ようこそ藍越学園へ   作:TAKUMAKI?

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ちらっとですが、『Memories Off 2nd』のキャラが二名出ます。


第五十四話 碧海ホーム

週末の土曜日。

半日の授業も終わり、時刻は生徒たちの待ち望んだ放課後を迎えた。

これから訪れる残りの半日と日曜日に大半の者が少なからず胸を躍らせる。

それもテストが明けて最初の週末ともなれば尚更であろう。

 

「ねぇ、一夏」

 

それはシャルロットも同じであった。

テスト前のデート以来、一夏とはほんの少しぎこちなさを残していた。

ラウラの事もあって有耶無耶のままになってしまっていたが、それも早くお終いにしてしまいたいとシャルロットは思っていた。

 

「何だ、シャル?」

 

「明日の日曜日、ヒマ・・・かな?ちょっとお買い物に付き合って欲しいんだけど・・・」

 

学校帰りの道すがら、少しモジモジしながらシャルロットは一夏にそう言った。

買い物とは言ったがこれはデートのお誘いだ。

ぎこちなさを取り除きたい気持ちもあるが、やはり好きな相手と一緒に週末を過ごしたいという気持ちもあった。

 

「あー・・・、悪ぃシャル。明日はちょっと用事があるんだ」

 

一夏は申し訳なさそうにして頭の後ろをかく。

 

「そう、なんだ・・・」

 

「ごめんな」

 

一夏は手を合わせてシャルロットに謝った。

 

「ううん、気にしないで。一夏にも都合があるんだし、突然の申し出をしたのはこっちだし」

 

「また今度誘ってくれよ。そん時は付き合うからさ」

 

「うん、わかったよ」

 

シャルロットは少し残念に思いながらも一夏と共に帰路を歩いていった。

 

 

side シャルロット

 

日曜日。

僕は藤川駅周辺をブラブラと歩きながらウインドウショッピングを楽しんでいた。

他にもCDショップに寄って最新のJ-POPを耳で楽しんでみたり、前に一夏と一緒に行ったアロマショップで最新アロマを試してみたりした。

 

「これで隣に一夏が居てくれたらなぁ・・・」

 

もう嘆いたところで結果は変わらないのに未練がましく僕はそう呟いた。

それにしても僕の気持ち、いつになったら届くのかな?

一夏は鈍感だから気付いてもらえるように色々頑張ってアプローチしてるんだけどなぁ・・・。

デートに誘ってみたり、腕を組んでみたり、あーんとかしてみたり。

そ、それに、キ、キ、キスだってしたし/////

あの時はすっごく恥ずかしくてお礼だなんて言っちゃったけど僕はお礼ってだけでキスなんてしない。

一夏の事が好きだからキスしたんだよ。

あれから多少は一夏も意識してくれていたし、キスの事も「忘れないでいてもいいか?」って言ってくれた。

でもやっぱり一夏の中では僕はまだ『幼馴染』のままなのだと思う。

ラウラの事もあって結局有耶無耶になっちゃったしね。

 

「ねぇねぇ健ちゃん!次はあっちに行ってみようよ!!」

 

「わかったから、ほたる。そんなに引っ張るなよ」

 

僕の前をちょっと僕や一夏より年上っぽいカップルが腕を組んで歩いていた。

女性の方は心底楽しそうに笑いながら、男性の方もそんな女性を微笑ましそうに見ながら歩いていた。

もし今日一夏に用事がなければ、ああして僕も一夏と一緒に笑いながらデートできたのかな?

そう思ってしまうと残念でしかたがなかった。

 

「はぁぁぁぁ」

 

さっきのカップルが羨ましくて僕は深いため息をついてしまう。

僕のこの想いはいつか一夏に届くと信じてはいるけど、さすがにここまで気づかれないと少しヘコむ・・・。

もう、一夏のばかぁ。

 

 

心の内での一夏への苦情もそこそこに僕はまた藤川駅周辺をまたぶらりとしていた。

次はどこに行こうかと考えていると僕は見知った後姿を見つけた。

小柄な体格に活発そうな服装でツインテールにした色の濃い茶髪をひょこひょこと可愛らしく揺らしながら歩いていた。

間違いない。アレは鈴だ。

なんか大き目の袋を持って僕の少し前を歩いていた。

鈴も買い物してたのかな?

