「ゆんゆんゆゆーん♪」
上機嫌な鼻歌を口ずさみながら、こちらの衣装に身を包んだユゥユゥが歩道を歩いていた。
商業国家ユノスダスは記念日を控えているだけあって、どこもかしこも準備に専念しているが、道行く見慣れない美女の姿には手が止まる。
前を開いた紺色のキャミソールワンピースを胸下からベルトで固定し、ミニスカートを翻しながら髪を結ったユゥユゥが笑顔を振りまいていた。その華やかさに目を奪われている商人達だが、通り過ぎてからは思い出したように作業に戻る。
「そこのお嬢さん。随分上機嫌だね」
「はい。今日のお出かけはとっても楽しみにしてたので、ご機嫌なんです」
「それはよかった。国王様冥利に尽きるというものだ。なにせ今回は特に張り切っていたからねぇ……」
人懐っこい笑顔を浮かべながら、ユゥユゥは声を掛けてきた商人の店を覗き見ていた。少し屈むだけでもワンピースがはだけてインナーのスポブラが見えている。その無防備さに商人の手が再び止まった。
「ユゥユゥさん、一人で歩くのは危ないわ」
後から追いかけてきたアビゲイルもいつものゴスロリ衣装ではなく、大きめのジャケットを着込んでいる。長い髪もお団子ヘアアレンジにされて動きやすくされていた。ちゃんとトレードポイントであるリボンもあちこちに飾り付けられている。
「見て見て、アビーさん。このお店、とっても綺麗な物が沢山あるの」
「わぁ……! おじさま、此処はどういうお店なの?」
「おやおやこれはまたかわいらしいお嬢ちゃんだ。うちじゃ宝石を加工したアクセサリーを出しているよ。これでも宝石商だからね」
木箱の中に緩衝材をたっぷりと詰め込み、その中には丸く加工された青い宝石が煌めいていた。
「アビーさんの瞳と同じ色をしている綺麗な宝石ですね」
「ユゥユゥさんに似合いそう」
「うちのは高いよ。相応の手間と価値があるからね」
あくまでもアクセサリーとしての価値。これを身に着けているだけで雰囲気がぐっと変わるだろうことは火を見るよりも明らかだ。
「まだ店を開ける前だが、お嬢さんたちには少しだけ値切ってあげようかな」
「でもあたし達お金持ってきてないのです」
「マスターに聞いてみましょう」
「……マスター?」
その言葉を聞いた瞬間、宝石商の表情が強張った。――案の定、後から歩いて追ってきたのは全身黒尽くめの男性。商業国家どころか、犯罪国家に名を轟かせる天下無敵の大馬鹿野郎。命知らずの犯罪王。
サングラスを掛けてはいるが、それがかえって逆効果となり人相の悪さに拍車をかける。
「あ、マスター」
「エヌラスさん、ちょうどよかったぁ」
「見てたから言わなくてもいい。おつかれさん」
「は、はい……」
先程までのほがらかな表情からは打って変わって、青ざめた顔をする宝石商は冷や汗が止まらなかった。
労いの言葉すら死刑宣告に等しく、生唾を飲み込む。
サングラスを外して、エヌラスが二人に差し出されていた宝石を見つめていた。
「……ど、どうです?」
「良いもんだな。宝飾品としての価値は俺が保証する」
「でしょう」
「戦闘用にしては頼りないから、あくまでも日常品だな。何処の店から出てるんだ?」
「え?」
「ん? いやだから、何処の店の者だって聞いているんだが? 出店できるんだから国王の許可もらって出してるんだろう? 特に、記念日はいつもよりガードが甘くなる。場所の指定と申請さえ通れば出店許可証が発行される。証明書は?」
エヌラスが問い詰めると、宝石商は途端に言葉を詰まらせている。
「違法出店がどれだけ重罪に問われるかは、商業国家に住んでいる人間なら知っていると思うんだが……さてはお前、闇取引の売人だな」
「い、いやそれが出店許可証置いてきちまいましてね?」
