「・・・・・、ねえ、虚ちゃん?」
「なんですか会長?」
「ちょっと休憩にしない?」
「まだダメです」
「5分でいいから」
「ダメです」
「じゃあ3分」
「時間を短くしてもダメです」
「ふえ~ん・・・」
場所は放課後の生徒会室。
生徒会長の十秋は副会長の布仏虚と共に大量の書類と格闘していた。
ちなみに、藍越学園の生徒会には生徒会長の十秋と副会長の虚以外にも、副会長1名、書記2名、会計2名がいるのだが、この日は数名が病欠で残りの数名がバイトやら外せない用事があるやらで十秋と虚以外のメンバーは全員この場には来れないので今日の生徒会の仕事はこのふたりで行わなければならないのだ。
「なんで今日に限ってこんなに書類があるの・・・?」
「そんなの私に言われても知りませんよ。とにかく今日は私達しかいないんですからちゃっちゃと終わらせますよ」
「は~い・・・」
泣き言を漏らす十秋を虚は促す。
ふたりとも手を止めずに目の前に置かれた大量の書類を一枚一枚目を通して処理をしていく。
普段は完璧超人と言われている十秋だが、実際はこういう単純作業は結構苦手だったりする。
おまけにこの日は虚とふたりだけでこの書類の山を処理しなければならないのかと思うとうんざりしてくるのであった。
「ほら、ボケッとしてるといつまで経っても終わりませんよ」
「わかったわかった・・・」
うんざりした気持ちをなんとか奮起させて十秋は虚と共に書類の処理に没頭した。
「は~・・・、やっと終わった~・・・」
全ての書類を処理し終えた瞬間、十秋はぺたんと机に突っ伏した。
「ご苦労様。では、休憩にしましょう」
虚の方も全部終わったらしく、彼女もメガネを外して少し目を押さえながらそう言ってきた。
あれからノンストップで山と積まれた大量の書類をふたりで処理していたの結構な時間が経っていた。
窓の外を見ればもう夕陽が見えていた。
なんにして今はだるくてあまり動きたくないので十秋は少しだけ机に突っ伏したまま目を閉じていたのだった。
「会長、そんなところで寝てははしたないですよ」
「う~ん・・・」
「今、紅茶を入れますので少し待っていてください」
「ありがとう虚ちゃん・・・」
十秋のあまりに弱りきった姿に虚は苦笑いをしながらも生徒会室備え付けの給湯室で紅茶を入れ始める。
虚自身も書類の処理は行っていたが、量自体は十秋ほど多くはなかったので十秋のように机に突っ伏すほど疲れてはいなかった。
十秋はざっと虚の3倍は処理を行っていたであろう。
それを為しえてしまう辺りがさすがは生徒会長というところであろう。
「できましたよ会長。今日はアッサムのミルクティーを入れてみました」
「ありがとう虚ちゃん。いただきます」
用意されたアッサムのミルクティーに口をつける。
「はぁ~、やっぱり虚ちゃんが入れる紅茶は世界一美味しいね♪」
「会長、おだてても何も出ませんよ」
「あらら?あたしは本当のこと言っただけだよ?それに今は休憩中でしょ。会長じゃなくて名前で呼んでよ」
「まあ、十秋さんがそう言うのでしたら」
生真面目な性分故か、虚は生徒会活動をしているときは十秋を「会長」と呼んでいる。
「変なところにこだわるなぁ」と十秋は思っているが、「公私のけじめはつけるべきです」というのが虚の考えである。
まあ、それ以外の時間ではこのふたりは普通に仲の良い親友同士だ。
ちなみに虚が敬語なのはそれが自然だからである。
「それにしても、この学園ってちょっと運営を生徒会に任せ過ぎじゃないかな?十蔵さん達が忙しいのは理解してるつもりだけど、もうちょっとなんとかならないかな・・・」
「まあ、それだけ信頼されているということなのでしょう。何せ、生徒会支持率90%以上というのはこの学園始まって以来の高支持率だそうですから。生徒と学園が一体となって学園を動かすというのが理事長の狙いなのかもしれませんね」
