ようこそ藍越学園へ   作:TAKUMAKI?

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第五話 思い出の料理

一夏の突き指も大したこともなかったので箒達と合流した一夏とシャルロットは文化系の部活動も堪能した。料理部の惣菜を買って食べ、茶道部のお茶点てを体験し、美術部の絵を観覧し、体育館で吹奏楽部の演奏と軽音楽部のライブを聞いて盛り上がったりなどなど。一通り部活勧誘を楽しんだ一夏達6人は藍越学園をあとにして下校を始めた。

 

「やっぱあのギターテクニックが最高だったな!」

 

「そうか?俺はやっぱりベースの方がいいと感じたけど?」

 

弾と数馬の2人は軽音楽部の演奏について話ていた。2人は楽器を弾くのが趣味なので自然と話がそちらに行ったようであれこれと先ほどのライブにつて熱く語っている。そして2人とは帰り道が途中で分かれるので一夏達とは途中で別れる事となった。

 

「じゃな」

 

「おう」

 

「また明日」

 

「うむ」

 

「さよなら」

 

「じゃ~ね~」

 

弾と数馬に別れを告げる一夏達。

そのあとも4人は料理部の惣菜の話に花を咲かせていた。

 

「やっぱり日本の料理はおいしいね。僕は肉じゃががよかったと思うなぁ」

 

「俺はあの鯖の味噌煮が特によかったなぁ。食ってて白米欲しくなったぞ」

 

「鰈の煮付けもなかなかであったな。今度自分でも作ったみるとしよう」

 

「きんぴらもなかなかよかったわね。やっぱ中華とは違う趣があるわよね」

 

4人がそれぞれ気に入った料理の感想を述べている。料理部の販売していた惣菜は家事が得意な一夏を唸らせるほどであったのだ。そして一夏はここである事を思い出していた。

 

「そういえば昔フランスのシャルの家に遊びに行ったときに俺に手料理作ってくれたよな。あの『鶏肉のポトフ』は絶品だったぞ。あれは本当に美味かったなぁ」

 

一夏はフランスでシャルロットに作ってもらった料理を思い出していたのだ。母親にアドバイスを貰いながら一生懸命に料理をしていたシャルロットの姿は本当に愛らしく、それを見ていた一夏は胸が温まるようであった。料理ができていざ食べるときになるとシャルロットは不安そうに一夏を見つめていたが一夏が一口食べてから『C'est bon!(セ ボン)』とフランス語で美味しいと言ったときは凄く嬉しそうにしていた。そのときの笑顔も一夏はよく覚えていたのだ。

 

「そ、そう。あれは『プーレ・オ・ポ』とも言うんだよ。フランスの代表的な家庭料理なんだ」

 

「そうだったのか。今度また作ってくれよ。美味かったからさ」

 

「う、うん。わかったよ一夏」

 

「それと、シャルは日本料理には挑戦しないのか?」

 

「え?日本料理?そういえば日本の伝統料理ってすごくいいよね。せっかくだから僕も作れるようになりたいなぁとは思ってるよ」

 

「作れるようになったら是非食べてみたいな」

 

「う、うん。練習して作ってみるよ。できたら食べてくれる?」

 

「おう!楽しみにしてるぞ!!」

 

「・・・・・・(ムスッ)」

 

「なんなら箒にコーチしてもらったらどうだ?」

 

「え!?私がか!?」

 

そんな一夏とシャルロットの遣り取りをまたムスッとした顔で箒が見ていたが突然一夏から予想外の提案をされて驚いてしまう。

 

「ほら、箒も料理上手だろ?お前がコーチをすればシャルも心強いだろうし、前にお前が作ってくれた肉じゃがあったろ?あれめっちゃ美味かったぞ」

 

中学時代に一夏は箒の家にお呼ばれした際に箒の作った肉じゃがを食べたことがあった。そのときの肉じゃがは正直織斑家の肉じゃがよりも美味かったと一夏は思っている。十秋が作った肉じゃがよりも、自分が作った肉じゃがよりもだ。

 

「そ、そうか。よ、よく覚えているものだな・・・」

 

「いや、忘れないだろ?幼馴染の料理なんだし、すごく美味かったしな!」

 

