ようこそ藍越学園へ   作:TAKUMAKI?

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遅まきながら新年明けましておめでとうございます。

今年初めての投稿です。

鈍足更新ではありますが今年もお付き合い頂けたら幸いです。


:第七十三話 サプライズパーティ

「俺はノーペアだ・・・」←一夏

 

「私は10のワンペアだな」←箒

 

「ボクは3~7のストレートだね」←悟史

 

「ダイヤのフラッシュ~♪」←本音

 

「むぅ・・・、ワンペアでは勝負にならんな・・・」

 

「ふっふっふっ、この勝負貰ったわ!あたしはJとKのフルハウスよ!!」←鈴

 

「おお、マジか?」

 

「これは結構強い手だね~♪」

 

「はっはっはっ!さあ、瀬戸!これに勝てる手札があるなら出して見なさいよ!!」

 

「ん」←俊樹

 

「んなっ!!Aのフォーカードですって!!?」

 

「あれまぁ」

 

自由時間終了後、旅館に戻ってきた第一班一行は夕食の時間までは男子部屋でトランプで時間をつぶす事になり、今はポーカーの真っ最中だ。

ちなみに手札の交換は一回のみというルールだ。

 

「あ~もうっ!!何でさっきから瀬戸ばっか勝つのよ!!」

 

「ってゆうか行きのバスでも似たような場面があったような・・・」

 

鈴と一夏の言うとおりこのメンバーでトランプゲームをやると七割以上の確率で勝者(もしくは一着)は俊樹だった。

行きのバスでも大貧民で革命に革命返しを行ったり、ブラックジャックではほぼ毎回ブラックジャックを叩き出すほどの絶対強者っぷりだ。

とはいえ、彼がイカサマをしている素振りはまるでないし、一夏達も彼がイカサマをしているようには見えなかった。

仮にしていたとしてもこれだけ皆が注目している中で行えるのであればプロのイカサマ師になれる領域だ。

彼の場合、普段から表情の変化が乏しいのでしていたとしても見分けるのは至難の業なのだが。

 

「今度はダウトで勝負よ!」

 

「受けて立とう」

 

勝負事にはムキになりやすい鈴が負け続けるのがよっぽど悔しいようで、種目を変えては『打倒・瀬戸俊樹』に燃えているが全く勝つことができずにいた。

 

「ダウト」

 

「うがぁぁぁ!何であたしの番の時にぃぃぃ!!それと何で分かったのよぉぉぉ!!!」

 

ダウトされた鈴が山ほどの捨て札を手札に入れる羽目になっていた。

 

 

 

『You got mail』

 

「おっ、メールだ」

 

ババ抜きをやっている途中で一夏のケータイにメールが届いた。

一夏はもう二着で上がっているのでケータイを開いてメールを確認する。

 

『もうちょっとで準備が終わりそうだよ』

 

差出人はシャルロットだ。

内容は上記のように簡潔で『何か』の準備が終わった事を報告するメールであった。

 

『わかった。こっちもそろそろ動くから予定通り頼む』

 

そう返信を返すとパタンとケータイを閉じた。

 

「誰から?」

 

ケータイを閉じると鈴が訊ねてくる。

 

「シャルからだ。もうちょっとで準備終わりそうだってよ」

 

「そう。ならそろそろこっちも行動開始ね」

 

一夏と鈴は顔を見合わせて「うんっ」と同時に頷いた。

 

「よし、上がりだ」

 

「てへへ、負けちゃったよ~」

 

どうやらババ抜きもビリ争いが終わったようだ。

ちなみに順位は俊樹、一夏、鈴、悟史、箒、本音の順だ。

 

「皆、もうちょっとで夕飯の時間だ。そろそろやめようぜ」

 

「ああ、そうだね。もうそろそろいい時間だね。そろそろお開きにしようか」

 

「うむ」

 

「そうだね~」

 

「(コクッ)」

 

一夏の言葉でトランプ大会はお開きとなり、俊樹がトランプを手早く片付け始める。

 

「ボクはちょっと他クラスの吹奏楽部の連中の所に行って来るよ」

 

「俺は飯の前にちょっと走ってくる」

 

