《完結》テイルズ オブ デスティニー〜七人目のソーディアンマスター〜   作:ねここねこねこ

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第九話

 まだ夜が明けていない深夜に轟音が鳴り響いた直後、エドワードは時雨(しぐれ)を持ち、部屋を飛び出していた。

 

時雨(しぐれ)! 何があった!?」

『俺にも分からん! 村の入り口の方から音がしたぞ!』

「とりあえずリオンのところに行くぞ!」

 

 エドワードが隣の部屋にいるリオンの部屋の扉をノックしようとしたとき、扉が開きリオンが出て来た。

 シャルティエを持ち、完全に臨戦態勢であった。

 

「何があった?」

「俺にも分からない。時雨(しぐれ)が村の入り口の方から音がしたと言っていた」

「とりあえず行ってみるぞ」

 

 リオンとエドワードは全力で村の入り口に走っていき、到着した時には驚きで一瞬動きが止まってしまった。

 そこには数十体ほどのモンスターが一堂(いちどう)(かい)していたのだった。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

『な、なんてこった……』

 

 時雨(しぐれ)は想像していなかった光景に目を疑っていた。

 それはリオンもシャルティエも……エドワードも同じであった。

 

「お、おい。これは一体どういうことなんだよ……」

「知るか。僕に聞くな」

 

 リオンはエドワードに問いに対して冷たく答えながら、シャルティエを抜く。

 エドワードも時雨(しぐれ)を抜いて構えるが、明らかに動揺をしていた。

 

(これは……さすがに勝てないんじゃないか……?)

 

 エドワードは冷や汗をかきながら、半ば諦めたかのような表情をしていた。

 そこに一体のモンスターが歩いてくる。獣人のような見た目であったが、明らかにモンスターの瞳をしていた。

 

「グ、グブブブ……コ、コノムラ、アケワタセ。サ、サモナイト、ミ、ミナゴロシダ」

「じ、人語を解するモンスターだと!?」

()()はおそらくバーバリアンの亜種モンスターだな』

 

 人間が話す言葉を使うモンスターに対し驚くエドワードと、それを冷静に分析する時雨(しぐれ)

 その横でリオンは黙ったままだったが、急に前に出た。

 

「ふん。たかがモンスターの分際で人間の言葉を話すとはな。だが雑魚を何体連れてこようと僕の敵ではない」

「ソ、ソレナラ、マズハ、オマエラカラチマツリニアゲテヤル! イケ!」

「え、いや、俺は何も言ってないんですけど!」

「来るぞ!!」

 

 バーバリアン・亜種は率いていたモンスターに指示を出すと、そこから五体ほどが襲ってきた。

 しかしこの周辺で出現するモンスターのため、リオンとエドワードの敵ではなく五体程度では瞬殺されてしまう。

 

「ふん、所詮何体集まろうが、雑魚は雑魚だ」

「キ、キサマ! ユルサンゾ! イケ!!」

「だからリオン! なんでそんな挑発するようなことを!」

 

 今度は十体が襲ってきた。エドワードは不思議に思いながらもモンスターをちょうど半分倒す。

 リオンを見ると、既に周りにはモンスターが倒れており、リオン自身には汚れすら付いていなかった。

 

(このモンスター……なんかおかしいな)

 

 エドワードは不思議に思ったまま、しかしモンスターからは目を離さないようにしている。

 

「この程度か。まぁ貴様程度の実力ではこのレベルのモンスターを操るくらいしか出来ないのだろうがな」

「グ、グヌヌヌヌ……ツギイケ!」

 

 今度も十体のモンスターが襲ってきたところで、エドワードはある一つの仮説に至る。

 それはバーバリアン・亜種は十体までのモンスターしか一度に操れないのではないか? ということである。

 

(おそらく配下に加えて進軍するくらいまでなら数十体でも可能だが、複雑な命令になればなるほどモンスターの操る数は少なくなるとみた)

 

 現に十体のモンスターは単純な攻撃しかしてこず、避けるなどの行動は一切してこないため、楽に倒せているのである。

 エドワードは少し安堵しつつも、そのことを顔には出さないように気を引き締めていた。

 残りのモンスターに暴走でもされたら厄介だからである。

 

「ふん、これでおしまいか。自分自身でかかってこない時点で貴様も雑魚確定だがな」

「そうだな。そうではないと言うならお前自身でかかってきてはどうだ?」

 