「・・・・・・」

 

ポニーテールをいじりながら頬を少し赤く染めて一夏を見つめる箒。褒められて照れているのだが一夏の前では素直になれない性格のおかげか少々キツイ目で一夏を睨んでしまう。一夏も何で睨まれているのかわからずに首を傾げてしまう。それを見かねた鈴が助け舟を出す。

 

「箒、せっかくだから教えてあげたら?シャルロットも箒がいれば百人力でしょ?」

 

「そうだね。箒、お願いできるかな?」

 

「そ、そうか・・・。ふふっ、仕方ないな。よし、では今度私が教えてやろう」

 

「よろしくお願いします、箒先生♪」

 

「せ、せんせい・・・、やめろ、むず痒い」

 

「何だ?照れてんのかお前?」

 

「う、うるさい!!」

 

「ほら箒、落ち着きなさいって。シャルロットと一夏もあまりからかわないの」

 

「うん。ああそうだ、鈴も一緒にやろうよ」

 

「え?あたしも?」

 

「鈴も中華料理店の娘だから料理できるよね。これを機に中華料理も教えて欲しいんだけど」

 

「そうなの?じゃぁ、今度3人で料理大会でもやりましょうか?」

 

「それはいいな。ではそうするとしよう」

 

「うん!」

 

「そんときゃぁ呼んでくれよ!是非食べてみたい!!」

 

「「男は邪魔だ(よ)」」←箒と鈴

 

「そんな~」

 

「冗談よ、箒だって一夏に食べて欲しいのよ。ね~?」

 

「なっ・・・・!」

 

「そうなのか!?」

 

「むぅ・・・、まぁ、仮にも幼馴染だからな、食べさせてやらん事もない」

 

「うんうん!俺はいい幼馴染持ったぜ!ありがとう箒!!」

 

一夏はいきなり箒の手を握る。途端に箒はボッと顔を赤くする。それを知ってか知らずか一夏は彼女の手をブンブンと振るう。シャルロットも鈴それを見て笑っている。

 

「手を振るうな!馬鹿者!!」

 

「ああ、悪い悪い。今離すよ」

 

「あっ・・・」

 

箒が嫌がってると思ったので一夏は箒の手を離す。しかし一夏の手が離れると箒はちょっと名残惜しそうに声を漏らす。一夏もどうかしたのかと箒を見るが箒はそっぽ向いてしまう。

そうこうしているうちに鈴と箒と別れる道まで来ていたのだった。

 

「じゃ、あたし達はここで!」

 

「また明日な」

 

「おう、じゃぁな」

 

「箒、鈴、また明日ね!」

 

挨拶を交わし箒と鈴は去っていった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アイキャッチしりとり

 

弾「(だん)です!(たま)じゃないです!」

 

 

 

数馬「すっかり忘れられてたぜ・・・」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「さて、行こうぜ」

 

「うん」

 

そして一夏とシャルロットは並んで歩き出す。自然と2人の距離は肩が触れ合いそうなほどに近くなる。2人並んで歩くときに1番自然な距離。2人きりになったおかげか距離のおかげか2人はお互いを意識するようになる。一夏がチラッと横目で見るとシャルロットも同じようにこっちを見ている。頬を赤く染めて視線を戻す2人。またしても傍からみれば初々しいカップルのようである。

 

(そういえば、シャルに会うのって実は3年ぶりなんだよなぁ。メールの遣り取りはずっとしてたけど結構長い間顔を合わせてなくて今朝再会したけど懐かしい感じはしなかったな。3年間離れていたとは思えないくらいだった。あと、あまり考えてなかったけどシャルってすごく大人っぽくなったというか可愛くなったよなぁ。もともとシャルは可愛い娘だとは思ってたけど今はさらに可愛く見えるなぁ・・・。っていかん!何か意識しちまってドキドキが止まらない!)

 

(一夏と会うのも3年ぶりかぁ。メールの遣り取りをずっとしてたからかな?今朝会ったときも懐かしい感じはしなかったなぁ。それに凄く格好良くなってたし。3年前はまだあどけなさもあったけど今は大人っぽくなって凄く素敵に見える・・・。って、僕何を考えているんだろう!)

