ようこそ藍越学園へ   作:TAKUMAKI?

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第四十三話 勇気と愛と友情と

side 一夏

 

ゴトゴトと揺れる電車。

俺とシャルは並んで座っていた。

乗客の姿は少なく、俺達の他にはちらほらいる程度のものだった。

日曜日の夕方ではあるものの、帰宅ラッシュに差し掛かる時間帯の割にはこの空席の多さは意外だった。

まあ、ギュウギュウ詰めで帰るよりは楽でいいけどな。

この電車に乗れたのは結構ラッキーかもしれない。

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

電車が出てから少しの間シャルと話をしていたが、不意に話が途切れてしまっていた。

話す話題が無い訳ではない。

「今日は楽しかったな」とか「あの雑誌のインタビューは記事になっちゃうのかな?」とか何でもいい。

話すことはいくらでもあるのだ。

でも、何故だかまた話をするキッカケが掴めないでいた。

そんな状態が2駅ほど続いただろうか。

 

「次は~、澄空~、澄空~」

 

電車は千羽谷駅を出てから北的射(きたまとい)、的射の順に止まり、澄空(すみそら)駅に着いたようだ。

藤川まではあと中目町(なかめちょう)、 藍ヶ丘(あいがおか)、とわり、桜峰(さくらみね)、浜咲(はまさき)、芦鹿島(あしかじま)、林鐘寺(りんしょうじ)と間に7駅もある。

すっかり茜色に染まった5月の空。

俺は何気なしに車窓から夕暮れの光景を眺めていた。

そんな光景を眺めること数分・・・・

 

(とさっ)

 

不意に、右肩に何かがのしかかってきた。

何かと思って右肩をうかがう。

 

「あ」

 

そこには、安らかな寝息を立てて身を預けるシャルの顔があった。

疲れていたのか、まるで無防備な姿だ。

 

「・・・・・」

 

「すぅ・・・、すぅ・・・」

 

シャルの寝息が聞こえてくる。

こうして眠るシャルの姿は、何か幼くも見えて可愛くもあった。

車窓から指す夕日が僅かにシャルに当たり、何やら幻想的なイメージを醸し出している。

元々シャル自身が凄い美少女なだけに凄く画になる光景だった。

その姿を見て、俺は少しドキドキした。

別にシャルの寝顔を見るのはこれが初めてという訳ではない。

子供のころに一緒の布団で寝たことだってあるし、最近でもGWにうちでトランプをしていてシャルが寝落ちしてしまったときも俺がベッドまで運んだ事もあった。

だけど、この寝顔だけは何か特別なものを俺は感じていた。

俺だけに見せてくれるシャルの無防備な姿。

それが今の俺にはたまらなく嬉しかった。

 

(なんなんだろうな、この気持ちは・・・)

 

そんな想いが、確かに俺の胸の内あった。

決してそれは不快ではない。

言うなれば何か温かな、落ち着くような感じだった。

しかしそれは俺の中で完全な形となって表れているという訳ではないような気がなんとなくした。

シャルに対するこの気持ちはまだ俺の中では不完全なものなのかもしれない。

シャルの姿を見ると起こすのが悪い気がしたのでそのまま寄り掛からせたままにしておき、俺は首を元に戻して藤川へ向かう電車の外の光景を眺め続けた。

 

side out

 

 

 

side シャルロット

 

「ごめんね。僕寄り掛かって寝ちゃって」

 

「気にすんなって。今日は結構歩き回ったからな。疲れてたんだろう」

 

僕はさっき電車の中で一夏の肩に寄り掛かって眠りこけてしまった。

悪いと思って謝ったけど一夏は「気にするな」と言ってくれて、逆に僕を気遣ってくれた。

 

「疲れて体調崩したりしてないか?辛かったら言えよ」

 

それは決して押し付けがましいものではなくあくまで自然で、一夏の人柄がわかる。

 

「大丈夫だよ。心配しないで」

 

