《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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第四十三話

「マリアン!!」

「エミリオ、逃げて!!」

 

 リオンが扉の先にいたマリアンの元へ向かおうとしたが、レンブラントによって扉を閉められる。

 レンブラントを忌々しく睨んだリオンは、後ろにいるヒューゴへと振り返る。

 

「お前達……! 彼女に一体何を……!」

「ではゆっくりと、今後の事についてお話いたしましょうか……」

 

 レンブラントの声に、リオンはヒューゴ達に従うしかないと俯くのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「あの野郎……!」

『エド、抑えろ。今はまだダメだ』

 

 時雨(しぐれ)から全てを聞いたエドワードは、ヒューゴ邸でリオン達のやり取りを隠れて見ていた。

 少し動けば簡単にマリアンを救うことが出来る場所にいながら、動くことが出来ない現状をエドワードは歯がゆく思っていた。

 リオンとヒューゴ達の会話をただ盗み聞きしていく。

 

「……飛行竜を盗み出して、その場所まで運べばいいんだな。そうしたら、マリアンを解放すると約束するか!?」

「勘違いするな。約束するのはお前の方だ。確実に飛行竜を盗み出せ。分かったな」

「くっ……」

「それでは坊っちゃん。こちらへ」

 

エドワードは、リオンがレンブラントに連れられて部屋から出て来るのを確認する。

 

「エミリオ、ダメよ……こんなことをしてはダメ!」

「……すまない、マリアン」

 

 マリアンに対して、目を合わせず俯きながら謝るリオン。

 そしてそのままヒューゴ邸を後にするのであった。

 

 

 

 エドワードはリオンが出ていくのを確認した後も、そのままヒューゴ邸に残って隠れていた。

 理由は()()()()()()()()()である。ではなぜリオンがヒューゴ達と話をしているときに救出しなかったのか。

 それは今のエドワードとリオンの実力では、ヒューゴ1人に敵わないからである。

 

 時雨(しぐれ)から聞いた情報だったのだが、その理由──ヒューゴ はミクトランに乗っ取られているということ──を聞いて我慢せざるを得なかった。

 その強さは先に戦ったグレバム以上であり、2人だけでは決して勝てないと理解していた。

 だからこそ今のエドワードに出来ることはなにか。それはマリアンが囚われている場所を突き止め、頃合いを見計らい救出することだけだった。

 

「マリアンはきちんと捕らえておけ。リオンへの人質となるからな」

「かしこまりました」

 

 ヒューゴはそれだけを言うと、部屋から出ていく。

 そしてマリアンはリオンを見送って戻ってきたレンブラントによって連れて行かれるのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「あいつは一体何を企んでいるんだ!?」

 

 リオンが外でひとりごとを言うと、シャルティエが反応をする。

 

『坊っちゃん……さっき僕、とても嫌な感じがしたんです』

「あれがヒューゴの隠された本性なのさ」

『違います……なんと言うか、本当にマズイ気がするんです。そうだ、ディムロスを呼びましょう! それか時雨(しぐれ)を!』

「ディムロスを呼んでも、あいつ(スタン)がいないと意味がないだろう……だが、エドワードなら……」

『そうです! エドなら絶対に助けてくれますよ!』

「そう……だな……」

 

(あいつなら僕のことを助けてくれるかもしれない……)

 

 淡い期待を抱きながらエドワードの家に向かうリオン。

 しかしながら、その期待は裏切られてしまうのであった。

 

『エド……いないですね。時雨(しぐれ)も一緒に、こんな時間にどこにいるんですか!』

「……いないものは仕方がないだろう」

 

 シャルティエの文句に対して、諦めのような声で話すリオン。

 しかしシャルティエはまだ諦めていなかった。ルーティやフィリアを頼ろうとリオンを説得する。

 

「……あいつらを待っていたら、マリアンはどうなる。彼女は人質にとられているんだぞ。

マリアンに何かあったら……僕は……!」

 

 そうして俯くリオンにシャルティエは何も言えなくなっていたのであった。

 