 

2人揃って互いを意識しまくっている。3年という歳月は人を変えるものだ。ましてや淡い想いを抱いている相手が成長した姿を見ると意識してしまうの当然といえば当然なのだ。

 

「そ、そういえばさぁ!」

 

「ひゃいっ!?」

 

「ど、どうした?変な声出して?」

 

「な、なんでもないよ。なんでもないよ?ちょ、ちょっと考え事してたから、それだけ」

 

「そ、そうか。それでさ、聞きたい事があるんだが」

 

「な、なにかな?」

 

「シャルって何処に住んでるんだ?ずっと一緒の帰り道みたいだけど?」

 

意識を断ち切るかのように一夏は尋ねた。一夏はシャルロットの住まいが何処なのかをまだ聞いていなかったのだ。どうやらここまで帰り道は同じのようでずっとあの2人の自然な距離を保ちながら並んで歩いていた。さすがに一夏も気になったので聞いてみたのだった。

 

「ああ、そういえば言ってなかったね。僕は藍越学園の寮に住んでるんだよ」

 

「そうなのか・・・。だから帰り道はこっちなんだな」

 

「そうなんだ」

 

「アレ?ちょっと待てよ?確か寮の場所って・・・」

 

「うん、一夏の家のすぐそばだよ」

 

そうなのである。一夏の家である織斑家は十字路になっている結構広い通りの交差点の角にあり藍越学園の寮はその対角線側にあるのである。つまりは凄く住んでいるところは近く帰り道はほぼ一緒なのだ。

 

「こんなに近くに住んでいるとはな」

 

「ごめんね?今朝も言ったけど驚かせたかったから」

 

「いや、それはもういいんだ。そっか、ならいつでも会えるんだよな」

 

「そうだね。こんなに近くに住んでるんだし」

 

「3年間会えなかったけどこれからは違うよな?」

 

「うん!」

 

頬を少し赤く染めて嬉しそうにシャルロットはうなずく。シャルロットの笑顔にまたしても一夏は魅了されていた。一夏は一生この笑顔に敵う事はないだろうなぁと思うのであった。やはり自分は笑顔のシャルロットが大好きなのだと今改めて実感したのだった。

 

「明日は一緒に学校行こうぜ。せっかくこんなに近くに住んでるんだし」

 

「うん、わかった。それじゃ、また明日ね」

 

「おう、じゃぁな」

 

手を振ってシャルロットは寮の方へ駆けていった。一夏も手を振ってシャルロットを見送る。

シャルロットの姿が見えなくなると一夏も家の中へ入った。そして普段着に着替えてから冷蔵庫を開けて今日の夕飯のメニューを考える。先ほど部活勧誘を回っているときに十秋から「今日ちょっと遅くなるから夕飯は一夏が作って」とメールが届いたので今日の夕飯作りは一夏の仕事だ。千冬も百春も帰りが遅くなることはあるがいつも家にはちゃんと帰ってくるので夕飯はいつもちゃんと4人分作るのだ。

 

「えーっと、買い物は昨日行ったから結構材料はあるし。何作ろうかなぁ?鶏のもも肉がけっこうあるしこの鶏肉使ってなんか作ろうかなぁ?野菜も人参とかカブとかセロリとかあるしこれも使って・・・・、あ!そうだ!!」

 

一夏は何か閃いたように声を出す。先ほど会話にも登っていた『鶏肉のポトフ』の事を思い出したのだ。材料は今確認したところ問題なくある。

 

「作ってみるか。シャル作ってくれたやつみたいに美味しくしてみせるぜ!!」

 

今日の織斑家の夕飯は『鶏肉のポトフ』に決定。

 

 

 

4人揃って美味しく頂いたそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャルが作ってくれたやつはもっと美味かったんだよなぁ。隠し味に何か入れてんのかな?う~ん・・・、わからん。今度シャルに聞いてみるか」

 

一夏はひとり出来栄えに納得できていないでいたがシャルロットに今度教えてもらう事にした。

 

ちなみにシャルロットが作ったポトフに入っていた隠し味は簡単だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『愛』だ。

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