《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜 作:ねここねこねこ
飛行竜が盗まれてから数日後。セインガルド城の謁見の間には、ソーディアンチームがいた。
しかしそこには前回のソーディアンマスターの全員ではなく、スタン、ルーティ、フィリア、ウッドロウの4人だけ──それ以外はマリー、チェルシー、コングマンも同席している──であった。
話はセインガルド国王の謝罪から始まった。
「この度はいきなり呼び出してしまい、すまなかった」
「いえ……それよりも
「ああ、本当だ。数日前、
そして、同日に
集まる前に聞いていたとはいえ、あまりの衝撃的な内容に受け答えしていたウッドロウだけでなく、その場にいる全員が絶句していた。
スタンがそこで口を開く。
「で、ですが、リオンが神の眼を奪ったと決まったわけではないんですよね!?」
「スタンか……いや、余の考えが正しければ、神の眼を奪ったのもリオン・マグナスであろうと思っておる」
「な、なんでそんなことが──」
「──スタン君、状況的にリオン君が犯人の可能性が一番高いということだよ」
ウッドロウはスタンになぜそのように考えられるかを説明する。
まず、
次に、同日に神の眼が奪われているという事実。神の眼はハロルドの提案により、旧ソーディアンチームによって極秘裏に封印されており、その場所へは飛行竜を除けば船でも数日は掛かる場所にある。
その場所は、旧ソーディアンチームとセインガルド国王、ファンダリア国王しか知らないところに封印されている。
また、封印が解かれると、封印場所を知っている全員に知らせがいくという機能がハロルドによって開発されていたため、同日に起きた出来事だということも分かっていた。
最後に──
この全ての条件に当てはまり、その日以降の行方が分からなくなっているのがリオン・マグナスただ一人だった。
ここまでの状況証拠が揃ってしまっては、誰であってもリオンを疑う他なかった。
「で、ですが! 何か理由が! リオンにも何か大切な理由があったはず──」
『──ええい、落ち着けスタン!』
「ディ、ディムロス……」
『どんな理由があれ、我々に黙って神の眼を持ち出したのだ! ソーディアンマスターとしてそれはやってはならないことだ!』
「で、でも……」
『理由を聞きたいなら、本人に聞けばよかろう。それか
目覚めたばかりのディムロスが
そのことについても全員が苦虫を噛み潰したような顔をした。
「……エドワードもいないんだ」
『なんだと?』
「
リオンが飛行竜を奪った日を境にエドワードも姿を消していた。それはマリアンを匿うためというのもあるが、裏で動くためには姿を消してしまった方が何かと都合が良いという考えからだった。
もし、姿を隠していなかった場合、確実にこの場に呼ばれ、セインガルド王国代表として神の眼奪還チームの一員に組み込まれていたに違いない。
そして、
ディムロスも先程そのつもりで
「我が王国の客員剣士が2人揃って姿を消すとは嘆かわしい」
苛立ちを隠せないセインガルド国王の言葉に何も言えなくなる一同。
何よりもフィリアの姿の気丈に振る舞う姿を見てしまっては、何も言えないのであった。
そこにセインガルド国王の隣に立っていたドライデンが追加の情報を伝える。
「……追加の情報なのだが、時期を同じくして、オベロン社総帥のヒューゴも姿が見えなくなった。
我々はヒューゴとリオンが結託していると見ている。エドワードについては、まだなんとも言えないがな」
「それって、オベロン社も絡むってこと? 妙な話になってきたわね……」
ルーティが難しい顔をして、腕を組む。
ウッドロウが飛行竜の行き先に心当たりが無いかを聞くと、セインガルド国王が答える。
「それについてだが……実はこのような手紙が届いてな」
セインガルド国王は懐から1枚の手紙を取り出すと、そこに書いてある内容を読み出す。
──飛行竜、および神の眼は北東の小島にあるオベロン社秘密工場にある
「その一文だけが書かれていた手紙が余宛で届いたのだ。筆跡を調べてみたところ、
「エドさん!?」
フィリアが後ろから突然大きな声でエドワードの名前を呼んだため、全員が驚く。
その様子を見て「し、失礼しました……」と、顔を真っ赤にして俯くフィリア。
しかしその顔には、先程までにはなかった力強さが宿っていた。
「ま、まあなんだ。これを送ってきたのがエドワードの可能性があるので、一概に彼もヒューゴの仲間という結論にはならないのだよ。
むしろ事前に色々と調べて、先に潜入しているということも否めない」
「……それでは我々は──」
「──うむ。諸君に依頼をしたいのは、オベロン社工場への潜入調査だ。
セインガルドやファンダリアの軍を動かしては奴らに気付かれて逃げられる可能性もあるでな。
もし神の眼を発見した場合は、なんとしてもこれを取り戻して欲しい」
セインガルド国王からの依頼に頷く現ソーディアンチームのメンバー。
ドライデンからは「リオン・マグナスの処遇については、その場の判断に任せる」とだけ伝えられる。
その言葉にスタンが反応する。
「……リオンは大切な仲間です。一緒に散々苦労して、グレバムから神の眼を取り戻した仲間です。
そのリオンが、グレバムと同じことをするはずがありません!