「わたしはかなりん達の部屋に行って来る~♪」

 

トランプを片付け終えると悟史、俊樹、本音の三人はそそくさと部屋を後にしていった。

 

「鈴、私達も部屋に戻るか?」

 

「いや、別にいいんじゃない?夕食の時間までここで三人で駄弁ってればいいでしょ」

 

「それもそうだな」

 

「そういや、この三人だけで駄弁るなんて随分久しぶりだよな?」

 

「そうね。最近はシャルロット達も加わって話すのが常だったし、中学の時以来かしら?」

 

「そうだな。本当に久しぶりだ」

 

 

それから十数分という短い間だが幼馴染三人の時間が続いた。

話した内容は他愛ないもので、小学校の時の思い出話などをしたくらいだ。

 

『You got mail』

 

「おっ」

 

またしても一夏のケータイにメールが届いた。

 

『準備オッケーだよ♪』

 

差出人はまたもシャルロットだ。

どうやら先ほど言っていた『何か』の準備が終了したらしい。

一夏はケータイを閉じると鈴に視線を向け、鈴もそれに気付く。

 

「(おしっ!じゃあ、行動開始だな)」

 

「(了解よ!)」

 

一瞬のアイコンタクトで意志を疎通する二人。

 

「それじゃあ、そろそろ時間だし夕食食べに行きましょうか」

 

「そうだな。俺も腹減ったぜ」

 

「うむ、行くか」

 

三人は部屋を後にして夕食に向かう。

 

 

 

「ん?一夏、鈴、宴会場はそっちではないぞ」

 

昨日の夕食を食べた宴会場に向かう道とは違う道を行こうとする二人を箒は呼び止めた。

 

「ああ、すまん。箒には言い忘れてたんだけどさ、昨日の宴会場は旅館の都合で今日は使えないらしいから今日の夕食は別の大広間で取る事になったんだよ。さっき自由時間から帰ってきた時の帰還報告の時に千冬姉からそう言われた」

 

「何?そうなのか?」

 

「ああ」

 

「そういう事。ささ、早く行きましょう」

 

「おう」

 

「う、うむ」

 

鈴に背中を押されて箒は一夏の後に続く。

 

そして、今日の夕食の会場である大広間の前にやってきた。

 

「「・・・・・・」」

 

「どうした?入らないのか?」

 

ドアの前で立ち止った二人に箒はそう言うと―――――

 

「さて、いよいよね♪」

 

「そうだな♪」

 

「?」

 

―――――二人は顔を見合わせてニッと笑い合う。

箒はそんな二人を見て首を傾げている。

 

「じゃ、早く入りましょう。あ、箒が先頭で入ってね」

 

「ん?何でだ?」

 

「いいからいいから。ほら早く入ろうぜ」

 

「う、うむ」

 

一体二人が何を考えているのか分からないといった感じの箒だったが、二人に背中を押されてやむなく大広間の襖を開けると―――――

 

(パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!パーンッ!)

 

「「「「「「「「「「篠ノ之さん!お誕生日おめでとうっ!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、はっ?」

 

―――――大量のクラッカーの炸裂音が響き、大量の紙テープや紙ふぶきが箒の身体に舞い降りた。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

アイキャッチしりとり

 

箒「な、何だ・・・、凄く驚いた・・・」

 

 

 

一年一組全生徒(箒以外)「誕生日おめでとう!!!!」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「???」

 

首を巡らせてそこに集まった全員を見渡す箒。

一年一組のクラスメイトが全員揃っていて、並べられたテーブルにはたくさんの料理と大きいケーキが置いてあった。

まだ状況を把握しきれていないのか頭の上にクエスチョンマークが3つほど浮かんでいる。

彼女の後ろにいる一夏と鈴の二人も口に手を当てて笑いを堪えている。

 

「あはは~、しののん面白い顔してる~♪」

 

「大成功ね」

 

「そりゃ、こんな事されたら大半の人は驚くよな」

 

「そのためにここまで準備した訳だしね」

 

「いやー、しかしめでたいねぇ」

 

「ほんとほんと」

 

「旅行の締め括りにこんなパーティ開けるんだもんなぁ」

 

