《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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第四十六話

 セインガルド城謁見の間。

 そこにはセインガルド国王、将軍のドライデン、そして現ソーディアンチームが揃っていた。

 

「……そういうことだったのか」

「はい。それでこれから私達は”ラディスロウ”と呼ばれる地上軍が使っていた基地へと向かいたいと思います」

 

 セインガルド国王に報告をするウッドロウ。

 あのあと、結局ヒューゴ達を捕えることが出来ず、神の眼を取り返すことも出来なかった。

 そして彼らは飛行竜を使って脱出をしていたのであった。

 

「それで……リオンとエドワードは……」

「恐らくあの状況では2人とも助からなかったと思われます」

「そうか……惜しい奴らを亡くしたな」

 

 ドライデンは、王国客員剣士であるリオンとエドワードを亡くしたことを(うつむ)きながら悲しんでいる様子であった。

 エドワードはスタン達を先に進めるために、バルバトスの相手を引き受けた。

 そして、リオンは海水が流れ込んだ海底洞窟の中でスタン達を助けるために、1人残ったのである。

 

 その後、飛行竜で飛び立ったソーディアンチームを待っていたのは、空中に浮かぶ建造物だった。

 それは1,000年前に天上軍が地上軍と戦った際に作った空中都市。

 ヒューゴ達はその空中都市の封印を解くために世界中にオベロン社を作り、グレバムにも世界を周らせていたのだった。

 そして、その主要都市であるダイクロフトから一筋の光が地上へと降り注ぐ。

 

 

 

 ────無差別地殻破砕兵器ベルクラント

 

 

 

 文字通り、地上の破壊を目的とする兵器である。

 そして、破壊した大地を天上に吸い上げ、空中都市を繋ぐ()()()()というものを形成するためにも使われた。

 神の眼は、空中都市を含めた機能を管理するために使われる装置でもあったのだった。

 

 スタンはリオンとエドワードの(かたき)を打つために、飛行竜をダイクロフトへ向けて発進させたのだったが、高度が足りず墜落してしまう。

 もはやスタンの行動は暴走といっても過言ではなかったが、今その行動を諌める人間がいなかったため、結果として飛行竜は破損してしまい、動かなくなってしまっていた。

 

 そしてダリルシェイド近くに墜落したため、セインガルド城へと報告に行く。

 その途中で地上軍の総司令官であったメルクリウス・リトラーがクレメンテのコアクリスタルを通じて現ソーディアンチームに緊急招集をしたため、セインガルド国王へ報告後にラディスロウへと向かうのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 時はさらに(さかのぼ)る。バルバトスを撃退したエドワードは、スタン達を追ってエレベーターで地下へと向かう。

 

(急げ急げ! 早く!)

 

 エドワードは焦っていた。時雨(しぐれ)から話を聞いていたからだけではない。

 ここは、()()()()()()()()()()()()()だったからだ。

 走りながらも、洞窟の反響音を通して戦闘音が響いてくる。その音がエドワードを更に焦らせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあはあ、勝ったのか……」

 

 リオンは息を切らしながら、膝をついているスタン達を見下ろす。

 しかし、スタン達はボロボロになりながらも全員が立ち上がろうとする。

 

「くっ! どうして立ち上がる!?」

「バカ野郎……! どうしてこんな事を……!」

 

 スタンも息を切らしてはいたが、その言葉は確かにはっきりリオンへと伝えていた。

 そこに今まで黙っていたシャルティエが口を開く。

 

『坊っちゃんを責めないでください! 坊っちゃんはマリアンを守るためにこうするしかなかったんです!』

『シャルティエ、お前今ごろ……』

「……シャル、お喋りが過ぎるぞ」

 

 リオンはシャルティエに黙るように非難めいた口調で言うが、その言葉は止まらなかった。

 

「マリアンって……」

『皆さんもヒューゴ邸で会ったことがあるでしょう?』

「ディムロスを持ってきた人か! リオン……お前……!」

『つまり彼女を人質に取られたのね?』

『じゃからと言って、それで己の道を過つとは……』

『それでもソーディアンマスターか!』

 

 クレメンテとディムロスに責められるリオン。

 しかし、リオンはシャルティエを構えたまま数歩下がり、全員を見据える。

 

「なんとでも……言うがいい。……僕は自分のした事に一片の後悔もない。

たとえ何度生まれ変わっても、必ず同じ道を選ぶ!」

「リオン!?」

「ここは……通さん……」

 

 フィリアやウッドロウ、他の人達もそこまで意地を張るリオンに言葉を失っていた。

 そんな中、スタンだけは違っていた。シャルティエを構えるリオンに対し、丸腰のまま向かっていく。

 

「このバカ野郎! なんでそんなに頑固なんだよ!

