《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜 作:ねここねこねこ
これだけ長いと、誤字脱字のチェックがとても大変です(笑)
あと、最後にアンケートを載せたので、良かったら答えていただけると嬉しいです!
この結果次第で、一話分追加するかどうかが変わります。
よろしくお願いします!
「おおぉぉぉおお!!」
〈決まったぁ! クレス勝利ーーっ! 前人未到の八十連勝達成だぁ!!〉
「よしっ! 次っ!」
歓声が鳴り止まぬ中、クレス・アルベインは紫色に輝く時の剣〝エターナルソード〟を振り、次の対戦相手を待つ。
〈あの男を止められる者はもはや誰もいないのか!? さて今回のイベント、最後の対戦相手はこいつだっ!〉
「GURAAAAAッ!!」
モンスターが閉じ込められている檻から出てきたのは、長髪の獣人型モンスターであるガルフビースト。
長い爪が特徴で、クレスは腕試しとして参加しているこの闘技場で何回も倒していた。
何度も倒しているとはいえ、強敵には違いなく、決して油断はできない相手であった。
「よしっ! 行くぞ────」
クレスがガルフビーストに先制攻撃を仕掛けようとしたその時、ガルフビーストの上空に光が現れる。
「な、なんだ……!?」
クレスがその上空を見上げた瞬間、光から出てきたのはピンク色のワンピースにエプロン姿の女の子であった。
「え、あ……きゃぁぁぁああ!!」
「GARARUUU……!」
女の子は自身が空中にいることを理解し、重力に抗えず地面へと落ちていく。
そしてモンスター──ガルフビーストが自身の真下にいることに気が付き、咄嗟に〝異世界渡り君
ガルフビーストは脳天を攻撃された衝撃で意識を失い、大きな音を立てて倒れるのであった。
「な、なんだぁ!?」
「あ、危なかったぁ……」
クレスは突然現れ、ガルフビーストを一撃で倒した少女をポカンとした表情で見つめていた。
観客からはどよめきが漏れる。
〈こ、これはぁ! とんでもないハプニングが起こったぞぉ! な、なんとあのガルフビーストが一撃で倒されてしまったぁ! いきなり現れた少女は一体何者なのか!? しかもあろうことか……手に持っているのは
『なにをやっているんだリリス!』
「だ、だって仕方ないじゃない! まさか上空に転移して、真下にこんなに大きな魔物がいるなんて思わなかったんだもん!」
「き、君は一体……!」
リリスは誰かと話しているようであったが、ディムロス達ソーディアンの声をこの場で聞くことが出来るのはリリスだけだったため、ただ独り言を話しているようにしか見えなかった。
不可思議な様子にクレスだけでなく、彼の応援に来ていた青い長髪を後ろで束ねた青少年や法衣に身を包んだ長い金髪の美少女も警戒していた。
「な、なんだあいつ……いきなり現れやがった……!」
「そうですね……チェスターさん、私達もクレスさんのところに行ったほうが良いのでは……!?」
しかしその二人と一緒にいたグレーの髪に全身入れ墨が入った青年とほうきを持ったピンク色の髪の少女は比較的落ち着いていた。
「いや、彼女からは嫌な雰囲気を感じない」
「少なくともダオスの手下とかではないんじゃないかなー?」
「だけどクラース、アーチェ! もしアイツがクレスに襲いかかってきたらどうするんだ!?」
チェスターと呼ばれた青少年は、クラースとアーチェの二人に警鐘を鳴らす。
彼は良くも悪くも警戒心が人一倍高いため、万が一のことを常に考えていたのである。
それでもクラース達の意見は変わらなかった。
「その時はチェスターの矢で牽制して、その間に私の召喚とアーチェの魔法で追撃すればいいさ。怪我をしてもミントであれば治せるしな」
