また暑くなってきて外に出たくないマンになっているので初投稿です。
合宿とかいう青春そのものなイベントが襲い来るRTA、はーじまーるよー。
今回はアフロディが色々言うだけ言って去って行ったところから。
響木監督の水を差す一言のせいで場の空気が一気に重くなってしまいましたね。イナイレの監督、とにかく言葉が少ないのを何とかすればもう少し効率よく物事が進んでいくと思うの。
とりあえず、響木監督の言葉はどうあれ、まだホモくん達は練習中の身です。響木監督の意向もあり……というか第二のアフロディとか影山の手先が来るとかの可能性も踏まえ、場所をイナビカリ修練場に変えることになりました。
監督やマネージャー、豪炎寺と鬼道は円堂のことを見守ることになりますが、他のメンバーは見ているだけというのも時間の無駄なので他のマシンで練習することになります。……が。
一年+目金が! 戦意喪失しかけて座り込んだまま!
この通り、アフロディのシュートを見たこともあってか、実力差を感じて落ち込んでしまいます。こんなんじゃ練習になんないよ~。
このまま放置しておくと、ちゃんと練習している二年生達がわざわざ声をかけに来たりして練習を阻害することになってしまいます。染岡達の経験値のためにも何とかしたいところではありますが、これを言葉一つで立ち直らせるには円堂並みの好感度がないと無理でした(6敗)。
どうせこの後合宿云々で気分が上向いてくれるので、ここは必要経費だと思い、ホモくんは練習に励むとしましょう。
あ、染岡達が声をかけに行きましたね。別に言ったところで好感度の変動があったりするわけでもないため、ホモくんはそのまま練習を続けます。今は一分一秒でも惜しいです。
……なんかそういう態度からまた何かしら影山関係で勘ぐられたりするかもしれませんが、もうそれは何をしても避けられないような気すらしてきたので、いっそ気にせずやっていきましょう。ファイアトルネード治療法の後であれば、その程度なら会話の時にちらっと大丈夫アピールすれば何とかなります。実際精神デバフ入ってないしね。
なんか円堂の方からは鬼気迫る声が聞こえてきたりしますが、今は彼を信じて、ホモくんはホモくんのやれることをやりましょう。
そうやってしばらく時間を潰していると、響木監督から集合の号令がかかります。
「……よし。全員、一度集合だ」
はーい。
呼び出されたら素直に向かいます。練習は中断です。
ただし、中途半端なタイミングでやめると特訓内容次第では怪我をしかねないため(レーザー銃とか)、それを踏まえた上で適当なタイミングで離脱します。
「集まったな。突然だが、今日は合宿をやることにする」
「合宿?」
「ああ。学校に泊まって、みんなで飯でも作ってな」
ファッ!?
こ、こんな状況なのに合宿とか、空気緩ま……空気緩まない?
ま、それが目的なんですけどね、初見さん。
今の雷門イレブンは、影山と因縁のない二年生(-目金)を除き、戦意喪失するか思い詰めてるかの二択の状態です。このままじゃまともな練習になんないよ~……ということも踏まえると、ここで一度楽しい行事でも挟んで気分転換をしようというのはわりと良い手だったりします。事実、一年生たちを始めとして、一気に気分が上向いていますね。単純すぎィ!
