《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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申し訳ございません!
投稿予約日を間違えてました!
先程気付いたため、本日は12:00投稿しています!

それと、お気に入りが1,000件を超えました!
これも全て皆様のお陰です。
今後も面白いと思ってもらえるように頑張りますので、よろしくお願いします!



第四十七話

「こ、ここは……?」

『どうやら助かったみたいですね』

 

 海底洞窟からエドワードの晶術によって脱出したリオン達。

 転移した先でリオンが辺りを見回してみると、そこは森に囲まれた場所であった。そばには質素だが作りがきちんとしている小屋がある。

 エドワードがそばで気絶をしていたのだが、()()()()()がエドワードに重なって見えたため、リオンは空を見上げる。

 

「なんだ……あれは?」

『あれは……! まさか!?』

『ああ。空中都市だ』

「空中都市だと?」

 

 時雨(しぐれ)とシャルティエがリオンに天地戦争、空中都市やベルクラントについての説明をする。

 そしてそれがヒューゴの目的であったことに気付いたのだが、時雨(しぐれ)はリオン達にそれ以上に驚くべきことを話す。

 

『シャルティエ、リオン。お前達に伝えることがある』

「……なんだ?」

『実はな、お前達は本来の歴史では()()()()()()()()()()のだ』

『…………そうでしょうね。助けに来たのがエドと時雨(しぐれ)であったことからも推測していました』

「どういうことだ? 一から説明しろ!」

『これから話すことは信じられないことかもしれない。だが真実だから受け入れる努力をしろよ』

 

 そう言って、時雨(しぐれ)はリオン達にエドワードに話したことと同じことを伝えた。

 シャルティエが知っている部分もあったが、ヒューゴの正体や今後どういったことがあるのかなどについては天地戦争時には知らされていなかったため、信じがたいことであった。

 

「……簡単に信じろという方が難しいな」

『そうですね。ヒューゴを操っているのがミクトランだとは……奴はあのときに死んだはずでは?』

『いや。ミクトランはあの場では死ななかった。ベルセリオスに付いていた()()()()()()()()()()()()に精神を飛ばしていたんだ』

『…………もしかしてそれも予測してわざわざベルセリオスにだけもう1つ付けたのですか?』

『まぁな。1,000年後の未来がどう変わるのか予測できなかったし、()()()()()()()()()()()()()()()()()からな』

 

 1,000年前。天地戦争の際、史実ではカーレル・ベルセリオス中将はミクトランと相打ちになり死亡したとされている。

 しかし、実際は違っていた。時雨(しぐれ)の介入により死を(まぬが)れていた。

 歴史を簡単に変えてはいけないというカーレルの考えのもと、表向きには死んだとされており、彼が生きているのを知っている者は旧ソーディアンチーム以外にはメルクリウス・リトラーとハロルド・ベルセリオスのみであった。

 そしてカーレルを見殺しにせず、未来にも大きな改変をしてしまわぬように事前にソーディアン・ベルセリオスへコアクリスタルを2つ搭載し、あえてミクトランの精神の逃げ場を作ったのであった。

 

「分かった。それでこれからどうするつもり──」

「──エミリオ……?」

 

 自身の名を。本当の名を。最愛の彼女にしか呼ぶことを許していない名前を呼ばれる。

 助けたとは聞いていた。彼の言うことが嘘ではないことも分かっていた。

 

 

 

 それでも。水に飲まれていくあの洞窟の中で二度と会うことはないと思っていた人。

 その人のことを命を掛けて守ると誓い、そのために友にも剣を向けた。

 

 

 

 

 ゆっくりと振り向いたその先には──マリアン・フュステルが立っていたのであった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「マ……あ……」

 

 声にならない声がリオンの口から紡がれる。

 手を伸ばすが、数m先にいる彼女にはその手は届かない。

 それは分かっている。それでも、それでも今の彼が出来ることはそれしかなかった。

 

 マリアンは微笑みながらゆっくりと近付き、リオンの左頬に右手を添える。

 その手は冷たかったのだが、そこには確かに人の温もりがあった。

 

「あらあら、ひどい顔ね」

 

 カラカラと笑いながらリオンをからかうマリアン。

 ようやく少し落ち着くことが出来たリオンだったが、そのままゆっくりとマリアンを抱きしめる。

 

「……エミリオ?」

「良かった……本当に良かった……」

 