「そうだよぉ! それにあんたはクレスが襲いかかられた程度でやられる実力だと思ってるの? あんたとは違うんだから今は様子見で大丈夫なの!」
「……くっ! ってアーチェ! 俺のことを
「えー? 何のことー? そう聞こえたんだとしたら、何か心当たりがあるのではなくってぇー?」
「ふふふ……お二人は本当に仲が良いのですね」
チェスターとアーチェのやり取りで四人とも和やかな雰囲気になる。
しかし、闘技場内はそうではなかった。
「君は一体何者なんだ……? さっきから誰と話をしている?」
「い、いやぁ……これはそのぉ……」
クレスがリリスに問いかけるが、彼女はなんと答えたら良いのか困ってしまう。
そのリリスの様子を見たクレスは何かに気付いたようであった。
「そうか……! 分かったぞ! さては貴様……
「ダオスぅぅぅ?」
リリスは聞いたことがない名前だったためその名を繰り返すが、クレスにとってはそれがより怪しく見えていた。
「僕達の邪魔をするつもりなのだろう……そうはさせない!」
〈おおっとぉ! クレスが臨戦態勢に入ったぁ!! このまま謎の少女と戦うつもりだぁ!!〉
クレスはリリスのことをダオスの刺客だと勘違いし、エターナルソードを下段に構え、リリスへ殺気を放つ。
そしてまだ状況が飲み込めていないリリスへと突撃していく。
「はあぁぁぁああ!」
「え!? ちょ、ちょっとぉ!!」
リリスはおたまでエターナルソードを防ぎ、バックステップで後ろに下がる。
しかしクレスの追撃は止まらない。
「喰らえ!
「きゃあああ!」
クレスは時空剣技の奥義である
エターナルソードから蒼いオーラが現れ、射程が増した上下の攻撃後、そのままの流れで蒼い闘気をリリスに向けて放つ。
リリスも油断していたのか、その攻撃をまともに喰らい、吹き飛ばされる。
「やったか!?」
『リリス!?』
『大丈夫!?』
ディムロスとアトワイトは攻撃を受けたリリスのことが心配で声を掛ける。
リリスはすぐに「いたたた……」と頭を押さえながら起き上がる。
『あの人、いきなり攻撃をしてくるなんて……なんなんですか!?』
『まぁこちらもいきなり現れて怪しさ満点だからのう』
『……確かにそれは否定できないな』
シャルティエはクレスを非難し、クレメンテ、イクティノスは怪しいから仕方がないと呟く。
『だけど今は彼をなんとかしないとリリスが危ないわね……』
『アイツはクレス・アルベイン。この世界でいうスタンみたいな立ち位置のやつだな』
ベルセリオスが現状を冷静に分析したところで、
『
『んー、まぁ……ぼちぼち?』
『ええい、ふざけている場合か! なんとかしないといけないのだ! 少しでもいいから情報を寄越せ!』
ディムロスは
『はぁ……仕方ないか。彼の名前はクレス・アルベイン。この世界でダオス……俺達の世界でいうミクトランみたいなやつを倒す〝勇者〟だな。
彼は最高位精霊であるオリジンが創ったエターナルソードを使い、時間と空間を操った剣技を使用してくるぞ。他にも聞きた──』
『いいから全部話せ!』
『えー……まあいいか。さっき言った時空剣技以外にもアルベイン流という流派を修めているから、死ぬほど強いぞ。
ミントっていう巨乳で金髪の美少女のことが好きで、両想いなんだけどなかなかその気持ちを伝えられないという甘酸っぱい青春を送っているリア充やろ──』
『ええい! そんなことはどうでもいい!!!』
ディムロスは余計なことを話しだした
ちなみに
『リリス! ここは一旦〝異世界渡り君
「……いや」
『リリス!?』
「いきなり攻撃するなんて酷いわ! もう許さない! 私、怒ったんだから!」
「あの攻撃を喰らって動ける……だと……!?」
「クレス! その子は悪い子ではないぞ! 剣を引────!」
〈おっとクレス、再度剣を構えたァァ!!〉
(クラースさんの声! 皆ももうすぐ応援に駆けつけてきてくれるはずだ!)
