ようこそ藍越学園へ   作:TAKUMAKI?

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第五十八話 班決め

「今日のLHRは近々行われる林間学校の班を決める。各班に分かれたあとは班長を決めてもらう」

 

担任の千冬の言葉に教室内が騒がしくなる。

 

「静かにしろ!話が進まん!」

 

千冬が静粛にするように注意する。

この後に班決めが行われるとわかっているせいかすぐに静かになった。

 

「これより男女3人ずつの班を3つ、女子は人数が多いので男子3人女子4人の班を2つ、合計5つのグループを作ってもらう。いいな」

 

「はーい!」と返事を返す一年一組の生徒達。

 

「では、出席番号順に男子はこちらの、女子はこちらのくじを引いてもらう。同じ番号になった者が同じ班だ」

 

「えー!?自由に決めちゃ駄目なんですか!?」

 

「それだと決まるまでに時間がかかるのは目に見えている。公平を規すために班決めはくじ引きで行う。異存はないな」

 

「はーい」と返事をする一年一組の生徒達。

一部の者は渋々といった声で返事をした。

 

「では、男子は遠藤、女子は相川から順にくじを引け。女子は『4』番と『5』番が4人の班になるからそのつもりでいろ」

 

千冬の言うとおり、出席順番に生徒達が教卓の上に置かれた箱の中から数字の書かれた紙を取り出していく。

 

「全員引いたな。引いていない者はいないな?」

 

「はーい」と3度目の返事をする生徒達。

ここまで見事に統制の取れた返事であった。

千冬の教師としての威厳がなせる事である。

 

「それでは、同じ番号の者同士で集まって班長を選出してもらう。1番は教室前方廊下側、2番は教室後方廊下側、3番は教室の真ん中、4番は教室前方窓側、5番は教室後方窓側に移動してもらう。では、分かれろ」

 

生徒達は席を立って指定された位置に向かい始める。

 

「「い、一夏っ!!」」

 

「ん?どうした?」

 

シャルロットと箒が一夏の元を訪れる。

意中の相手が自分と同じ班なのか気になるは致し方ないであろう。

 

「「何番だった!?」」

 

「俺か?俺は――――」

 

ゴクリと唾液を飲み込むシャルロットと箒。

緊張した面持ちで一夏の言葉を待っていた。

 

「俺は、『1』だな」

 

一夏は引いた紙をふたりに見せる。

その紙には確かに『1』と書かれていた。

完全に一繋がりだ。

 

(よしっ!!)←箒

 

(ガーン・・・)←シャルロット

 

箒は心の内で大きなガッツポーズをとる。

シャルロットはガーンと心の内で「_| ̄|○」←こんな状態になっていた。

ちなみにシャルロットは『4』で箒は見事一夏と同じ『1』を引き当てた。

正に「天国と地獄」、「勝者と敗者」の構図だった。

 

「き、奇遇だな。わ、私も『1』を引いたんだ。お、同じ班だな」

 

この時の箒は自分の運の良さに心から感謝した。

 

「おお、そうか。よろしくな箒。ところでシャルは何番だったんだ?」

 

「・・・僕は『4』だった・・・」

 

「そっか。という事はシャルとは別班になるのか」

 

「う、うん・・・」

 

この時のシャルロットは自分の運の無さを心から呪った。

ライバルの箒は一夏と同じ班なのに自分は別の班になってしまったのだ。

心中は穏やかとは呼べない。

 

「兄様、私は『4』だったんだが兄様はどこの班になったんだ?」

 

とてとてとラウラが一夏に歩み寄ってきた。

やはりラウラも兄と慕う一夏と同じ班がいいらしくちょっとそわそわした面持ちで訊ねてくる。

 

「俺は『1』だから残念だけど違う班だな」

 

「そ、そうか・・・」

 

ラウラがちょっとだけしょんぼりとなる。

まるでおやつを取り上げられた子供のようだとでも言おうか。

ラウラの様子に一夏はちょっと笑みをこぼす。

 

「まあ、一緒に行動できないのは残念だけどな。『4』って事はシャルと同じ班だな」

 

ラウラの頭を撫でながら一夏はそう告げる。

一夏とは一緒の班にはなれなかったが親しい者はひとりでもいればラウラとしても安心できる。

 

「う、うん、そうだね。ラウラ、よろしくね」

 

「うむ、よろしく頼むぞ」

 

シャルロットはまだちょっと浮かない顔をしていたが、ラウラが同じ班だということでちょっと安心したのか表情を少し綻ばせる。

 

「皆さん、皆さんはどこの班になりましたの?ちなみにわたくしは『4』を引きましたわ」

 

「あ、セシリア」

 