 消え入りそうな、それでいてしっかりとしたその声に薄く笑みを浮かべたマリアンは、リオンの背中に腕を回す。

 そしてリオンの後頭部を軽く撫でながら「エドワードさんが助けてくれたのよ」と話していく。

 

「彼がね、『リオンなら必ず大丈夫。絶対に助けるから』と言って、閉じ込められていたところから助けてここに匿ってくれたの。

ここは食べ物も飲み物にも困らないし、自然に溢れているからのんびり出来ちゃったわ」

『ぐす……坊っちゃん……本当に良かったですぅぅぅ……!』

『シャルティエ……空気読めよ……てか剣なのに泣けるのか?』

 

 空気を読まないシャルティエと時雨(しぐれ)のお陰もあり、徐々に冷静になっていくリオン。

 少し顔を赤くして照れながらマリアンから離れると、泣きそうだった顔を無理やり笑顔にする。

 

「エミリオ。本当に無事で良かったわ」

「マリアンも。ところでここはどこなんだい?」

「えっと……ストレイライズ神殿の近くとは聞いていたのだけれど、詳しくは分からないの」

「そうか。とりあえずエドを……エドワードを部屋の中で休ませてもいいかい?」

「あら! 気付かなかったわ! 早く運びましょう!」

 

 エドワードを背負ったリオンは、マリアンに案内されて小屋の中へと入る。

 小屋の中は陽の光も入り、清潔感もある過ごしやすそうな空間であった。

 エドワードをベッドに寝かせたリオンはマリアンの待つダイニングへと戻り、彼女の入れてくれた紅茶を飲みながら今までの話をお互いに話し合っていた。

 

「……そうだったのね。あなたに苦労ばかり掛けてしまって──」

「──そんなことはない! 僕は……僕はマリアンを……」

「……そうね。ありがとう。今はお互いに無事だったということを喜びましょう。それでこれからエミリオはどうするの?」

『それについては俺から話そう』

 

 リオンとマリアンの話を遮って、時雨(しぐれ)が話を始める。マリアンはソーディアンの声を聞くことが出来ないため、リオンがかいつまんで話すといった流れだったが、特に問題はなかった。

 

『まずスタン達、現ソーディアンチームの動きから話していこう。彼らはこれからリトラーと一緒にダイクロフトへ乗り込む準備をするはずだ』

 

 現ソーディアンチームには原作通りの動きを取ってもらうと話す時雨(しぐれ)

 ダイクロフトにはベルクラントの防衛のための守護竜や鏡面バリアなどの防備がされているため、それを破るための準備をするために他の空中都市を攻略したり、ソーディアン研究所でさらなる力を得るために行動をするなど、詳細を語っていく。

 

『俺達がするのは()()()()()()()()()()()だ』

「……なんだと?」

 

 リオンから僅かに殺気が漏れる。

 それも仕方がない。ヒューゴは彼にとって仇敵(きゅうてき)となってもおかしくない人物であり、それを助けると言い出す時雨(しぐれ)の言葉が理解出来ないからだ。

 

『言っただろ。ヒューゴはミクトランに()()()()()()()()なのだと。彼の元々の性格は家族思いの優しい人なんだ』

「……そんなこと信じられないな」

『今はそれでも構わない。だが、お前以外にもヒューゴのことで苦しんでいる人物がいるということを忘れるな。()()に実の父親を手に掛けさせるつもりか?』

「…………!!」

 

 ヒューゴの実の娘であり、リオンの実の姉であるルーティ・カトレット。

 原作では彼女の目の前でほぼ死ぬことが確定している状況でその人物(リオン)に実の弟と告げられ、ミクトランに操られていたとはいえ実の父親を手に掛けるという非常に辛い出来事を経験している。

 そのことまで頭が回らなかったリオンは、ルーティの気持ちが分かったのか時雨(しぐれ)の言葉に何も言えなくなる。

 

「……エミリオ。私にはあまりにも大きな出来事過ぎて全てを受け入れることが出来ていないのだけれど、もしエミリオが少しでもエドワードさんに恩を感じているのだったら、手伝ってもらえないかしら?

