イナズマイレブンRTA 雷門ルート   作:nrnr

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 まだまだ合流まで辿り着かずにもだもだしているので初投稿です。


 そして、再びホモくんのファンアートをいただきました。豆腐餅様、ゆーぼ様、本当にありがとうございます!
 特に豆腐餅様からいただいたものは何ヶ月前だよというレベルなので本当に申し訳ありません……。


【挿絵表示】


 豆腐餅様よりいただきました。
 もう何ヶ月経てばホモくん&清司ニキのこんなほのぼのが見れるようになるのか。これも全部影山ってやつの仕業なんだ。



【挿絵表示】


 ゆーぼ様よりいただきました。
 女装ホモくん、確かにこんなの見せられたら性癖が歪んでも仕方な……仕方なi……いややっぱ駄目だろ子供向けアニメやぞ!(さりげなく某氏を庇うポーズ)
 


パート37 沖縄にて

 

 ホモくんの精神を犠牲にしてまだまだ隠遁生活するRTA、はーじまーるよー。

 

 

 

 今回は佐久間と不動が雷門イレブンに加入したところから。

 レズちゃんくん、もといホモくんが雷門イレブンに戻るまでの間に少しでもギスギスが薄まるようにお祈りしておきましょう。円堂なら多分何とかしてくれるから大丈夫だって安心しろよ~。

 

 さてホモくんですが……まだ女装はやめられませんが警察内部であれば本名を名乗っても問題ないのでホモくんと呼んでいきましょう、はい。

 これからホモくんは鬼瓦刑事が言っていた通り沖縄に向かうことになります。ちなみに移動手段はヘリです。えぇ……(困惑)。

 船や飛行機なんかの普通の移動手段だとエイリア学園に襲撃される可能性が無きにしも非ず、という理由らしいです。変装こそしているものの、万が一には備えておかないといけないってワケですね。しかも鬼瓦刑事を始めとした警察官数人が護衛してくれるので安心度は倍率ドン。ここらへんでエイリア学園にちょっかいを出されることは絶対にないので安心して、どうぞ。

 

 

 沖縄に到着したら、あまり人目につかないルートを使って車で移動します。運転は鬼瓦刑事、他の護衛の警察官とはあまり大人数だと目立つこと、そしてホモくん達の囮になる意図もあってここでお別れです。

 しばらく車を走らせると、周囲の風景があまり周囲に建物があったりはしない……言ってしまえば田舎に変化していきます。そして更に車を走らせること数十分、ようやく車が止まった海沿いの場所にはそこそこ古めの一軒家がありました。

 

「到着だ。君にはお兄さんの保護の準備が整うまでの間、この家で居候してもらうことになる」

 

 アッハイ。

 

「安心してくれ、ここに住んでいるのはいいヤツだからな。きっと君の助けになってくれるはずだ」

 

 では、会話もそこそこに車を出てインターホンを押しましょう。

 

「はーい!」

 

 そしてドタドタと慌ただし気な音と共に扉が開けられ、そこから現れたのは……どう見ても小学校低学年程度の男の子でした。は?(困惑)

 

「あ、鬼瓦のおじちゃんだ! こんにちはー!」

「雷雲くん、久しぶりだな。ところで、今お兄さんはいるか?」

「待ってて、今呼んでくる! おーいにいちゃーん!」

 

 ……初見兄貴はちょっと困惑するかもしれませんが、実際にお世話になるのはこの少年ではなくこの子の兄である土方雷電という人物なのでご安心を。ゲーム版では喜屋武でしたが、今作は基本的にはアニメ準拠のストーリーのため、彼女がここで登場することはありません。

 彼と鬼瓦刑事の関係は、土方の親と鬼瓦刑事が知り合いであることによるものらしいです。だからこうして協力者として居場所を提供してくれたりするんですね。

 はい、雷雲くんとやらに連れられて大柄な少年……少年?が奥から出てきました。彼こそがこれからしばらくの間お世話になる土方雷電です。

 

「おやっさん、久しぶりだな! ……ってことは、そいつ……が、例の? どう見ても女に見えるんだが……」

 

 はじめまして、ホモくんです。

 (あと女じゃ)ないです。ただ変装してるだけなんだよなぁ。

 