……ただし一人を除いて。
「待ってください監督。飯でも作るって、そんな暢気なこと言ってる場合じゃ…………」
この通り、円堂は先程のアフロディとの対決もあってかなり思い詰めている状態です。むしろ合宿云々というのは追い詰めることにしかなりません。
かろうじて精神デバフこそ入っていませんが、危険域なこともまた事実。何なら下手な発言をしてしまえば好感度が下がってしまう恐れもあります。ということでここは見守るだけに留めましょう。
「世宇子との試合は明後日なんですよ。それまでにマジン・ザ・ハンドを完成させないと……」
「──出来るのか?」
明らかに焦っている円堂に対し、響木監督は淡々と「今の練習方法で習得はできない」とダメ出しをします。だから言い方ェ……。
まあ、言い方こそアレですが、確かに根を詰めていても良いことはありません。鬼道や一之瀬が賛同したこともあり合宿は決行、午後五時に荷物を持って集合することになりました。
……明らかに円堂の様子が暗いですが、なんだかんだでデバフの発生するレベルではないため、声をかける必要はありません。
ただし、ここで合宿楽しみムーヴをするよりは、円堂を心配したり「本当にええんやろか……」みたいなムーヴをしていた方が多少円堂の好感度が上がりやすくなるため、決して浮かれポンチにならないように。じゃけんそれとなく心配げな視線を送っておきましょうね~。
では、一旦荷物を取りに家に帰ります。
あっ、おい待てぃ(江戸っ子)。こうなると決まってたなら最初から荷物持って練習に来れば行って戻る時間を練習にあてられただろ、と思う視聴者兄貴達もいるかと思いますが、走者が試してみたところ、それをやるメリットはあまりありませんでした。
というのも、まずどちらにせよ親に説明をしなければならないのが一点。これについては携帯を持っている場合であれば電話で説明するということも可能と言えば可能なのですが、家庭環境次第では心配されて会話が長引いたり翌日帰ってから色々と話をされたりと結果的にロスになってしまうことがありました(3敗)。
ホモくんの家庭は今までの様子を見る限り放任主義とはいかずとも自由にさせてくれる感じでしたが、流石に泊まりともなれば事情が違ってくるかもしれませんし、ならさっと帰ってさっと説明してさっと戻ってきた方がロスが少なくなります。お祈りポイントは少しでも減らしておきたい走者ごころ。
また、今日に限って宿泊用の荷物を持ってきていたりする理由を説明するのが非常に面倒臭いです。これを避けるには普段から荷物を持ち歩くようにすれば問題ないのですが、それはそれで毎日毎日荷物を準備するのに手間取って細かいロスが積み重なり、結果として大してタァイムが変わらなくなってしまいました。
……というか、他の部員が一旦帰って戻ってくるまでにそこまで時間があるわけでもないし、一人かつ短時間での練習で得られる経験値なんて限られてますからね。ハイリスクローリターンがRTAでチャートを組む上で推奨されないのは当たり前だよなぁ?
そういうわけで、今チャートにおいては一度帰宅するパターンを選択しました。余程特殊な家庭環境を引き当てなかった限りは無難な選択をすることを強く、お勧めします。
あっ、そうだ(唐突)。折角携帯持ちなので、帰り道で先に電話で両親に事情を説明しましょう。そうすれば自宅での説明の時間が短くなる、あるいは全カットされる他、運が良ければ荷物の準備を手伝ってもらえたりもします。
早めに行って余った時間で練習をするのであればロスは発生しないので、ないよりマシ程度ではありますがやっておいて損はありません。
かくかくしかじか。……意外とあっさり許可が取れましたね。まあ帝国行く予定だったっぽいホモくんを特に何もなく雷門に送り出していたくらいですし、やっぱ自由な家風なんすねぇ。
折角なので着替えやなんかの準備をお願いしつつ帰路を急ぎましょう。帰って……お、お母さんが鞄を手渡してくれました。一応中身を確認しておきます。
着替えヨシ、タオルヨシ、その他諸々合宿にあたって必要なものは一通り揃っていますね。今日くらいは夜の勉強タイムを無しにしても良いでしょう、どうせ知力は足りてますし。ということで勉強道具一式は鞄に入れなくて大丈夫です。
母親にお礼を言ったら、鞄を持って急いで戻りましょう。わっせ、わっせ。
戻りました。
まだ他の部員は誰も来ていませんね。何なら監督もいません。
「あら。早いわね、星崎くん」
あ、夏未はいました。他にも生活指導の菅田がいます。なんでも、合宿を行うにあたって教師から同伴者を出すことになったそうです。
さて、せっかく時間があることですし、イナビカリ修練場の使用許可を取っておきましょう。一人で練習するならあそこが一番効率がいいです。オッスお願いしま~す。
「え? ……構わないけれど、無理をしていたりはしないわよね?」
大丈夫だって安心しろよ~。(折角の時間を無駄にしたくないってだけなのでメンタルの方は問題)ないです。
ちゃんと皆さんが揃ったら合流しますので! オナシャス! センセンシャル!