「紛失した際の再発行申請は原則的に許可していない。万が一紛失した際は教会へ速やかに通達、というのが規律にあったはずだが? 店の名前を出さない、許可証を持っていない。となれば、代理人を立てて出店しているブラックマーケットの人間だろう。此処じゃそういうのも多いからな」
「か、仮にそうだとして貴方に何か不都合でも?」
「いいや、別に。だが見過ごすと後がうるさいからな。大人しく出店を取り下げるか、それとも国王から大目玉食らうか。好きな方を選んでくれ」
「――こ、コイツで手を打ってはくれませんかね?」
「ほう、いい度胸だ。仮にも犯罪国家国王を賄賂で買収しようとは。商魂は認める。だが残念なことにそれは無理な相談だ。俺も今回の式典には一枚噛んでいるんでな?」
懐から取り出してみせるのは、商業国家国王の判が押された招待状。
ただならぬ気配と雰囲気に、近隣の巡回にあたっていた軍事国家アゴウの機械人類――機人達が歩み寄ってくる。
《何かありましたか?》
「ちょうどよかった。違法出店者だ。身元洗ってくれ」
《誰かと思えば、犯罪王。相変わらず貴方がいると犯罪者の摘発が爆発的に増える》
「嫌味か貴様」
《それだけこの国の治安が良くなると言ったつもりですが――こちら警備隊、応答を》
目の前で通報されたとあっては堪らず、宝石商が逃げ出す素振りを見せた瞬間にエヌラスは木箱を宙に放って掌底で打ち出した。顔面に直撃した衝撃で倒れ込む姿を尻目に歩き出す。
「そっちは任したぞ。俺は先を急いでるんでな」
《了解しました。協力に感謝を》
「行くぞ、二人とも」
ユゥユゥとアビゲイルがそそくさとその場を離れた。
「あのおじさん、人が良さそうだったのに悪い人だったのね」
「身なりは善人だが、悪党なんてのはそう振る舞うものだ」
「でもエヌラスさん、よくわかりましたね」
「そういう連中とはアホみたいに付き合い長いからな。見れば分かるし、臭いでも、振る舞いでも分かる」
「見た目だけならエヌラスさんも負けてないですもんね」
「……ユゥユゥ」
「はっ! ご、ごめんなさい!」
「いや、まぁいいけどよ……そうだ。アビー、忘れない内に渡しておく」
「なにかしら?」
ポケットから取り出した手には、先程の木箱に収められていたはずの青い宝石のペンダントが握られていた。目を丸くしながら受け取ってしばらく呆然としていたアビゲイルがエヌラスを見上げる。すると、サングラスをかけながら悪い大人の笑みを見せた。
「あいつは出店を取り下げるでもなく、俺は国王に通報もしていない。だから、ありがたく賄賂を受け取った。そのうえで――
「それ、窃盗なんじゃ……」
「いいや? 譲渡されたものだから盗んでない。タイミングが悪かっただけだ」
「……マスターったら、いけない人」
しかし、それを受け取ったアビゲイルは確かに笑っている。
「エヌラスさん、これからどこに向かうの?」
「知り合いのクソメガネの店。まぁ茶店だな。お茶でも飲んで、それから商業国家国王のところへご挨拶。しばらくは此処を拠点にする。何かと便利だしな」
店の準備をしている商人たちはエヌラスの姿を見かけるだけでどこか緊張感を漂わせながら準備を進めていた。一歩間違えれば店が潰される。素通りする度に胸をなでおろす声が聞こえてくる気がした。
そして、エヌラス達一行が向かった先は通称を「パルフェ通り」と呼ばれる飲食店が並ぶ大通り。中でも半数を喫茶店と軽食店が占めているだけあり、空腹を誘う甘い香りが漂う。毎日のように新しい商品が開発されており、売上を競っていた。
一軒の喫茶店の前で立ち止まり、ユゥユゥが看板を見上げる。店の名前は『Starry Sky』と書かれている。その下には、店のロゴと思わしき流星が描かれていた。
