嘘つきの本懐   作:ノッキー

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パスパレの一件の翌日、いつもの様に河川敷に行き黒服さんとも言い、黒崎さんと合流して昨日回収し忘れた重りを回収してから走った。その後、家に帰り、朝食を食べて学校に行ったのだが、学校に着くなりテニスの顧問の先生に私は呼ばれていた。

 

「すみませんが、代わりに出て貰う事はできない?」

 

「……いや、そう言われましてもね……」

 

そう言うこちらに対して黒髪に黒目の女性の顧問が頭を下げてくる。何が起こっているかと言うと、昨日、取材の帰りに見かけた事故、アレ実は私の所属しているテニス部の先輩の一人が巻き込まれていた。あのボロボロの自転車の持ち主がその先輩で、その先輩自身も全治三ヶ月の腕の骨折を負ったらしく、そこで、代わりに大会に出れる代打の人を探していて、私に白羽の矢が立ったと言う事らしい。まぁ、確かに一昨日までだったら特に問題なく即オッケーも出してよかったんですが……ねぇ、この数日でかなり予定が変わってしまってる上に未だに黒服さんからパスパレの件を言われるかわからない状態である。

 

「そこを何とか……」

 

頭を深々と下げている先生に対して私はうーんと唸る。正直な話、大会には出ても良いとは思ってる(勿論、私はテニスをエンジョイしてる人だからガチの人に勝てない事を見越してね)けど、けどね、一つだけ譲れない事があって……。

 

「朝練だけはどうにかなりませんかね……」

 

「……こちらとしては学校で使える時間は使いたいのです…」

 

大会に出るとなると朝の時間まで練習しなくてはならなくなるのである。理屈としてはわかるよ、だって大会に出るんだからその分練習は沢山しなきゃいけない事ぐらい。だけど、こちらとしてはこころと過ごせる数少ない朝の時間帯まで潰されるのは許せないし、朝は黒服さんと河川敷を走らなきゃいけない予定が入ってる時点で朝練だけはどうにか避けたい所なんだよね……

 

「それはわかります、ただ私も朝は弱い方なので……」

 

「貴方、最近朝一に学校来てませんでしたっけ?」

 

見苦しい言い訳をしようとすると頭を上げた顧問に痛いところを突かれる。はい、来てます、黒服さんと走った後、(家を少し経由して)学校に来てます。

 

「うぐ……」

 

「それに、大会に出場するのに朝練しないとなると他の人のモチベーションが下がってしまうかもしれない可能性も否めないですし、大会自体後一ヶ月切ってますからね」

 

先程から先生が言っている大会と言うのは、私達が前夜祭を行う世界大会の方ではなく、地域の大会の事で、一ヶ月後に開催される。そしてその大会を優勝か準優勝すると全国大会に出れる切符を手に入れる事ができるのだが、さっきも言ったけど勝てるわけないのであまり気にする事ではないですけどね。

 

「…………因みに他の人に任せるって事は可能ですか」

 

「他にも出れそうな人を当たってみたんですが、全員駄目だったので最後の頼み綱なんです」

 

もはや、打つ手無しかと諦め、ごめんね、こころと心の中で謝りながらも渋々と頷く。

 

「はぁ……わかりました……」

 

「ありがとうございます」

 

そして、その顧問がニヤリと悪い笑みを浮かべていた事を、その時呆然としていた私は見逃していたのであった。

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