「そうだね。まあ、信頼されてるならそれに応えなくちゃ生徒会長失格だよね」
ミルクティーを飲み終えて、十秋は大きく伸びをひとつする。
(今日は家に帰ったら一夏にマッサージお願いしようかな)
伸びをしながら十秋はそうな事を考えていた。
長時間椅子に座っていた所為もあってか身体が少し軋むようだったので、愛弟の一夏お得意のマッサージをお願いしようという考えだった。
「さて、もうちょっと休憩したら次は各部活動の見回りに行きますよ」
「あ、そういえばそうだったね・・・」
再び仕事の話になり、十秋もちょっとげんなりする。
「では、よろしくお願いしますよ会長」
「わーん・・・、虚ちゃんのいじわる~・・・」
「文句は今日の仕事を押し付けていった他の役員達に言ってください」
恨めしげな視線を向ける十秋に虚はからかうような笑みを浮かべて最後にミルクティーを口にした。
休憩を終えた十秋と虚はそのまま部活動の見回りに出た。
文化系の部活動が集まる第二部室棟に運動系の部活動が使用するグラウンド、体育館、格技場、第一部室棟と回るところはたくさんある。
「では、まずは第二部室棟の方から回りましょう」
「は~い」
虚の指示の下、ふたりは文化系の部活が集まる第二部室棟から見回りを開始した。
第二部室棟での見回りを数件終え、十秋と虚は次の部活動へ移動していた。
「次は軽音楽部ですね」
「軽音学部か。一夏の友達がいる部活だね」
「そうなのですか?」
「うん。弾くんと数馬くんっていう子なんだけどね」
十秋が説明をしながら軽音楽部の使用する部室兼練習ステージへ向かう。
以前に述べたが、この学園は理事長である轡木十蔵氏の意向で部活動への支援が大きく、部費は破格の高さで各部活動にはちゃんと専用の部室がある。
軽音楽部にも第二部室棟内に部室とちょっとしたライブステージが用意されており、軽音楽部はそこで練習を行っているのだ。
「あ、何か音楽が聴こえてくるね」
「どうやら演奏中みたいですね」
練習ステージを覗いて見ると確かに軽音楽部の部員達が演奏をしていた。
ステージの上にはベースを持った弾とギターを持った数馬の姿もある。
「邪魔しちゃ悪いし、ちょっと部屋の隅で聞いてよっか?」
「そうですね」
邪魔をしないようにふたりは部屋の隅で軽音楽部の部員達が奏でるミュージックに耳を傾けた。
(♪~♪~♪~♪~♪~)
軽快かつ迫力のある演奏にふたりは浸っていた。
軽音学部員達もふたりに気付く様子はなくただ黙々と演奏に集中していた。
そして、演奏は終わりを告げた。
(パチパチパチパチ)
演奏終了と同時に十秋は無意識に拍手をしていた。
突然の拍手に部員達が十秋達の方を向くと少し驚いたような顔を浮かべる。
「「「「生徒会長?」」」」
「と、とと、ととと、十秋さんっ!!?」
若干1名めっちゃくちゃどもりながら十秋の名前を口にする。
「凄かったよ。あたし感動しちゃったよ。皆上手いんだねー」
手が痛くなるような勢いで拍手をする十秋に部員達も少し照れ臭い顔をする。
「ま、まあ、学園祭に向けて誠心誠意練習してるから」
ドラムを叩いていた部長らしき人が照れ笑いを浮かべてそう言った。
「学園祭ですか?行われるのは9月の後半なのにもうそれに向けて練習されているのですか?」
学園祭という単語に虚が少し首を傾げる。
今は6月後半で学園祭は9月後半だ。
夏休みを挟んでもまだ3ヶ月も先の事だ。
「それはですね、軽音学部って演奏を披露できる場ってそうそう無いので、早いうちから学園祭のステージに向けて練習を始めているって事らしいんですよ」
「・・・あなたは?」
「ああっ!俺、五反田弾っていいます。軽音楽部の1年です!!」
首を傾げていた虚に弾が説明をした。
何やら弾は緊張した面持ちだった。
虚は十秋と共に「藍越学園3年の二大美女」と言われるほどの女子だ。