オープンカフェと店内のカウンター席とテーブル席。喫茶店の狭い敷地を限りなく有効活用すべく少しでも客を入れようとする努力が垣間見える。
時間をずらしてきたからか、店内も軒先も客足はそれほど多くない。しかし、店の中ではウェイトレスが業務に打ち込んでいる。
新人なのか、研修生の札をつけた女の子が指導を受けていた。
店の前でエヌラスが軽く片手を挙げると、店内のウェイトレスが気づく。新人の子を連れて店から出てくると軽く咳払いを挟んで営業スマイルを見せた。
「いらっしゃいませー、喫茶店『Starry Sky』へようこそ。三名様ですか?」
「ああ。いつもの場所借りてもいいか?」
「はい! どうぞ、ごゆっくり」
「……そっちの子は新人か? 見ない顔だが」
「そうなんですよ。この人、うちの常連さんで店長の知り合い。挨拶しておいて損はない人だから、ほらほら挨拶」
先輩に急かされて、新人のウェイトレスは気弱そうに目を逸らしている。自分から進んで自己紹介をしようとはしなかった。だが、言われたからには面倒そうにしている。
しかし、エヌラスが眉を寄せていた。この店が従業員を募集するのは、相当に稀なはずだ。そして普通とは異なる雰囲気。これに似た感覚は、付き従えているからよくわかる。
「え、えっとー……『Starry Sky』の新人で――」
「お前サーヴァントだろ」
「一目で看破されたんですけどぉ!?」
「クソメガネはいるか? 詳しい話はあいつに聞いたほうが早そうだ」
「姫の自己紹介は!?」
「いらん。お前根暗そうだし」
「初対面であんまりな態度じゃない!?」
「あー、うん。こういう人だから……ほら、ヒメちゃん。落ち込んでないでお店のお仕事に戻ろ、他にも覚えることたくさんあるんだから。あ、ご注文は」
「俺はクソメガネに任せる。こっちの二人はレモンティーと、ミルクティー。ホットで。それとパンケーキにマカロン」
「はーい。ヒメちゃん、伝票」
「えっとー……店長のおまかせコースに、レモンティーとミルクティーのホット。単品でパンケーキとマカロン……」
「セットがあるから、こっちのメニューね」
「はいはい……ご注文は以上ですか?」
「ひとまずそれで」
メニュー表のタブレット端末の画面をタップして、注文を確定。会釈して店内へと戻っていく二人を見送ってから、エヌラスは軒先のテーブル席に腰を下ろした。ユゥユゥとアビゲイルもその両隣に座る。
少ししてから、ヒメちゃんと呼ばれたサーヴァントが戻ってきた。
「お待たせしましたー。レモンティーとミルクティーのホットです」
「俺のコーヒーは?」
「店長が全部まとめて持ってくる、だそうでーす」
「ならいいか」
「……あのー、もしかして魔術師の方?」
「そうでもなかったらお前のこと見てサーヴァントだなんて気づかないと思うが。なんでウェイトレスやってるのかも大体察してるしな」
「じゃあ別に姫のこと紹介しなくてもいいんじゃ……」
「ちゃんと聞いておいた方がお前をいじるネタは困らなさそうだと思った」
「性格悪すぎない!? 鬼、悪魔、鬼畜外道サングラス!」
「その言葉、宣戦布告と受け取って良いんだな?」
「ひぃん!? 少々お待ち下さいー!」
逃げるようにヒメちゃんが店内に去っていく。
「エヌラスさん、あんまり女の子いじめちゃめっ、ですよ」
「なんかいじりやすくてな。しかしあいつもサーヴァント召喚してたのは意外だ」
「その、クソメガネさんはどういう方なのかしら?」
「お人好しで何かと便利なやつだが小憎たらしいメガネ。悪いやつじゃないぞ?」
「マスターのお友達なの?」
「そうなるな。あとこの喫茶店のオーナーで、電脳国家国王でもある。得意料理はパフェだ」
