《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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間話です。いつもは間話を載せるときは2話ずつ載せていましたが、現在文章書くのをリハビリ中なので1話のみとなります。
調子を取り戻したら、2話ずつ載せていこうと思います。



間話 ハロルドと時雨

 これはグレバムを倒し、神の眼を封印してから数日後のお話である。

 ハロルドは鼻歌を歌いながらダリルシェイドの街を歩いていた。

 その独特なハーモニーと見た目のギャップから、通行人はぎょっとしては足早に去っていく。

 

「ふんふふ〜ん♪ ふふんふふ〜ん♬」

『お前な……もっと音量を小さくして歌えよ』

「あら? なんで?」

『周りが引いてるからだよ……ってハロルドに言っても無駄か』

「分かってるじゃない! さすが時雨(しぐれ)ね♪」

 

 ハロルドはエドワードに頼み、今日一日だけ時雨(しぐれ)を借りており、ダリルシェイドでデートをすることになっていた。

 相手がソーディアンになってしまっているとはいえ、ハロルドとしては時雨(しぐれ)には変わりない──むしろいくらでも連れ回せる──ので、いつも以上に機嫌が良かったのである。

 

『それで、どこに行くつもりなんだ?』

「ん〜、ちょっとぶらぶらしながら歩いて、そのあとカフェでも行こうかしら?」

『予定決まってなかったのかよ……』

「せっかく神の眼を封印して、一段落したんだからいいじゃない。()()()()()()()()()()()()?」

『……ああ』

「それは絶対起こるの? あの封印はなかなか解けないわよ?」

『ほぼ確実だ。()()()があれくらいで諦めるようなやつじゃないからな』

 

 時雨(しぐれ)はこの後に何が起こるのかを分かっている様子で、その言葉をハロルドや旧ソーディアンチームは信じている。

 もちろんすべてを分かっているわけではなく、()()()()()()()()()といったレベルなのだが、それがまた信憑性を高めていた。

 

『それに……バルバトスのやつが不穏な行動を取ってやがるのが心配でな』

「ああ、あの筋肉だるまね」

『バルバトスが誰に繋がっているか分かれば、まだ対処の仕様もあるんだが……』

「ま! そんなことをいつまでも考えていても仕方ないでしょ! とりあえずエドにもそろそろ話すんでしょ?」

『…………』

「まだ心配してるの? あの子はあたし達の子よ? きっと上手く立ち回ってくれるわ」

『そう……だな』

 

 エドワードのことを心配する時雨(しぐれ)を他所に、ハロルドは楽観的と言ってもいいくらいエドワードのことを信じていた。

 何かがあっても自分達の息子(エドワード)であればなんとかしてくれるという根拠のない信頼ではあったが、自信満々に言うハロルドに対して時雨(しぐれ)は無理矢理にでも納得するしかなかった。

 

「それよりもあたしはあの子の恋愛が心配だわ。フィリアの気持ちにようやく気付いたとはいえ……あんなにニブチンだと、いつまで経っても結婚できないわよ?」

『あ、あれに関しては、俺は悪くないぞ! エドと会ったのだってここ最近の話だし……』

「はぁ……せっかくあたしと時雨(しぐれ)の遺伝子を受け継いでイケメンになってるんだから、もっと遊んでもいいと思うんだけどね〜」

『まぁ、色んな女性を勘違いさせてはいる……な』

「あら? 意外と()()()()()()()はあるのかしらね?」

 

 軽く微笑みながら路地裏に入っていくハロルド。

 そして少し歩いたところで振り返り、誰もいないところに向かって話し出す。

 

「……そろそろ出てきたらどう? あたしが美人だからってこれだけ付きまとわれるとさすがに不愉快なんだけど?」

「…………ちっ、気付かれていたか」

 

 物陰から数人の男が出てきて、ハロルドの前に立つ。

 全員覆面をしており、顔が分からないようになっていた。

 

「それで何の用? あたしをデートに誘いたいならもう少しイケメンになってから来てもらえると嬉しいのだけれど……」

『いやいや、旦那がいる前で堂々と浮気発言するなよ!』

「あら、いいじゃない。あんたもう刀になっちゃったんだし」

『元の世界の俺はまだ生きてるだろ! ……はあ、相変わらずだな』

「それでこそあたしだからね♪ でもあの感じだと覆面を取っても大したことないだろうからあんし──」

「ええい! うるさい! 何をごちゃごちゃと言ってやがる!」

 