「そ、そうだったのか、そいつは悪ぃ。俺は土方雷電だ、よろしくな」

 

 オッスよろしくお願いしま~す。

 

 はい握手。自分から女装してる身ですからね、それに対してキレたりはしないように。ただし訂正だけはしておきましょう。

 土方はべらぼうに人が良いため、余程礼儀を欠いたムーヴをしない限りは快く受け入れてくれます。口下手だろうが厨二病患っていようがツンデレだろうが、握手をしたり頭を下げたりさえすれば問題ありません。

 

「じゃあ、後は頼んだぞ。萌太くんも、あまり無茶はするな。出来るだけ人目に付かないようにすること、それから、何かあったらすぐに連絡するように」

 

 ウィッス。

 ナニワランドの件や真・帝国学園のこともあって釘を刺されてしまいましたが、元々沖縄でやれることなんてほとんどないので気にする必要なんてないです。ここからしばらくは大人しくしていることにします。

 

「よし、まずはうちのチビ達に紹介しないとな。うちは兄弟が多くて騒がしいが、気にしないでくれると助かるぜ」

 

 あ、いいっすよ。兄弟仲が良いのは良いことだからね。

 

「そいつぁそうだな! んじゃ、着いてきてくれ」

「にいちゃーん、まだー?」

「おう、今行く! ……で、あー、服はそのままで大丈夫なのか?」

 

 ヘーキヘーキ。むしろここで変装を解いて敵に見つかる方がまず味です。

 ホモくんとしても好きな格好じゃありませんが、これが兄さんのためになるなら……!(アアッ゛!)

 

「そうか、わかった。チビ達は何か言うかもしれんが、まあ、気にしないでやってくれ」

 

 はい……。

 

 土方家には現在両親がおらず、土方が雷雲を含めた五人の弟の面倒を見ている状態です。

 五人とも年齢が低いのでわりと騒がしいですが、悪い子ではないので広い心で接してあげてください。特に雷雲は実力はまだまだ未完成ながらもサッカーチームに所属しているFWだったりするため、彼の練習に付き合うなりして面倒を見てあげると土方の好感度も比例して上がっていき、好感度ガバの可能性が大幅に低くなります。

 土方はわりと初対面の人間相手には警戒心が高めだったりするんですが、こうして鬼瓦刑事経由で保護される場合は鬼瓦刑事が身元を保証してくれることでその警戒心の高さが発揮されることは滅多にありません。が、それでも念には念を入れてというやつですね。

 

「おーいチビたち、今日から一緒に住むヤツが来たぞ!」

「え、ホント?」

「ホントだ! よろしくおねがいしまーす!」

「うわぁ、きれー!」

 

 ハイ、ヨロシクゥ! あと綺麗って言われるのはんにゃぴ……なのであまり言わないでクレメンス。

 

「え、そうなの?」

 

 そうだよ。

 

「うーん……わかった! よろしくね、えっと」

 

 ホモくんだゾ。

 

「よろしく、萌太ねえちゃん!」

 

 にいちゃんです……。

 

「え? ええーっ!?」

 

 わるーい人たちに追われてるから変装してるだけで、本当はホモくんは男の子なんだゾ。

 

「そ、そうなんだぁ」

「なんかアニメみたいだね!」

 

 おっ、そうだな(適当)。

 

 とまあ、五人とも元気一杯ですので、適度に相手をしてあげましょう。普通に会話していれば好意的に接してくれるのでこれで土方の好感度は問題なし。

 あとは改めて五人から自己紹介を受け、今日からホモくんが使うことになる部屋に案内してもらい、ある程度荷解きをしたら夕飯です。

 

 居候中のご飯は基本的に土方が作ってくれます。見てくださいこの割烹着姿、地味に似合っているのが何とも言い難いですね。

 料理の腕前が良いキャラであれば手伝ったりして好感度をちまちまと上げることも可能なんですが……忘れてはいけません、ホモくんには第一部終盤で料理下手属性がついています。決してキッチンに立ち入ることがないようにしないといけません。でないと余計なロスを生みます。下手にダークマターを生み出すようなことがあったら、いくら善意からの行動とはいえ土方の好感度の減少からはああ逃れられない!(カルマ)