「……嘘ではないようだし許可するわ。でも、私が呼びに行ったらすぐに練習を切り上げるように」
おかのした。
許可も下りたので早速イナビカリ修練場に向かいます。今のステータスから鑑みて、伸ばすべきは……うん、敏捷・器用あたりですかね。レーザー銃の方を使いましょう。
今日はもうTPを使う機会がないため、出し惜しみをする必要はありません。良いタイミングがあったらバンバン【そよかぜステップV2】を使っていきます。
……う~ん、この調子だとレベルアップはあと一回が限度ですね。となると、レベルアップ分は筋力と精神に振る感じになります。
出来れば【蓮華の舞】もあるし耐久にも振っておきたかったんですが、【蓮華の舞】はG進化なこともあって元々の威力が高いため、今のステータスでも十分使えるレベルです。確実性には欠けてしまいますが、元々確率次第で突破されるのは想定内ですし、仮に突破されても威力が落ちたシュートなら円堂が止めてくれるのでヘーキヘーキ、ヘーキだから!
ひたすらにレーザー銃を避け続け……おっ、装置が止まりましたね。
「星崎くん、全員揃ったわよ」
夏未にイナビカリ修練場を使う旨を事前に伝えておけば、円堂が学校に到着したらこうして呼びに来てくれます。
わざわざ来てくれたことにお礼を言い、みんなが集まっている今日の宿泊先、講堂へと向かいましょう。
……の前に。ギリギリレベルアップしたので、先程も言った通りポインヨを筋力と精神に半分ずつ割り振っておきます。
残り一日の練習でレベルアップするのはまず不可能なので、このステータスで世宇子戦に臨むことになりますね。ステータスのバランスだけを見ればいささか器用貧乏気味ですが、そもそものレベルが明らかに推奨レベルを超えていることもあって全く問題はありません。
そしてまた必殺技を習得しました。この間習得したばっかりですが、まあ稀によくあることです。
使い物になる必殺技だといいんですが。さて、どれを習得したのかな~?
【アリアンロッド】
あっ……(察し)。
【アリアンロッド】は山属性のドリブル技です。属性一致ですわーい。
……はい。山属性のドリブル技、そして先に習得していた山属性のドリブル技である【石巌乱舞】よりも威力が高いです。よって威力の差もあり、【石巌乱舞】がこれにてクビだクビだクビだ!
【アリアンロッド】、名前だけは聞いたことがある方も多いかと思いますが、元ネタはケルト神話の女神です。厳密には名前がアリアンフロドだったりもするそうですがそこらへんは割愛。
技の演出としては、上空に蹴り上げたボールが月と重なり、次の瞬間に銀色の車輪と化して地面に落下、そして進行方向の敵を蹴散らしつつ爆走し、一定距離進んだところでボールに戻る、というものです。元々のアリアンロッド(アリアンフロド)という名前がウェールズ語で銀の車輪、あるいは円盤を意味していることもあり、それを意識したものとなっております。
周囲全体を吹き飛ばせた【石巌乱舞】に比べると直線上の相手しか蹴散らせませんが、それでも威力の差は大きいですし、なにより移動距離が作中屈指の長さだったりします。相手に邪魔されずにボールを長距離運べるのはウレシイ……ウレシイ……。
では、必殺技の確認も終わったので今度こそ講堂へ向かいます。イクゾー!
合宿というだけのことはあり、今日は講堂で雑魚寝をする形となります。ご覧の通り既に布団は敷いてくれているため、空いている布団の傍に荷物を置きましょう。
布団は好感度が最も高いキャラの隣になります。端になると一番好感度が高いのが誰かを確認できる他、両隣がいる場合はトップ2が確認できるため、第二部に向けて好感度を確認するのに非常に有難いです。この配置を踏まえて今後の好感度調整を行いましょう。
今回は円堂の隣、かつ端でした。正直染岡とどっちが上か気になっていましたが、まだ円堂の方がリードしているようです。円堂の好感度はいくら上げてもいいので、今後もガンガン上げていきます。
……それはいいんですが、一部のスペースがやたら枕が散乱してるわ染岡がキレながら音無も含めた一年生を追いかけてるのは何なんですかねぇ……鬼ごっこか何か?
