《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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第五十二話

 バルバトスとエドワード、リオンの闘いは激しさを増していた。

 そして、バルバトスの強さは確かに以前とは比べ物にならないほど強くなっていた。

 

灼熱(しゃくねつ)のぉぉぉぉ! バーンストライク!!!」

 

 エドワード達から少しでも距離が取れたと判断すると、中級晶術や上級晶術を無詠唱で連発してくる。

 今も空中から火炎弾を無数に落とし、エドワード達に連携をさせないように動いていた。

 

バルバトス(あいつ)……確かに強くなっているな。戦い方が前よりも上手くなってやがる』

『エド、坊っちゃん! どうするんですか!?』

「ふん、あの程度では僕の敵ではない」

「……の割には苦戦してるけどな!」

 

 火炎弾を避けながら対策を考えるエドワード達。

 バーンストライクの隙間を縫って、バルバトスがリオンに接近をしてくる。

 リオンは舌打ちをしながら体勢を立て直そうとするが、バルバトスの攻撃の方が早く、吹き飛ばされて壁に激突してしまう。

 

「リオン!」

「……おやぁぁ? 他人(ひと)を心配している暇があるのかなァァァ?」

 

 リオンを吹き飛ばしたバルバトスは、すぐさまエドワードに突撃をして斧を横薙ぎして攻撃をする。

 エドワードはしゃがみながらそれを避けるが、それを読んでいたのか、バルバトスは右足で蹴りを放つ。

 それを時雨(しぐれ)で防ぎ、間一髪直撃を避けるが、蹴りの勢いで上空に上げられてしまう。

 

「上空なら避けられまい! 喰らえぇぇ!! クレイズゥゥゥブレイドォォォ!!!!」

 

(やべぇ! これは直撃する(当たる)!)

 

 バルバトスは斧をエドワードへ向けると、斧の先端へ闘気を集中して光線を放つ。

 空中で身動きが取れなくなっていたエドワードは直撃することを確信し、少しでもダメージを減らそうと防御態勢を取る。

 しかし光線が当たる直前でリオンがエドワードを蹴り飛ばし、直撃をなんとか防ぐことに成功したのであった。

 

 エドワードは地面に落ちる直前に受け身を取ってすぐに立ち上がると、時雨(しぐれ)を構えながらバルバトスを見据えた。

 その様子を見たバルバトスは、優越感に浸ったような笑みを浮かべていた。

 

「おやぁぁぁ? 今のは危なかったなぁ?」

「……ちっ」

「そろそろ本気で戦ったらどうだぁ? そして、あのときに見せた技を使ってみたらどうなんだぁぁぁいぃぃ?」

「…………あのときの技? エド、貴様もしかしてまだ僕に隠している技があるのか?」

 

 バルバトスの言葉に反応したのはリオンだった。

 エドワードは、リオンの言葉に苦笑いをする。

 

 エドワードと同じ王国客員剣士として切磋琢磨していたリオンは、気が付くと新技を開発しているのになかなか見せようとしない彼に対していつも苛立(いらだ)ちを覚えていた。

 新技をエドワードが開発しているのは、リオンとの模擬戦に勝つため。なかなか見せようとしなかったのは、一度見せるとすぐにリオンは対応し、更に強くなってくるためであった。

 もちろんリオンもそれは分かっている。だからこそ自身が強くなるために、エドワードの新技を見て技術を盗み、最終的に彼を越える強さを身に付けようと思っていたのだ。

 

「…………ったく。せっかく対リオンのために作った新技だっていうのに。いつもバルバトス(お前)にばかり使っている気がするよ」

 

 エドワードは深呼吸すると、右肩に担いで、右足のつま先を地面にトントンとした。

 そして、上下にステップを踏み出す。

 

「前回は3()()()()までしか見せていなかったな。それとリオン、この場は俺が終わらせてしまうけど……それでもいいか?」

「……ふん。お手並み拝見といこうか。」

 

 リオンはシャルティエを仕舞うと、ハロルドのそばまで歩いていき、腕を組んでエドワードとバルバトスの戦いを見守ることにした。

 バルバトスは前回の続きが出来ることに喜びを隠さなかった。

 

「ついに来たなぁぁ! 前回のようにはいかないぞぉぉぉ!!」

「じゃあ……3歩手前から行こうか」

 

 エドワードが呟いた瞬間、その姿を消す。リオンは目を見開き、エドワードのスピードに驚く。

 しかしバルバトスは笑みを崩さなかった。彼の右横に現れて時雨(しぐれ)で斬りかかるエドワードに対し、右に振り向いたあとに左手に持っていた斧でその攻撃を防ぐ。そのくらいの余裕が今のバルバトスにはあった。

 鍔迫り合いで火花が散るが、バルバトスは手に力を込め、エドワードは反撃が来ると察知して背後に飛び、数mほど後ろに下がる。

 

「……遅いなぁぁ。遅いぞ、エドワァァド・シュリンプゥゥゥ!!」

「ふう。やっぱり3歩手前では防がれるか。次は2歩手前で行くぞ」

 

 バルバトスはエドワードの言葉を前回のやり取りから予測していた。

 5歩手前という言葉から始まり、数字が低くなる度に彼のスピードが格段に速くなっていた。

 そして、5歩手前と4歩手前、4歩手前と3歩手前のスピードの上がり方がほとんど同じだったため、()()()()()()()()()()と思ってしまっていた。

 

「……な!? なんだとぉぉぉ!?」

 

