《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜 作:ねここねこねこ
グレバムを倒してから、スタンはフィッツガルドの最北端に位置するリーネ村へと戻っていた。
戻った当初は自然があふれる故郷にスタンは懐かしみと喜びがあったが、少し経つとそれも退屈な日々へと戻っていった。
元々兵士になりたいと思い、リーネ村を飛び出したスタンにとっては無理もない話である。
そして、いつものように惰眠をむさぼっていた。
「おにーちゃーん! ご飯出来たわよー!!」
「……むにゃむにゃ。すぴー」
妹のリリスの呼びかけにも応じることなく、お腹を丸出しにしたまま爆睡するスタン。
一度寝るとなかなか起きないスタンはどこでも変わっておらず、それを起こすのは至難の業なのである。
現に旅の最中も、孤児院で子供達の扱いに慣れているルーティですら、最初の頃はスタンを起こすことが出来ずにいたのであった。
しかしここには
「おにーちゃーんってば! ……ってまだ寝てるの!? いい加減起きなさいよ、まったく!」
スタンの部屋に来たリリスはおたまを片手に持ち、両手を腰に当ててスタンを見ていた。
そして大きくため息をつくと、おたまを持った右手を振り上げてスタンの頭を目がけて思い切り振り下ろした。
ガンッ!! という大きな音が鳴り、普通の人では逆にそのまま永遠に眠ってしまうのではないかというレベルの衝撃がスタンを襲っていた。
しかし、スタンは薄く目を開けると、リリスに向かって笑顔を見せる。
「ん〜、あ、リリス。おはよう」
「おはよう、お兄ちゃん! もう朝よ! ご飯出来てるから早く顔洗って来て!」
「ん〜、わかったぁ」
リリスも笑顔でスタンに応えると、そのままキッチンへと向かっていく。
スタンはまだ寝ぼけていたが、むくっと起き上がると、そのまま顔を洗いに家の外の井戸に向かっていく。
そして顔を洗って目を覚ましたあとは、リリス、祖父のトーマスと一緒に朝食を食べるのであった。
朝食後、食器を洗ったリリスは、のんびりしているスタンに話しかける。
「お兄ちゃん、
「ん? ああ、そうだなぁ。今日ものんびりすると思うよ」
「じゃあさ! 今日お出かけしよ!」
リリスの皮肉に全く気付かないスタンは、リリスの提案に対して了承する。
そして、準備をして家をトーマスに任せて出掛けるのであった。
「リリス、出掛けるってどこまで行くんだ?」
「えっとね、ノイシュタットまで行こうと思って!」
「え!? ノイシュタットって日帰りで帰ってこれないぞ!」
「だいじょぶだいじょぶ! おじいちゃんにはちゃんと言ってあるから!」
スタンと腕を組みながら、「わぁい! お兄ちゃんとお泊りデートだぁ!」と小声で喜ぶリリス。
その様子をリーネ村の住人に見られては「相変わらず仲が良いわねぇ」とからかわれる二人。
だが、小さい頃から言われ続けているため、もはや慣れっこになっている二人はそれくらいでは動じなかった。
(まぁ、いつも苦労かけてばっかりだったからな……たまにはいいか)
スタンはそう思いつつ、リーネ村を出てノイシュタットに向かっていくのであった。
道中のモンスターも、もはやディムロスを持っていないスタンでも敵ではなく、通常のロングソードで瞬殺だった。
リリスはスタンの成長ぶりに驚きつつも、スタンをも上回る自らの才能を活かしてモンスターを同じく瞬殺していく。
そして、半日かけてノイシュタットへ到着するのであった。
◇◇◇◇◇◇
「ようやく着いたわねぇ!」
「そうだな。リリスはノイシュタットで行きたいところがあったのかい?」
「んー、特にはないんだけど……そうだ! お兄ちゃん案内してよ!」
グレバムを倒す際にノイシュタットに行ったことを話していたため、リリスは道案内をスタンにお願いした。
デートのエスコートとまでは期待していないが、道案内くらいは出来るであろうという考えである。