きっとリオンには何か考えがあるはずです。だから俺は、それを確かめるためにオベロン社の工場へ向かいます」
スタンの言葉を聞いて、全員が同じ意志を持った顔をしてセインガルド国王を見る。
セインガルド国王は1つ息をすると、「神の眼を取り戻すのが第一だ。それだけは忘れてくれるな」と念を押すのであった。
◇◇◇◇◇◇
「まさか、地下で? やはり落盤か?」
「はい。神の眼を設置した際の微量のエネルギー漏れが原因です」
「問題はあるか?」
「いえ、そちらに関しては既に対処しました」
「しかし、これで随分と遅れが出るな」
「この遅れが、我々を追跡してくる者たちに猶予を与えてしまいますね」
「それについては問題ない。追手が来たとしても、相手の予想はついている。そのために
「しかし……実は問題が……」
報告をしていたバルックがヒューゴの耳元で囁くと、しかめ面をしたヒューゴだったが、「……まあいい。バレなければよいだけの話だ」と仮面の下で薄く笑う。
ヒューゴからしてみると
そのため、現ソーディアンチームが追って来ようとも、
『……多分マリアンさんを救出したのはバレているな』
「ああ。もうこのままリオンに伝えて、こちら側に来てもらったほうがいいんじゃないか?」
『いや、まだマズイ……前に話した通り、歴史を少し変えるだけで何が起こるかわからないんだ』
マリアンを助けた
そして、ヒューゴ達のやり取りを、気配を消して覗いていた。
マリアンを助けた以上、エドワードの言うとおり、リオンは必ずヒューゴを裏切る。
しかし、
グレバム討伐時にもいくつか史実と違う行動を取った結果、
だからこそ、なるべく史実に沿いながらも、ベストなタイミングで介入する必要があったのだ。
エドワードもそれを分かってはいるのだが、友であるリオンの苦しい顔を見るのが耐えられなくなっていた。
その度に
『今頃、エドのメモを見てスタン達がこっちに向かっているはずだ。俺達はそれまできちんと休んで、
エドがアレを使えないと、リオンを助けるどころではなくなってしまうからな』
「……分かったよ」
エドワードは更に気配を消し、タイミングを見計らうのであった。
◇◇◇◇◇◇
「ここがオベロン社の工場だったところですか」
「リオン……本当にこの中にいるのか?」
「とにかく調べてみよう」
スタン達はダリルシェイド港から、オベロン社の工場がある小島へと到着し、工場内へと侵入していた。
閉鎖したはずの工場だったのだが、明かりがついており、機械による侵入者用の警備やトラップなども作動していた。
「廃工場にしては明らかにおかしいわね」
「ええ、本当ですわ。……ところでルーティさん、今回のリオンさんの件はどう考えますか?
