仗助に双子の姉がいたらというもしも パート5 第6部へGO! 作:蜜柑ブタ
ヴェルサスとミナミの、ちょっと交流?
ドナテロ・ヴェルサスの人生は、とても不幸だった。というか不幸に満ちていた。いや、不幸そのものか?
DIOの息子として生まれた彼は、なぜか生かされた母親がいたが、母親は遊び人だった。
やがて母親が別に男性と再婚すると、継子ばかりを可愛がりヴェルサスには目もくれない。
親の愛を受けられなかったという点でも同じである、彼が知らない異母兄弟のジョルノ・ジョバァーナとの大きな違いは、尊敬できる、そして夢の目標と出来る自分が偉大だと感じられる人物との出会いが無かったことだろうか。
13歳で家庭にうんざりしたヴェルサスは、家出をしたが、彼の信じられない速度で不幸は押し寄せた。
空から突然スパイク靴が降ってきた。その靴が元で窃盗罪の罪を問われ、またその靴がかの有名な野球選手が障害者施設に贈った物であったことから、状況証拠だけで更生施設送りとなった。彼の親も信じてはくれず、更生施設送りに承諾してしまった。
少年院では、ナイフを見つけ指を傷つけてしまったことでそのナイフの持ち主にいじめられぬかれた。傷口が膿んでミミズ腫れとなり、高熱に苦しんだ。
真犯人が見つかるまでの6ヶ月で、心身共にボロボロになったヴェルサスは、その後社会から隠れるように生きた。
しかし、例えば彼が立ち小便をした場所になぜか白骨死体が見つかるなど精神的に追い詰められる謎の現象に苦しめられた。
それは、すべて、中途半端に目覚めたスタンド能力によるものだったが、ヴェルサスの不幸はその能力に気づくことが出来なかったことだろう。
故に、ジョルノ・ジョバァーナと違い、すべてを恨むようになった彼は、少年院送りを確定させた判事のように何かを一方的に決めてくる存在を嫌うようになった。
そして、強盗に失敗し、足を撃たれて病院行きに。そして今に至るのだが……。
そんなヴェルサスだが、今少しだけ満ち足りていた。
胸板に当たる柔らかい感触、花のような甘い香り。
たぶん、このあと自分の上に乗っかっている女性に叩かれる未来が待っているのだろうが、いつもの不幸だと割り切ろうとした。
上体を起こした女性は、キョロキョロと周りを見回す。
ああ、それにして、ダイナマイトなボディだなぁ…と、ヴェルサスは、不幸疲れから暢気に見上げていた。
ブルネットの髪も、青い目も、綺麗だなぁ…、っと思いつつ、けれど不思議と他人のような気がしない。
それが不思議だったが、やがて女性の視線が自分に注がれた。
「ここ…、どこ?」
「病院だぜ。」
「いや、うん…、それは消毒液の匂いでなんとなく…、でもなんで私、ココにいるんだろう?」
「知らん。」
「だよね~。」
「それよりか…、重い…。」
「あっ、ごめん。」
腹に乗っている重さに耐えかねたヴェルサスがそういうと、謝られて女性がベットから降りた。香りが遠のいて少し名残惜しかった。それよりも…。
「叩かねぇのか?」
「えっ?」
「…いや、なんでもねぇよ。」
つい聞いてしまったが、キョトンとされたため、ヴェルサスは慌てて訂正した。
キョトンとした顔から、外見の派手さに似合わず少々平和的な天然か何かかもしれないなぁっと思った。
「……へっ、どこのお嬢様だよ…。」
「へっ?」
「あんた、随分と平和そうな顔してるぜ。まるで穢れも何も知らないって面。」
「そう? 普通の家庭で育ったはずだけど…。」
「ふつーの家庭ねぇ…。そりゃそりゃ…。」
「ま、浮気の末の子ではあるけどね。」
「はっ?」
思わぬ言葉に、今度はヴェルサスがキョトンとした。
「話すと複雑なんだけど、和解はできたし、私は納得してるし。」
「……変な女だな。」
「うん、よく言われる。」
「はん……、浮気のガキって言う割には、えらく箱入り娘だったんだな?」
「そうでもないよ?」
「たいしたトラブルもなく、ヌクヌクとイイ家庭で育ったんだろうなぁ?」
「……それは、違うよ。」
「そういうと思ったぜ。そう言う奴ってのはよぉ、自分もこーだった、あーだったって言うんだぜ?」
「不幸比べなんかしたいわけじゃないよ。」
「………マジで、変な奴だなぁ。」
女ってのは、こういうモノだっただろうか?っとヴェルサスは、ふと考えた。
ヴェルサスの記憶に残る女と言えば、自分の母親と、自分を更生施設送りにした女判事のあのキレた声ぐらいだ。こんな綺麗な…、声じゃない。
「なあ……。」
「なに?」
「………あんた、名前は?」
「…東方、ミナミ。ミナミ・ヒガシカタ。」
「ミナミ……。」
「……いつまでもココにいるわけにはいかないね。」
「はっ? おい。うっ!」
病室から出て行こうとするミナミを、ヴェルサスは慌てて起き上がって止めようとして傷ついた足を痛め、呻いた。
「無理して動いちゃダメだよ。」
「待ってくれ…よ…。」
「えっ?」
「あんたの声……、聞いていたい。」
「……ごめんね。そうしてあげてもいいけど、私もやらなきゃいけないことがあるから。」
「なあ、おいって…!」
「だいじょうぶ。なんだか分からないけど…、あなたとは、また必ず会える気がする。なんだかそんな気がするの。」
「待ってくれよ!」
「……じゃあね。」
そう言い残してミナミは病室から出て行ってしまった。
「………不幸だぜ…。」
ベットに寝転がったヴェルサスは、腕を顔に乗せてそう呟いたのだった。
不幸まみれの人生を送ってきたヴェルサスに、どう会話をさせるか悩みました。
果たしてヴェルサスは、ミナミに対して何を思ったのか……。
そういう心情変化って難しいですね。
それにしても、ひとつ何かが違えば、ジョルノもヴェルサスのようになっていた可能性があるわけで……、うーん、ってなりますねぇ。
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