「良い思い出になるよねぇ」

 

「さぁさぁさぁ、主賓も到着したことだし、そろそろ始めよう」

 

「さんせいー!!」

 

「ひゃっほーい!!宴じゃ宴じゃー!!!」

 

「パーっと騒ぐぞー!!!」

 

「ノってけノってけ祭りだぁー!!!!!」

 

「「「「「「「「「「イエーイ!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

「??????」

 

未だにぽか~んとしている箒を置き去りにして盛り上がっているのは彼女のクラスメイトである一年一組の生徒全員だった。

そこには先ほどそそくさと部屋を退室した本音、悟史、俊樹の姿もあった。

皆本来の目的を分かっているのか首を傾げるような発言をしているが、彼ら彼女らの言う『主賓』である箒の到着で一気に爆発的な盛り上がりを見せていた。

 

「さぁ箒さん、どうぞこちらへ来てくださいまし」

 

「お前の為の特等席が待っているぞ」

 

「はぁ・・・?、えぇ・・・??」

 

セシリアとラウラにエスコートされながら箒は特等席に案内された。

それは一番奥の席でよく言うお誕生日席というやつだ。

 

「ささ、箒。どうぞどうぞ」

 

「あ、ああ・・・」

 

シャルロットからコップを渡されて何となしにそれを受け取る箒。

そしてそのコップにオレンジジュースが並々と注がれた。

 

「え~っと・・・、これはいったい・・・?」

 

「おいおい箒、まだ状況がわかってないのか?」

 

「これは所謂あれよ!」

 

一夏と鈴がニッと笑った。

 

「「箒の誕生日を祝うサプライズパーティだよ(よ)」」

 

そう言って二人同時に箒に向かってサムズアップした。

 

そう、これは一夏と鈴が企画した箒のバースデーパーティだったのである。

 

「パーティ・・・?」

 

「おう。俺と鈴で計画したんだぜ。今年は林間学校と日程が重なっちまったから当日にパーティ開くにはこうするしかなかったんだよ。で、せっかく林間学校に来てるんだからクラスの皆にも呼びかけてみたら皆乗り気になってくれてな。だからこうしてクラス皆でサプライズも兼ねてお前のバースデーパーティを開く事になったんだ」

 

「そうそう。明日にはもう帰っちゃうんだし、ここで箒の誕生日と一緒にクラス全員で楽しく騒ごうじゃないって意味もあるのよ。諸々の準備はシャルロット達にも手伝ってもらってたんだけどね」

 

鈴が視線を向ける先には欧州三人娘が立っていた。

 

「箒、お誕生日おめでとう!企画を聞いたときは僕達も驚いたよ。まさか林間学校の最中にこんなパーティ開こうって言うだからね」

 

「お誕生日おめでとうございます箒さん!でも、とても素敵な事だと思いましたわ。わたくしもワクワクして準備しましたわ」

 

「おめでとうだ箒!一年に一度きりの誕生日を友人として祝わない訳にはいかんのでな。快く準備を手伝わせてもらったぞ」

 

「シャルロット、セシリア、ラウラ・・・」

 

欧州三人娘が箒のそばに寄って祝いの言葉を述べる。

三人とも箒を見る表情はとても穏やかだった。

 

「しののん~、おめでとう~♪」

 

「おめでとう篠ノ之さん」

 

「篠ノ之、誕生日おめでとう」

 

「ハッピーバースデー!!」

 

三人に続けと言わんばかりに次々とクラスメイト達が箒の元へ集まり、祝いの言葉を掛ける。

 

「しかし苦労したぜ、ここで誕生パーティを開かせてもらう許可を取るのにはさ」

 

「当たり前だ。学校行事の最中に、しかも旅館の一間を貸し切って誕生パーティを開こうなんておいそれと許しが出ると思うのか」

 

そこに、先ほど箒達が入ってきた襖から担任の千冬が姿を現した。

 

「あっ、ちふ・・・、じゃなくて、織斑先生・・・」

 

「千冬姉」と呼びそうになって睨まれた一夏は慌てて言い直す。

 