クラースの声は観客と実況の声に阻まれて、クレスへ正確に届いていなかった。
チェスター、ミント、アーチェも次々にクレスに攻撃をやめるように伝えるも、上手く伝わらず、それがクレスにとって都合の良い風に聞こえてしまっていた。
「皆のために……僕は勝つ!」
『リリス! 今は引くんだ!』
「……このままやられっぱなしで逃げるなんて出来ないわ! お返しはちゃんとしてあげなきゃ!」
『やめろ!
「私だって違うもん! 久しぶりに全力を出させてもらうわ! マギーおばあちゃんに鍛えられた技を見せてあげる!」
『まぁ……リリスを止めようとしたらこうなるよな……』
ディムロスや他のソーディアンもリリスに引くように言うが、
リリスの性格上、売られた喧嘩は絶対に買う。そしてそれに勝つだけの強さを持っていたのだ。
お互いに武器を構えて先程よりも真剣な顔つきになる。
「いくぞ! 喰らえ……飛燕連脚!」
「なんの! 飛燕連脚!」
クレスが先に飛燕連脚を放つが、合わせるようにリリスも飛燕連脚を放つ。
お互いの蹴りが当たり、最後の突きもエターナルソードとおたまで相殺し、お互いにダメージはない。
「な、なぜアルベイン流の飛燕連脚が使えるんだ!?」
「マギーおばあちゃんに教わったのよ! そのなんちゃら流なんかじゃないわ!」
「ええい! 次はこれを喰らえ! 獅子戦吼!!」
「こっちもいくわよ! 獅子戦吼!」
お互いに前に踏み込み、腕を前に突き出してそこから闘気を放つ。
その闘気の形が獅子のようであり、闘気を出した時の音が獅子の咆哮のようであるからこそ付けられた技である。
〈おっとぉぉぉ! 再び両者同じ技を放ち、相打ちになる! 両者の腕は互角だぁぁ!!〉
そこからの二人は闘技場を縦横無尽に駆け回り、通常の攻撃から技を繰り出したり、小技で隙を伺うなど一進一退の攻防を見せる。
クレスが攻撃を加えれば、リリスが反撃をし、リリスがクレスを吹き飛ばせば、同タイミングでクレスの攻撃がリリスに入る。
観客は二人の戦いに魅せられていた。
「あれ? クレスと互角に戦えるなんて、あの子凄いね!」
「いや……僅かな差ではあるが、総合ではクレスのほうが上回っている。このまま長引けばクレスが勝つのは間違いない」
アーチェがリリスを褒めるが、今までの戦いを冷静に見ていたクラースがクレスの方が実力は上だと見抜く。
スピードはリリスが勝っている。力はクレスの方が上。技はほぼ互角。しかし、今まで積み重ねてきた経験と体力面でクレスが上回っており、それは戦いが長引けば長引くほどリリスが不利になってしまう状況であった。
「はぁ……はぁ……レ、レインボーアーチ!」
「魔神剣!!」
リリスの攻撃を魔神剣で相殺するクレス。その戦いを見ていたディムロスは驚いていた。
(……まさかリリスにあれほどの実力があったとは……あいつ、素質的にはスタンを凌ぐかもしれん)
「ちぇええい!」
「なんのぉ!」
(だが悲しいかな我には分かる。あのクレスとかいう剣士の方が総合的には上だ。これまで踏んできた場数の差が圧倒的に違う。それが二人の決定的な差となっているんだ……)
「──そこだぁ!!」
「きゃっ!」
クレスの攻撃が確実にヒットし始める。リリスの体力は限界に近付き始めていた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「よし、追い詰めたぞ!」
クレスはリリスを闘技場の端へと追い詰めていた。
『リリス! もうやめ──』
『はい、ディムロス君、黙ろうね』
「ディムロス! ……
もはや戦いの結果が見えていたため、ディムロスが止めに入ろうとしたところで
急に声を出されたことにリリスはディムロスと
そしてクレスにはリリスがまた独り言を話しているように見えていた。
『
『……それは本人が負けを認めたの?』
『しかしこのままではいずれリリスはあの剣士に──』
「──負けてしまうってディムロスは言いたいわけ……?」
『そ、それは……』
リリスは文脈で続きの言葉を察する。
『ディムロス、お前は今のリリスになんと言って諦めさせるつもりだったんだ? 今戦いを
