《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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第四十五話

「フィリア……待たせたね」

「エ、エドさん……! ほ、本当に……?」

「ああ。でも今はやらなきゃいけないことがあるだろうから、再会の挨拶はまた後でだ」

 

 エドワードは抱き上げていたフィリアを下ろすと、グミを取り出して食べさせる。

 そして、全員の回復をするように伝える。

 

「……ここは俺に任せて全員でこの先に進むんだ」

「で、でも! いくらエドさんでも1人では──」

「──大丈夫。……君らにはもっとやらなくてはならないことがあるはずだよ」

「ですが……い、いえ。分かりました」

 

 食い下がろうとするフィリアだったが、エドワードの目を見て説得は無理だと思い、全員を回復するためにまずはルーティのところへ向かうのであった。

 その様子を見て安心したエドワードは、バルバトスを睨みつける。

 

「おい、そこの筋肉だるま。……よくもやってくれたなぁぁ!」

「おおおおお!!! エドワード・シュリンプゥゥゥゥ!!! お前を待っていたぞォォ!」

「俺はお前なんぞ待っちゃいないけどな……時雨(しぐれ)、コイツは()()()()()()()なんだよな?」

『ああ……というか、コイツがまさかこんなところに出てくるなんて思っていなかったぞ!』

 

 先に侵入していたエドワードと時雨(しぐれ)は、海底洞窟のところまでヒューゴ達の後をつけていた。

 そして大体の構造を把握したところで、上の階で大きな音がしたため念の為様子を見に来ていたのであった。

 エドワードがあと数秒遅ければ、フィリアがバルバトスの手によって両断されてしまっていたことに彼は怒りを覚えていた。

 

「ルーティさん、これを……」

 

 フィリアがルーティにライフボトルを使い、回復させる。しかし、先程()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()は一切反応を見せていなかった。

 エドワードが現れた時点で、それ以外のメンバーは眼中になかったのだ。今もエドワードの方を見て嬉しそうに笑っていた。

 

(全員が回復して、先に進むまでは時間稼ぎをしないとな)

 

 バルバトスとエドワードが本気でやりあえば、周りにどれだけの被害が出るかわからない。

 そのときにまだ回復していない人がいると、庇いながら戦うことになるため、不利になるのは否めなかった。

 どうしようかと考えているエドワードに対し、バルバトスは軽く笑いながら話しかけてくる。

 

「エドワァァドォォォ!! 安心するがいい! 思い切り殺り合えるように雑魚どもがいなくなるまでは手を出さないでいてやるぞぉぉぉ!!」

「……ちっ。何もかもお見通しってか。まぁこちらとしてはありがたいけどね……」

 

 バルバトスに意識を向けたまま、ソーディアンチームの回復状況をちらりと確認する。

 フィリアがアイテムを、ルーティが回復晶術を使って全員の傷を癒やしている。

 起き上がれるようになったメンバーも同じように残りのメンバーを助けたりしているため、少しずつ回復する速度は上がっていた。

 

『エドワード、時雨(しぐれ)。お前達は……』

『ディムロス……クレメンテの爺さんたちも遅くなってすまない。色々とやらないといけないことがあってな』

時雨(しぐれ)、本当にお前さん達だけでバルバトスとやり合うつもりか? あやつ……昔よりも確実に強くなっておるぞ?』

『ああ、バルバトスは俺とエドに任せてくれ。みんなは下に進んで、やれることをやってくれ』

 

 ソーディアン達は回復が終わるまで、それぞれ情報交換を含めて話し合っていた。

 クレメンテはバルバトスと戦うのがエドワードと時雨(しぐれ)だけというのが心配ではあったが、この場にいるソーディアンマスターは明らかに未熟であり、ここで残っても足手まといにしかならないとソーディアン達は気付いていた。

 それだけ今のリオンやエドワードと、残りのメンバーの実力差はかけ離れていたのである。

 

 ある程度の回復が終わったところで、全員が地下に向かうエレベーターへと乗り込む。

 エレベーターに乗り込んだタイミングで、フィリアが振り向いたエドワードと目が合う。

 エドワードは優しく微笑むと、バルバトスの方に向き直り、時雨(しぐれ)を抜くのであった。

 

「……待たせたな」

「俺は、俺はお前を待っていたんだァァ! ガッカリさせてくれるなよぉぉぉ!!」

 