私はスタンさんの言うように、何か事情があると信じたい気もしますが」
「……情報が少なすぎて、なんとも言えないわね。ただひとつ、確実なことは……
本当に
私達と一緒にいたときのリオンは全く本気を出していなかった。エドワードと連携しているときのあいつは……悔しいけど、私達全員が束になっても敵わないレベルだったわ」
「…………」
「……エドワードは絶対に大丈夫よ。あの手紙を見たでしょ?」
「…………はい。今は……リオンさんと神の眼を追わないとですね」
ルーティがエドワードの名前を出すと、フィリアは心配そうに俯いてしまう。
気休めではあるが、エドワードは大丈夫だとフィリアを元気付ける。
エドワードは裏切っていないとフィリアも思っているが、それでも近くにいないだけで不安になってしまう。
気持ちを切り替えようと深呼吸をするが、それでも完璧には出来ないのであった。
スタン達はオベロン社工場を進み、エレベーターで下の階へと降りていく。
機械式警備兵やモンスターが行く手を阻むが──グレバム戦から2ヶ月空いたとはいえ──その連携は衰えてはいなかった。
ウッドロウはこの2ヶ月でファンダリア国王としての政務もこなしながら、イクティノスを使った戦闘訓練も行っていた。
そのこともあり、グレバム戦では戦闘力に差があったが、今では実力差も埋まり、徐々にではあるがパーティーとしての連携にも慣れ始めていた。
「ふう。結構奥まで進んできましたね」
「ああ。かなり地下までエレベーターで降りたのだが、まさかここまで大規模な工場を作っていたとは驚きだな。しかもモンスターまで大量にいるとは……」
『神の眼を使って召喚したのだろう。これでここに神の眼がある可能性は高まってきたな』
スタンとウッドロウ、ディムロスはモンスターを倒した後、神の眼がここにある可能性が高いということについて話していた。
エドワードが教えてくれたということを聞いて、初めから疑っていなかったスタンだったが、ここに来て全員が確信に変わりつつあった。
そして更に奥に進んでいくと、地下へ進むエレベーターがある大広間に着いたのであった。
「まだ先があるのですね」
『仕方がないじゃろう……しかしこれはまさか……』
『クレメンテ老も気付きましたか?』
『どういうこと──そうか……!』
『だから神の眼を奪ったのか!』
フィリアの言葉にクレメンテが答えるが、あまりにも地下へ進むことに対して違和感を覚えてきていた。
そしてクレメンテと同時にアトワイト、ディムロスやイクティノスも気付き、声に焦りが見え始めていた。
「ディムロス、一体どういうことだよ! 俺達にも説明しろよ!」
『あ……ああ。もしかしてなのだ──』
「──おやァァァァ? こんなところで仲良くお喋りかいィィィ?」
ディムロスの声を遮り、スタン達の前に斧を持った大柄の男が現れる。
『な……!?』
『バルバトスじゃとぉ!?』
「ディムロスにクレメンテかぁ? 久しぶりだなぁぁ。アトワイトにイクティノスまでいるのかぁぁぁ!」
『な、なんであなたがここに!?』
気配なく突然現れたバルバトスに動揺が隠せないディムロス達ソーディアン。
「なあディムロス、この人誰だ?」
『構えろスタン! コイツの名はバルバトス・ゲーティア。天地戦争時代に地上軍から天上軍に寝返った裏切り者だ!』
「お前がディムロスの新しいマスターかァァァ!? お前も俺を楽しませてくれるんだろうなぁぁ!!!」
ディムロスに言われて全員が戦闘態勢に入る。しかし、突撃してきたバルバトスの攻撃を受け止めきれずに吹き飛ばされるスタン。
「スタン!! ……ヒール!」
「スタン君! 風神──」
「──おおおっとぉぉぉ!! そのレベルじゃあ俺には勝てないぜェェェ!!」
「ぐっ!!」
「ウッドロウ様!! よくも!