『…………』
図星であった。ディムロスとしては
『お前がリリスのことを大切に思っているのは分かる。だがな、リリスはスタンの妹である前に、この場では立派な戦士なんだ。それを邪魔するのは俺が許さない』
「
『ディムロス、あなたの負けね』
『ええ、これは
『そうじゃな』
『戦士の戦いは邪魔するものではない』
『いつもこうやって真面目だともっと女の子にモテていたのにねぇ……』
他のソーディアンも
「ディムロス……私って……そんなに、そんなに頼りない?」
『……い、いや、そんなことは……』
「ここにいるのが私じゃなくてお兄ちゃんだったら……戦いを止めてた?」
『…………いや、止めていなかった』
「だったら……私のことも止めないで! 私はスタン・エルロンの妹、リリス・エルロンよ! ディムロス……今だけは! 今だけは私の相棒でいてッ!」
その瞬間、ディムロスのコアクリスタルが輝き出し、リリスを包み込む。
『こ、これは……マスターとして認められた証……?』
『リリスの強い気持ちにディムロスのコアクリスタルが反応したようじゃのう。一振りのソーディアンの使い手が二人になるとは……珍しいこともあるもんじゃて』
「か、身体から力が溢れてくる……!」
ディムロスにマスターと認められたリリスの体力が回復し、力が流れ込んでくる。
その力とは、スタンが今までディムロスと歩んできた経験そのものであった。
「これなら……ディムロス!」
『ああ、これなら勝てるぞ!』
「な、なんだ!? あの子がいきなり歴戦の戦士のような雰囲気を纏いだした……だと?」
クレスはリリスへの警戒を最大にして、エターナルソードを構えた。
しかし、今のリリスにとってクレスが警戒していても特に問題はなかった。
「行くわよ! ……雷神十連撃! からのぉ……フラッシュバック!」
「ぐ、ぐああああ!」
リリスは身体に雷を纏い、クレスへと華麗な連撃を叩き込む。
そして、そこからまばゆい閃光を放ち、おたまを使って一瞬でクレスを叩き伏せる。
「おいおい……あの嬢ちゃん、動きが変わったぞ……!?」
「ク、クレスさん……!」
チェスターとミントがリリスの動きが格段に良くなり、クレスがやられた様を見て驚く。
リリスは元々スタン以上の素質を持っていた。その素質をリーネ村にいるマギーに見抜かれ、技の手ほどきを受けていた。
それだけでも十分強くなっていたのだが、実戦経験が足りないせいで互角以上の実力を持つクレス相手には、それが決定的な差となっていた。
しかし、ディムロスのマスターに認められたことで彼の持つ今までの経験が一時的にリリスへと与えられ、二人の決定的な差は十二分に埋まるどころか、逆にクレスに差をつける結果となった。
一瞬にして地面に叩きつけられたクレスは唸りながらゆっくりと起き上がる。
(な、なんなんだ……? 何かと話していたと思えば、急に動きが変わった……このままではこちらが負けてしまう……)
「どう? もうまいったするなら許してあげるわよ?」
「……ふふ。君は面白いことを言うんだね。逆の立場だったら、降参するのかい?」
「──絶対にいや! しないわよ! ……あははっ!」
「はははっ!」
二人の笑い声は静まった闘技場内で響き渡っていた。ひとしきり笑った後、二人とも真剣な顔つきになり、臨戦態勢となる。
「これは僕のわがままなのだけれど……次の一撃で勝負を付けるというのはどうだい?」
「え……? いいわよ! 次の一撃で勝負を付けましょう!」
クレスからの提案をリリスは余裕を持って受け入れる。
お互いに逆の立場だったら、同じ提案をし、必ず受け入れるのが分かっていた。
そして、クレスにとってリリスはダオスの手下でないことを理解していた。しかし、いち剣士として自分以上の実力者と全力で闘り合いたいという欲求のほうが勝っていたため、ここで戦いをやめるわけにはいかなかった。
(これは……父さんに一度見せてもらっただけで、そのあと何度も練習しても出来なかった技だけれど……完成させるなら今このときしかない!)