続いてセシリアがやって来た。

やはり班決めということで親しい者達がどこの班になったのか気になるようだ。

 

「俺と箒は『1』でシャルとラウラは『4』だ。つまりお前ら3人は同じ班だな」

 

「そうですか。一夏さんや箒さんと同じ班ではないのは残念ですが、シャルロットさんとラウラさんがご一緒なら安心できますわ。わたくしこういう学校行事は病弱だった上、あまり参加した事がございませんのですっごく楽しみですの!」

 

いつになくテンションが高いセシリア。

イギリスと日本では学校行事に差異はあるであろうが、こういった学校行事に参加するのが初めてとあらば頷ける。

 

「おう、楽しい思い出になると思うぜ」

 

「そ、そうだね・・・じゃあ、僕達もそろそろ自分の班の所に行って来るよ」

 

もう引いてしまったものはしょうがないと割り切ったシャルロットはそろそろ集合場所に移動しようと提案する。

 

「ああ、じゃあ俺達もそろそろ集合場所に移動するとするよ」

 

「わかりましたわ。ではまた後ほど」

 

「兄様、またな」

 

「おう、またな」

 

「また後でな」

 

手を振ってシャルロット達を見送る一夏と箒。

 

「さて、俺達も移動しようぜ」

 

「ああ」

 

一夏と箒も集合場所へ移動を開始した。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アイキャッチしりとり

 

一組男子(一夏以外)「ルーチンワークが加速する」

 

 

 

一組女子(原作ヒロイン以外)「ルビーの熱情」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

side 一夏

 

シャル達が集合位置に行くのを見送ると俺は箒と『1番』の集合場所に移動する。

といっても集合位置は教室前方廊下側だから俺の席はすぐそばだ。むしろ移動なんてしなくてもいいくらいの位置にあるので待っていれば自ずとメンバーが集まるだろう。

 

しかし、シャルは俺と同じ班じゃなくて本当に残念そうだったなぁ。

確かに同じ班になれたなら俺も嬉しかったけど。

まあ、シャルの方はラウラとセシリアもいるし、他の奴ともシャル自身の人当たりの良さもあってギクシャクすることはないだろう。

あのキャラなら女子も然ることながら、男子とも仲良くできるはずだ。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・、アレ?

 

 

・・・・・・・・・・・・・、なんだろうか?

 

他の男子とシャルが仲良くしてるのを想像したら、なんかちょっとイヤな感じというか、ちょっと不愉快な感じがしたような・・・?

 

 

 

いやいや、多分気のせいだろうな。

人と仲良くするのは悪い事じゃない。

シャルなら友達が100人できても不思議じゃないさ。

 

さて、俺の班は箒以外のメンバーは誰かなっと?

 

「あら?ひょっとしてあんた達も『1』なの?」

 

「おう、鈴か。お前も『1』なのか?」

 

「そうよ。ほら」

 

鈴は引いたくじの紙を見せてきた。

そこには確かに『1』と書かれていた。

箒と鈴が同じ班か。

そういや小学校の修学旅行はこの2人と一緒の班だったな。

中学のときは箒が3年間ずっと違うクラスだったからこの3人で同じ班になって学校行事に行くのは実に久しぶりだな。

 

「よかったわね~箒~♪一夏と一緒の班で~♪」

 

「ば、バカ者!別に嬉しくなんか・・・!!」

 

「はいはい、そういうことにしといてあげるわよ~♪」

 

「むぅ・・・」

 

何やら箒と鈴がじゃれているな。

まあ、あいつらは親友同士だし、じゃれ合いはいつもの事だけどな。

 

「おりむ~♪」

 

「お?のほほんさん」

 

ぺたぺたと遅い歩調とゆったりとした口調で近寄ってきたのはクラス一の癒し系ことのほほんさん。

相変わらず目がとろーんとしてて眠そうだ。

 

「私の引いたクジ『1』だったんでけど~、ひょっとしておりむーも~?」

 

「おう、俺も『1』だ。よろしくな」

 

「うん、よろしく~♪」

 

これで女子は箒、鈴、のほほんさんで3人が決まったな。

あとは男子が2人が来ればうちの班は全員集合だな。

 

「やあ、ここに集まっているという事は君達も『1』番かい?」

 

「お?桐生か?」

 

やってきたのは桐生悟史だ。

俺自身はそんなに話した事がある奴じゃないけど、なんでも両親が有名な音楽家で彼自身はフルートをやっているらしい事は知ってる。

中学時代にコンクールで優勝したらしく、吹奏楽部の期待の星らしい。

 

「同じ班になったのも何かの縁。これからよろしく」

 

「ああ、よろしくな」

 