 

 

 夕飯を終えたらお風呂、そして就寝となるんですが……その間にこれからの動きについてざっと説明しておきましょう。

 

 これからしばらくの間、ホモくんは土方家周辺から外に出ることはほとんどできません。変装しているとはいえ真・帝国で姿を晒してるからね、しょうがないね。

 そのため、土方を相手に練習をしたり、雷雲のサッカーの練習を手伝ったりしつつ、雷門イレブンが各地でのイベントを消化して沖縄に到着するのを待つ形になります。雷門イレブンの沖縄到着と人質の保護はほぼ同時期になるように設定されているため、そこの時期のズレを気にしたりする必要はないです。

 

 ここまで言えばもうお分かりの兄貴もいるでしょうが、沖縄にいる間に獲得できる経験値はナニワランドにいた頃に比べれば塵のようなものです。悲しいね。一応土方相手の練習だとそれなりの経験値が貰えはするんですが、重りをつけてナニワランドの装置をレベルマックスまで完走したホモくんのお相手が務まるかといわれると……ナオキです。

 あっ、そうだ(唐突)。忘れるところでした、試合も終わったので重りを7kgから8kgに戻しておきましょう。こうすれば多少は効率がマシになります。

 

 そしてもう一つ、少しでも経験値を多く獲得する方法として……すいませへぇぇ~ん! この辺にぃ、もう使わないタイヤが一輪くらいあったりしませんかねぇ? あとロープ。

 特訓に使いたいんだよ~頼むよ~。

 

「タイヤ? タイヤか……わかった、暇な時に探してみるな」

 

 やったぜ。

 第一部で円堂と一緒にタイヤ特訓を行っていると……というかタイヤ特訓の存在を知っていると、こうしてタイヤを入手して特訓に使えるようになります。流石に今日すぐに用意されることはありませんが、土方が鬼瓦刑事と連絡を取ってくれて、結果現地警察が不法投棄されているタイヤを快く譲ってくれるようになるのです。早ければ明日には準備してくれることでしょう。

 今のホモくんのステであれば、キックでのタイヤ特訓も十分に可能。そうでなくてもキャッチで特訓することでGKとしての才能を伸ばすこともできます。そして重りは計32kg、取得経験値が少ないはずもなく。これで少しでも経験値の伸びをカバーしようってワケよ。

 

 そしてタイヤを吊るす場所ですが、土方家から少し離れたところに一本の丈夫な木があるため、そこを利用する形になります。やぶ〇ん先生の外伝集において豪炎寺がサンドバッグを吊り下げていた所といえばわかる兄貴にはわかるでしょうか。

 ……あ、あくまでやぶ〇ん要素はここら一帯の地理くらいなため、野生のレスラーがポップして土方家のチビ達が人質に取られるようなロスでしかないイベントが発生したりはしません。ご安心下さい。

 

 

 では、ここからはまた変わり映えのしない特訓の日常がスタートするため、倍速倍速ゥ!

 そしてまたしても暇になる み な さ ま の た め に ぃ

 

 ここからしばらくの間の雷門の動きをさらっと説明しておきます。

 

 まず雷門イレブンですが、真・帝国の一件が片付いた後、一旦稲妻町に帰還することになります。次のイプシロンとの試合までの調整と、大半のメンバーの一時的な帰郷のためですね。

 そしてここで杉森や新しく雷門に転校してきたシャドウこと闇野カゲトがイナズマキャラバンのバックアップのために動いているのを知ったり、入院組のお見舞いをしたりというイベントが発生します。

 

 ……そして、真・帝国学園での不動の染岡へのスライディングが防げなかった場合はここで彼は離脱となってしまいます。

 が、今回はレズちゃんくんが無事に回避したのでそのイベントはキャンセルだ。普通に調整して休憩して、そのままイナズマキャラバンの一員として力を振るってくれることでしょう。

 

 後は理事長達がエイリア学園の拠点の割り出しをした結果大阪にある可能性が高いと判明し、調査に向かうことになるのですが、これについてはホモくんが鬼瓦刑事に情報を渡したためカット。鬼瓦刑事が理事長達や雷門イレブンにそのことを伝え、ナニワランドに直行してくれるようになります。