ま、実際は枕投げしてたらその流れ玉が染岡に当たったってだけの話なんですが。いくら気分転換も踏まえた合宿とはいえ、明後日の決勝への緊張感が無さすぎるんだよなぁ……。
さて、荷物を置いたらいよいよ料理のターンです。……が、肝心の円堂は料理には混ざらず、講堂の外で特訓ノートを読み始めます。目が悪くなっちゃ^~う!
というわけで円堂抜きで料理を始めることになります。作るメニューは定番も定番のカレーです。料理はミニゲーム形式で行われ、器用が高いほど成功率が上がり、上手く作れれば全員の好感度が上がるというボーナスもあります。
……でもこれRTAだからね、余計な好感度とかいらなくない? そしてこのミニゲーム、放棄できる方法が一つだけあってですね。ホモくんの料理の腕前、見たけりゃ見せてやるよ。
まずは皮を剥いたじゃがいもをまな板の上に転がします。そして包丁を頭上高くに構え──破ァ!
はい、ちゃんと半分に切れましたね。……そしてついでにまな板も真っ二つになりました。何で?
このように、料理において戦力外であることを積極的にアピールしていきます。こうやって好感度を無駄に下げることなくミニゲームを回避するって寸法よ。なお、まな板の犠牲については筋力が一定ステ以上あればよくあるこった、気にすんな!
「ちょ、ちょっと何やってるの!?」
えっ、じゃがいも切ってたんですけど……。
「待て星崎、包丁を持ったまま人に向き直るな!」
「あわわ……ま、まな板が真っ二つになってるっス……」
まな板? なんか急に割れて……もしかしたら不良品か、長く使って老朽化してたのかもしれませんね(すっとぼけ)。
まあ半分になっても野菜を切るだけのスペースはあるのでヘーキヘーキ。
「…………星崎。悪いが、円堂の様子を見に行ってくれないか? 野菜は俺達の方で切っておく」
アッハイ。
鬼道にそれとなく包丁を取り上げられました。やったぜ。
このように、料理が壊滅的にド下手くそアピールをすることでミニゲームを回避することができます。包丁の使い方がヤバイパターンの他、ここまでにポイズンなクッキングの腕前があることを部員に周知することで回避するという手もありますが、そっちは仕込みのために時間を取られてロスになるのでんにゃぴ……。
では、鬼道にも言われたことですし円堂の元へ向かいましょう。長話に備え、椅子も持っていきます。
ここで円堂に話しかける際に注意すべきなのは、円堂も響木監督も、どちらのことも全肯定してはいけないという点です。円堂の方を全肯定したら精神的に追い詰められて好感度が下がり、響木監督を全肯定すれば緊張感が無いみたいな扱いを受けてこれまた好感度が下がります。中立かやや円堂寄りの言葉をかけるのがベストです。
というわけで……すいませへぇぇ~ん、ちょっと隣いいっすか?