大方、これを機に虚とお近づきになりたいと思っているのだろう。
「・・・そうですか。何にしても、練習頑張ってくださいね」
「は、はいっ!」
会話を打ち切り、虚は十秋の元へ行こうと弾に背中を向けようとする。
「あ、あのっ!」
「はい?」
弾は内心で焦っていた。
どうにかして会話を繋げられないか。
次の言葉を必死で考える。
「? 何かしら?」
そして、弾の口から出た言葉は・・・。
「い、いい天気ですね!?」
「? えぇ、そうね。まあ、もう夕方ですけどね?」
「・・・・・・」
「・・・・・・?」
会話終了。
弾は自分の会話センスの無さに打ちのめされたのかズーンと暗くなる。
「? では、私はこれで」
「は、はい・・・」
落ち込む弾の姿に首を傾げながら虚は十秋の元へ向かった。
一方、虚が弾と話している頃十秋は
「凄いね数馬くん。一夏から聞いてはいたけど、本当にギター上手なんだね」
にっこりと笑いながら十秋は数馬に近づき数馬のギターテクニックを褒める。
「あ、ああ、ありがとうございますっ!!」
想い人からの賛辞に数馬は緊張しながらも喜びを顕にする。
「もしかしてプロになれちゃうかもね?」
「そ、そんな、それはさすがに大げさですよ//////」
褒めちぎる十秋に数馬はまさに夢見心地といった感じだった。
「いいんじゃないかな。カッコイイとあたしは思うよ」
にっこりと笑いながら十秋は数馬に微笑む。
「っ!!!!!!!!」
十秋の「カッコイイ」発言に数馬は固まった。
(カッコイイ・・・、お、俺が、カッコイイ!!十秋さんが、俺を、カッコイイって!!)
心の内で十秋の台詞を反芻する。
喜びが全身を駆け巡り、胸の奥がドクドクと鼓動を速め、やがてその言葉を真に理解した数馬はボンッと
顔を瞬時に真っ赤にさせる。
湯沸かし器も真っ青になるほどの瞬間沸騰だ。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!!!!!」
「きゃっ!数馬くん?」
突如、大声を上げた数馬に十秋はビクリとする。
「我が世の春が来たぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!!!」
そう叫ぶと数馬は駆け出してステージを飛び降りてそのまま外に走って行ってしまった。
「・・・・・・」
十秋も少し呆然としながら数馬を出て行った方を見ていた。
「会長、そろそろ次に見回りに行きましょう」
「あ、うん、そうだね」
「十秋さん、お帰りですか?」
「うん、じゃあね弾くん。練習頑張ってね」
「はい、ありがとうございます」
虚に促され、十秋は弾をはじめ、部員達に一言告げてから軽音楽部のステージを後にした。
「次はどこの部活かな?」
「次はですね―――――」
十秋と虚は見回りを再開した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アイキャッチしりとり
十秋「虚ちゃんのバカ・・・」
虚「勝手なことを言わないでください」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
それからも十秋と虚は様々な部活動を見回った。
例えば、シャルロットが所属する料理部の調理実習でちょっとだけ実習の成果を分けてもらったり
例えば、ラウラが所属する茶道部でラウラが点てたお茶をご馳走されたり
例えば、箒が所属する剣道部で箒の無双ぶりを見学したり
例えば、セシリアが所属するテニス部でちょっとした簡易試合をしてみたり
他の部活動も生徒会長である十秋が訪れると活気が増し、より充実した活動を行っている。
十秋のカリスマ性や人気の高さが窺い知れる。
この十秋のカリスマ性こそ生徒会支持率90%以上という数値を叩き出した要因でもあるのだ。
その描写はここでは割愛させていただく。