 バルバトスはそう叫ぶと同時にエドワードに突進してくる。先程スタンを吹き飛ばした攻撃だ。

 その突進を右に軽く躱し、背後に時雨(しぐれ)を叩きつけるエドワード。

 しかし、それを読んでいたのか、バルバトスは斧を背中に持ってきて攻撃を防ぐ。少しの間、刀と斧での競り合いがあったが、お互いに距離を取り合うと再度向き合うのであった。

 

「……その攻撃、舐めてんのか?」

「はっはぁぁぁ!! 小手調べさぁぁ! ディムロスのマスターは()()でやられてしまったがなぁぁぁ!!」

 

(スタンか……まだまだ未熟だな、アイツも)

 

「次はコレだァァァ!!!」

 

 バルバトスは斧をエドワードに向けると、闘気を集束させていく。赤い光が徐々に集まっていくが、その量は明らかに尋常ではなかった。

 流石にやばいと思ったエドワードは、自身に晶術である"加速(アクセル)"を重ねがけする。

 

「避けられるかなぁぁ!? くらえぇぇい! ジェノサイドォォォブレイバァァァ!!!!」

『アレはまずい! エド! 避けるんだ!!』

 

 バルバトスの斧から赤い光線がエドワードに向かって放出される。

 赤い光は一瞬で彼がいたところを飲み込み、背後の壁の一角を破壊し尽くす。

 

「まさかコレで終わりじゃないよなぁぁ? エドワードぉぉぉ!!」

 

 甲高く笑いながら、エドワードが立っていたところを見ているバルバトス。

 土煙で全く見えなくなっているため、気配を感じ取るしかないがエドワードの気配は全くなかった。

 しかし、これで終わるはずがないと分かっているバルバトスは挑発をしつつも、全く油断はしていなかった。

 

「あぶね! お前あんな大技をこんなところで使ってんじゃねえよ!」

 

 バルバトスの背後に現れたエドワードは、口の中に入った土煙をペッと吐き出していた。

 その声を聞き、やはり自分の勘は間違っていなかったと喜びの笑みを浮かべながら振り返るバルバトス。

 

「やっぱりアイツも強くなってんな」

『ああ。以前の俺らだったら……確実にやられていたな』

「だな。でも次はこっちの番だ」

 

 エドワードは時雨(しぐれ)を右肩に担いで、右足のつま先を地面にトントンとすると、「じゃあ5歩手前からだな」と呟きながら、上下に軽くステップを踏み始める。

 その言葉の意味が分からなかったバルバトスだったが、エドワードが消えたことで斧を構える。

 

「──遅えよ」

 

 バルバトスが構え終わる前にエドワードはバルバトスの右肩に切りつけていた。

 そして、先程の位置に戻り、先程と同じく上下にステップを踏む。

 

「き、貴様ァァ! 今、な、何を──」

「──4歩手前」

 

 バルバトスが話し終える前に再度消えるエドワード。

 今度は身構える前に左肩と左脇腹を2回、切りつけられていた。

 

「ぐ、ぐぅぅぅ!!」

 

 また同じところに戻ると、今度は「3歩手前」と呟き、再度目の前から消える。

 そしてそのままバルバトスの全身を切り刻み続けるのであった。

 

(ぬ……ぬぅぅぅぅ!!! な、何だこれは……!)

 

「何なんだこれはぁぁぁぁ!!!!」

 

 バルバトスが叫ぶのもお構いなしにより深く、より鋭く身体に無数の刀傷を付けていくエドワード。

 そして10秒も経たないうちに、バルバトスは立ち上がることすら出来なくなるくらいのダメージを追うのであった。

 

「が……あ……う……」

 

 バルバトスは両膝をつき、全身が血まみれになっていた。

 もはや動くことすらも厳しい状況だったが、目の前に影が見えたため、俯いていた顔を上げる。

 そこには汗一つかいていないエドワードがいたのであった。

 

「バルバトス……お前もこれで終わりだ」

「き、貴様……な、なぜこのような力を……」

「お前とは訓練の質も量も違うんだよ」

 

 そう言うと時雨(しぐれ)を上段に構える。

 バルバトスは広間の光に反射した時雨(しぐれ)の刀身を見て、自身の最後を理解していた。

 そしてエドワードはそのまま刀を振り下ろす────

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────しかし、時雨(しぐれ)が切ったのは、地面の石床だった。