 そしてほんへとはまた違う形……ナニワ地下修練場で大阪ギャルズCCCと出会い、一之瀬に一目惚れしたリカが仲間に加わり、ナニワ地下修練場での特訓を経て彼女と共にイプシロン戦へ。この試合はホモくんがいない限りは同点で中断という結果になります。

 

 そしてその後は円堂の祖父・大介の編み出した究極奥義のヒントを求めて向かった陽花戸中で円堂と同じく【ゴッドハンド】を使う立向居を仲間に加え、ついに現れたエイリア学園最強チーム、ザ・ジェネシスとの試合が勃発。そしてこの試合では好感度や今までの動き次第で更に離脱者が出てしまい、吹雪は吹雪で色々とあってメンブレ、しかも円堂がそれらを受けてメンブレしかけ、それを立向居が【マジン・ザ・ハンド】を習得してみせることで立ち直り、今度は“炎のストライカー”の噂を聞きつけたことで戦力増強のために沖縄へ……。

 

 

 こうして並べてみると、ホモくんが一時離脱したことでどれだけのタァイム短縮になったかがすごく良くお分かりいただけるかと思います。これ全部に巻き込まれてたらタァイムがお亡くなりになるのは当たり前だよなぁ?

 なお、原作では“炎のストライカー”を求めて沖縄に来たのはそれが豪炎寺かもしれないという思いが強かったこともあってですが、今回のように豪炎寺が離脱していない場合は純粋に戦力増強のためという理由になります。なので円堂達は沖縄にホモくんがいるとはまったく想像していない状態だったりもするんすねぇ。

 

 ……で、何で等速に戻ってるんですか? 次に等速に戻すのは雷門イレブンとザ・ジェネシスの試合がテレビ放送されてからって決めてたんですけど……って、不動からメール来とるやんけ!

 仕方ないので内容を確認しましょう。ふんふん、ナニワランドに来たはいいけど肝心のエイリア学園のアジトへの入り口が見つからない……?

 

 いや、鬼瓦刑事にはちゃーんとビックリハウスがそうだって伝えといたダルルォ!? 鬼瓦刑事!? 何してんすか、ちゃんと情報共有してくださいよ本当に!

 

 う~んこれは……ものの見事に屑運を引いたな?

 さっきはああ言いましたが、多分ビックリハウスまでは辿り着いてくれていることでしょう。鬼瓦刑事がガバっていない限りは。流石にそれはないと信じたい……信じたくない?

 ただ、今作では以前訪れた時にも言った通り、中々にわかりづらい場所に入るためのスイッチがあったりしますからね、そのあたりでつっかかったのかもしれません。仕方ないので細かい手順をメールで指示しておきましょう。

 

 はい、ではトラブルも処理したので倍速再開です。次は雷門とザ・ジェネシスの試合をテレビで見守るところまでですね。(イプシロンの方は出場メンバーを除けばイベントに変更なしなのが確定しているので見る必要なんて)ないです。

 お目付け役がいないのでGPがどれだけ減っても文句を言われなくて嬉しい……嬉しい……。

 

 

 今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大阪に、エイリア学園のアジトが!?」

「ああ、蓮宮司くんが偶然発見してくれてな。今は既に使っていないようだが、また戻ってくる可能性もあるし、そうでなくても何か情報が残っているかもしれない」

「そういうことだから、次は大阪に向かうことになるわ。イプシロンとの試合も近いから、早い内に済ませるわよ」

「はい!」

 

 イナズマキャラバンに加わることこそ無かったが、蓮宮司杏子という少女が残してくれた情報は今の雷門イレブンにとっては非常に貴重なものだった。

 

 エイリア学園のアジト。既に廃棄されている可能性が高いとは言うが、それでも今までほとんどヒントが無かった状況に比べればどれほど有難いものか。

 鬼瓦刑事曰く、それはナニワランドという遊園地のアトラクション、ビックリハウスの中にあるらしい。そうと分かれば話は早い、早速雷門イレブンは大阪へと向かうことになった。

 

 の、だが。

 

「駄目だぁ……全然見つからない……」

 