「はあああぁぁぁぁああ!」
「わ、私も! はぁぁぁああ!」
クレスとリリスはお互いに闘気を高めていく。その威圧感はチェスター達戦士だけでなく、他の観客達にも分かるほどであった。
〈おおおおっとぉ! クレスと謎の少女が気合を入れていくぅぅぅ! 次の攻撃で勝負を付けるのかぁぁ!?〉
「行くぞ! 僕はアルベイン流、クレス・アルベイン!」
「行くわよ! 私はリーネ村出身、リリス・エルロン!」
最後の必殺技の準備が整ったところで、お互いに名を名乗り合う。
「いざ尋常に!」
「勝負!!」
リリスとクレスは前方に突っ込んでいく。お互いを伺いながら、最後の一撃を放つ隙を探していた。
闘気を溜めているため、大した攻撃を出すことは出来ないが、僅かな隙が命取りになることは分かっていた。
その時、少し下がったリリスが足元の小石に気付かず踏んでしまう。
「し、しまっ──」
「今だ、僕は……僕は負けるものかぁぁぁ!! アルベイン流最終奥義!
『リリス! 左にしゃがんで避けるんだ!』
クレスが右上段から袈裟斬りを放つのを察したディムロスが、リリスにしゃがんで避けるように指示を出す。
反射的に左へしゃがんだリリス。クレスは避けられたことに驚くが、もはや攻撃を止めることは出来ない。
続いて左上段からの袈裟斬り、そして逆袈裟斬りの一撃でクレスが溜めていた全エネルギーを放つ。
リリスは初めの一撃を避けたことで余裕ができ、二撃目、三撃目も同じように躱す。
全ての攻撃を避けられたクレスは自らの負けを悟り、リリスを見て微かに笑う。
リリスもクレスを見て微笑み、自らの身体から雷を発生させる。
「それはそれとして☆ とりあえず超奥義!」
連続アッパーでクレスと一緒に上空へと舞い上がる。
そして両手に雷を放つ高エネルギー体を集め、クレスへ向かって放つ。
「サンダーソーーード!!!」
「ぐわぁぁぁああ!!!」
バチバチと雷を伴ったエネルギー波はクレスを飲み込み、全てが終わったときに地面に降り立ったのはリリス・エルロンただ一人であった。
「──なんてね♪ ぶいっ!」
左手を腰に当てて、右手でVサインを作り勝利のポーズを取ったリリス。
その直後、体中から黒い煙を出したクレスが上空から地面へと落ちていくのであった。
〈な、なんと! なんとなんと!! ものすごい光が現れたかと思うと、立っていたのは謎の少女だけだァァ! 時空剣士クレス・アルベイン、敗れる!!! 新チャンピオンは謎の少女だぁぁぁ!〉
「わーーーーー!!!!!」
「凄いぞーーー!!」
「強いぞーーーー!!」
「可愛いぞーーーー!!」
「結婚してぇぇ!!」
実況からリリスの勝利宣言が出されると、静まっていた観客から一斉に歓声が沸き上がった。
リリスは笑顔で観客へポーズを取って、歓声に応えていた。
「ぐ……」
「ちょ、ちょっとあなた、まだ立たないほうがいいわよ!」
クレスがエターナルソードを杖代わりにして起き上がる。リリスが止めようとするが、クレスはそれを無視しリリスへと謝罪する。
「……す、すまなかった」
「……え?」
「君がダオスの手下でないことは、戦っている途中に分かっていた。君の攻撃には邪なものがまるでなかった。だが、それでも僕は君のような達人とどうしても全力で戦って見たかったんだ……」
「クレスさん……あなた、本当にうちのお兄ちゃんそっくりよ。強くなることにひたむきで、どんな苦労も