その気遣いが僕には凄く嬉しくて、一夏の優しさが僕の胸に温かな気持ちをくれる。

そんな一夏の事が僕は本当に愛おしい。

一夏の隣に居たい。

一夏に僕を見てほしい。

ずっとずっと、一夏と一緒に居たい。

僕はそのとき、本当にそう思った。

 

「シャル、今日は楽しかったか?」

 

一夏が僕にそう訊いてくる。

当然僕は答えは決まってる。

 

「うん、すっごく楽しかったよ。2人で色んなところ回れたし、一夏と一緒だったから僕は楽しいと思えたよ」

 

「そうか。それを聞いて俺も安心したよ。俺も今日は楽しかったよ。ありがとうな、シャル」

 

「ううん、僕の方こそありがとう、一夏」

 

僕と一夏笑い合って茜色から藍色に染まり始めた空の下を並んで歩いて家に向かった。

 

 

「じゃあ、また明日な」

 

「うん」

 

楽しかったデートもいよいよ終わりの時間が来た。

今は織斑家の門の前で僕と一夏はここでお別れだ。

一夏は織斑家に、僕は寮に帰らなければいけない。

距離にしたってお互い十字路の対角線に位置している建物に住んでいるからそんなに離れているわけでもないのに凄く寂しく感じてしまう。

一夏が手を上げると門を開けて玄関に向かう。

その後姿を見送っていると何かとてつもなく寂しさが込み上げてくる。

まだ、もう少しだけ、一夏と一緒にいたい・・・。

 

「い、一夏!」

 

僕は思わず一夏を呼び止めていた。

一夏は玄関の前で振り向いて「何だ?」と言ってくる。

呼び止めたはいいけど何を言っていいのかわからない。

僕はただ、もう少しだけ一夏と一緒にいたいと思っただけで特別な用がある訳じゃない。

言葉が見つからなくて僕は黙って俯いてしまう。

 

「シャル?どうしたんだ?」

 

一夏が僕の前まで戻ってきて心配そうに顔を覗き込んできた。

こんな時まで一夏は優しかった。

胸にこみ上げた愛しさが僕をまた支配する。

 

「ねぇ一夏。最後にもうひとつだけ、僕のお願い聞いてくれる?」

 

気がついたら僕はそう口にしていた。

 

「まだ何かお願いがあるのか?」

 

「う、うん。でも、大した事じゃないよ。すぐに済むから。ダメかな?」

 

僕はちょっと不安になる。

今日は結構無茶なお願いをしてきたからさすがに一夏も嫌がるんじゃないかと思った。

 

「いいぜ。お願いは何だ?」

 

ニッコリと笑顔で一夏は承諾してくれた。

 

「じゃ、じゃあ・・・ね、その、ちょっとの間だけ目を閉じてくれる?」

 

「え?お願いってそれか?」

 

「う、うん」

 

「変なお願いだな。わかったよ、これでいいか?」

 

そうして一夏は目を瞑った。

僕は一度身体の後ろで手を交差させて、腕にはめられた前に一夏からプレゼントされたブレスレットの感触を確かめる。

そうして貰ったあるだけの勇気を全部振り絞って僕は一夏の顔に自分の顔を寄せて――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(CHU)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏の唇にそっとキスをした。

一瞬触れるだけの子供っぽいキス。

今の僕の勇気ではこれが精一杯だった。

 

「――――――っ!?」

 

僕は唇を離すと一夏を見つめた。

一夏は何が起こったかわからずといった感じで呆然と僕を見ていた。

互いの瞳に写る相手の顔を僕と一夏は少しの間、見つめ続けた。

 

そしてしばらくの後、一夏はキスされたと理解したのか顔が一瞬で真っ赤に染まる。

それはきっと僕も同じだった。

一気に頭の中が沸騰したように熱くなった。

酔ってしまったかのように顔の火照りが止まらない。

 

「シャ・・・ル・・・?」

 