吹き飛ばされたスタンに向かって、ルーティがヒールを唱える。それを見たウッドロウがイクティノスを構えて攻撃をしようとするが、その前にバルバトスの攻撃を受けて壁に激突する。
すぐさまフォローに入ったチェルシーが弓を使って牽制をし、コングマンとマリーが前衛でバルバトスを押さえる。
その隙にフィリアが晶術を唱えるために、詠唱を始めるのであった。
「コングマンさん、マリーさん! 離れてください! ……レイ!!」
上空から無数のビーム状の閃光が発し、バルバトスに襲いかかる。
レイの光は確実にバルバトスに命中し、土煙の中全員が様子を伺っていた。
「や……やったのか、おい!?」
「…………!? いや、まだだ!! 全員退避するんだ!!」
コングマンの言葉に、壁際でルーティの回復を受けていたウッドロウが攻撃の気配を感じて全員に退避するように叫ぶ。
しかしその直後、土煙の中から赤い光が発せられる。
「ワールドォォォ……デストロイヤァァァァァ!!!!」
バルバトスの言葉とともに闘気の爆発が起き、全員が防ぐことも避けることも出来ずに吹き飛ばされる。
土煙が晴れたときにその場に立っていたのは、バルバトスだけだった。
(な、なんて奴だ……こんな奴がいるなんて……)
ウッドロウは意識が朦朧としながらも、バルバトスを見つめていた。
バルバトスは地面に這いつくばっている現ソーディアンチームを一瞥すると、溜まった鬱憤を晴らすかのように喚き散らす。
「これで……これでおしまいだとぉぉぉ!? 貴様らはどれだけ雑魚なんだぁぁぁぁ!!」
『ぐっ! スタン! おいスタン起きろ!!』
「ディムロスよぉぉ! 新しいソーディアンマスターは腑抜けばかりだなぁぁ!!」
バルバトスの攻撃に全員が倒れて動けなくなっていた。しかし、コングマンが盾になってくれたお陰で一番被害の少なかったフィリアが道具袋からライフボトルを取り出す。
近くにいるコングマンに使うために少しずつにじり寄る。
そして、もう少しでコングマンのところに到着するところで────
────ライフボトルを持っていたフィリアの左手がバルバトスによって踏みつけられる。
「……くうぅ!」
「なぁぁぁぁにをしているのかなぁぁぁ?」
「フィ……フィリア……!」
ライフボトルを踏み割られ、そのまま左手を掴まれてしまい右手で持ち上げられるフィリア。
バルバトスのもう片方の手には、斧が握られていた。
ルーティは力なくフィリアを呼ぶが、動くことが出来ずにその場で声を出すしか出来ない。
「…………アイテムなんぞぉぉぉぉ!!!」
(……エドさん。わ、私……)
「────使ってんじゃねぇぇぇ!!!!!!」
バルバトスはフィリアの胴体目がけて、左手に持った斧を水平にして横一文字に薙ぐ。
フィリアは己の最期を覚悟して目を瞑る。
──────しかし、バルバトスの斧は誰にも当たることはなく、空を切った。
いつまでも攻撃による痛みや衝撃がないことを不思議に思ったフィリアはゆっくりと目を開ける。
すると、目の前には彼女の
「フィリア……待たせたね」
「や、やったか!?」はこの場で1番やっちゃいけないフラグでしょう!
実は徐々に文字数を増やしてます。
間話以外での一話平均を5,000〜6,000文字以上は書けるようにしたいんですよね。
その分、誤字脱字が増えそうで困りますけど、評価が高い小説って最低でもこれくらいは文字数あるので私も真似できるようにしていきます。
それと今までの話の……や──の部分含めて、小説を書く上での基礎部分を修正しました。
ドラクエΩも終わって、今はMAJORを少しずつ直しています。
面白い!また続きが見たいと思ったら、ぜひ高評価、お気に入り登録、感想をお願いします!
『MAJORで吾郎の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216811/
『MAJORで寿也の兄になる』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/216813/
『ドラゴンクエストΩ 〜アルテマこそ至高だ!〜』という作品も掲載しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。
https://syosetu.org/novel/226246/