 

 

 

 

 

 

『な……! バルバトスは……!?』

 

 突然のことに時雨(しぐれ)もエドワードも困惑していたが、()()()()()()()

 彼が時雨(しぐれ)を振り下ろして、バルバトスに届く瞬間に姿が消えてしまっていた。

 そして頭の中に声が響くのであった。

 

()にはまだまだやってもらうことがあるのです。ですので、一旦こちらで預からせていただきますね』

「だ、誰だ!?」

『いずれまた相見まえることもあるでしょう。それでは、またそのときに』

 

 頭に響いた声は聞こえなくなり、その場にはエドワードと時雨(しぐれ)だけが残っていたのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「あそこにいるのは……」

「リオン!!」

 

 エドワードに救われたスタン達は、地下エレベーターに乗った後、海底洞窟に繋がっていた入り口からヒューゴ達を追っていた。

 そして、先頭を走っていたウッドロウとスタンが、黒ずくめの4人と一緒に歩いているリオンを発見するのであった。

 声を聞いたリオン達は立ち止まり、スタン達に振り返る。

 

「ここまで追ってくるとはな」

『この声……!』

「あんたの正体、もうバレているわよ。悪趣味な仮面、取ったら?」

 

 ルーティに言われ、「勇ましいお嬢さんだ」と言いながら男の1人が、仮面とマントを取る。

 そこにはオベロン社総帥であるヒューゴ・ジルクリストの姿があった。

 

「ヒューゴさん……」

「あなたが黒幕だったんですね。神の眼をどうするつもりですか?」

 

 スタンはヒューゴの正体を知って驚きの声を上げ、フィリアは神の眼を強奪した真意を尋ねる。

 そして、「グレバムみたいにモンスターの親玉でも気取るつもり?」というルーティの言葉に返事をする。

 

「モンスターを操るなど、神の眼の本質からするとただの余録だ。ふふふ……全てが最初から仕組まれていたとしたら、どうするかね?

グレバムをそそのかし、神の眼を奪わせたのも! その後、世界各地を回らせたのも! 全ては私の計画通りだとしたら?」

「なんだって……!」

「どうせグレバムは用が済んだら始末するつもりだった。

私の手を煩わせずに済んだというわけだ。君達には感謝しているよ」

 

 ヒューゴが笑いながら説明している姿に対して、ルーティは怒りを滲ませながら「あんたのためにやったんじゃないわ。調子に乗らないでほしいわね」と話す。

 その怒った顔をヒューゴは懐かしんでいた。

 

「そうやって怒った顔が、()()()()()()()()()()……」

「え……?」

「さて、私には時間がない。名残惜しいがそろそろお別れだ」

 

 立ち去ろうとするヒューゴ達に対し、リオンへ向かってスタンがヒューゴを止めるように叫ぶ。

 しかしリオンは無表情でスタンの顔を見ていた。

 

「リオン、俺分かってたよ! 何か策があって、こうしていたんだろ?

俺達よりも先に来ていたエドワードと一緒に何か考えていたんだろ? ……なあ、そうなんだろ? リオン!」

「エドワードが……?」

 

 リオンはエドワードの名前を聞くと表情を少し変えるが、すぐに元の表情に戻す。

 そして、ため息を1つしたあと、ヒューゴ達の方を向いてシャルティエを抜くのであった。

 

「リオン! やっぱり……!」

「……先に行け。ここは僕が食い止める」

 

 スタンは喜びの声を出すが、リオンはヒューゴ達に先に行くように伝えると、すぐにスタン達の方を向いて戦闘態勢に入る。

 

「リオン……!」

「リオン君、君は……!」

『シャルティエ! おい! 返事をしろ! シャルティエ!』

『…………』

 

 ディムロスの呼びかけにシャルティエは一切答えることはなかった。

 まだ信じられないスタンは、リオンに詰め寄る。

 

「リオン……嘘だろ、こんなの。ただの冗談だろ?」

「あんた、自分が何をやっているか分かっているんでしょうね!」

「分かっているさ。お前達よりよほどな!」

『全員構えるんじゃ! あやつが全力で来たら、儂らでは勝てるか分からんぞ!』

 

 クレメンテの声で全員が武器を抜いて構える。

 そして、リオンとの望まない闘いが始まったのであった。

 




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