中々上品な笑みで手を差し出してきたのでこっちもそれに応えて握手をする。

うむ、見た感じ身体の線が細いとは思っていたが手は意外と男らしくがっしりしてる。

まあ、それは桐生も男だということか。

 

「織斑×桐生・・・、盲点だったわ・・・」

 

「どっちが攻めでどっちが受けかしら・・・?」

 

何か『2』の班にいる岸里さんと岸原さんが何か言っている気がするが気にしないでおこう・・・。

気にしたら負けなような気がする・・・。

 

「とりあえず、あとひとりでうちの班は全員集合だな」

 

「ん?もう全員集まってるじゃないか?」

 

「は?でも男子があとひとり――――」

 

「――――織斑、後ろ後ろ」

 

桐生が俺の後ろを指差している。

振り返ると

 

「・・・・」

 

いつの間にか俺の後ろにクールの表情をしたひとりの男子がいた。

 

「瀬戸?」

 

「・・・・」

 

軽く手を上げて挨拶をする瀬戸俊樹。

陸上の長距離選手らしいんだが普段はめちゃくちゃ無口で冷静な男だ。

 

「瀬戸も『1』を引いたのか?」

 

「・・・・(コクリ)」

 

「そうか。じゃあ、よろしくな」

 

「よろしく」

 

桐生の時と同じように握手をする。

まあ、瀬戸は無愛想だが悪い奴じゃないのはクラスメイト全員知ってる。

以前授業中にゴキブリが出てちょっとした騒ぎになったことがあったのだがそれを鎮めたのが何を隠そう瀬戸だった。

丸めた教科書を武器にすばやくゴキブリを退治して一時期うちのクラスの英雄として崇められていたほどだ。

しかし瀬戸よ、そのゴキブリ潰した教科書をそのまま平然と使うのはどうかと俺は思うぞ。

 

「織斑×瀬戸・・・、これはまた・・・」

 

「瀬戸くんが攻めでも受けでもどう乱れるのかが・・・」

 

またあのふたりが何か言っているが気にしない気にしない・・・。

気にしたら負けだ・・・。

 

「班員が全員集合したらさっさと班長を決めろ。もたもたしてると兎跳びで校庭10週させるぞ」

 

おいおい、そりゃないぜ千冬姉・・・。

なんだよその体育教師が言いそうな罰は・・・。

ともあれ、さっさと決めちまった方が良さそうだな。

 

「一夏、あんた班長やんなさいよ」

 

「はぁ?何で俺が?」

 

唐突に鈴が俺に班長やれと言ってきた。

いきなり何を言い出すだコイツは?

 

「あんた小・中の修学旅行でも班長やってたじゃない。こういうのは大概責任感のあるやつが班長をやるのが定石でしょ。あんた結構責任感はある方だし適任でしょ」

 

鈴の言ってる事は概ね理解はできるが本心を言えば面倒臭い。

今までこういう学校行事は班長になる事が多かったから面倒臭さは理解しているのでできればやりたくない。

 

「いや、やっぱ俺はやらな――――――」

 

「おりむーが班長でいいと思うひと~?」

 

俺の声を遮ってのほほんさんが班員にそう掛け声を掛ける。

それを合図に俺以外のメンバーが手を上げる。

こら、鈴。その「ほらね」みたいな顔はやめなさい。

箒、お前も何食わぬ顔で手を上げてるな。

のほほんさんもそんな朗らかな顔して何言ってんだ。

桐生、お前も「頑張ってな」みたいな顔すんな。

瀬戸よ、お前もちゃっかり手を上げてるあたり抜け目ねぇな・・・。

はぁ、覚悟決めるしかなさそうだな・・・。

 

「わかったよ。やれば良いんだろやれば」

 

「「「「よろしく~」」」」

 

はぁ、こいつらちゃっかりしてるよ・・・。

 

「・・・・」

 

瀬戸が俺の肩をポンと叩いてきた。

労ってるつもりなのだろうか?

それなら最初から班長押し付けないでくれよ・・・。

やれやれ・・・。

ともあれ、俺の班は俺、箒、鈴、のほほんさん、桐生、瀬戸の6人という事になった。

やるからにはこのメンバーで林間学校を楽しむとしよう。

 

side out

 

 

各班一覧

 

第一班 織斑(班長)、篠ノ之、桐生、凰、瀬戸、布仏

 

第二班 根室(班長)、岸里、御手洗、岸原、並木、田島

 

第三班 谷本(班長)、五反田、鏡、若林、夜竹、平沢

 

第四班 鷹月(班長)、斉藤、デュノア、松戸、ボーデヴィッヒ、矢島、オルコット

 

第五班 遠藤(班長)、利元、長谷川、四十院、田所、櫛灘、相川

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