 ナニワランド、そしてビックリハウス自体は簡単に見つかった。当たり前だ、ナニワランドは大阪有数の大型遊園地で、ビックリハウスもマップに載っているのだから。

 ──問題は、そのビックリハウスがずっと前から営業していないこと。つまり、入り口などというものが存在しないことだった。

 

「本当に合ってるのか? まさか騙されたんじゃ……」

「いや、それにしては情報が詳しすぎる。騙すならもっと曖昧にした方が時間を浪費させられるだろう。となると、隠し通路の可能性が高いが……」

「裏の方も見たが、それらしきものは見当たらなかった。……悪いな、役に立てなくて」

「気にするな、佐久間。俺だって見つけられていない以上お互い様だ」

 

 円堂達だけではない。風丸、鬼道、佐久間──頭脳面で優秀なメンバーの目をもってしても、入り口を見つけることは敵わなかった。

 思わぬところで躓くことになった彼らは、仕方ないとはいえ意気消沈し──しかし、そんな中で動きを見せた者がいた。

 

「……待て。何のつもりだ、不動」

 

 そう、不動明王である。

 

 真・帝国の一件以降雷門イレブンに加入した不動だったが、彼は未だに雷門に馴染むことはなく、その態度もあって雷門イレブン側もほとんどが彼を敵視している状態だった。それこそ、彼には常に誰かしらが張り付いて、その言動に一つも見落としがないようにするほどに。

 そんな不動がおもむろに動き出したのだ、鬼道を始めとしたメンバーが警戒心も露わに声をかけるのは当然のことと言えるだろう。しかし当の不動はと言えば、そんな彼らのことを気にするでもなく、先程佐久間が確認して何も無いと確認したはずのビックリハウスの裏手へと歩いていく。

 

「おい、待て!」

「うるせぇなぁ、少しは周りのことを考えたらどうだよ鬼道クン。仮にも人前だぜ?」

 

 そして、不動はそのままビックリハウスの裏手、その何もない(・・・・)壁を躊躇なく押し込み──ほどなくして、ほとんど音を立てることもなく、どこか地下へと繋がる階段が彼らの目の前に現れた。

 

「こ、これって……」

「隠し通路でヤンス! まさかこんなところにあったなんて!」

 

 彼らの様子がおかしいことに気付いて着いてきていた雷門イレブンの面々が、ようやく見つけたエイリア学園のアジトの入り口と思しきものに歓声を上げる。

 だが、当然ながらそれを素直に喜べない者もいた。鬼道も、佐久間も、染岡や風丸も──不動を特に警戒しているメンバーは、知っていたのかとばかりに不動のことを睨みつける。

 

 しかし、今回ばかりは彼に非があるはずもなく。

 

「……知っていたのか」

「あのなぁ、鬼道クン。わからないっていうなら、知ってる人間に聞くのが一番手っ取り早いだろォ?」

 

 ぶらり、と不動が手に持っていた携帯の画面を晒す。

 そこにあったのは、つい先日別れた蓮宮司の名前。そして、ビックリハウスの隠し通路の場所を教える、極めて端的な文章だった。

 

 つまり、まあ。不動が彼女の連絡先を教えられているところを見ていたにも関わらずそれを忘れ、本人に聞くという選択肢をすっかり頭から追いやっていた彼らのうっかりミスである。

 

 

 

 かくしてエイリア学園のアジト──厳密には旧アジトと呼ぶべき代物だが──を見つけた雷門イレブンだったが、トラブルはそれだけに尽きなかった。

 

 まずアジトに乗り込んだ彼らを出迎えたのは、イナビカリ修練場を超えるであろうトレーニングマシンの数々。……が、ゴテゴテと、見る者が見れば可愛らしく思えるようにデコレーションされた姿。

 しかもその場にいたのはエイリア学園の選手などではなく──。

 

「ま……また知らん連中に見つけられとるー!?」

 

 大阪ギャルズCCC。大阪においては最強といってもいい女子チーム。

 つまりは、エイリア学園のことなど大して知りもしない、まるきりの一般人達だった。

 

 彼女達とて、雷門イレブンのことは知っている。知っているが、いきなり自分達のテリトリー(と言っても、ここが彼女たちの持ち物であるわけでもないのだが)に入ってきた連中を快く迎え入れるなんてことが出来るはずもなく。