私も彼に恩を返したいのだけれど……何も出来ないのはとても心苦しいの」

「マリアン…………わかった。お前達にはマリアンを救ってもらったという恩があるからな。それを返すために協力しよう」

 

 時雨(しぐれ)は素直じゃないなと苦笑いをするが、その横で少し悪い笑みを浮かべているマリアンに気付いたシャルティエは、リオンの将来を心配するようになっていた。

 その後も色々と話をしたところで、一旦休むこととなった。エドワードは長距離転移のせいで丸一日は目が覚めないということだったので、リオン自身も体調を整えるために横になって眠る。

 横になった途端に寝息を立て始めたリオンの横でシャルティエ達は話していた。

 

『よほど疲れていたんだな』

『ええ。あのときから坊っちゃんがまともに寝ているのを見たことがなかったです』

『そうか。シャルティエにも心配を掛けてしまってすまないな』

『もういいですよ。坊っちゃんとマリアンを助けてくれたことがなによりです』

『とりあえず……これからだ。ここまで来たからには()()()()()()ぞ』

『ええ。もう誰一人として死なせませんよ』

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「ん……」

 

 朝日の眩しさを感じながら目を開けたエドワード。

 ベッドに寝ていることが分かり、”空間転移(テレポート)”が成功したのだと理解し、少しずつ覚醒していく。

 

(俺の晶術がズレていなければ……うん、合っているな)

 

 起き上がったエドワードは辺りを見回し、今いるのがマリアンを匿っている場所だと把握する。

 そしてタイミング良くノックが聞こえたため応えると、扉から入ってきたのはリオンであった。

 

「……起きたか」

「ああ、おはよう。時雨(しぐれ)から詳細は聞いたか?」

「……聞いた。協力もしてやる」

 

 エドワードとリオンはそれきり口を閉ざす。

 少しして気まずい空気に耐えられなくなったリオンが「朝食が出来ているから起きてこい」と言って部屋を出ようとしたところで、

 

「エドワード……助かった。マリアンのこともあ、ありが──」

「──()()って呼んでくれ。それとマリアンさんのことは気にするな。仲間(ツレ)が困っているときに助けるのは当たり前だろ?」

 

 笑いかけながら話すエドワードにリオンは顔を赤らめつつ、それ以上何も言わず部屋を出ていく。

 エドワードは「相変わらず不器用なやつだな」と呟いた後、ベッドから立ち上がってリビングへと向かう。

 

「あら、エドワードさん、おはようございます。もう朝食を出し終えますので、席に座って待っていてください」

「マリアンさん、おはようございます。分かりました」

 

 エドワードは先に座っているリオンの前に座ると、時雨(しぐれ)とシャルティエに話しかける。

 

時雨(しぐれ)、シャルもおはよう」

『おう。体調は大丈夫そうだな』

『エド、おはようございます!』

 

 そうこうしているうちに朝食がテーブルに運ばれ、全員で食べ始める。

 マリアンが作った食事は素材の良さを十分に活かしつつも、思わず「美味しい」とリオンが呟いてしまうほどのものだった。

 

「マリアン、ご馳走様。相変わらず美味しかったよ」

「本当ですね。ご馳走様でした」

「お粗末様です。それじゃあ片付けてしまうわね」

 

 マリアンが片付けを終え、全員が席について改めて今後について話を始める。

 

「これからについてなんだけど、まずはリトラーに会いに行くところから始めようと思う」

『そうだな。それは俺も同意見だ』

 

 地上軍最高司令官メルクリウス・リトラーは、ラディスロウにあるコアクリスタルに自身の人格を投射しており、空中都市が浮かび上がった時点で覚醒していると時雨(しぐれ)は分かっていた。

 現ソーディアンチームがラディスロウを浮上させるために”Rキー”と呼ばれるものを取りに行っている最中のため、エドワード達が本格的に動き出すのはラディスロウが浮上した後であると告げる。

 

『ラディスロウが浮上したあとはダリルシェイドと繋ぐ転移エレベーターが設置されるはずだから、それを使って空中都市に侵入するぞ。』

『スタン達とは合流しなくていいのですか?』

『ああ。あいつらにはあいつらの()()がある。いつまでもエドとリオンに頼っているようでは、この世界を救うことなんて出来ないからな。』

「そして俺達には俺達にしか出来ないことがある……ということか。」

「それが……()()()()()()()()()()()使()()なのかもしれないな。」

 

 エドワードとリオン、本来であればこの世界に存在しない者と既にこの世に存在していないはずだった者。

 その2人が行うことは決して世に語られることはない。

 しかし、それでも救われる何かがあると信じて最後の闘いに向けて動き出すのであった。

 




悪い笑みを浮かべてリオンを手のひらでコロコロするマリアンを思い浮かべるのが面白かったです笑

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