ようこそ藍越学園へ   作:TAKUMAKI?

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今回は『Memories Off』から二名ゲスト出演します


第四十話 遭遇!ひったくり事件!!

「シャル、あの建物わかるか?」

 

「え?どれ?」

 

キュービックカフェを出てから少し駅の方へ戻ってきた一夏達は歩道橋の上を歩いていた。

そこで一夏がある建物を指差した。

シャルロットが指差した方向に目を向けるとそこには大学のキャンパスらしき建物があった。

 

「あそこが千羽谷大学だ。この近辺では一番デカイ大学でさ、学部も豊富で都内から通うやつもいるって噂もあるくらい有名な大学なんだぜ。何せ、百春兄もあそこの医学部に通ってたくらいだからな」

 

「へぇ~、そうなんだ。ということはあそこの大学は結構頭が良くないと行けないのかな?」

 

「まぁ、偏差値は少し高めらしいなぁ。俺も百春兄から少し聞きかじっただけだし」

 

「一夏は藍越学園を卒業したらあの大学に行くの?」

 

「ん~、まだわからないな。そもそも進学するか就職するのかすらまだ決めてないし。まぁ、進学するとしたら多分あそこに行くと思うぞ」

 

「そっか。まだ卒業までは時間もあるし、ゆっくり考えるのもいいんじゃないかな」

 

「そうだな。そうするよ」

 

一夏は納得するようにうんと頷いてみせる。

 

「そういえば一夏って中学生になってからはバイトをしてたんだよね。バイトっていっても中学生をそうそう雇ってもらえるものなの?」

 

「ああ、それは顔見知りに頼む感じだったな。新聞の早朝配達とか子守とか小さい子の勉強を見てあげたりもしたぜ。あとは鈴の家の中華料理屋の手伝いもしたことあったな。まあ、主に出前と雑用だったけどな」

 

「中学校出るときは進学じゃなくて就職するつもりだったんだよね?」

 

「まあな。千冬姉達の負担を少しでも減らそうと思ってな。だから早めに就職しようと思ったんだけど千冬姉にそのこと話したら凄ぇ怒られたよ。『何を言っている大馬鹿者!ここでその選択をするのは尚早というものだ。お前には未来への無数の可能性があるのだぞ。それを中学を卒業した時点で決めてしまうやつがあるか』ってさ。百春兄と十秋姉にも似たようなこと言われたよ。だから藍越に進学したんだ。前々から俺の目には千冬姉達はいつも大人っぽく見えていたんだ。だから自分も早く大人になりたくて中学を出たら就職するつもりでいたんだ。少しでも早く千冬姉達に追いつきたくてさ。まあ、今は進学してよかったって思ってるよ。そのおかげでシャルとも同じクラスになれたしさ。箒や鈴とはずっと同じ学校に通ってたけどシャルとは学校はおろか住んでる国も違ったからそれもできなかっただろ。だから藍越でシャルと再会して同じクラスになれて凄ぇ嬉しかった」

 

「それは、僕もだよ。一夏と同じ学校に通えて、一夏と同じクラスになれて僕も凄く嬉しいよ」

 

「千冬姉達に感謝だな」

 

「そうだね」

 

一夏とシャルロットは暫し互いを見詰め合ってから同時ににっこりと笑い合った。

 

「さて、せっかく千羽谷まで来てのデートだ。次はどこに行きたい?それともまだ少しブラブラするか?」

 

「う~ん。もう少しこの街を見て歩きたいかな」

 

「そうか。じゃあ、案内致しますよお嬢様」

 

一夏はシャルロットの手を取って執事にでもなったような態度と言葉使いで彼女をエスコートする。

 

「ええ、それではエスコートよろしくお願い致しますわ一夏さん」

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「「ぷっ、あははははははははっ!!」」

 

「シャル!今のもしかしてセシリアの真似か!?結構上手いじゃないか!!」

 

「僕も結構上手くできたと思う!笑っちゃセシリアに悪いけど、可っ笑しいや!あはははは!!」

 

この場にいない者をネタにして大笑いする2人。

しかし、シャルロットが咄嗟にノリでやったセシリアの物真似がことのほかクオリティが高かったようで堪えきれずに笑ってしまった。

 

 

 

 

その頃

 

「くしゅんっ!誰かわたくしの噂をしていますのかしら・・・」

 

セシリアがくしゃみをしていたとさ。

 

 

side シャルロット

 

一頻り笑い合っていた僕と一夏は気を取り直して歩き始めた。

 

「そういえばさ、シャル」

 

「ん?なぁに一夏?」

 

腕を組んでウキウキと歩いている僕に一夏は訊ねてきた。

 

「お願いってあといくつあるんだ?」

 