 しかもここで大阪ギャルズCCCのリーダーである浦部リカが一之瀬に一目惚れをし、求婚をしたことで事態は更に急変。雷門イレブンは一之瀬の身柄を賭けて彼女達と試合をする羽目になってしまった。

 

 ……結果的には雷門が勝利したことで何とかなったが、一連の出来事で溜まったストレスは中々のもの。特に当事者の一之瀬からしてみたらたまったものじゃなかっただろう。

 しかし、それだけの苦労をした甲斐もあってか、ここでようやく雷門イレブンは彼女達から話を聞くことができた。

 

 

 彼女達の話はこうだ。

 

 元々、この場所を見つけたのはリーダーである浦部リカ。偶然に偶然が重なってこのナニワ地下修練場を見つけた彼女は、メンバーと共にここで特訓を積むことで大阪最強チームになるほどの力を手に入れた。

 しかし、それからしばらく経ったある日、彼女達が練習に来ると、そこには既に先客がいた。それこそが、雷門イレブンにこの場所を教えた蓮宮司杏子である。

 

 蓮宮司は、悪い連中に追われていたためにこの場に逃げ込んだのだと言った。流石にそんな事情があれば追い出すわけにもいかず、大阪ギャルズCCCはしばらくの間彼女も含めて練習することになる。

 

「ほーんま強い子やったで。三つのマシン、ぜーんぶレベルマックスまでクリアしとったんやもん。ポジションもFWとー、MFとー、GKやろ? ほぼ全部できるとかレベルが違いすぎるわ!」

「そんなに難しいのか? このマシン」

「そら、そのお陰でうちらはフットボールフロンティアの優勝チームといい勝負できたんやで? 性能は折り紙付き、ってな!」

「なら、それを使わせてもらえたりは──」

「……断ってもええんやけど。でもダーリンおるしなぁ~、ダーリンが頼むならもっちろん好きなだけ使ってええで!」

「あ、あはは……じ、じゃあ、お願いしたいかな……」

 

 そんな雑談を挟みつつ、そしてちゃっかりとマシンの使用許可を取り付けつつ、彼女たちの話は進んでいく。

 といっても、後は大したことはない。しばらく経った頃──つまり、彼女が真・帝国学園の元へ来る少し前に、彼女が置手紙一つを残していなくなった、ということくらいだ。

 

「置手紙って?」

「これや、これ。最後に挨拶くらいしたかったんやけど、こないな事情があるんやったらなんも言えんしなぁ」

 

 そう言って渡された手紙には、雷門の知る蓮宮司らしい几帳面な字で、確かに彼女達が納得せざるを得ない文が記されていた。

 

『大阪ギャルズCCCの皆様へ

 

 突然挨拶も無しにこの場を去ることになってしまい、大変申し訳ありません。しかし、今にも私にとって大切な人が傷つけられそうになっていること、そして私にとって因縁のある人物がその相手であることもあり、急いでこの場を去る必要がありました。どうかご理解いただけますと幸いです。

 ここで皆様と出会えたこと、共にサッカーをできたことは、私にとってとても大切な思い出となりました。いつの日か、また楽しくサッカーが出来る日が来ることを心より願っております。

 今日までの間、本当にありがとうございました。どうか皆様もお元気で。

 

 蓮宮司杏子』

 

「多分、この大切な人っちゅうんが自分らの中の誰かなんやろ? せやったら、うちらとしても友達の大切な人の協力をしないなんて野暮なことできひんしな!」

「……あ、ありがとう」

 

 押しが強い。押しが強すぎて、恐らくこの大切な人というのが自分達の中にはいないであろうことを言いそびれてしまったのは不誠実だったが、それくらいの勢いだったとして許してもらいたいところだ、というのが雷門イレブンの大多数の本音である。

 何せ、彼女とは真・帝国で出会ったのが初対面である。どう考えてもこの“大切な人”というのは自分達のことではなく、おそらく影山と因縁が芽生えた原因であろう知らない人物だ。まあ、言いそびれた以上どうしようもないのだが。

 

 かくして、雷門イレブンはイプシロンが襲来するまでの間、このナニワ地下修練場を利用して更なるレベルアップを図ることになったのであった。

 ……そして、ここで起きたことがもたらしたことは、それだけではなく。

 