さて、一通り各部活動の見回りを終えた十秋と虚は日も暮れかけた時間に生徒会室へと戻ってきた。
この日の残りの仕事は既に無く、せいぜい後片付けがちょっとあるくらいだ。
「会長、後片付けは私がやっておきますのでもう帰っていいですよ」
「え?でもひとりだと少し遅くなっちゃうよ?」
「大丈夫ですよ。会長も今日はあれだけの仕事をこなしたのですからお疲れでしょう?後片付けくらい私がやっておきますから」
「本当にいいの?」
「ええ」
十秋は少し考える仕草をするが、せっかくの虚の厚意を無碍にするのも悪いと思い、それを素直に受ける事にした。
「わかったよ。じゃあ、あとの事はお願いね」
「わかりました。それでは」
「うん。またね」
手を振って十秋は虚に背中を向けると昇降口に向かって歩き出す。
「あ、あのぉ!十秋さん!」
「ん?」
虚に突然呼び止められた十秋。
振り向くとちょっと何か言いづらそうにしている虚の姿があった。
「あ、あの・・・、ひとつ、聞いてもいいですか?」
「? 何かな?」
虚にしては珍しく歯切れが悪い物言いに、十秋は若干不思議そうな顔で虚を眺める。
「さきほど、軽音楽部に行ったときの事なんですけど。頭にバンダナを巻いていた男子のがいましたよね」
「弾くんの事?あの子がどうかしたの?」
「あ、あの方は、そのぉ、え~っと・・・」
「? どおしたの虚ちゃん?」
「い、いいえ!何でもありません!!では、私はこれで!!」
場を誤魔化すかのように虚は顔を少し赤くしてその場を早足に去っていった。
「・・・・・・・」
無言でそれを見送る十秋。
(あの反応は・・・)
顎に手を当てて虚の態度を思い返す。
そして十秋の頭脳が答えを導き出す。
「あ、なるほど」
ポンッと手を叩いて虚の態度の理由を理解する。
「へぇ~、虚ちゃんが弾くんにねぇ~」
意外や意外と言わんばかりに十秋がうんうんと頷いている。
結構堅物で通っている親友の思わぬ春の到来に十秋は驚いたが、それと同時に喜びも感じていた。
「今度一夏に頼んで弾くんを家に呼んでもらおうかなぁ。その時に私が虚ちゃんを呼べば――――」
親友の為にと十秋はアレコレ計画を練りながら昇降口へと歩を進めた。
side 十秋
さて、生徒会の仕事も一段落してあとは帰るだけとなりました。
残りの片付けなんかは虚ちゃんに任せちゃったけど、虚ちゃんが自分に任せて帰ってもいいって言ってくれたのであたしはその厚意に甘えることにした。
さすがに今日は疲れたなぁ・・・。
はぁ、早く家に帰ってお風呂に入って一夏のマッサージを受けたいよ・・・。
う~ん・・・、ちょっと年寄り臭かったかな?
まあ、それだけ一夏のマッサージが魅力的って事だよね。
「早くかーえろっと♪」
あたしは軽い足取りで校門を出ようとした。
「あ、あのっ!織斑さん!」
「はい?」
突然、後ろから声を掛けられた。
後ろを振り向くとそこにはひとりの男子がいた。
「二宮くん?」
「や、やあ」
声を掛けてきたのは二宮くんだった。
先月半ばにあたしに告白してきたサッカー部の部長さんであたしの同級生。
あたしは一度彼の告白を断ったけど、彼はまだ諦めていないと言っていた。
「二宮くんも今から帰り?」
「う、うん。サッカー部の練習ももう終わったしね。帰ろうと思ったら織斑さんの姿が見えたから」
「そっか。じゃあ、途中まで一緒に帰ろうか?」
「う、うん!」
あれからあたしと二宮くんはいい友達と言った感じの関係を築いている。
学校で会えば他愛ない話をするし、お互いの携帯番号とメールアドレスだって交換したし、こうして帰りの時間が一緒になったときは一緒に下校する事も多くなった。
「こんな遅くまで残って、生徒会の仕事大変そうだね」
「そうだね。今日は虚ちゃんとふたりだけだったから余計にそう感じちゃったかな」
きっと彼なりにあたしとの時間を作ろうとしているのだと思う。