* * *
心臓がポイント、後はヘソと尻。
何度考えても、マジン・ザ・ハンドの極意はわからない。このままじゃ世宇子の……あのアフロディという選手のシュートは防げないのに、ただ時間だけが過ぎていく。
合宿だなんて、響木監督は本当に何を考えているんだろう。一年生を始めとしたメンバーが明後日の決勝のことなんて忘れたかのように浮かれていることもあって、自分の中の焦りがじわじわと増していく。
焦っている状態で頭を回してもどうにもならないなんてこと、本当はわかっている。それでも、今はマジン・ザ・ハンドを習得する以外に勝ち目なんてない。そうやって、また思考がドツボに嵌まっていって……。
「円堂先輩、少し良いですか?」
不意に耳に届いたその声に、反射的に顔を上げる。そこには、今は料理をしているはずの星崎の姿があった。
「星崎……あれ、もしかしてもう夕飯出来上がったのか?」
「いえ。さっきまでは野菜を切っていたんですが、円堂先輩の様子を見てきてほしいと鬼道先輩が」
「そっか、鬼道が……」
鬼道は、一度マジン・ザ・ハンドのことを忘れてみるのも良いと言っていた。きっと自分の様子を見かねて星崎をこちらに向かわせたんだろう、ぼんやりとそう考える。その心遣いを嬉しいと思う気持ちがあるのも事実だが、今はそれ以上にマジン・ザ・ハンドのことを何とかしたかった。
星崎もそんな自分の考えに気付いたんだろう、どこか心配げな表情がその顔に浮かぶ。そして持ってきていたらしい椅子を自分のすぐ横に置くと、ゆっくりとした仕草で腰かけた。
心配をかけてしまったんだろうか。なら大丈夫だと声をかけないと。それか、また相談に乗ってもらって、マジン・ザ・ハンドの糸口を掴もうか。
しかしそんな考えは、再び口を開いた星崎によってすぐに吹き飛ばされることになった。
「……円堂先輩。忙しい時にこういうことを言うのはどうかと思うんですが、少しだけ僕の話を聞いてくれませんか?」
「星崎の?」
「はい。明後日の決勝戦に向けて、気持ちを整理しておきたくて。……色々と思うところがあるのは先輩だけじゃないんですよ?」
「え……お前もなのか?」
思わず目を見張れば、星崎はどこか冗談めかしてウインクする。けれどその瞳の奥には、確かに不安の影が見て取れた。
……考えてみれば当然だ。だって世宇子には影山がいる。鬼瓦刑事が言っていた、伝説のイナズマイレブンが敗退した原因、豪炎寺の妹の事故を起こしたかもしれない──そして、星崎の兄を事故に遭わせた男。ああやって話してくれたとはいえ、それで複雑な気持ちがゼロになるはずがない。
でもその考えは甘かったのだと、次の瞬間に思い知る。
「あの時ああして僕のことを叱ってくれた先輩達には申し訳ないと思うんですが……結局のところ、僕は影山への復讐心を完全に捨てたわけではないんです」
「──え?」
あまりにも衝撃的なその言葉に、思わず星崎の顔を凝視する。
「僕は今でもあの男を許せない。この気持ちはきっと、彼に正当な裁きが下されるまで……もしかしたら下されたとしても、消えることはないんだと思います。もうこの気持ちは兄さんを想うが故なんて言葉で言い繕うのは許されないくらいに頑なで、僕の独り善がりでしかないと分かっていても捨てきれない、そんな所にまで来てしまったから」
そう言って俯いた星崎の顔に、さっきまでのような自分への気遣いは見て取れない。だからこそ、それが間違いなく本心だとわかる。
「それは……」
「────でも」
どう言葉をかけようか悩んで、それでもただ聞いていることはできなくて、反射的に声を出す。けれどそれは、他でもない星崎が顔を上げて真っ直ぐに自分に向かい合ったことで途切れる。
そこには、どこまでも真っ直ぐな気持ちがあった。復讐だとかそんなものは関係ない、サッカーへの熱い思い。
「でも、今の僕はそれだけじゃない。ううん……それ以上に、この雷門イレブンというチームで、みんなで優勝したいという気持ちがあるんです。それは、復讐心がどうとか、そういうことで損なわれるものじゃない」
