こう、日菜先輩と二人でいると言う事は今までそんなになく、日菜先輩が物知りで博学なのは前から知っていた。ただ、こうやって二人で星を見るとそれが否が応でもそれを知る事ができる。空にある星座の名前と、星座を作っている星たちの名前、そしてその星座の由来などと、多少私に伝わらない事もあった。それでも楽しそうに話していた日菜先輩の顔は、いつもみんなに見せている時の能天気な顔でもなく、私にたまに見せる本気の顔でもなく、それとはまた別の顔をしていた。
「……そう言えば、みさきちゃん」
「なんですか、日菜先輩」
隣に寝っ転がって一通り星座の説明をし終えた日菜先輩が声をかけてくる。
「こころんがドタキャンした理由って知ってたりするの?」
多分今日の電話でこころと言うワードを言ってしまったが故の質問だろうと、自分の失態を反省しつつ経緯を話した。
「元々はポピパの人達と今回の事を話す為に週末に会議する予定だったんです」
それから、昨日部活の顧問に呼ばれて大会に出る事が決まった後に泊まる事が決定した事を言うとあははっと日菜先輩に笑われる。
「みさきちゃん、こころんに愛されてるね」
てっきりテニスの件で何か言われるのかと思ったけどそう言う事はなく、私は苦笑する。
「愛されてるかどうかは分かりませんが、こころにドタキャンさせてしまって本当にごめんなさい」
いいよいいよー別に誰が悪いってわけじゃないし気にしてないよっと言い日菜先輩は上半身だけ起こして私に向かってニコッと笑う。
「日菜先輩こそ、私じゃなくて紗夜先輩と来たかったんじゃないんですか」
つられる様にして私も上半身を上げつつ言うとあっと日菜先輩が声を上げる。
「そうだ、なんでみさきちゃんを呼んでたのか忘れてた」
ちょっとっとジド目で見ると日菜先輩はあははっと笑いで省かされてしまう。それから、日菜先輩の目からキラキラが消えて、あの、私を見通す様なそれでいてどこか紗夜先輩っぽい目で私を見てくる。
「あのさー、みさきちゃんの隣にいた黒服さんいたじゃん」
あ、黒崎さんの事ねっと心の中で思い、うんと頷く。珍しく言葉を選ぶかの様に、日菜先輩は目を左右に動かし、言葉を紡ぐ。
「あの人、少し危ないかも」
日菜先輩にそう言われて、私も目を細くする。
「……理由はなんですか」
「なんですかと言われても、私も何とも言えないんだよね、感覚的にとしか……でも、みさきちゃんの命に関わる系の話じゃないからそこまで身構えなくていいよ、ただね……」
目を細くした日菜先輩の目が私の目を捉える。
「この、件を仕向けたのがその黒服さんだった可能性があるかも」
えっと私は思わず、声を出してしまう。私をこの状態に仕向けたのがあの黒崎さんなの、あーやって付き合ってくれる黒崎さんが?……いや、でも、事の発端はこころ達の身勝手な決定だった筈……
「待ってください!その件はこころ達が勝手に決めた事で……」
「でも、私的にそこが引っ掛かったのこころんがそんな勝手な事するのかなって、だから花音ちゃんに話聞いたんだよ、そしたらさ……
……花音ちゃんが来る前にも、もう既に決まってたようだったよ」
少し間を開けて日菜先輩が放った言葉に私は呆然としていた。すると、日菜先輩はふふっと笑い次の瞬間には既にいつも通りの目をキラキラとさせている日菜先輩がそこに居た。
「まぁ、これはあくまでも推測の域を出てないから確証はできないよ、あ、でも、花音ちゃんが言ってた事は事実だから今度聞いてみるといいよ!」
「あ、そうだったんですか!」
何深刻そうに話をしてるんですか!っと言う安堵を含めたツッコミをしていると、ポケットの中の携帯がブブッとメールを着信する。
「ん?誰から?」
日菜先輩に言われるがまま携帯を開くと、市ヶ谷さんから連絡が来ていて"弦巻さんが起きてみさきどこ!って言ってるから早く帰ってきてくれ"っと言うものだった。
「あー、市谷さんからこころが起きて私の事探してる様だから帰ってきてって連絡が来ました」
「じゃ、みさきちゃんだけ先に帰りなよ」
え、日菜先輩は?っと返すと、日菜先輩は私はもう少し見てから帰ると言って、わかりましたと返し私は立ち上がり、その場を去ろうとする。階段に続く扉に来た所で日菜先輩が声をかけてくる。
「あ、そうだ、さっきの質問の答えをするとね、おねーちゃんロゼリアのみんなと話するから今日は無理だったんだよね」
多分、昨日私が伝えた例の件を情報共有する為にかなと勝手に思う。
「あー、それとテニス大会の件、無茶して身体だけは壊さないでね」
そう後押しする様に言われながら私は階段に続く扉を開くのであった。