「こ、これはお礼だよ!」

 

「・・・へ?」

 

「今日のデート楽しかったから!!だからお礼!!」

 

「え、あ、え・・・」

 

「そ、それじゃあ、おやすみ一夏!!」

 

未だ呆然と立ちすくむ一夏に背を向けて僕は駆け足で寮に戻った。

駆け足のまま寮の廊下を走ってそのまま自分の部屋に飛びこむ。

 

(キス、しちゃった・・・)

 

鼓動はドキドキと跳ね続け、頭は沸騰状態になってる。

指先を唇に持ってくるとそこはまだ熱を持っているかのように熱かった。

 

「僕の、ファーストキス・・・」

 

ポツリとそう呟く。

この唇で初めてキスをした相手が一夏。

一瞬だけ触れた一夏の唇の感触が蘇って来る。

そう考えるだけで僕の中で込み上げてくるものがあった。

嬉しさや恥ずかしさといった感情がゴッチャ混ぜになっている。

暴れだしたそれを鎮める術を今の僕は持ってはいなかった。

 

side out

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アイキャッチしりとり

 

一夏「とうとうこのときが来ました」

 

 

 

シャル「大切なファーストキス、あげました」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

あれから部屋着に着替えたシャルロットはしばらくの間、ベッドの上に横たわっていた。

その間もずっと、シャルロットの思考の大部分を占めていたのは一夏の事だった。

心を落ち着けようにしても、何度も先ほどのキスのこと思い返してしまう。

ふと気付くと指先が唇をなぞるように触れている。

そこには先ほど感じていた熱はもうなかった。

 

「一夏・・・・」

 

名前を呟くだけで、心がほわっと満たされるようだった。

それと同時に恥ずかしさも再び込み上げてくる。

明日は月曜日なので当然学園があるのだ。

しかし、今のシャルロットは気恥ずかしくてどんな顔をして一夏と会えばいいのかわからなかった。

そんな純情乙女思考モードにどっぷり浸かりながらシャルロットはベッドの上で横たわっていた。

 

(コンコン)

 

不意に部屋をノックする音が響いた。

 

「シャルロットさん、いらっしゃいますか?今日は夕食を取られていないようですが、お加減でも悪いのですか?」

 

セシリアの声だった。

シャルロットは時計に目をやるとすでに21時をちょっと過ぎていた。

ちなみに帰ってきたのは19時半ごろだ。

どうやらどっぷりと思考に浸っている間に結構な時間が経過していたらしい。

 

「シャルロットさん?入りますわよ?」

 

「う、うん、入っていいよ」

 

ガチャッとドアを開ける音が響くとセシリアが姿を見せた。

 

「大丈夫ですかシャルロットさん?お身体の具合でも悪いんですの?」

 

「あ、ううん、平気だよ。ゴメンね。心配かけちゃって」

 

「いえ、それはいいのですが。それよりももう食堂は閉まってしまっていますが夕食は取りましたの?」

 

「あ、うん、ちょっと考え事してたからね。取ってないや。あははは・・・」

 

シャルロットはお腹に手をやった。

浸っていた思考から抜け出したら急にお腹が空いてきてしまった。

しかし食堂は21時までしかやっていないからもう閉まってしまっている。

一応、部屋の中にもキッチンがあるのだが今は冷蔵庫の中に食材があまりないので大したものが作れない。

もう門限も過ぎてしまっているので外に買いに行く事もできない。

困ったものだ。

 

「でしたら、わたくしの部屋に参りましょう。チェルシーにお願いして何か作ってもらいましょう」

 

「え?いいの?チェルシーさんに迷惑なんじゃ・・・」

 

「大丈夫ですわ。チェルシーなら快く了承してくれます。主のわたくしが言うのですから間違いありませんわ」

 

「あ、うん、そうだね。じゃあ、お邪魔しようかな」

 

「はい。では、参りましょう」

 

セシリアに促されるままにシャルロットは自室をあとにしてセシリアの部屋に向かった。

 