お前、間違ってるよ……! なあリオン! お前間違ってるよ!」

「黙れ……! これは僕が、自分ひとりで、決めたことだ……」

「だからその自分ひとりってのが、間違いだって言ってんだよ! どうしてそれがわからないんだ!?」

 

 スタンは拳を握りしめながら、リオンへと叫ぶ。

 自分の思いが、友へと届かないことへの不甲斐なさを感じながら、それでもスタンは叫び続けた。

 シャルティエの刃先がスタンの首筋へと当たっていても、スタンが止まることはなかった。

 

「来るな……!」

「どうして何も相談してくれなかった! どうして一人でやろうとした!

俺達、仲間だろ、友達だろ! どうして、どうして黙ってたんだ!」

「だから来るなと──」

「一人で抱えて、一人で苦しんで! なんでお前だけ辛い思いするんだよ! なんでお前だけ傷だらけになるんだよ!

友達ってのは、苦しいときに助け合うもんなんだぞ……! どうしてそれがわからないんだよ!」

「……この期に及んで、お前はまだ僕のことを友だちと呼ぶのか」

 

 リオンの呟きに対し、スタンは「当たり前だろう!」と肯定をする。

 

「……なあリオン、今からでも遅くない。俺達と一緒に行こう」

「なんだと……?」

「俺達で全てを取り戻すんだ。神の眼も、そのマリアンって人も!

すぐそこにエドワードもいて、もうすぐここに来る。俺達に出来ないことなんてないさ!」

「お前という奴は……つくづく……呆れ果てた奴だ」

 

 リオンはシャルティエを持っていた腕を下に下ろす。

 その様子を見て、スタンはリオンが分かってくれたのだと嬉しそうな顔をする。

 

「スタン……エドワード……僕は……」

「まずは仲直りの握手だ。ほら!」

 

 仲直りの握手をすると言ったスタンが、リオンに左手を差し出す。

 リオンはスタンの顔と手を驚いたように見つめたあと、ゆっくりと左手を差し出そうとしたが──

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────その手が握られる前に海底洞窟が大きく揺れるのであった。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

『エド! 地震だ!』

「くそ! 間に合わないのか!?」

 

 エドワードは全力で走り続け、ようやく辿り着く。

 そして、全員に合流しようとしたところで時雨(しぐれ)に止められる。

 

『エド、まだダメだ!』

「……くっ! だが早くしないと!」

 

 

 

 

 

 

 

 リオン以外のメンバーが緊急脱出用のリフトに乗り込む。

 そして、リオンだけは少し離れたところにある装置がついていた場所に向かっていた。

 スタンの「リオンも早く乗れ!」という言葉に、リオンは少し(うつむ)いたあと顔を上げて返事をする。

 

「……僕はお前達と一緒には行けない。リフトを動かすには誰かがここでレバーを操作する必要がある」

「リオン、お前何言ってるんだよ!?」

「ルーティ! お前の知りたいことを教えてやろう」

「え……?」

「ヒューゴの死んだ妻の名は……クリス・カトレット。クリスは……僕の母でもある」

「……なんですって?」

「認めたくないことだが、お前と僕には……まったく同じ血が流れているのさ」

「嘘……でしょ……」

 

 リオンの突然の告白にルーティはその場に佇んだまま、何も反応出来なくなる。

 スタンは話を遮り、リフトの方へと来るように何度も言う。

 しかし、リオンはその言葉を無視し、今度はスタンへと話をする。

 

「それとスタン。お前は僕を友達呼ばわりするが、僕はそんなもの受け入れた覚えはない。

僕はお前のように能天気で図々しくて、馴れ馴れしい奴が…………大嫌いだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 ────だから、あとは任せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リオンは崩れゆく洞窟の中で、リフトのレバーを力込めて下ろした。

 起動したリフトはそのままスタン達を乗せて地上へと上がっていく。スタンはなんとかリオンを助ける方法がないか探すが、彼に出来ることは何もなかった。

 そして、リオンは上がっていくリフトを見上げながら、後のことを託した親友(スタン)に微笑むのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 リフトが見えなくなり、辺りは暗闇が増していく。