まあそれはいいや。

せっかくだし僕は鈴の背中に向かって声を掛けて見ることにした。

 

「り――――」

 

声を掛けようとした瞬間、鈴が大きく手を振って足を速めた。

その鈴が向かった先にいた人物は。

 

「えっ!?」

 

そこにいたのは一夏だった。

鈴に気付いた一夏は手を上げて鈴を迎える。

合流したふたりは一言二言言葉を交わして笑う合う。

 

「っ!!」

 

ズキッ!と胸の奥が痛んだ。

傍目から見るとデートの待ち合わせをしていたかのように見えた。

何で!?

鈴は一夏には恋愛感情を抱いていなかったはず。

 

『あいつの事は気の合う友達だとしか思ってないわよ。まあ、一夏もあたしの事は弾や数馬みたいに同性の悪友みたいに思ってるだろうしね』

 

前に鈴は一夏の事をそのように言っていた。

少なくとも今までそばでふたりを見てきた限りではそれは真実だと思っていた。

だったらなんでふたりが・・・?

 

鈴は同性の僕から見てもとても魅力的な女の子だと思う。

可愛らしい容姿も然ることながら、男子と気兼ねなく遊ぶ活発さ、一時期学園で話題になった身体能力の高さ、実家の中華料理屋を手伝いながら料理の勉強をする勤勉さ、相談事にも快く乗ってくれる面倒見の良さ、僕が知っているだけでもこれだけある。

何より鈴は僕と同じで一夏とは幼馴染で僕がフランスに帰っている間も一夏と過ごしていた。

一夏は優しいし鈴とは気兼ねなく付き合える関係だから考えてみればそうなっても全然不思議じゃなかった。

 

やがてふたりは駅に向かって歩き出す。

どうやら電車に乗ってどこかに向かうようだ。

 

「どこに・・・、いくのかな・・・?」

 

いけないことだとわかっていながらも、気になってしかたがなかった僕は気付かれないようにふたりの後をついていく事にした。

 

 

 

一夏と鈴がシカ電に乗ると僕もふたりに続くようにシカ電に乗った。

僕が乗った車両はふたりが乗った車両違いひとつズラして乗っている。

車両と車両の間のドアからふたりの様子を窺う。

 

「――――――――」

 

「――――――――」

 

ここからでは何を話しているのかはわからない。

ただわかるのはふたりとも楽しそうに笑いながら会話をしているということだけだった。

 

「次は~、浜咲~、浜咲~」

 

シカ電に揺られること約10分、藤川から千羽谷方面に3駅行ったところにある浜咲にたどり着くとふたりは電車を降りた。

僕もふたりに続いて電車を降りる。

 

浜咲に何の用だろう?

やっぱりデートなのかな・・・?

 

また胸の奥がズキッと痛んだ。

その痛みを抑えながらも僕はふたりの後を追いかけた。

というか、何か僕浮気調査してる探偵みたいだなぁ・・・。

 

浜咲は駅を出ると北側が小高い丘になっていて、駅を出た一夏達はなだらかな坂道をゆっくりと上って行った。

そして、坂道を5分ほど歩いたところで目的地に着いたらしく一夏と鈴はそこにあった建物に入っていった。

僕は一夏と鈴が入っていった建物に近づいてその建物の名前を確認した。

 

「碧海(へきかい)ホーム?」

 

門のところのプレートには『碧海ホーム』と書かれていた。

なんだろうここ?

何で一夏と鈴がこんなところに?