 エドワードは自分の考えがまとまったときに、リオンの考えにも気付いた。

 あえて挑発をして自分自身に敵意を向けていたのである。そうすることで村への意識を薄くして、モンスターの数を減らすことができるからだ。

 そこに気付いたので、リオンに合わせて挑発をするとバーバリアン・亜種は地団駄を踏みながら叫び出した。

 

「グヌヌヌヌ!! ソコマデイワレテハ、オレモユルセン! オレサマミズカラ、アイテシテヤロウ!!」

 

 そうしてバーバリアン・亜種との戦いが始まった。

 エドワードは加速(アクセル)を自身に唱え、迎え撃つ。

 しかし、勝負は一瞬で着いたのであった。

 

 バーバリアン・亜種が向かってくる直前にリオンが消えたかと思うと、バーバリアン・亜種の首が無数に切り刻まれ、そのまま倒れる。

 リオンはシャルティエに付いた血を一度振って払うと、鞘にしまう。

 そしてそのまま村に戻って行ってしまったのである。

 あまりの光景にエドワードは固まっていたが、時雨(しぐれ)がすぐに声を出す。

 

『エド! 今のうちに残りのモンスターを倒すぞ! バーバリアン・亜種に操られたままの状態でまだ正気に戻っていないから、楽に倒せるはずだ!』

「え……? お、おう」

 

 少し腑に落ちない様子のエドワードであったが、モンスターの残党も動かずにいてくれたので時雨(しぐれ)でどんどん倒していく。

 残りは二十五体ほどだったので、バーバリアン・亜種は合計で五十体率いるくらいの実力はあったのだとエドワードは理解する。

 

(いや、というか……俺はバーバリアン・亜種と戦っていないから……まぁいいんだけどさ。勝手に帰るとかひどくね?)

 

 五十体のモンスターを倒したあとは、アルメイダの村人達の迷惑にならないようにモンスターの処理作業が残っている。

 太陽が昇って、村人が起きてくる少し前に処理作業が終わったエドワードは疲れを身体に感じながら宿に戻って行った。

 

(レンズは絶対俺の物にするし……これくらい貰ってもバチは当たらないでしょ……)

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 宿に戻ってから少しだけ仮眠をしたエドワードは、リオンに起こされて準備をした後にそのまま村長の家に向かう。

 昨夜の段階でリオンがモンスターを倒したと報告していたため、村を出る挨拶をするだけであった。

 

(あー、そういえば昨日のうちに報告しないと村人も不安だったよね……完全に抜けてた……)

 

 眠気を堪えながら村長の話を聞いているエドワード。

 

「では僕たちはこれでダリルシェイドに戻るぞ」

「は、はい! 本当にありがとうございました。……こ、これは少ないのですが……」

 

 そう言って村長が拳大の袋にいっぱい詰まったガルドらしきものを渡してこようとする。

 しかしリオンは「こんなものはいらん」と突っぱねる。

 

「し、しかし……! いつも兵士様に助けていただいたあとは必ずお渡しするようにと言われているのですが……」

「いらない物はいらない。お金が欲しくてやっていたわけではないからな」

「そうです。私たちは王命で救援に来たのです。すでに給料は陛下から頂いておりますので、これ以上貰うのは不敬に当たります」

「そういうことだ。それよりもお金を渡すように言った兵士の名前を教えろ。僕から陛下に告げておく」

「あ、ありがとうございます! リオン様、エドワード様!」

 

 賄賂を要求していた兵士の名前を聞いた二人は「陛下に報告して、担当も変えてもらうように言っておく」と話し、村長の家を出ようとする。

 そこでリオンが不意にエドワードの方を向く。

 

「そうだ。僕としたことが忘れていた。確かモンスターからレンズが出ていたはずだが、それはどうした?」

「え……」

「回収したのだろう? この村も少なからず被害が出ているはずだ。今回のレンズはその補填にするぞ」

「え……え……?」

「確かお前は言っていたな。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と。

レンズも同じだ。それともお前は先ほどのクズと同類だということか?」

「い、いえ……や、やだなぁ〜! 忘れていただけですって! そ、村長。少ないですが、これを復興の足しにしてください」

「よ、良いのですか!? あ、ありがとうございます! このご恩は決して忘れませぬぞ!」

 

 せっかく回収したレンズもリオンの一言で村に置いていくこととなり、エドワードは少し引きつった顔でレンズの入った袋を村長に渡した。

 ニヤリとした顔でエドワードを嵌めたリオンを軽く睨みながら、馬車に乗りアルメイダの村を出て、ダリルシェイドに向かうのであった。

 




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