、そうよ。もしエドに変なことをされたらちゃんと言ってね。私がおしおきするから!」

 

 エドワードはすぐに「そんなことしませんってば!」とツッコミを入れるが、ハロルドは悪い笑みを浮かべるだけで、フィリアは顔を真っ赤にして誰にも聞こえないくらい小さな独り言を言いながら、慌てていた。

 

(この子ってやっぱりエドのこと……。ぐふふ、面白くなってきたわね!)

 

 グレバム戦、ハロルドがエドワードの名前を呼んだときに周りとフィリアの反応が違ったことを見ていたため、ハロルドはある程度予測を立てていた。

 そして今さっきのフィリアの半泣きの顔と、その直後のハロルドの顔を見たときの表情、エドワードの隣にハロルドが座ったときの苦々しい顔を見て、ほぼ確信していた。

 

「それで……()()()()()()()()()()()()?」

「「……え!?」」

『ハロルド……お前、それはないだろ』

 

 ハロルドの直球の言葉にエドワードとフィリアはお互いに同じ声を上げ、時雨(しぐれ)に呆れたような声で突っ込まれる。

 

「い、いえ! 私達はまだそんな関係じゃ……!」

()()ってことはいずれそうなるってことでしょ? だったら早いほうがいいじゃない。ね、エド?」

「いやいや……そもそもフィリアは俺のことをそんな風に思っていませんってば」

 

(あれ……? エドってばもしかして超鈍感な子だったりするの?)

 

 自分の息子の鈍感さに呆れた顔を見せたハロルド。

 さすがにここまで露骨な目線やアピールされていれば誰だって気付くのだが──スタンは例外──エドワードは自身のことになるときちんと言葉にされないと伝わらない人間であった。

 

「じゃあエドはどうなのよ? フィリアのことは好きじゃないの?」

「え……そんな急に言われても……」

 

 ちらっとフィリアの顔を見たエドワード。

 フィリアは顔を真っ赤にしてうつむきながらも、眼鏡越しに上目遣いでエドワードのことを見ていた。

 

「ほら! あんたがはっきりしないと何も始まらないでしょ! 好きなの? 嫌いなの?」

「いや、好きか嫌いかって言われたら……もちろん()()ではあるんですけど……」

「じゃあ好きなのね? …だそうよ、フィリア。良かったわね!」

「え!? ……は、はい」!

 

 今のやり取りとフィリアの様子を見て、エドワードはようやくどういうことか気付く。

 そして、自身がフィリアに告白していたということが分かった瞬間、慌てて話し出す。

 

「え……え……? 今のって()()()()()()だったんですか!?」

「エド……あんたようやく分かったの? 時雨(しぐれ)もどういう教育してきたのよ……」

『いやいや、俺らが会ってからまだそんなに期間経ってないからな! こいつが鈍いのはもっと前からだから!』

 

 家族三人で騒がしくしている中、フィリアだけが顔を俯かせたままずっと固まっていたのであった。

 




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