《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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間話 リオンとマリアン

「ただいま。マリアン」

「あら、おかえりなさい……エミリオ」

 

 任務を終えてヒューゴ邸に帰ってきたリオンは、真っ先にマリアンのもとに向かっていた。

 いつものことなのでマリアンは苦笑いをしつつ、周囲に人がいないのを確認したのち、リオンの本名であるエミリオの名前を呼ぶ。

 ヒューゴとの確執から自らの名前を”リオン・マグナス”と変えたのだが、大切な人であるマリアンに対しては元の名前で呼ぶようにお願いをしていたのである。

 

「それで今回の任務はどうだったの?」

「ああ。問題なく終わらせたよ。僕にとっては簡単な任務だったさ」

「そう。それは良かったね」

 

 大切な人(マリアン)の前では、いつも以上に強がってしまうリオン。

 その気持ちに気付いているのかは分からないが、マリアンはいつも優しく微笑んでいた。

 マリアンは黙ってリオンを見つめていた。

 

「……どうしたんだい?」

「いえ……エミリオは変わったなと思って」

「そうかい?」

「ええ、変わったわ。昔はもっとヒューゴ様に対して反発心もあったし、周りに対してももっと刺々しい雰囲気だったわ。

まるで抜き身の剣のように危なっかしいところがあったけれど……今はそういったものが薄らいでいるような気がするわ」

「…………」

 

 マリアンに指摘されるより少し前からリオンも自身の内面の変化について感じ取っていた。

 そのきっかけになっているであろう()()()()がリオンの頭に浮かぶ。

 昔のリオンであれば確実に否定をして、「やめてくれ!」とまで言っていたと思うが、その変化を受け入れることが出来るようになっていた。

 むしろ、自身が変わったことに対して喜びさえ感じられるようになっていた。

 

「やっぱりエドワードさんとスタンさんのお陰かな?」

「認めたくはないが……そうだな。僕自身も二人と出会って変わったと思うよ」

「私は今のエミリオの方が好きよ。周りへ優しさを出すことが出来るのは本当に素敵なことだと思うわ」

「……そうだね。マリアン、ありがとう。そう言ってもらえると僕も嬉しいよ」

 

 リオン自身に変化を与えてくれた一人は、同じセインガルド王国客員剣士であるエドワード・シュリンプ。

 彼とリオンが出会ったのは一年以上前。当時客員剣士になったばかりのリオンをバカにしていた兵士に対して、訓練場で実力の違いを見せつけていたときであった。

 当時の彼はまだセインガルド王国の一般兵。それなのに制服ではなく、私服でソーディアンと思しき刀を持って訓練場に現れたため、鬱憤(うっぷん)を晴らそうと刀を抜くように言ったのだが拒否をされたのである。

 

 結局その日は有耶無耶なまま終わり、次に会ったのはセインガルド王国武術大会の決勝であった。

 予選を見る限りだと絶対に負けないと思っていたのだが、問題が発生したため、決着をつけることが出来なかった。

 

 その後、リオンと同じ王国客員剣士になってからは訓練で何度も剣を交えることになる。

 武術大会時には差があった剣術も徐々に縮まっていき、ついにはリオンが負け越すことになるくらいエドワードは成長していったのである。

 それでも自分自身も腕が上がっているのが分かっていたし、本気でやりあえばどちらが勝つか分からないほど実力が拮抗していた。

 

(あれだな。エドワードはいつも僕の周りをうろちょろして他の兵士たちと僕を関わらせようとしていたな)

 

 最初は余計なお世話だとしか思っておらず、兵士の剣を教えるのも嫌々やっていたところもあったリオンだが、エドワードのペースに巻き込まれていくうちに周りからのやっかみが少しずつ減っていったのである。

 そしてリオンを師匠(せんせい)と呼ぶ若手兵士も増えていき、リオン自身もその成長を嬉しく思えるようになっていた。

 リオンにとって、エドワードとは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を教えてくれた人間であった。

 

(それでも僕が本当に信用できる人間は少なかった。マリアンと……エドワードだけだった)

 

 その後、飛行竜襲撃事件をきっかけにリオンに変化を与えてくれたもう一人の人物であるスタンとも出会うことになる。

 リオンの性格上、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が心の底から嫌いであった。

 その嫌いなタイプの人間が、世の中に数少ない──というか、ほぼいない──ソーディアンマスター(スタン)であったことを知り、ある種の絶望を感じた。

 

 しかもディムロス強奪の容疑、セインガルド管轄の神殿への不法侵入など犯罪者紛いの人間だったのである。

 初対面の印象としては最悪であろう。しかしスタンにとってその程度のことは大した問題ではなかった。

 嫌いなタイプの人間(スタン)と距離を取ろうとするリオンに対して、スタンは嫌われているのもお構いなしにグイグイ距離を縮めてくる。

 挙句の果てに”友達”とまで自称し出すのだから、これには流石のリオンも戸惑い、呆れ果てていた。

 

(スタンは邪険に扱われているのに気付いていないただのアホだと思っていたのだが……その通りだったんだよな)

 

 リオンが考える典型的な田舎者。むしろ田舎ですら例外なのではないかと思えるほどのスタンに、グレバムを追うようになってから少しずつ根負けし始める。

 途中でエドワードと離れ離れになったことも良いきっかけになったのであろう。気が付けばリオンにとってスタンとは嫌いな人間ではなくなっていた。

 そして力を合わせてグレバムを倒した頃には、スタンはリオンの中で友人と呼べる存在となっていた。

 リオンにとって、スタンとは()()()()()を教えてくれた大切な人なのであった。

 

 最初はヒューゴ(父親)に対しての反発心があったのだが、エドワードやスタンと関わることで成長し、その反発心ですらも些末なものと思えるようになった。

 今ではヒューゴに対して何か感情を抱くことはなくなっていた。それよりもより高みを目指して成長していくことに注力していきたいと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────しかし、それも全てはリオンの大切な人(マリアン)を守るため。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのためであれば、エドワードであろうとスタンであろうと躊躇(ためら)わずその剣(シャルティエ)を向けるであろう。

 全てはマリアンを守るため。自身の愛する者を守るため。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 ある洞窟の地下。そこに黒のマントを頭から被り、仮面をした4名がいた。

 そのうちのリーダーと思われる一人が、三人の前に進み出て話し始める。

 

「失われた神の眼は戻り、再び世界に平和が訪れた。

まずは祝福を捧げよう……だが、気付いているはずだ。それが仮初(かりそ)めの平和に過ぎないことに。

変わらねばならぬ。この世界が真の平和を手にするためには。今や機は熟した。貴公らのその命、私に預けてもらいたい」

 

 その言葉に一人ずつ前に出て返事をする。

 

「元より覚悟の上……」

「この命、喜んで差し出しますぞ」

「あなた様の仰せのままに」

 

 その言葉を聞いて、リーダーと思しき人物が後ろを向いて口を開く。

 

「諸君らには期待している。()()()()()()()()にな……」

 

 そして、自身の計画を話し始めるのであった。

 




次回から原作第2部へ入っていきます。

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『MAJORで吾郎の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
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