 2歩手前という言葉とともに再度姿を消したエドワード。

 しかし、バルバトスはそのスピードを追い切れていなかった。薄皮一枚で自身の肌が無数に切り刻まれていることに気付いたのは、エドワードが姿を現してからだった。

 

「……今のが見えていなかったのか? よくそれで俺に挑もうと思ったな」

「ぬ、ぬぅぅぅぅぅう!!」

「最後に見せてやるよ。俺の最終奥義(とっておき)をな」

 

 そう言いながら時雨(しぐれ)を鞘に仕舞い、やや前傾姿勢になり、右足を前に出して右手は柄の前に持ってくる。

 そしてその構え(抜刀術)のままバルバトスに向かっていった。

 

「は? ふははははぁぁぁ!!! なんだそのスピードはぁぁ! さっきの方が速いではないかぁぁぁ!?!」

 

 バルバトスは先程よりも遅いスピードで向かってくるエドワードを笑い、斧で薙ぎ払った。

 ────しかし、斧に当たったはずのエドワードは蜃気楼のように消えてしまう。

 

「な……!?」

 

 バルバトスが驚きの声を上げたのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 目の前に、エドワードが無数に現れたのだ。いや、目の前だけではない。横や背後、空中にもエドワードが現れ、攻撃をしても残像のように消えてしまう。

 これにはさすがのリオンも驚きを隠せなかった。

 

「エドが()()()()が故に、残像のように見えてしまっているのか……」

「そうね。そしてあれが天地戦争時代、天上軍に最も恐れられた時雨(しぐれ)究極の斬撃奥義(ブラストキャリバー)────」

 

 

 

 

 

 

 ──────爪竜斬光剣・時雨(そうりゅうざんこうけん・しぐれ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 無数に現れたエドワードが青白く光ると、その全てがバルバトスへと向かっていく。

 そして、()()()エドワードがバルバトスの背後に現れると、いつの間にか抜いていた時雨(しぐれ)をゆっくりと鞘に納めてリオン達のところへ歩いていく。

 

「エド、お疲れ様」

「…………エド、もしかしてあれを僕に使おうとしていたのか?」

「よし、先を急ごう」

「おい、答えろ!」

 

 顔を引きつらせているリオンの言葉を無視して、エドワードはハロルドと共に先に向かったスタンに追い付くべく走りだす。

 それを追いかけながらリオンは大声でエドワードを非難するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エドワード達が去ってから少しの時間が経った頃。

 そこには立ち尽くしているバルバトスと、まるで聖女のような光を纏った美しい女性がいた。

 

『この状態では、どうやら蘇生は出来なさそうですね……。エドワード・シュリンプ、まさかここまでとは。

もしこれからの()()の邪魔になるのであれば、その前に消すことも考えておきましょう』

 

 そう言い残し、女性は姿を消す。

 その直後、バルバトスは()()()()()()()()()()()()()()()()の肉片と化した。

 

 

 バルバトス・ゲーティア。天地戦争時代、強さを求めるあまりに地上軍を裏切った狂戦士。

 ディムロスと互角の強さを持ち、アトワイトに恋愛感情を抱いていたこともあり、暴走を繰り返す。

 何かのきっかけがあれば、彼を救うことは出来たのであろうか。

 

 

 

 それは、誰にも分からない。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 ダイクロフト最奥。

 そこにはミクトランと現ソーディアンチームが戦っていた。

 

「な……なんだと……。ま、まさかこの私が……」

 

 エドワード達がスタンに追いついたとき、既に勝負は決していた。

 神の眼の力で異形の姿となったミクトランは地面に倒れ、最後の瞬間を迎えていた。

 

「やった……やったぞ……」

「終わったみたいね……」

 

 スタンとルーティの言葉に全員が頷く。

 

「そっちもミクトランを倒したみたいだな」

「エドさん!!」

 

 エドワード達の姿を確認したフィリアは、すぐさま彼のもとに駆け寄り抱きしめる。

 だがすぐに自分の行動に気づいた彼女は「ご、ごめんなさい」と言いながら、恥ずかしそうに離れた。

 

「大丈夫だよ、フィリア。それよりもあとは神の眼を──」

 

 エドワードが神の眼を破壊しようと言おうとしたところで、大きな揺れが起こる。

 

「この揺れは……?」

「きっとダイクロフトが降下を始めているのよ」

 

 ミクトランの意思によって神の眼を通じて浮上していた空中都市。

 彼がいなくなったことで、目的を失い、地上に向かって降下し始めていた。

 

「え! なんとかならないのか!?」

「…………う〜ん、やっぱりミクトランによって()()()()()()されているわね。このままだと降下を止めるのは無理だわ」

 

 神の眼を調べたハロルドは軽い口調でスタンの言葉に返答する。

 このままでは全ての空中都市が重力によって落ちていき、場所によっては地上に甚大な被害を与えてしまう。

 

「一応、ベルクラントの発射は一発のみで抑えたから、形成されている外殻大地が落ちても最悪は避けられるでしょうけどね」

『それでも地上にはかなりの被害が出るじゃろうな』

「それじゃあ元も子もないじゃない! ここまで来た意味がないわよ!」

 

 ハロルドとクレメンテの冷静な分析にルーティは感情をぶつける。

 フィリアも動揺していたが、「なんとかならないのですか?」となるべく平静を保ちつつ質問する。

 

『やっぱりアレしかないか……』

「おい、ディムロス! アレってなんだよ!?」

『…………みんな、話がある。神の眼の前へ行ってくれ』

 

 ディムロスの声に全員が神の眼のところへ向かうのであった。

 




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