僕は少しこめかみに指をトントンと当てて考え込む。

しかし、考えてみてもよくわからなかったので、僕は門の陰から中を窺おうと覗き込もうとした。

 

(ドンッ)

 

「きゃっ」

 

「わぁ」

 

覗き込もうとした瞬間に誰かが飛び出してきて僕とぶつかった。

飛び出してきたのはまだ6歳くらいの男の子だった。

僕とぶつかった所為で尻餅をついて、「いてて」と言ってお尻を押さえていた。

 

「コラッ!いきなり道路に飛び出したら危ないでしょ―――って、アレ?シャルロットじゃない?」

 

男の子の後に門から出てきたのは鈴だった。

 

「や、やあ鈴・・・」

 

とりあえず手を上げて挨拶をしてみるけど、僕はなんだか居心地が悪さを覚えてついバツの悪い顔をしてしまう。

 

「あんた、なにしてんのこんなトコで?」

 

う・・・。

どうやら白状するしかないみたい・・・。

僕には名探偵の素質はなかったらしい・・・。

 

side out

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アイキャッチしりとり

 

シャル「涙が出ちゃう!女の子ですから!!」

 

 

 

一夏&鈴「ら~ら~らら~ら~♪らら~ら~♪さっぱり~♪」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「なるほど、そういう事だったのね」

 

「うう~・・・、後つけたりしてゴメン・・・」

 

洗いざらい白状したシャルロットは鈴に尾行したことを謝罪した。

 

「別に気にしてないからいいわよ。まあ、GWのときは箒に無理矢理連行されたとはいえ、あたしもあんたと一夏のデートを尾行したんだし、お相子(あいこ)ってことで」

 

「う、うん・・・。ありがとう、鈴」

 

鈴の気遣いにシャルロットは感謝した。

それと同時に自分したことに恥ずかしさも覚えていた。

 

「ねぇねぇ鈴ねーちゃん。この人だぁれ?」

 

先ほどシャルロットとぶつかった少年が鈴の袖をくいくいっと引っ張りながら訊ねる。

 

「この娘はあたしのお友達よ。それより、人にぶつかったらちゃんと謝りなさい」

 

「うん、わかった。あの、ぶつかってごめんなさい」

 

鈴が男の子にぶつかったことを謝るように促すと少年はシャルロットに頭を下げて謝った。

シャルロットも「うん、だいじょうぶだから」と笑顔で返す。

 

「はい、よくできました。良い子ね」

 

鈴が少年の頭を撫でる。

すると少年は「えへへ」と顔を綻ばせた。

 

「鈴、なんかこの子のお姉さんみたいだね」

 

シャルロットは思ったことをそのまま口にしてみた。

鈴が少年に行ったそれは正にそんな感じであった。

 

「まあ、そうみたいなものね。他にもいっぱいいるけどね」

 

そう言って鈴は碧海ホームを見つめる。

 

「そういえばここって何の施設なの?」

 

「あー、それについてはここじゃなんだし中で話すわ。園長先生をあんたにも紹介したいし」

 

「うん、わかった」

 

鈴は少年の手を引いて建物内に入って行き、シャルロットもそれに続いた。

 

 

シャルロットが通されたのはかなり広い広間で、そこに備え付けられたソファーに腰掛けて落ち着かなさ気に辺りを見回している。

鈴は「園長先生を呼んでくるからここで待ってて」と言って席を外している。

辺りにはクレヨンや色鉛筆で書かれた絵が沢山張ってあり、ところどころに子ども用のおもちゃが転がっていた。

 

(何か何となくここが何の施設だがわかったかも)

 

シャルロットはここがどのような施設なのかがなんとなく雰囲気で理解できた。

そう、一見保育園のようにも見えるが実際は違う。

ここは身寄りのない子供達が集団で生活する場所。

つまりは養護施設なのだ。

 

「連れて来たわよ」

 

「失礼しますね」

 

すると、鈴と一緒に眼鏡をかけた白髪まじりの髪のご婦人が姿を見せた。

 

「あなたがシャルロットさん?」

 