「ふふ。君のお兄さんに……会って……みたか……」
「クレスさん!!!」
クレスはそのまま倒れ込んでしまうのだった。
◇
「………………オリジン!!」
『我が主よ、何用か?』
闘技場での戦いの後、気絶したクレスを医務室に運び、ミントの法術によって完治させる。
リリスは気まずさからその場を立ち去ろうとしていたが、
クレスが目を覚まし、リリスが事情を説明するまではチェスター、ミント、クラース、アーチェの四人からの冷めきった視線で針のむしろ状態となっており、リリスは目に涙を浮かべていた。
最高位精霊であるオリジンを探しに異世界から来たということを説明──
「実はこの子の話を聞いてもらいたいのだが……」
クラースは少し緊張した様子でオリジンに伺いを立てる。
オリジンの主ではあるが、精霊は気まぐれなところもあり、礼節を弁えない人間を相手にすることは決して無い。
だからこそ尊敬の念を込めて話す必要があるのであった。
『少女よ、何の用だ?』
「あの……実は──」
リリスが事情を説明する。ソーディアンを直したいのだが、素材が自分の世界にはないため、どこにあるのか教えてほしいということを簡潔に話す。
『そういうことか……先に言っておくとその者達を直すのに必要な鉱石は、
「……そ、そうですか」
『だが、別の世界ならありそうだな……』
「ほ、本当ですか!?」
この世界にないと言われ落ち込むリリス。しかしその後、別の世界であれば見つかると言われ、すぐに元気になるリリス。
『ああ。場所は……〝インフェリア〟という世界と〝テルカ・リュミレース〟という世界だな。片方では十分な量が取れないかもしれないので、そのときはもう片方の世界に行くと良い』
「あ、ありがとうございます!!」
リリスはオリジンに深々と頭を下げる。〝異世界渡り君
オリジンは用が済んだとばかりに消えていくが、消える直前に『鉱石を集めたらまた来るが良い。我が創ってやろう』と優しげに話していた。
クラースもまさかオリジンがそこまでするとは思っていなかったため、
「……それでは私は行きますね!」
「ああ、気を付けてな。戻ってきたら異世界の話を聞かせてくれ」
「リリス、ぜーーーったいまた会いに来てね! 私達、もう友達なんだからね!」
「リリスさん、怪我には気を付けてくださいね」
「リリスさん、良かったらまた手合わせを──」
「おい、クレス! 女の子と戦いたがるだなんて、ミントに愛想尽かされても知らねぇぞぉ?」
チェスターがクレスをからかい、クレスとミントは顔を真っ赤にさせていた。
リリスは笑いながら〝異世界渡り君
その姿をクレス達はいつまでも見つめていたのであった。
「ううう…………おたまに負けたなんて……ショックだ……」
「うるさい! 何時だと思っているんだ! クレス、さっさと寝ろ!!」
その日、クラースに怒鳴られるまで悔しさから眠ることが出来ないクレス・アルベイン君、17歳だった。
ファンタジア本編とファンダム、そしてオリジナルを混ぜ込んでいます。
ファンダムでディムロスがリリスに指示を出して闘うシーンがあったんですけど、未来編のクレス相手に声で指示を出してる余裕なんてないですよねとちょっと思ってしまったので、その辺はちょっと独自設定を入れました。
アンケートの回答を良かったらお願いします!
ヴェスペリアの世界にリリスが行くかどうかということです!
リリスはヴェスペリアの世界に行ってほしい?
-
はい
-
いいえ