「君は人がいないところでつらつらと紹介してくれてどうも、この野郎」
眼鏡をかけたウェイター服の男性。見るからに人が良さそうな中肉中背の青年の手には、トレイが載せられている。コーヒーを二つ置いて、それから開発中のケーキをテーブルに乗せると腰に手を当てて呆れていた。
「余計なことを言われる前に自己紹介すると、僕がこの喫茶店のオーナーで電脳国家国王の琴霧ソラ。君のことを見るなり姫が「私あの人苦手!」って泣きつかれたんだけど、なにしたんだよ。僕のサーヴァントだぞ?」
「どうせお前のサーヴァントなんだから陰キャ眼鏡に決まってんだろ」
「確かに召喚した時は眼鏡かけてたけど、君あんまりにも失礼過ぎないか……親しき仲にも礼儀ありって知らないのか」
「知るかクソメガネ。ところでこのケーキはなんだ」
「いま鋭意開発中の新作。試食で持ってきたから感想頼むよ。お代は結構。パンケーキは今焼いているところだから少々お待ちを」
足早に厨房へと向かうクソメガネこと、琴霧ソラを見送る。不躾なお互いの態度だが、それを不快と思わずに聞き流せるだけ付き合いが長いことがわかった。それよりもユゥユゥとアビゲイルの視線と興味はテーブルに置かれたケーキに向けられている。
「マスター、これ……」
「食べてていいぞ、二人とも」
「わぁ……いただきま~す♪」
一口頬張るだけでも、その甘味の味わい深さにユゥユゥが舌鼓を打つ。アビゲイルも笑顔を見せていた。
「ふわっふわのスポンジに、甘さたっぷりのクリームだけでも美味しいのに、このふんだんな果実の酸味と甘さが絶妙に絡み合って……とっても美味しいわ」
「これが食べられるなら毎日通ってもいいかもぉ……」
「太るぞ」
「さ、サーヴァントは太らないのです! これも姿を維持し続けるために必要な栄養補給!」
そもそもサーヴァントは本来食事も睡眠も必要ないはずだが……。エヌラスは敢えてそこは言わないことにした。不必要であっても、それを行うことは精神衛生的にも良い方向に働くはずだ。
二人がケーキを食べ終える頃に、ソラが再び戻ってくる。今度は気の進まない表情のヒメも一緒だ。後ろに隠れている。
「はいお待たせ。パンケーキにマカロンと、今日の気紛れセット」
「なんでホットサンドまで追加してんだよ」
「手軽に作れるし軽食には最適だからね。最近ハマってるんだ」
「デケェんだよ、軽食のサイズじゃねぇわ」
「でも君はコレ食ったあとで夕飯も食べるだろ?」
「俺の胃袋を基準に考えるな」
「大丈夫。そんなサイズ出すの君ぐらいだから」
エヌラスの前に置かれるビッグサイズのホットサンド。それに付け合わせでスープと、チョコレートサンデー。
アビゲイルの前に置かれたパンケーキの上には、バターではなく小さな生クリームが乗せられていた。ナイフで広げてから、切り分けて口に運ぶ。ショートケーキのような味わいに真剣な顔で頬張っていた。
ユゥユゥは見慣れない洋菓子をつまみ上げて、少しだけ怪訝な表情をしながら一口。ふわりとした風味に、食べやすい大きさの甘味が気に入ったのか一つ一つを味わいながら食べ始めている。
感想は聞くまでもないだろう。
「それで? そっちの二人が君のサーヴァントってことでいいの?」
「ああ。師匠は参戦しないで監督役に徹するらしいからな。召喚権を譲ってもらった」
「それで二人か。なるほど、戦力的には君のところが一歩リードってところだね」
「で、お前は?」
「……見ての通りだよ。アサシンだってさ」
「引きこもりの間違いじゃねぇの?」
「まだ自己紹介していないのに姫のこといじめ過ぎじゃない!?」
「一人称が「姫」とかいうやつが陽キャなわけねぇだろうが」
「グハァッ!!!!」
精神的クリティカルに崩れ落ちる。
