もっと早く執筆できるようになりたいけどリアルがそれを許さない・・・。
ISの原作の再開、アニメ第二期の決定などまたISが盛り上がって来ましたね!
さて、今回は前回の発覚した事件の解決編です。
久しぶりの十秋の活躍をご覧ください
「織斑さんの玉子焼き中々美味しいですね」
「そう?ありがとう高嶺ちゃん。あ、虚ちゃんのだし巻きちょーだい」
「いいですよ。では、私は紫藤さんのオムレツを少し頂きます」
時は昼休み。
十秋、虚、高嶺の三人は生徒会室に集い、お互いのおかずを交換し合って昼食を取っていた。
女三人寄ればかしましいという諺もあるが、この三人は同年代の女子達に比べれば静かに昼食を取っている方だろう。
もちろん、適度な会話も混ざっていて暗い感じは無く楽しそうである。
「さて、お弁当も食べ終わったし、そろそろ本題に入りましょうか?」
「そうですね」
「わかりました」
弁当を食べ終わると今度は一転して、三人とも真面目な表情になった。
本題と言うのはもちろん喫煙者騒動の件だ。
「今回の件は風紀委員としましても見過ごせない事件ですのでこちらも協力は惜しみません」
まずは情報の共有を図るために十秋と虚は今掴んでいる情報を高嶺に伝える。
「こちらが掴んでいる情報だと、喫煙している生徒は恐らくひとりだと思うんだ」
「それは何故です?」
「見つかった吸い殻の銘柄がどれも同一のものなんですよ。DNA鑑定をした訳ではないので確実とは言えませんが、見つかった本数から考えても同一の人物がひとりで吸ったのではないかと推測されます」
十秋の説明に虚が補足する。
「なるほど。確かにそう考えるのが自然ですね。それで、生徒会としてはこれを先生方の耳に入る前に穏便に解決したいと?」
「校則上では喫煙が発覚した場合は罰も注意も無しに一発で停学だからね。可能であれば停学沙汰は避けたいから、校則を破ったからって即刻処分するんじゃなくてやっぱり反省して自主的に辞めて欲しいんだ」
「仰ることは解かります。しかし、失礼ですがそれは少し甘過ぎるのではありませんか?我々の年齢での喫煙は法律でも禁止されている事ですし、例え犯人を確保したとしても再犯の可能性は低くないかと思います。ここは少しお灸をすえる意味でもその者は停学処分にするのが良いのでは?」
「それはわかるけど、やっぱり生徒を重んじるのがあたし達生徒会の義務だからね。校則違反者だからってその生徒を軽んじたりはしたくないんだ」
「・・・・、わかりました。そちらがそう仰るのであればわたしもそれに従いましょう」
「ありがとう高嶺ちゃん」
「いえ。それで、これからどうするおつもりですか?」
十秋と高嶺の間で若干不穏なやり取りもあったが情報の伝達も終了し、三人はこれからについての話し合いを始めた。
「どうするにせよ、まずは吸っている生徒が誰なのかを特定しなければ始まりませんね」
「虚ちゃんの言うとおりだね。どうにかして現行犯確保するのが一番かな」
「ですが、今わかっている事は犯人は恐らく一名で第一部室棟を利用している可能性が高いという事だけです。ここからどう捜査を続けますか?」
「その事だけど、まずは第一部室棟を利用している人に協力を依頼しようと思うの。そうすれば私達の目の届かない場所にも目が行くと思うしね」
「それは確かにそうですね。ですが、その依頼する人物が吸っている人物である可能性もゼロではありません。そこはどうするのですか?」
「それに関しては問題ないと思う。吸ってるがひとりなら依頼する生徒は犯人じゃないはずだよ」
「その生徒とは誰です?」
「それは――――」
(コンコンッ)
そこに生徒会室のドアがノックされる音が響いた。
「はーい、どーぞー」
ノックに返答するように十秋が来客に入室を促す。
「失礼しまーす」
ドアが開けれて来客が顔を出した。
「えっと、昼食を食べ終わったらここに来るように十秋に言われて来たんだけど」
「うん、待ってたよ。入って修吾くん」
来客は修吾だった。
入室してきた修吾に椅子をすすめて、修吾もその椅子に着席した。