あたしもそんな二宮くんと居るのは悪くないと思っているのでこうして一緒に帰る事も不快とは思わない。
「サッカー部の方はどう?真面目に練習してる?」
「それはもちろん。もうすぐ夏の大会もあるしね。皆張り切ってるよ」
でも、あたしにはちょっと罪悪感もある。
彼はあたしを好いてくれている。
その事は凄く嬉しい。
「目指すは全国1位ってところだね」
「前は3位だったからね。今度こそはって思ってるよ」
だけど、あたしはまだはっきりと二宮くんの事を好きだと思っているわけじゃない。
いや、彼の事は好きだと思う。
それはここ最近彼と接してきて素直にそう思う。
「全国で活躍したらそのままスター街道まっしぐらだね」
「はははっ、そんなガラじゃないと思うだけどね」
だけどそれは彼の気持ちとはきっと違う。
好きだけど、恋心は無い。
そんな状態だ。
こんな曖昧な気持ちで彼と接している自分が時々イヤになるくらいだ。
その気も無いのに接するくらいなら突き放した方がいいんじゃないかとも考えてはいるのだけど・・・。
「あ、あのさぁ!」
「え!?な、何?」
ちょっと思考に耽っていたからか、二宮くんの言葉にちょっと驚いてしまう。
二宮くんは何やら緊張した面持ちでこちらを見つめています。
「こ、今度の日曜日ヒマ、かな?」
「日曜日?」
「う、うん」
確か次の日曜日は何も予定はなかったと思う。
虚ちゃんと遊ぶ約束もしてないし、他に用事もない。
「暇だけど、それがどうかした?」
「そ、そう?じゃあ、あ、あのさぁ/////」
二宮くんはちょっと恥ずかしそうな顔をしながらも何かを決心したかのようにあたしに目を向ける。
「よ、よかったら、俺とふたりで遊びに行かない?」
・・・・えっ?それって・・・・?
「もしかして、デートのお誘いかな?」
「え、え~っとっ、う、うん/////」
そっぽ向いて頬を指で掻きながら二宮くんは頷く。
若干顔も赤い。
「べ、別に無理にとは言わないよ!織斑さんが良かったらでいいんだけど!」
今度はアセアセと慌てて取り繕うようにそう言う。
なんでしょうかこの反応?
何か二宮くんがかわいく見えてしまいます。
「どう・・・かな・・・?」
う~ん・・・。
さっき考えていた事が考えていた事なだけにちょっと躊躇してしまいます。
でも、せっかく二宮くんも勇気を出して誘ってくれたわけだし、無碍にするのも・・・。
「・・・・・、わかった。行くよ」
「ほ、本当かい!?」
「うん」
でも、これは良い機会なのかもしれない。
このままズルズルと関係を続けてもお互いのためにならないと思うし、何よりあたし自身がイヤだから。
決着を付ける意味では良い機会だと思う。
だからあたしは二宮くんのお誘いを受ける事にしました。
「じゃ、じゃあ、待ち合わせなんだけど―――――」
待ち合わせの場所と時間を決めてからあたしと二宮くんは帰り道が違うので分かれる事になりました。
「じゃあ、俺はここで」
「うん。また今度ね」
「うん。日曜日楽しみにしてるから!!」
二宮くんは手を振って駆け足でその場を去っていく。
あたしも手を振って二宮くんを見送ってからあたしも家に向かって歩を進める。
「楽しみにしてる・・・、か・・・」
何でかな?
そう言われて、何だかあたしもちょっとワクワクというかちょっとドキドキしてる気がする。
何だろうねこの気持ち・・・。
どこか曖昧な気持ちを抱きつつもあたしは家に向かって歩を進めた。
さて、帰ったらお風呂に入って一夏にマッサージお願いしなきゃ♪
side out
おまけ
「絶好調であぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁるっ!!!!!!!!!!!」
想い人が恋敵にデートに誘われた事など露知らず、放課後の学園に数馬のそんな台詞が木霊していた。