《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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第五十三話

 ディムロスの指示で全員が神の眼の前に立っていた。

 

「それで何をするんだよ?」

「ここからはあたしが説明するわね。今から()()()()()()()()()。」

「破壊って……元々そうしようとしていたじゃないか!」

「ええ、これからやることはちょっとだけ違うのよ。これからミクトランによってロックされている神の眼を、ソーディアンを使って解除するわ。

そして、神の眼を制御して空中都市と外殻を海底に下ろした後に、()()()()()()()()するわ。」

 

 ハロルドが全員に手順の説明を始める。

 スタン達がやることはソーディアンを神の眼に刺すだけだと話すと、ウッドロウが質問をする。

 

「手順は分かった。だが、ソーディアンを神の眼に刺すだけで本当に制御出来るようになるのかね?」

「ええ。ここにはソーディアンが7本全てあるわ。しかもそのうち5本はソーディアン研究所で強化されている。

そこまでお膳立てされていれば、あとはあたしがやってやるわよ」

「…………それで()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 ウッドロウの質問にハロルドを初め、ソーディアン全員が黙ってしまう。

 スタン以外の全員がその態度で何が起こるのかを察するが、まだ状況を把握していないスタンはディムロスに質問する。

 

「なぁディムロス。一体どういうことなんだ?」

『…………。神の眼に我らを刺して神の眼を制御と破壊は出来るであろう。だが、恐らくその影響で()()()()()()()だろう』

『でもそれで地上の被害は食い止められるわ』

「そんな……!」

「あんたたち、まさか最初からその気で……」

「私達の決心を鈍らせないためか……?」

 

 スタンも状況を理解し、ディムロス達があくまでも最後の手段として残していたことだと分かる。

 それでも納得できないスタンは「……そんなのはダメだ」とディムロス達の考えを否定する。

 

「せっかくここまで来たのに、最後の最後でそんなのありかよ! 一緒に元の世界へ帰ろう! 何か他に手はあるはずだ!」

『……ええい! この大馬鹿者が!』

「……!」

『お前が決意を鈍らせることで、地上が滅びるかもしれんのだぞ!』

「でも──」

『──ソーディアンマスターとして、為すべきことを為せ! スタン!』

「くっ……!」

 

 ディムロスの言葉にスタンは何も言えなくなる。

 そして、更に揺れが激しくなっていく。空中都市が地面に落ち始めていたのだった。

 そこで誰も動こうとしなかったのを見かねたウッドロウが「それでは私から行こう」と神の眼の前に立ち、イクティノスを構える。

 

「私との付き合いは短かったが、よく今まで我が王家に仕えてくれた。感謝するぞ、イクティノス」

『ファンダリアに栄光あれ……ウッドロウに幸あれ』

 

 ウッドロウはイクティノスを神の眼に突き刺した。

 その後、フィリア、ルーティと続き、リオンが前に出る。

 

「…………許せ、シャル」

『坊っちゃん……いいんですよ。僕らは長く生きすぎたんです。それに正直言って、坊っちゃんのお守りにも疲れましたし……ね』

「ちょうどいい。僕もお前のお小言に付き合いきれないと思っていたところだ」

『じゃあそういうことで……早いとこ済ませましょう。ああ、それと……』

「なんだ? まだあるのか?」

『坊っちゃんと一緒にいて確かに疲れはしましたけど……結構、楽しかったですよ』

「…………僕もだ。今まで……ありがとう」

 

 リオンはシャルティエを神の眼に刺す。

 スタンもディムロスとの別れを終え、エドワードが前に出る。

 

「……まったく。全部教えてくれたと思ったのに、()()()()隠すなんて酷いやつだな」

『あっはっは! エドは最後まで俺の手のひらで踊っていたな!』

「お前と出会ってから2年も経っていないけど……今までで一番濃い人生だったよ」

『そうか……それは良かったぞ』

「ありがとう……()()()

『ああ。それじゃあな』

 

 エドワードは時雨(しぐれ)を突き刺し、ハロルドを見る。

 ハロルドは何も言わずにベルセリオスを神の眼に刺していた。

 

「じゃああんた達は早いとこラディスロウで脱出しなさい。あとはあたしに任せといて」

「……え?」

「当たり前じゃない。あたしがいなかったら、誰が神の眼を操作するのよ」

 

 驚くエドワードを横目に、ハロルドは晶術で壁に大穴を空ける。

 そして、そこからラディスロウが侵入してくるのであった。

 