 そして、徐々に海水が流れ込んでくる音が聞こえてくる。

 リオンはレバーを背もたれにして、シャルティエに語りかける。

 

「……ここも間もなく水に飲まれる。付き合わせてすまないな、シャル」

『どこまでもお供しますよ。僕のマスターは……坊っちゃんです』

 

 リオンはその言葉に微笑むと、シャルティエを置いて天井を見上げる。

 

「これで……これで良かったんだろう? マリア──」

「──本当にこれでいいのか? リオン」

「……お前、なぜここに!?」

『え? エドと時雨(しぐれ)!?』

 

 リオンとシャルティエが驚きの声を出した相手は、彼と同じセインガルド王国客員剣士である、エドワード・シュリンプだった。

 エドワードは時雨(しぐれ)を片手に持ちながら、座り込んでいるリオンを見下ろしていた。

 

「……遅くなってすまない」

「そうじゃない! お前もここで死ぬ気なのか!? お前がいると思ったからあとを託したのに……あいつらだけでヒューゴに勝てるとでも!?」

「死ぬ気はないさ。俺はマリアンさんにお願いされて友人(リオン)を助けに来ただけだからな」

「マリアン……? どういうことだ?」

「マリアンさんは俺が助けた。今までお前が苦しい思いをしてきたのも全て知っている。それを承知でお前を助けてあげられず本当にすま──」

「──そんなことはどうでもいい! 答えろ、エドワード! マリアンは、マリアンは無事なんだな!?」

「……ああ。今は隠れ家に匿っているよ。食料も十分にあるし、住み心地も悪くないはずだ」

 

 エドワードの言葉を聞いて、リオンは一度俯いたが、額に手を当てながら大声で笑い出す。

 その行動にはエドワードや時雨(しぐれ)だけでなく、シャルティエも困惑している様子であった。

 

「だ、大丈夫か……?」

「……僕は今まで何をやっていたんだと思うと、全てが馬鹿らしく思えてきてな。つい笑いが止まらなくなってしまった」

 

 落ち着いたリオンに声を掛けると、意外にも冷静な返事が返ってきた。

 このまま話し続けるのも悪くないと思っていたエドワードだが、そろそろ洞窟自体が飲み込まれそうになっていたため、当初の作戦通りに行動を始めることにした。

 

「とりあえずここを脱出するぞ」

「……ふっ。どうやってだ? 海水が流れ込んでいるこの状況で、逃げるところなんてどこに──」

『ああ! 時雨(しぐれ)のアレを使うんですね!?』

『そうだ。俺以外の人間に使いこなせるかは分からなかったが、エドに訓練をさせておいてよかったよ』

 

 シャルティエはすぐに気付いた様子であったが、リオンだけは何も分かっていなかった。

 しかし、脱出できる方法があることだけは分かったため、シャルティエを拾うと立ち上がる。

 

「……それで僕は何をすればいい?」

「とりあえずそこにいてくれ。俺はこれからある晶術の詠唱に入る。だが、脱出したあと、俺は動けなくなるだろうから、あとは頼んだ」

「わかった」

 

 エドワードはリオンに簡単に説明をしたあと、晶術の詠唱に入る。

 時雨(しぐれ)を鞘に入れたまま、横にして目の前に突き出して集中をしていると、エドワードの足元から魔法陣が浮かび上がり、徐々に光を強くしていく。

 海水は徐々に流れ込んでおり、彼らの膝下ほどまで溜まった頃、ようやく詠唱が終わりを告げる。

 

「よし! リオン、俺に掴まれ! 行くぞ……”空間転移(テレポート)”!」

 

 エドワードが晶術を唱えると、その場にいた全員が姿を消した。

 そして、海底洞窟は海水に飲まれて消えていくのであった。

 




私、このシーンを何回見ても泣いている記憶しかないです。

そしてよ、ようやくリオンを助けられました。
ちなみにエドワードの晶術は時雨(しぐれ)さんオリジナルです。
本来は時雨(しぐれ)以外は使うことが出来ないのですが、エドが息子であるので適正がありました。
ただ、エドワードが一度使うと、その後は丸一日動けなくなるくらいの消耗をしてしまうため、気軽には使えない晶術です。


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