部活の先輩方と合流して、初の放課後の練習が終わり、玄関に向かおうとしていた私の元に一本の電話が入った。誰だろうと確認すると日菜先輩と言う名前が画面には写っていた。え?っと思ったけど、昨日の帰り、別れ際に丸山先輩の提案でパスパレの皆さんと電話番号交換してたの忘れてた。出ると言うボタンをタップして耳に携帯を当てる。
「はい、奥沢です」
『あ、みさきちゃん!まだ学校?』
珍しく慌てたように声を荒げていた日菜先輩に少し押されながらも"あ、はい"と答えると"良かったー"っと安心したように
『今ね、そっちにね、みさきちゃんに用事があるって言っておねーちゃんが行ったんだけどさー』
あ、はぁ……と生返事してしまう。紗夜先輩が私に用って何のことですかね……まぁいいかっと思っている内に日菜先輩は話を続ける。
『"正門辺りにカメラを持っている人とか沢山いて近づこうにも近づけない"ってメッセージで言っててさ、私の直感が正しければなんだけど、テレビ関係者だと思うんだ、だから、下手に外に出ないほうがいいよ!前に同じ事されたことあって、その時は本当に大変だったよー』
「あは、あははは」
パスパレの裏事情に少し苦笑いしつつも玄関まで行く。すると玄関の方が妙に明るく、えっと思い下駄箱の後ろからチラ見する。玄関の先にある道の先の正門の所に車が数台とカメラを持った人達とその前にマイクを持った人達がいた。
「日菜先輩、大当たりです」
『だよねーこーゆーのにたかる事はこの業界良くあることだからねぇ……大変だよね……』
苦笑いしているとポンっと肩を叩かれて、ビクッとする。その弾みで日菜先輩との電話を切ってしまった。すぐに振り返るとそこには姿勢良く立っている黒服さんがいて思わず声をあげようとした。だが、黒服さんの綺麗な指で口を押さえれる。
「こうなられてしまいました……か……」
問答無用で下駄箱の影に私を隠すと、黒服さんは下駄箱の所に出て、私の上靴を回収して私の元に帰ってくる。それを受け取りつつ私は黒服さんの目をサングラス越しに見る。
「黒服さん、どうやってここに来たんですか」
表玄関は封じられてるのにどうやってっと言う意味を含めつつ小声で言うと黒服さんは少し笑う。
「裏門から来ました、それと先程は驚かせてしまい申し訳ございません」
一礼すると"さぁ、こちらへ"っと言われて私は黒服さんの後をついて、いつもは使わない裏門へと連れて行かれるのだった。