 

セシリアの部屋を訪れるとチェルシーがお茶の用意をしていた。

寮の一室は基本1Kなのだが、以前にセシリアの部屋は思いっきり増改築されているので一軒家ほどの広さがある。

その部屋でセシリアは専属メイドのチェルシーと2人で住んでいる。

どれだけ金を積めばそんなことができるのかはわからないが、世界を股に掛けるイギリスの名家であるオルコット家の財力がそれを成し得たのであろう。

まあ、それを容認しているセシリアの父親である『ジェームズ・オルコット』が一番の問題かもしれないが。

 

「すみませんチェルシーさん。わざわざ僕の為に」

 

「いえ、お嬢様のご学友の為ですから。時間も時間ですので、大したものは作れませんがご了承ください」

 

セシリアが言った通りチェルシーは快くシャルロットの夕食の用意を引き受けてくれた。

セシリアが寮で暮らし始めて以来、シャルロットは何かとセシリアは共に行動する事が多かったのでチェルシーとも親しい間柄となっている。

とはいえ、こんな時間に料理をするという手間を引き受けてくれたチェルシーにシャルロットは感謝した。

 

「では、私はシャルロット様の夕食の準備をして参ります」

 

「わかりましたわ。頼みましたわチェルシー」

 

「お、お願いします・・・」

 

チェルシーはキッチンの方へ去っていった。

 

「さて、わたくしたちはチェルシーが用意してくれたお茶を飲みながらお話でもしていましょう」

 

「うん、そうだね。じゃあ、頂こうかな」

 

リビング?のテーブルにはティーセットが置かれていた。

どうやら3人分の用意があるということは元々セシリアはシャルロットを誘ってお茶をするつもりであったらしい。

 

「今日はアッサムの良い葉が手に入りましたのでそれをミルクティーで入れてみましたわ。どうぞ」

 

「うん、ありがとう」

 

用意された紅茶にシャルロットは口を付けた。

こくがあってミルクティーに丁度良いアッサムは少しシャルロットの心を落ち着かせた。

 

「そういえば、今日の一夏さんとのデートはどうでしたか?楽しめましたか?」

 

「っ!!ケホッ!ケホッ!」

 

紅茶が気管に入りそうになってむせ込むシャルロット。

一夏の話題は今のシャルロットには爆弾である。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

セシリアが心配そうに背中を擦る。

 

「ケホッ!ケホッ!だ、大丈夫、ゴメンね・・・」

 

涙目になりながらも気丈な事を言うシャルロット。

あまりいらない心配をセシリアにかけたくはないのが心情だった。

 

「それで、デートはいかがでしたか?楽しめましたの?」

 

「う、うん。凄く楽しかったよ」

 

「そうですか!それは何よりですわ!」

 

盟友の契りを交わした間柄であろうか、セシリアは自分のことの様に喜んでくれた。

 

「はぁ~、羨ましいですわ~。わたくしも百春様と素敵なデートをしてみたいですわ~」

 

今度は一転して残念そうな顔をするセシリア。

実は彼女も百春にアプローチをかけようと色々と考えてはいるのだが、学校では教員と生徒ということで会う機会も全然無く、休日は百春は残っている仕事があるだのやらなければいけないことがあるとかで全然一緒の時間が作れていないのだ。

医者という職業は成る為の勉強よりも成ったあとの方が勉強することが多いのだ。

彼のそんな夢を追う姿もセシリアが彼を好きになった理由のひとつだがやはり寂しい。

8歳の年齢差といものは社会から見るとそれほどまでに大きいものなのだ。

 

「お待たせいたしましたシャルロット様。夕食をお持ちしました」

 

チェルシーがキッチンから戻ってきた。

トレーに乗って運ばれてきたのはどうやらミートスパゲッティと生野菜サラダのようだ。

 

「簡単なもので申し訳ありません。パスタは茹でるだけのもので、ソースも先日に余ったものを温め直して使用しております。サラダも余っていた野菜を使用しています」

 