すでに3つお願い事をされている一夏はあといくつお願いがあるのか気になってるみたいだね。

1つ目は今日は腕を組んで歩く事。

2つ目は昼食時に一夏にあ~んしてあげる事。

3つ目は今度は一夏からあ~んしてもらう事。

どれも僕にとっては嬉しくて仕方の無い事だった。

 

「う~ん、秘密♪」

 

一夏は「え~」と言いたげな顔で僕を見ている。

実際のところ、僕自身も正確な数を決めているわけじゃない。

その場で思いついたことをしているだけだしね。

 

「ほらほら一夏、早く行こう♪」

 

「わかったからそう急かすなって」

 

何をお願いされるか気が気じゃないみたいで一夏はちょっとげんなりとしているけど、腕を引いた僕の横に並ぶと自然と笑ってくれた。

どうやら一夏もなんだかんだで楽しんでいるみたいで僕も嬉しくなる。

また2人で歩き出そうとしたその時に――――

 

「きゃーーーーー!!」

 

突然、僕たちの後方からかん高い女性の悲鳴が聞こえてきた。

え、え?何?

僕も一夏も驚いて後方へ振り返る。

 

「誰か! そいつひったくりだ!捕まえてくれ!」

 

えっ!?ひったくり!?

すると前方から不審な走り方で左手に女物のバッグを抱えたいかにも『怪しい人』といった感じの男性がこちらに走ってきている。

その後ろをひとりの男性が追走していた。

 

「おらおら!どけぇーー!!」

 

しかし、その右手にはコンバットナイフが握られていてそれを振り回しながら通行人を退かして無理矢理道を開けている。

 

「シャル!ちょっと下がってろ!」

 

すると、一夏が僕を道の脇に下がらせるとひったくりの進路を塞ぐように立ち塞がった。

 

「一夏!危ないよ!!」

 

「大丈夫だ、心配するな」

 

僕を安心させるように一夏が言う。

 

「ガキッ!!退けぇーーー!!!」

 

一夏に向かってひったくりがナイフを持って突進してくる。

 

「一夏っ!!」

 

僕は恐くなって思わず一夏の名前を叫んでしまう。

ひったくりはもう一夏の眼前に迫っていた。

 

side out

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アイキャッチしりとり

 

ひったくり「ルビー大好き」

 

 

 

???(男性)「キチガイじみてやがるな」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

side 一夏

 

ひったくり犯が俺達の方に向かってくるのを見て俺はシャルを道路脇に下がらせる。

心配したシャルが声を掛けてきたが俺は「大丈夫だ、心配するな」と声を掛けるとひったくり犯を捕まえる為に少し腰を落として迎撃体勢に入る。

 

「ガキッ!!退けぇーーー!!!」

 

ひったくり犯がナイフを振りかざして俺に突進してくる。

 

「一夏っ!!」

 

シャルの叫び声が聞こえるが俺は道を譲らないで立ち塞がる。

眼前に迫ったひったくり犯が俺にナイフを突き立てる。

 

その刹那――――

 

「はぁっ!!」

 

一瞬でそれを避け、鳩尾に肘打ちを叩き込む。

篠ノ之道場は剣道を教える道場だが素手での古武術も修めているので俺もそれを習得している。

得物を持った相手を想定した鍛錬も行っていたのでこの場は役に立つ。

肘打ちをまともに鳩尾に食らったひったくり犯は身体をくの字に曲げてたたらを踏む。

 

「せいっ!!」

 

そこにすかさず俺は相手の顎にアッパーの要領で掌底打ちを食らわせる。

顎に掌底打ちを食らったひったくり犯は衝撃で脳を揺さぶられそのまま後ろに崩れ落ちた。

 

「「「おお~」」」

 

(パチパチパチ)

 

すると周りから拍手が鳴った。

照れ臭いからちょっとやめて欲しい・・・。

 

「捕まえたぞこの野郎!!」

 

すると先ほど「捕まえてくれ!」と叫んでいた男性が崩れ落ちたひったくり犯を取り押さえた。

俺もその人に手を貸して犯人を取り押さえる。

 

「シャル、警察に連絡してくれ」

 

俺はシャルに警察に連絡するように指示する。

 

「う、うん、わかった!」

 

するとシャルは携帯電話で警察に電話を掛けた。

しばらくすれば警察が来てこの犯人も御用だろう。

まあ、掌底打ちをまともに顎に食らったからしばらく動けないだろうけど。

 

「悪いな。助かったぜ」

 

一緒に取り押さえていた男性が声を掛けてきた。

 

「いえいえ」

 

お礼を言ってくる男性にこちらも笑顔で答える。

 

「智ちゃんっ!!」

 

そこにひとりの女性が走り寄ってきた。

 

「おお、唯笑(ゆえ)!お前のバッグは無事だぞ!!」

 

どうやら男性の連れらしい。

盗られたのはその女性のバッグのようだ。

 