「シャル、頼む。協力してくれ。僕はマリアンを助けたいんだ。……今は言うことを聞くが、タイミングを見てマリアンを助け出してやる」

『分かりました。坊っちゃんが僕を信じてくれているように、僕も坊っちゃんを信じます。そして2人でマリアンを助け出しましょう!』

「ああ! とりあえずこのままセインガルド城に潜入して、飛行竜を奪うぞ」

 

 リオンはセインガルド城へと向かうのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「ご苦労だった、リオン」

「さあ、約束は果たしたぞ。マリアンを……!」

「ひとつ聞こう。お前はマリアンを取り戻してどうするつもりだ?」

「……? 何が言いたい」

「お前はこの最高軍事機密を盗み出した。どこにも帰る場所などないのだぞ?」

「黙れ。それはお前が……!」

 

 飛行竜を盗み出したリオンは指定された場所まで向かい、ヒューゴ達と合流する。

 しかしその場で話をするヒューゴの言い分に、感情を顕にしてシャルティエを抜くリオン。

 その様子を見てもヒューゴには一切の動揺が見られない。

 

「しかし、そのままではあまりにもお前が哀れだ」

「……!?」

 

 ヒューゴは後ろを向き、両手を広げて「私は一切抵抗しない。好きなようにやれ」とリオンに言い放つ。

 リオンはそのあまりにも堂々たる態度に動揺してしまっていた。

 

「さあ、お前の好きなようにしてくれ…………ただし、マリアンは返ってこないがな」

「き、貴様……!」

 

 早くやれと言葉で詰め寄るヒューゴにリオンは一歩も動くことが出来なかった。

 そして、シャルティエを構えていた腕を下ろし、俯くのであった。

 ヒューゴはリオンの方へと振り向き、不敵に笑う。

 

「くくくっ。情けない男だ。それで一人前を気取るつもりか? まあいい。早速だが次の任務だ」

「次だと!?」

「我々は神の眼を()()()()に向かう」

『……!』

「神の眼だと……バカな! 一体、何を考えているんだ!」

 

 更に動揺するリオンにヒューゴはカードサイズの機械を渡す。そして、「神の眼を確保したら、これで連絡しろ」と言う。

 

「確保!? まさか僕にやれというのか……?」

「そのつもりだが、やるかやらないかは選ばせてやる。在り処は私には分からないが、シャルティエに聞けば教えてくれるだろう?」

「貴様……!」

『…………くっ』

 

 ヒューゴは悔しがる様子のリオンを見て、高らかに笑っていた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

『マリアン……こんなところに閉じ込められていたのか』

 

 これはリオンが飛行竜を奪う少し前の出来事である。

 時雨(しぐれ)とエドワードは、レンブラントのあとをつけてセインガルド港にあるオベロン社の倉庫の1つへと潜入していた。

 

「精々おとなしくしておけよ、マリアン」

「…………」

 

 レンブラントはそのまま倉庫から出ていった。

 マリアンは、手は縛られていたが、足や口は縛られていなかった。

 そして自身がリオンの人質になっていることを改めて自覚すると、涙で顔を濡らすのであった。

 

(エミリオの足を引っ張るしか出来ないなんて……それであればいっそのこと……)

 

 マリアンが自身の命を絶とうと決心した瞬間に、自身の名前を呼ばれて驚きのあまり「きゃっ!」と軽く叫んで、跳ね上がる。

 

「驚かせてしまってすみません。俺です、エドワードです」

「え……エドワードさん!?」

「ええ、助けに来ました」

 

 それだけ言うとエドワードはマリアンを縛っていた縄を解く。

 「なんでこの場所が……?」と言うマリアンに答えることをせずに逃げるように話すエドワード。

 

「とりあえずここを脱出しますよ。それからすべてが終わるまである場所に匿うので、そこで隠れていてください」

「で、でもエミリオは!? エミリオにこのことを伝えないと、あの子は……!」

「そこらへんも全部俺に任せてください。……俺はリオンと同じ()()()()()()()()()()()()ですよ」

 

 エドワードは軽く笑って、マリアンを和ませようとする。

 その意図が伝わったのか、マリアンは一度俯くが顔を上げてエドワードを見た後に、頭を下げるのであった。

 

「分かりました。どうかエミリオを……あの子をお願いします」

 

 エドワードは微笑むと、「ええ。任されました」と言って、マリアンと一緒に倉庫から脱出するのであった。

 




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