顧問と話した後、クラスに戻った私は、入った瞬間、クラス中の目線がこちらに来る。ん?っと思いつつ、いつも通り戸山さんにじゃれ付かれている市ヶ谷さんの後ろの席に座る。
「おっはよー!!」
元気よく戸山さんから挨拶される。それに、うん、おはようっと返すと、そこでとある人物が居ないことに気付く。
「あれ?こころは?」
朝、顧問に呼ばれる前までべったりと私に付いていたこころの所在を聞くと、あーと何かを思い出したかのように市ヶ谷さんが口を開く。
「それなら。そろそろ朝の会が始まる時間だから帰ってもらったよ、ほら、香澄、お前も自分の席に戻れって」
えーっと少し口先を尖らせ戸山さんは反抗しようとするがほらほらと急かされて少し残念そうにしながら自分の席に戻っていく。それから市ヶ谷さんがジド目でこちらを見てきた。
「そんでさ、奥沢さん、昨日マジで何やったんだ、あんた」
「え、急にどうしたんですか?」
多分、昨日の江ノ島の件だろうなぁと思いつつすっとぼける。だが、あんたなぁ……っと言いつつ市ヶ谷さんが嘘は許さねーぞと目線で訴えてくる。そうとは言ったもののここで、パスパレとの一件を話すわけにもいかない。だからと言ってこれ以上すっとぼけるのも嘘をくわけじゃないしなぁ……っと言うか、周りからの強い目線を感じて、今は話すべきじゃないと私の中の何かが訴えてる。
「えーとですね……それは……しゅ、週末の集まりの時に話すで、いい、ですかね、その諸々と事情があるので……」
「そうか……じゃ、その時に話してくれ、あ、もちろん、話はぼかすんじゃねーぞ」
歯切れ悪く言うと、何かを察したかのように市ヶ谷さんはそう言って、口をへの字にし片側の肩をあげる。それから、市ヶ谷さんはあーそうだっと言って私の方を見てくる。
「週末の集まりさ、こちらの予定がいい感じに纏まったから、集まりじゃなくてお泊まりになったからそこん所よろしく」
「は?いやいやいやいや、待って待って待って、私、その話は聞いてませんよ!?」
慌てて机に手をつき立ち上がる。それに対して、市ヶ谷さんは諦めたように深いため息を吐く。
「それもこれも、全部奥沢さんのせいなんだからな……流石に今回泊まる件に関しては、なんだ、同情はできねーよ」
え?え?え?っと頭からはてなマークを浮かべている私に構わず市ヶ谷さんは前を向いてしまう。そして、朝の会の始まる鐘が鳴って入ってきた先生に"奥沢さん、座りなさい"っと言われるまで、そう時間は要さなかった。