「星崎……」
「方向性は違っても、今の円堂先輩の悩みと僕のこの気持ちは、きっと似た解釈ができるんだと思います。鬼道先輩はああ言ってましたけど、何もマジン・ザ・ハンドのことを完全に忘れる必要はないんです。ただ、それだけに捉われてはいけないってだけで」
「……そっか。それだけに捉われちゃいけない、そういうことだったのか」
「サッカーは円堂先輩一人だけでやるものじゃないですから。それに、思い詰めるとむしろ悪い方向に転がりかねませんよ? 前の僕みたいに」
どこか茶化すような言葉で締めくくり、星崎が微笑む。その言葉に、その姿に、どこか凝り固まって頑なになっていた感情が柔らかくなっていくような、そんな気がした。
そう、マジン・ザ・ハンドのことを考えてもいいんだ。それに悩むのは、決勝を控える今、当たり前のことなんだから。
それだけを見ていたらダメなんだって、言ってしまえばただそれだけのこと。ましてキャプテンである自分がそんな調子なら、他のみんなはどれだけ不安だっただろう。
今なら響木監督がマジン・ザ・ハンドを習得できないと言っていた理由がわかる。マジン・ザ・ハンドのことだけを考えて他が目に入らないんじゃ、一人でひたすらに焦るだけじゃ見えるものも見えてこない、きっとそう言いたかったんだ。
「…………よし!」
気分を入れ替えるために、さっきまでの自分を吹き飛ばすために両方の頬を叩いて喝を入れる。
もう一度、はじめから考えてみよう。今ならさっきまでは見えてこなかった何かが見えるかもしれない。もしもまた悩みが行き過ぎてしまっても、きっと星崎達が止めてくれるから大丈夫。
「ありがとな、星崎。おかげで目が覚めたぜ!」
「……はい!」
いつも通りとはいかなくても、さっきまでに比べればずっと晴れやかな気持ちで笑顔を浮かべる。星崎も、それに応えるように弾けるような笑みを浮かべた。
そうして気持ちも新たに特訓ノートに向き直る。
まずはこの心臓がポイントという言葉の意味を理解しなければと、今度は星崎と一緒に考え出し────。
「出たッスーーーーーーーーーーーー!!」
……とんでもないデカさの壁山の悲鳴で、またしても考えが吹き飛ぶことになった。
そして壁山から始まった幽霊騒動は、壁山と一緒にいた影野が大人の姿があったと言ったことでもしかしたら影山の手先かもしれないと大事に発展し……けど結局のところ、その正体は合宿の話を聞きつけてやってきた伝説のイナズマイレブンのメンバーの四人だった。
髪村さん、会田さん、民山さん、備流田さん。四人が持ってきたのは、四十年前に使われていた『マジン・ザ・ハンド養成マシン』。ただ、四十年前にはこれを使ってもあと一歩のところで完成しなかったらしい。
でもそれは、あと一歩のところまでは行ったってことだ。なら、これを使えば今度こそマジン・ザ・ハンドを習得できるかもしれない。
星崎も同じ考えだったんだろう、目が合うと同時に強く頷き合う。響木監督も、習得できないかもしれないとは言っても、今度こそ駄目だとは言わなかった。
四十年前の古びたマシン。みんなの力を借りて、それを少しずつ攻略していく。
何度もトラップに足を取られ、吹き飛ばされ、時にはベルトコンベアの動きに足を取られる。それでもひたすらに前へ進む。尻の位置を低く、ヘソに力を入れて。少しずつ、少しずつ前へ。
そして何十回目の挑戦かも忘れた頃──ついに、マシンの反対側に足がついた。
「やった…………やった!」
まだマジン・ザ・ハンドが完成したわけじゃないとはいえ、大きな一歩を踏み出したことに、その場が歓喜に湧く。
でも、これで使えるようになったんじゃなければ意味がない。すぐに響木監督の指示で第二ステップとして実際に使ってみることになった。
「いいな円堂、さっきの感じを忘れるな!」
「はい!」
そして自分の代わりに響木監督を加えて打たれたイナズマブレイクを迎え撃つ。
ヘソと尻に力を入れて、さっきのマシンで掴んだ感覚を忘れずに。そしてポイントは、心臓!