「ほら、早くラディスロウに乗りなさい」

「だ、だけど、母さんは神の眼を1人で操作したあとはどうするつも──」

「あたしは大丈夫よ。時雨(しぐれ)英霊召喚(サモン・エージェント)の効果を切ればいいだけだから。そうしたら元の世界へ帰れるからね」

 

 ハロルドは優しく微笑みながら、泣きそうになっているエドワードの頬を撫でる。

 

「ほら、そんな顔しないの。あたしもあなたの成長した顔を見ることが出来て良かったと思っているのよ」

「…………」

「あんたにはあんなに素敵な仲間がいるじゃない。それに素敵な彼女もね♪」

 

 エドワードが後ろを振り返ると、スタン達がラディスロウの前でエドワードを待っていた。

 フィリアは親子の別れに悪いと思いつつも、エドワードの後ろに控えていた。

 そして、ハロルドはフィリアの方を見る。

 

「フィリア」

「……はい」

「あたしの可愛い息子をお願いね。たくさん幸せにしてもらっちゃいなさい」

「…………はい。ありがとうございます」

「ほら、エドもいつまでもそんな顔していないでってば。最後くらいあなたの笑顔を見せてちょうだい」

 

 エドワードは一度俯き、目から溢れ出そうな涙を拭うと、精一杯の笑顔でハロルドに別れを告げる。

 その顔を見たハロルドは頷き、「やっぱりあんたはあたし似のイケメンね♪」と満面の笑みを浮かべた。

 その後、彼女はラディスロウに乗り込んで脱出したエドワード達が見えなくなるまで、黙って見送ったのだった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 ソーディアンの力を使い神の眼の制御が出来るようになったハロルドは、大地に少しも影響がないように慎重に空中都市と外殻を海底へと沈めた。

 その際に、ラディスロウが侵入できるように晶術で空けた穴は、神の眼を操作して外殻を使い塞ぐことで海水が流れ込まないようにしていた。

 神の眼を自己破壊するようにプログラムしたハロルドは息をつく。

 

「さてと、これで全部おしまいだわね」

『何から何まですまないな』

「いいわよ。あたしとあなたの仲でしょ? ……っと、そろそろあたしも過去に戻ったほうがよさそうね」

『ああ……』

「なによ、あなたまでそんな顔するの?」

『……俺の顔は分からないだろ』

「何言ってるのよ。あなたがどんな顔をしているかくらい、刀になっていたってあたしには分かるんだから」

『そうか……そうだよな。本当にありがとう』

「だから──」

『──それでも言わせてくれ。向こうに戻っても元気でな……()()()

 

 時雨(しぐれ)は礼を言いながら、英霊召喚(サモン・エージェント)の効果を切る。

 いきなり()()()()()()()()()()は驚いた顔をするが、すぐに笑顔で「さよなら、時雨(しぐれ)……」と言ってゆっくりと消えていった。

 その場には、崩壊を始めている神の眼とソーディアン達が残っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……これで終わりじゃないんだろ? 時雨(しぐれ)よ』

『…………ふふふふ。はっはっはっはっは! ディムロス君、よく気付いたな!』

『なんじゃ、まだなにかあるのか?』

『なによ、ディムロスだけ分かっているの?』

『また時雨(しぐれ)()()が始まるのか?』

時雨(しぐれ)はいつもそうですよね……』

『まったく……彼女(エスト)が戻ってようやくまともに喋れるようになったと思ったら、一体何をするのよ?』

 

 ソーディアン達が笑う時雨(しぐれ)に対して、また何かをやるのだろうと呆れた声を出す。

 もちろんそこにはソーディアン・ベルセリオスもいた。

 

『俺は全員を救うためにわざわざ来ているんだからな。それはソーディアンになっても変わらないのさ』

『……一体何をする気なんだ?』

『神の眼を破壊したあと、()()()()()()()()()()()()()する』

『……なっ!? そんなことが可能なのか!?』

 

 想像していなかったことを突然言い出す時雨(しぐれ)に全員が驚く。

 時雨(しぐれ)は、『これが最後の()()なんだ』と言いながら、笑っていた。

 

『でもコアクリスタルだけ転移って……大丈夫なのか?』

『そうよ、変なところに移動しても身動き取れなくて意味なくなるわよ?』

『大丈夫。その辺もきちんと考慮しているから』

『一体、どこに転移するのじゃ?』

『それは…………』

 

 時雨(しぐれ)の言葉が終わる前に神の眼は崩壊を始め、全員(ソーディアン)のコアクリスタルだけがその場から消えるのであった。

 




次話が最終話です。

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