サーヴァント、アサシン。刑部姫……それが、電脳国家国王・琴霧ソラが喚び出したサーヴァントの正体だった。互いに争い合うわけではない以上、情報共有は大事だ。
「う、うぅ……もうやだ、引きこもっていたい……マーちゃんのお城に帰りたい」
「ダメに決まってるじゃないか。君のことを現界させておくメリットが僕にはないんだから、せめてお店に貢献してもらわないと」
「そういやお前、魔力どうしてるんだ?」
「電力で賄ってるよ。魔術は扱えなくても、エネルギー開発は注目してたし。疑似魔力って形で彼女を維持してる。今のところ不都合はないけれど、接続が切れると供給が断たれるのは難点かな」
「現在、どれぐらい情報集まってる?」
「興味本位でサーヴァント召喚したからには、僕も戦争に無関係じゃないからね。こっちで特異点の測量を始めてる。ただ困ったことに――今現在、サーヴァントの反応が増えてきてる。はぐれサーヴァントか、はたまたシャドウサーヴァントか。そこまではわからないけどさ」
ソラがタブレット端末を取り出して画面をタッチする。すると、テーブルの上に映し出された。宙をなぞるように手をスライドさせると、画像が切り替わる。
「他、詳細は無事に式典が終わってからかな? 今はうちも忙しいし、準備期間ってことで情報収集に専念してるからさ」
「わかった。なんか緊急の用事があったら俺に知らせてくれ。戦力で言えば俺が一番だしな」
「厄介事は全部投げるからそのつもりで」
「ふざけんなこのクソメガネ。ごちそうさん」
会話の傍らで口に運んでいたホットサンドを平らげて、エヌラスがスープを飲み干して流し込んだ。いつの間に、という速度に驚いている面々の前で間髪入れずにチョコレートサンデーに手を付けている。
「そういえば、ユウコもサーヴァント召喚したみたいだよ」
「ほー? あとで見に行くか」
「うちにも来てくれたけど、まぁ、何ていうか……破茶滅茶に明るい人だったよ」
「日陰者は辛いな」
「やめろよその哀れんだ目! というか僕を日陰者扱いするな、影は薄いかもしんないけど君等が円滑に作業できるように裏で頑張ってるんだからな!」
「いつも助かってるわ、縁の下の貧弱眼鏡」
「君みたいにサバイバル能力カンストしてりゃ苦労してないっての! お代はこちらぁ!」
すぱぁん!と、テーブルに伝票を叩きつけながらソラが腕を組んだ。その値段を見て、エヌラスが眉をひそめる。
「いつもより安くないか?」
「割増にしてやろうか、慰謝料で。サーヴァント割引だよ、今後ご贔屓に」
「へいへい。その時は頼むわ」
ソラは知らないが――エヌラスが贔屓にしているのはこの喫茶店だけだ。
会計を済ませて教会へと向かう姿を見送って、どっと疲れが押し寄せてきたのか刑部姫が肩を落としてため息を吐く。
「どうしたの、姫?」
「んー。マーちゃんの友達、怖いなぁって」
「大丈夫だよ。あいつはああ見えて性格はクソ野郎だけど姫のこと嫌いじゃないみたいだからさ」
「……どう考えても姫の精神をへし折りにきてると思うんだけど?」
「あいつ、誰にでもあんな感じだから大丈夫」
「姫が大丈夫じゃないんですけど」
「帰ったらパソコンあげるから、好きに使っていいよ」
「え、ホントに!? やった……」
小声でガッツポーズをする刑部姫に、ソラは眼鏡を直した。
「ただ、ひとつだけ僕は姫に言いたいことがあるんだ」
「え、なに?」
「大したことじゃないんだけどね」
「もったいぶらないで言ってよ。聞くだけだったら、聞いてあげるから」
「……なんで眼鏡外したの?」
「………………もしかして、マーちゃんって眼鏡フェチ?」
「話すと少し長くなるけど聞きたい?」
「あ、ううん。いいです、遠慮しておきます……はい」
サーヴァント:琴霧ソラ
アサシン:刑部姫