 

 特に不審な点など見つからない、蓮宮司の置手紙。その手紙は今、リカの許可を得て鬼道の手元にあった。

 別に、何かしらの暗号が仕掛けてあるわけではない。あぶり出しといった手法も使われていないだろう。ここに記されているのは、文字通りのことだけだ。

 それにも関わらず、鬼道がこの手紙を手にしているのには勿論理由があった。

 

(似ている…………いや、違うな。同じ(・・)なんだ)

 

 鬼道が目を付けたのは、他でもない、この手紙を書いた人物の筆跡だった。

 恐らく、他のメンバーは誰一人として気付いていないだろう。自分だって、あの手紙を見せられた一瞬で既視感を覚えなければ気付かなかったに違いない。しかし、気付いてしまえばもう無視はできなかった。

 

 何故なら、この手紙の筆跡に、鬼道は嫌と言うほど見覚えがあったから。

 

 土門をスパイとして派遣していた頃に入手した、雷門のデータを記した書類。監督だけでなく()も考案していた練習メニューの書かれた表。

 まさにそれらの筆跡と全く同じクセ、同じモノだと──鬼道の優秀な記憶力は、真実を導き出してしまったのだ。

 

(……なるほど。姿が似ているなんてものじゃない。最初から同一人物だったわけか、星崎(・・))

 

 蓮宮司は悪い奴らに追われていると言っていた。そして星崎が雷門イレブンからいなくなったタイミング。ここまで来ればもう答えは一つしかない。

 間違いなく、星崎はエイリア学園にその身を狙われていて──その目をかいくぐるために、女装などという予想もつかない方法で、自分達の目すら誤魔化して、真・帝国学園で自分達を助けて見せたのだ。

 

 見事としか言いようがない。実際、彼は今日この日に至るまで、誰にもその正体を見破られることもなく、影山やエイリア学園の手から逃れて見せたのだ。

 そしてその上でまだ自分達と合流できないというのであれば、恐らく何かしらの事情が──自分達にも明かせないほどの事情があるのだろう。それが察せないほど鬼道は馬鹿ではない。となれば、この手紙について誰かに言うなど論外だった。

 

 

 ふ、と思わず笑みがこぼれる。

 ジェミニストーム。イプシロン。真・帝国学園。強敵との戦いに、何度も傷ついてきたが──きっともうすぐ仲間が帰ってくるとなれば、その苦労も報われるというものだ。

 

(星崎。──お前との再会は、思っていたよりも近いのかもしれないな)

 

 改めて手紙を見つめ直し、笑みを深める。

 あの日雷門中を旅立ってから、こんなにも穏やかな気持ちになるのはいつぶりだろうか。今日はいつになく穏やかに休めるような、そんな気がした。

 




 
・ホモくん

 とりあえず女装は兎も角男だとは言えるようになったのでまだマシ。
 重り+タイヤ特訓という傍から見れば狂気の沙汰をやりだしたが、GP的にはいつものことなんだよなぁ……。

 ちなみに走者が懸念しているようなダークマター製造機ではない。あくまで包丁を握らせてはいけないだけ。舌は馬鹿でないため、炒めたり煮込んだり味付けしたりならできる、はず。


・土方

 いい男。流石に女装した男が転がり込んでくるのは予想外だったが、ホモくんがチビ達と仲良くしてくれていることもあって普通に気を許している。


・鬼道

 さらっとホモくんの筆跡を覚えていたとかいう超絶頭良いムーヴをした。普通はそんなもん覚えてない。
 鬼道は秋葉名戸の頃はまだ雷門にいなかったため、先入観が無かったというのもある。

「ただ、もし本当にそうなんだとすれば……お前は、よく不動のことを許せたな」


・リカ

 事情を最初に説明されていたこともあって、置手紙だけ残したレズちゃんくんに対して怒ったりはしていない。
 ナニワ地下修練場に人が増えたのには思うところがあるが、結果として一之瀬に出会えたのでむしろレズちゃんくんに感謝するレベルと化した。
 

・不動

 現時点では勿論ベンチウォーマーである。当たり前だよなぁ?
 
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