ご婦人はにこりと温かい笑顔で尋ねる。

 

「えっ、あ、はい」

 

「ここの園長をしております、関根です」

 

「は、はじめまして。 シャルロット・デュノアです」

 

丁寧な挨拶にシャルロットも思わず立ち上がってお辞儀する。

 

「それじゃ、あたしは子ども達の相手をしてきますね」

 

「わかりました。よろしくお願いしますね」

 

「じゃあシャルロット、またあとでね」

 

「う、うん」

 

そう言って鈴は広間をあとにした。

 

 

side シャルロット

 

「あなたの事は織斑くんからよくお聞きしてますよ」

 

「えっ?」

 

僕と園長先生は向かい合わせのソファーに座りながら用意されたお茶を飲んでいた。

すると園長先生がそう話を切り出してきた。

 

「とても気立てがよくて笑顔が素敵な方だと言っていました」

 

「え///や、やだ、一夏ったら////」

 

うわわわ、顔が火照るのがわかった。

一夏って誰にでも僕のことそう言ってるのかな?

前にもセシリアに似たようなことを言われた気がする。

でも、恥ずかしいけど一夏が僕をそう見ていてくれているのがとても嬉しい。

 

「あ、あの、一夏と鈴はいつからここに?」

 

恥ずかしさを誤魔化すように僕は話題を変える。

 

「2年ほど前に織斑くんと凰さんが通われていた中学校の体験学習という時にこちらに見えられましてね。それからはたまにこうして来て子供達の相手をしてくださってるんですよ。他にも篠ノ之さんや五反田くんや御手洗くんという方々も時々いらっしゃる時があります」

 

僕の知らない一夏達の中学時代の話だった。

どうやら箒や弾や数馬達もここには縁があるらしい。

その縁の中に僕の姿がないのが少し寂しい。

 

「最近は凰さんのご実家の中華料理屋からお菓子持ってきてくださるのでとても感謝しています」

 

そういえば鈴は何か大きめの袋持ってたな。

あれはここ子ども達の為のお土産だったんだね。

 

「最近では子供達ったらもう毎日『一夏お兄ちゃん達、今度いつ来るの?』って言って。もう、困ってしまうんですよ」

 

頬に手を当ててうれしそうに微笑む園長先生。

 

そっか、一夏・・・・。

多分、一夏にはなんとなくわかるんだと思う・・・。

ここで暮らす子供達の気持ちが・・・。

一夏も両親を、萬月さんと四季さんを亡くしている・・・。

最悪、千冬さん達とも別々に暮らすことになっていたかもしれないから・・・。

 

「お恥ずかしい話、ここの経営も順調とは言い難いものでして。だから織斑くん達には大変感謝しているんですよ」

 

園長先生は立ち上がって窓の方へ歩み寄る。

視線の先には砂場で子供達と相撲を取っている一夏とそれを鈴と周りの子達が応援している姿が見えた。

 

「外は楽しそうですね。ここで話しているのもなんですし、私達も見に行きましょうか?」

 

「あ、はい」

 

園長先生に促され、僕は外に出て一夏達が相撲を取っている砂場に向かった。

 

 

「頑張れー!」

 

「いけー!」

 

「ファイトー!」

 

砂場では熱い応援が飛び交っていた。

ちょうど一夏と8歳くらいの男の子が対戦していた。

 

「お、お前少しだけ力が付いたな?」

 

「へへっ、毎日園長先生の買い物に付き合って荷物持ちとかしてたもんね。だから今日こそ勝ってやる!」

 

「それは偉いな。だが、まだ甘い!」

 

「わぁっ!」

 

一夏は男の子の足を引っ掛けて転ばした。

 

「ちきしょ~!今日こそ勝てると思ったのに~!」

 

「はははっ、俺に勝とうなんてまだ10年早い!」

 

一夏、ちょっとその発言は大人気ないよ・・・。

 

「「「「「「「わぁぁぁぁ~~~!!!」」」」」」」

 