「マジン・ザ・ハンド!」
合宿の前とはまるで違う。桁違いのパワーが自分の中にあふれるのを感じる。
行ける、その感覚のまま右腕を突き出して──でもその感覚とは裏腹に、膨れ上がったはずの力は霧散して、ボールに弾き飛ばされるままゴールネットに叩きつけられた。
何度やっても、何度やっても、最後の所で力が足りなくなる。何度目かのシュートに吹き飛ばされて、悔しさから拳を地面に叩きつける。
「監督……」
「ああ、何かが欠けている。何かはわからないが、根本的な何かが」
やっぱり駄目なのか。俺じゃあ、じいちゃんのマジン・ザ・ハンドを習得することはできないのか。
みんなの空気も、だんだんと暗いものになっていく。これじゃ結局世宇子に勝つなんて無理なんじゃないか、思いたくはないのにそんな考えが浮かんでくる。
……けれど、そんな思考はまたしても星崎の言葉で破られた。
「……でも、少なくともあのマシンを使うまでとは全然違います。何かが欠けているというのは、逆を言えば、その何かさえわかれば今度こそ習得できるってことのはずです」
「それはそうだが、その何かがわからないんじゃ……」
「わからないからこそ試行錯誤するんです。何より、もし仮にマジン・ザ・ハンドが完成しなかったとしても、それで僕達が負けると決まったわけじゃありません」
「そうよ! 10点取られれば11点、100点取られれば101点、取られた分だけ取り返せばいいんだから!」
星崎だけじゃない。木野もまた、自分達を信じて声を張り上げる。その言葉に、さっきまでの暗い空気が一気に覆された。
ああ、そうだ。さっき星崎が言っていた通り、サッカーは俺一人で戦うものじゃない、みんなで戦うものだ。豪炎寺達が点を取って、守るのだって風丸達もいる。まだ勝負は始まってすらいない。こんなところで諦めるわけにはいかないんだ。
そして何より、その言葉が、決してキーパーの自分の力が疑われているわけでもなんでもないことを知っているから。
「それに、今までだって、試合中に必殺技が完成することは何度もありました。マジン・ザ・ハンドだけがそうならないとは限らないはずです。試合中だからこそ気付ける何かがあるかもしれない」
星崎の言葉に、みんなが力強く頷く。それは、自分のことを信じてくれているということに他ならない。
みんな、自分のことを信じてくれている。マジン・ザ・ハンドが完成するにしても、もししなかったとしても、最後にはゴールを守ってみせると背中を任せてくれる覚悟がそこにある。それは、マジン・ザ・ハンドを完成させることよりもずっとずっと大切なものだ。
「ああ! ──俺達の底力、見せてやろうぜ!!」
強く強く、ありったけの思いを込めてみんなで拳を突き上げる。
この絆こそが雷門の武器なんだと、そう示すようなみんなの姿が、何よりも強い支えになる。だから勝てる、勝ってみせる。
意識することもなく、心からの笑みがあふれ出す。もう、心の中に憂鬱な気持ちは少しも存在しなかった。
・ホモくん
ファイアトルネード治療法を経て精神が安定している。
別に復讐心が消えたわけではなく、あくまで復讐<雷門の絆になっているだけ。だけではあるが、それが全てを物語っているとも言える。
【火雷】…日本神話の火雷神
【蓮華の舞】…インド神話のパールヴァティー
【アリアンロッド】…ケルト神話のアリアンフロド(アリアンロッド)
もしかして:ギリシャ神話 VS 日本神話&インド神話&ケルト神話の局地的神話大戦勃発
・円堂
実は走者が関与していなかった間にさらっと鬼瓦刑事に影山の話を聞くイベントが発生していた。走者が他の人がいる日のタイヤ特訓を避けていたせいで気付かれなかっただけ。
いつもはカウンセリングする側だったのがカウンセリングされる側になったし、なんだかんだで原作通りかそれ以上に前向きな気持ちになった。
でも星崎に精神面のサポートが任せきりでこれ第二部で大丈夫かわかんないね……。
・夏未
鬼瓦刑事からあれやこれや聞いたので星崎兄の事情も知っている。ので心配していた。
杞憂だったので……杞憂だったんだろうか? まあとにかくデバフは入っていないので一安心。
・【アリアンロッド】
一定距離を銀色の車輪として走った後にボールに戻る。つまり、人間を吹き飛ばせるくらいのスピードで走ったはずの車輪よりも先に、技を使った人間の方が終了地点に到達しているのである。
……超次元!