「いえ、それで充分です。ありがとうございます。頂きます」

 

「はい。召し上がれ」

 

湯気が上がるミートソースの良い匂いは空腹のシャルロットには一段と料理を美味しそうに見せていた。

夜も遅い時間にこれを用意してくれたチェルシーに感謝しつつシャルロットはそれを口にした。

 

それから小一時間ほど3人でお喋りをしながら時間を過ごした。

 

「もう22時を過ぎていますわね。そろそろお開きにしましょうか」

 

「あ、うん、そうだね。明日には学園があるし」

 

時間も時間ということでこの日はこれで解散となった。

シャルロットも夕食をご馳走になったお礼を言ってセシリアの部屋をあとにしようとした。

 

「シャルロットさん」

 

するとセシリアがシャルロットを呼び止めた。

 

「ん?なぁに?」

 

シャルロットが振り返るとそこには何やら真剣な顔つきをしたセシリアがいた。

 

「シャルロットさん。わたくしは何があったのかは聞きませんわ」

 

「え?」

 

「でも、何か相談したいことがあったら迷わずに言ってくださいね。何せわたくし達は盟友です。わたくしも力になりますわ」

 

そう言うとセシリアはにっこりと笑って見せた。

顔に出さないようにしていたが、どうやらセシリアにはシャルロットがちょっと思い悩んでいたことがわかっていたらしい。

だからこそ自分を部屋に招いて色々話をしてくれていたのだとシャルロットはこのとき気が付いた。

セシリアの心遣いに感謝するのであった。

 

「ありがとうセシリア。僕は大丈夫だよ。本当に何かあったら相談するから。今は気にしないで」

 

「わかりましたわ。では、おやすみなさい」

 

「うん、おやすみ」

 

シャルロットはセシリアの部屋をあとにした。

 

 

 

「ふぅ、セシリアのおかげで少しは心が落ち着いたかなぁ」

 

自室でシャワーを浴びながらシャルロットはひとり呟く。

あのまま自室に篭っていても色んな感情に苛まれて酷く落ち着かない状態が続いていたであろう。

全身真っ赤になって布団にくるまって悶絶している自分が容易に想像ができた。

そんな状態が朝まで続いていたらとてもじゃないが学園になんて行けたもんじゃない。

 

「本当に、僕は良い盟友を持ったものだなぁ」

 

再び心のうちでセシリアに感謝の念を送った。

 

「今度百春さんと2人っきりになれるようにセッティングしてあげよう」

 

それが最大のお礼なるとシャルロットは考えた。

きっとセシリアも喜ぶであろう。

 

 

シャルロットはシャワーを浴び終えて寝る準備に入る。

準備を終えてベッドに入ろうとすると、枕元にあるフォトフレームが目に入る。

それは先週一夏が束の作った変な薬を飲まされたせいで身体が幼少化し、織斑家の縁側で2人揃って居眠りをしてしまったときに千冬に撮られたツーショット写真。

 

「一夏・・・・」

 

また鼓動が早くなってくる。

しかし、心は不思議と落ち着いていた。

 

「うん、大丈夫。これなら眠れそう」

 

落ち着きを確認するとシャルロットは部屋の明かりを消してベッドに入る。

 

「まだ一夏とどんな顔して会えばいいかわからないけど、なるようになるよね。うん!」

 

ポジティブシンキングのシャルロットは気合を入れて布団をかぶる。

これから寝るのに気合を入れるというのもおかしな話だが。

 

「夢の中でも一夏に会えるといいな」

 

暗闇の中で左手首にはめられたブレスレットがキラリと光った。

 

「おやすみ、一夏・・・」

 

(CHU)

 

ブレスレットにキスを落とすと、シャルロットは布団を頭のてっぺんまでかぶり直して静かに目を閉じる。

そして数分の後に彼女は夢の中へと旅立って行った。

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