「まったく・・・、学年主任と旅館に交渉する私の身にもなれ。特にあの学年主任の説得には骨が折れたぞ・・・」

 

「でも、ちゃんと説得してくれたじゃないか」

 

「別に。愚弟と友人の妹の為と思ってやったまでだ」

 

「熱心に学年主任を説得していたくせによく言う」

 

千冬の後に続いて同行保健医の百春とその後ろに副担任の真耶の姿があった。

 

「黙れ百春」

 

「そういう所が素直じゃないんだ」

 

「まあまあ、お二人共。せっかくのパーティですし、ここは穏便に」

 

百春と千冬が口喧嘩を始めそうになったのを百春と一緒にやってきた真耶が嗜める。

 

「先生達も協力してくれたのですか・・・?」

 

箒がそう訊ねると、千冬が「コホン」と咳払いをひとつする。

 

「そこの馬鹿共の突拍子もない事アイデアだったが、まあ、年に一度の事だ。大目に見てやったまでのことだ」

 

「やっぱり素直じゃないな」

 

「くすくす」

 

呆れ顔の百春と穏やかに笑っている真耶。

千冬も少しバツが悪そうにしながら二人を睨んでいる。

 

「これを・・・、皆わざわざ私のために?」

 

箒は感激しているのか、目尻に少しだけ光るものが見えた。

 

「おいおい、主役が泣いてたらパーティにならないだろ」

 

「べ、別に泣いてなんかいない!」

 

箒は一夏から目を背けて目を腕でゴシゴシと拭う。

 

「ん~?目に光るものが見えるのは気のせいかしら~ん?」

 

「う、うるさい!」

 

背けた先にはからかう様な視線で顔を覗き込んでくる鈴がいた。

 

「思わず泣きたくなるほど嬉しいのですね。わたくしもこんな事をされたら感激で泣いてしまうかもしれませんわ」

 

「確かにこうやって大勢で誕生日を祝ってくれるのは嬉しい事だな」

 

「喜んでくれてるみたいだし、このパーティも開いて正解みたいだね」

 

「ふ、ふん・・・」

 

欧州三人娘の言葉も照れくさいのか箒は再び目をゴシゴシと拭って外方向く。

 

「さあ!お喋りはこれくらいにしてそろそろ始めようぜ!皆グラス持ってくれ」

 

一夏の掛け声で全員がグラスを持つ。

 

「じゃ、箒。本日の主役として乾杯の音頭をよろしくな」

 

「なっ!わ、私がか!!?」

 

突然音頭を振られて驚く箒。

 

「こういうのはやっぱり主役が言わないとな」

 

「わ、私はこういうのは苦手なんだが・・・」

 

「いいからいいから。ほれ」

 

「う、うむ・・・」

 

一夏に促されて箒はグラスを手に立ち上がると集まった全員の視線を受けた。

若干たじろぐも、気を取り直して箒は口を開いた。

 

「え~っと、今日は私のためにこのような誕生会を開いてくれて本当にありがとう。その、あんまりうまくは言えないが、私はこんなに嬉しい誕生日を迎えたのは今まで無かった。凄く嬉しい」

 

口下手な箒は凝った言い方はできないのでシンプルに気持ちを言葉にした。

 

「それと、こんな事を企画してくれた幼馴染とそれを手伝ってくれたクラスメイト達、協力してくれた先生達を持って私は幸せ者だ。今日という日を私は絶対忘れない。皆本当にありがとう!」

 

照れくさそうな箒に一同はウンウンと頷いてみせた。

 

「そ、それでは、長い話もこれくらいにして、え~っと、か、乾杯!!」

 

「「「「「「「「「「カンパーイ!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

箒の音頭終了とともに、箒の誕生パーティ兼一年一組林間学校お疲れ様会がスタートした。

 

 




駄文にお付き合いくださってありがとうございます。

今回はちょっとだけ早めに更新することができました。今月中には林間学校編終わらせたいですね。本当は今回で終わらせるつもりだったんですが、もう一晩中執筆作業していて疲れてしまったので今回はここまでで区切りました。

次回で林間学校もいよいよ終了です。十一話も費やす事になろうとは・・・。

ではまた次回に~
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