すると、いきなり応援していた子供達が一斉に一夏に群がりだす。

 

「なっ!?なんだよおい!!ちょっと!!!おわぁぁぁぁ!!!!」

 

子供達が群がって一夏に飛びつく。

すると、さすがに一夏も大人数で攻められたらどうしようもなく、バランスを崩して背中から砂場に崩れ落ちた。

 

「やったーーー!一夏にーちゃんを倒したーーーー!!」

 

「「「「「「やったーーーーー!!!」」」」」」

 

子供達が歓喜の声を上げて騒ぎ出す。

飛び跳ねたりハイタッチをしたりして身体全体を使って嬉しさを表現している。

 

「こ、このやろーーーー!!!」

 

一夏が起き上がって声を張り上げる。

 

「「「「「「「きゃーーーーーー」」」」」」」

 

雲の子を散らすように子供達が逃げだす。

一夏も逃げる子供達をムキなって追いかけている。

何だが傍目から見ていると一夏も子供っぽくてあまり僕も見たことがなかった一夏の姿につい笑みがこぼれてきた。

 

「あらあら♪」

 

「まったく、一夏も子供ねぇ」

 

そのままの流れで一夏と子供達は鬼ごっこを始めていた。

それを見ながら園長先生と鈴も笑っていた。

一夏は逃げ回る子供達をひとりひとり捕まえて頭をくしゃくしゃと撫でる。

撫でられる子供達も抵抗せずに笑顔で一夏に頭を撫でられてる。

一夏に頭を撫でられると不思議と気持ちが良いのは僕も経験しているからわかる。

だから子供達も本気で逃げるわけでもなく最後は全員一夏に捕まって頭を撫でられていた。

 

 

それから一夏は僕がいることに気付いて不思議そうな表情をしていた。

僕はどう言葉が返せばいいのか戸惑ってしまったけど鈴が助け舟を出してくれた。

さすがに一夏と鈴の事が気になって後をつけてきたとは言えなかったので鈴にはまた感謝しなきゃね。

そのあとは僕も一夏や鈴や子供達に混ざって一緒に遊んだ。

最初は僕が欧州人と言うことでちょっと戸惑う子も多かったけど、そのうち皆僕のことも「シャルお姉ちゃん」と呼んで懐いてくれた。

 

時刻は午後4時を回り、思いっきり遊び回った子供達は今はみんなお昼寝の時間。

畳の部屋にきれいに敷かれた布団の上、思わず抱きしめていまいたくなるほどかわいい寝顔ですやすやを寝息を立てる子供達。

見ていると癒されるなぁ。

 

「皆寝ちまったし、そろそろお暇するか」

 

「そうね。あたしもこの後店の手伝いしなきゃいけないし。そろそろ帰りましょう」

 

「そうだね」

 

子供達が皆寝静まると僕達はそろそろ帰ろうという事になった。

 

「皆さん、今日は本当にありがとうございました。子供達もとても喜んでいましたよ。帰りの道中気をつけてくださいね」

 

園長先生に挨拶をして僕達は碧海ホームをあとにした。

 

 

藤川駅に着くと鈴は家の手伝いに行くと言って僕達とと別れて先に帰って行った。

 

「なあ、シャル」

 

「ん?なぁに一夏?」

 

「まだ少し時間があるし、今からでよければ買い物に付き合うけど?」

 

「えっ!?いいの?」

 

「まあ、シャルがよければ」

 

「ありがとう!じゃあ、行こう」

 

「お、おう」

 

一夏の申し出に僕は嬉しくなってつい一夏の手を握る。

不思議と照れ臭さがなくすんなりと手を握ってくる僕に一夏は明後日の方向を向きながら頬をポリポリとかく。

うふふっ、一夏はちょっと照れてるみたいだね。

それから一夏と僕は短い時間ではあったもののふたりで一緒に買い物を楽しんだ。

いつしか互いの間にあった微妙なぎこちなさもその存在を消していった。

 

side out

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