「あっ!唯笑のバッグ!!」

 

男性が盗られたバッグを女性に手渡すと女性は大事そうに胸に抱えた。

 

それからしばらくしてから警察が到着してひったくり犯を連行していった。

 

side out

 

 

 

数十分後に警察が到着してひったくり犯は連行されていった。

バッグを盗られた女性も中身は何も異常はなかったため、コレにて一件落着となった。

 

「唯笑の大切なバッグを取り返してくれて本当にありがとう!」

 

「いえ、そんなに頭を下げなくても大丈夫ですから」

 

バッグの持ち主の女性が一夏に感謝の意を示そうと深々と頭を下げてくる。

 

「いや、俺からも礼を言うよ。本当にありがとうな」

 

男性の方も一夏に頭を下げる。

 

「いえいえ、困ったときはお互い様ですから」

 

一夏も当たり前のことをしただけと思っているので頭を下げられてちょっとだけ焦る。

 

「でも、よかったですね。盗られた物も無事だったみたいで」

 

シャルロットも女性のバッグが無事だったことに安堵していた。

 

「うん!本当にありがとうね!!えーっと・・・」

 

女性が首を傾げて一夏達を見つめる。

そいうえばまだ自己紹介もしていなかった。

 

「あ、織斑一夏です」

 

「シャルロット・デュノアです」

 

「ありがとう!イチカくん!!シャルロットちゃん!!」

 

女性は一夏とシャルロットの手を握ると勢いよくブンブン振るう。

これにはシャルロットも少し困惑する。

 

「こら唯笑。相手が困ってるだろ。その辺にしとけ」

 

男性が女性の頭ににチョップを入れる。

 

「はうっ!ひどいよ~智ちゃん。チョップしなくたっていいじゃん・・・」

 

「お前がこいつらを困らせるような事してるからだろ」

 

「あ、いえ、別に困ってる訳では・・・」

 

何かとペースを乱されている一夏達だった。

 

「ねぇねぇ。シャルロットちゃんって何処の国の人なの?」

 

女性はシャルロットに人懐っこく話しかける。

 

「僕はフランス人です」

 

「へぇ~、そうなんだ。日本語上手なんだね~」

 

「はい、日本には昔からよく来ていましたから。こっちの彼とは幼馴染なので」

 

シャルロットは一夏に視線を向ける。

一夏もコクンと頷く。

 

「そっか~。唯笑と智ちゃんも幼馴染なんだよ」

 

女性は男性の腕に抱きつく。

 

「人までくっつくな。恥ずかしいだろ」

 

「えへへ~、テレないテレない~♪」

 

突然目の前でイチャつき始めた2人に一夏達は苦笑い。

かくいう一夏達も先ほどまでは似たようなことをしていたのだが。

 

「じゃあ、俺達はそろそろ」

 

「あ、はい。え~っと・・・」

 

相手側からも自己紹介をされていないので名前がわからない。

わかるのは男性は智ちゃんと呼ばれていて、女性は唯笑と呼ばれていたことだ。

 

「三上智也だ」

 

「今坂唯笑だよ。今日は本当にありがとうね!」

 

「はい。三上さん、今坂さん、お気をつけて」

 

「さよなら」

 

「おう。それじゃ」

 

「バイバ~イ」

 

三上智也と今坂唯笑の2人は一夏とシャルロットに手を振ると仲良く並んで去っていった。

 

「なんか、面白い人達だったね」

 

「そうだな。でも、かなり仲良さそうだったな」

 

「そうだね。幼馴染だって言ってたしね」

 

実際のところ、あの感じは幼馴染という関係だけではないだろうとシャルロットは思っていた。

唯笑が智也を見る目は明らかに好意があったし、智也も唯笑を大事にしている雰囲気が見て取れた。

恐らく、あの2人は恋人同士だろう。

 

「なに、仲の良さなら俺たちだって負けないさ。生まれた国が違うのに10年近くも付き合いがあるんだし、こうして2人でデートをする間柄だぞ。俺たちもあの人たちにも負けないくらい仲良しだよ」

 

「一夏・・・」

 

一夏にとっては何気ないセリフだったのかもしれない。

でもシャルロットはその言葉が凄く嬉しかった。

一夏のことだからそれは幼馴染としての意味合いが強いであろうとはシャルロットも理解はしている。

だが、自分に温かな想いと嬉しい気持ちをくれる一夏の事をやはりシャルロットは愛しいと思えるのだった。

 

「うん!そうだね!僕たちも負けないくらい仲良しだよね♪」

 

またシャルロットは一夏の腕に抱きついた。

 

「お、おい、シャル!?」

 

「ほら一夏!早くデートの続きしよっ!」

 

「わかったからそんなに引っ張るなって」

 

「えへへ~♪」

 

一騒動ありましたが、2人のデートはまだまだ続く。

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