 リーダーらしき男がハロルドの言葉を遮る。時雨(しぐれ)の声はその場にいる男たちには聞こえないため、ハロルドが一人言を言っているようにしか見えなかった。

 

「だってあなたが用件を言ってくれないからじゃない。何の用なの? ……はっ! もしかして美人のあたしを誘拐してあんなことやこんなこと──」

「うるさいと言っているだろうが! ……()()の封印場所を教えてもらおうか」

『ああ、刺客か。あれ、どうする?』

「んー、どうせ依頼主のこと知らないでしょうし、面倒だから適当に痛めつけてその辺に放置しておきましょ」

「だから何をごちゃごちゃと言ってやがる! この状況を見て分から…………え?」

 

 リーダーの男がしびれを切らして近付こうとしたとき、ハロルドの足元から魔法陣が浮かび上がる。

 

「ああ、もういいわよ。──『デルタレイ×2』!」

 

 ハロルドは一瞬で詠唱を終えると、六つの光弾が男たちを襲う。

 男たちは悲鳴を上げる暇もないまま光弾を身体に受けて吹き飛び、壁にぶつかってそのまま意識を落としてしまった。

 そのまま裏通りから出ていくハロルド。

 

『あいつらはそのままでいいのか?』

「まぁ大丈夫でしょ。死なない程度に威力を抑えてあげたし」

 

 死ななければ問題ないと、何の興味も無いような風に語るハロルドに時雨(しぐれ)は何も言えなくなったが、これがハロルドだったと無理やり納得することにした。

 その後、デートを満喫したハロルドと時雨(しぐれ)は帰り道でも話が尽きることはなかった。

 

「はぁ〜! 今日は楽しかったわ! 色々と満足できたわね♪」

『それなら良かったが……昼飯食べた後に、よくあれだけ甘いものを食べられるな』

()()()()()()()()()()()()()。……それにもうそろそろだからね」

『そうか……()()()()()()か』

「ええ、だから今のうちにあなたともここでの思い出を作っておきたくて。もちろんエドともね」

『エドにはいつ話すんだ?』

「ん〜、帰ったらすぐ言うわ。時雨(しぐれ)もエドに話せることは話しておきなさいよ」

『…………そうだな』

 

 少し落ち込んでいる声を出した時雨(しぐれ)を見て、ハロルドは薄く笑う。

 時雨(しぐれ)のそういった態度は滅多に見ることが出来ないからだ。

 

「ま! 帰ったらエドをたくさん可愛がってあげないとね〜♪」

『……あんまりやりすぎると嫌われるから気を付けろよな』

「大丈夫よ。エドは私に照れているだけだからね〜」

 

 笑いながらハロルドは鼻歌を歌いながら帰り道を歩いていく。

 その途中で時雨(しぐれ)に呼ばれて立ち止まるハロルド。

 

「なに? 時雨(しぐれ)?」

『…………』

「なによ〜。言いたいことがあるならはっきりと言いなさいよね」

『……いや、その…………あ、ありがとうな。お前が来てくれなかったら、もし最後(結末)が良かったとしても()()()()()()()がもっといたはずだ』

「……いいのよ。本当は()()()()()()()()()()()()()のだけれど、あなたが決めたんでしょ?」

『ああ。俺はそのためにソーディアンになったんだ』

「それならどんなことでもしなくちゃね。それにまだ結果が出ていない状態でお礼を言うのは早いわ。きちんと結果が出たときにまたお礼を言って」

『……そうだな。分かった』

 

 家の前に着いたところで話を止めるハロルドと時雨(しぐれ)

 ここからは親としての二人に変わろうと意識を切り替えてドアノブに手を伸ばして、玄関のドアを開ける。

 ドアを開けた先にはエドワードが座って本を読んでおり、ハロルド達に気付いて視線を上げる。

 

「あ、おかえりなさ──」

「エド! ただいま〜!!」

 

 話の途中にハロルドに突然抱きつかれて困惑するエドワードなのであった。

 その様子を見た時雨(しぐれ)はため息をつく。

 

 

 

 

 

 

 

『親としてのスキンシップ激しすぎだろう……』

 




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