「案内かぁ〜……あ、そうだ!」
スタンはそこからリリスとノイシュタットを色々と見て回っていた。しかもリリスが完璧だと思えるくらいのエスコートぶりである。
それもそのはず。そのコースは以前イレーヌと一緒に回ったルートをそのまま使っているからである。
イレーヌとは、オベロン社フィッツガルド支部の責任者であり、グレバム事件の際にスタン達と知り合い、成り行きでデートをすることになった女性である。
まさかこんなところでその経験が活きてくるとは思っていなかったスタンである。
そして、他の女性と過去にデートしたルートをそのまま使うなど本当であればありえないことなのではあるが、スタンはそういうことには
そして、アイスキャンディーを食べながら港にある公園を歩いていると、リリスが誰かとぶつかりアイスキャンディーを落としてしまう。
「きゃっ!」
「おっと、気を付けな嬢ちゃん!」
リリスとぶつかったのは、筋肉ムキムキでいつも上裸のマイティ・コングマンであった。
スタンはコングマンを見て、笑顔で話しかける。
「おお! コングマンじゃないか! 久しぶりだな!」
「ん? お前はスタンか!」
久しぶりの再会に笑顔で話していると、後ろからなにやら不穏な空気を感じたスタンが振り向き、顔を青くする。
「リ、リリス……!?」
「わ、私のアイスキャンディー……お兄ちゃんに買ってもらったのに……」
「ほ、ほら! アイスキャンディーならいくらでも買ってやるから! コングマンも謝って!」
「あ? なんで俺様が謝らないといけないんだ? 弱いやつが悪いんだよ!」
「せっかくお兄ちゃんに買ってもらったのに……」
スタンはもう止められないと顔に手を置いて上を向く。
リリスは俯いたまま、ぶつぶつと呟いていたが、コングマンの言葉に対して顔を上げてコングマンをにらみつける。
「おう、嬢ちゃん。やるってのかい? だがな、俺はチャンピオンだからな!
闘技場以外での闘いは受け付けてねーんだわ!」
そう言って、笑いながら去っていくのであった。
────その日、スタンがその後のリリスをなだめるのに苦労したのは言うまでもない。
次の日、スタンが起きたのはお昼を大分過ぎてからだった。
いつもであれば朝にリリスが起こしてくれるにも関わらず、この日は起こさなかったのだ。
スタンが起き上がると同時に部屋のドアが空いて、リリスが入ってくる。
「あ、お兄ちゃん! おはよう!」
「うん、おはようリリス」
「このあとご飯食べたら、リーネ村に帰りましょ!」
鼻歌を歌いながら、スタンの支度を手伝うリリス。
その様子を見てスタンも安心する。
(よかった。リリスも機嫌が戻ってくれたんだな)
そして二人はいつものように腕を組んでノイシュタットを後にしたのであった。
ここは、とある日のとある街の午前中の出来事である。
『あーーーーっと! まさかチャンピオンのコングマンが瞬殺!?
平凡そうな村娘の格好をした少女にコングマンが破れました!! 新たなチャンピオンの誕生です!!!』
その日、闘技場にて新たなチャンピオンが誕生した。
コングマンは「おう、お前は昨日の……」と言いかけたところでボコボコにされたのである。
あまりの悲惨さに、実況以外の観客は静まり返っていたのであった。
少女はコングマンに何事かを呟くと、表彰式を無視してそのまま去っていった。
そして二度と現れることがなかったため、前チャンピオンのコングマンがそのままチャンピオンとして君臨することになった。
「金髪ポニテ怖い……おたま怖い……エプロン怖い……」
コングマンは少しの間、そう言って隅の方で震えることがあったというのは関係者の話である。
リリスを思っている以上にブラコンにしてみました。
もっともっとブラコンにしてもいいと思うんですよね!
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