「織斑さんが言った依頼する人というのは二宮さんの事でしたか」
「そう。彼なら今朝の朝練が終わってからあたしが一緒にいたからアリバイもあるし、シャワーを浴びに部室棟に行ってたけど見つかった場所が部室棟の裏側なら修吾くんには犯行は無理だからね」
「なるほど。確かにそうですね」
「え~っと・・・、何の話だい?」
話に着いていけない修吾は首を傾げている。
「あ、ゴメンね。今説明するね」
「う、うん。何か厳しい顔してたけど何かあったのかい?それに犯行って?」
「虚ちゃん、説明お願いできる?」
「わかりました。二宮さんはタバコは吸われますか?」
「た、タバコ!?そんなまさか!吸ったこともないよ!」
「それが普通ですよね。しかし、どうやら学園内で吸っている者がいるようなのです」
「・・・、マジか?」
虚の説明を聞いた修吾は首をめぐらせて十秋にそう聞いた。
「残念だけど。校内でタバコの吸い殻が数件見つかってるから間違いないんだ」
「でも、校内で吸い殻なんてオレは見たことないけど・・・」
「今まで生徒会で内々で処理してきたからね。でも、それじゃ対応しきれなくなってきてるんだ」
「そ、そうなんだ・・・?」
「その様子から察するに、二宮さんは吸っている生徒の事はわからないようですね」
「えっと、君は?」
「わたしは風紀委員長を務めている紫藤高嶺といいます。以後お見知りおきを」
「は、はぁ、これはご丁寧に」
礼儀正しく礼をする高嶺に修吾も自然と頭を下げる。
その光景がおかしかったのか十秋が少し笑ってしまうが、すぐに顔を引き締めた。
「それで、修吾くんをここに呼んだ理由なんだけど、どうやらタバコを吸っている生徒は第一部室棟を利用している生徒かもしれないんだよ」
「えっ!?ほ、本当かい!?」
「はい。吸い殻が見つかった場所が体育館裏やグラウンドの隅、更に今朝は第一部室棟の裏で使用してから間もない吸い殻が見つかったので間違いないかと」
「そ、そうなんだ・・・」
修吾は運動部に喫煙者がいる事が結構ショックだったようで、言葉を詰まらせながら表情が陰りを見せていた。
「そこで、生徒会と風紀委員は共同捜査を行って吸っている生徒を確保するつもりです。二宮さんには第一部室棟利用者として喫煙者の確保に協力を依頼したいのです」
「協力?お、俺にかい?」
「うん。やっぱりあたし達の目の届かない場所っていうのが出てきちゃうし、生徒会と風紀委員のメンバーも普段の業務があるからこの事ばかりに時間を掛けてばかりもいられないんだ。だから、修吾くんにも協力して欲しいんだけどいいかな?」
「わ、わかった!そういう事なら俺も協力するよ!戦力になるかどうかはわからないけど・・・」
「ううん、そんな事ないよ。頼りにしてるからお願いね(ニッコリ)」
「お、おう、頑張るよ/////」
十秋は少し弱気な発言をする修吾の手を取って激励の言葉と笑顔を送る。
修吾も急に手を握られて顔を少し赤くしながらも励ましに応えるように拳を握り締めていた。
「(さすが織斑さん、相手をその気にさせるのがうまいですね)」
「(伊達にカリスマ生徒会長とは呼ばれていませんから)」
その脇で高嶺は十秋の手腕に感心し、虚は少し苦笑いしていた。
こうして校内喫煙者の確保のために生徒会&風紀委員+αが動き出すのだった。
side 修吾
どうも、二宮修吾です。
昼休みの運動部のどこかに喫煙者がいるという話を聞いてから時間は経って放課後なった。
俺も近々行われる夏の大会に向けて練習するために部活動に向かい、今は部室で着替えの真っ最中だ。
「はぁ・・・、しかし、大変な事になったなぁ・・・」
着替えを済ませた俺はそう言葉を漏らした。
昼休みにこの学園の生徒会長であり、俺の最愛の彼女でもある十秋から重要な任務を任されたのだが、俺はやはり運動部内に喫煙者がいるという事に少しショックを受けていた。
タバコによる弊害は代表的なのが癌になりやすくなるということだが、未成年の内から喫煙をしている場合、発育障害を引き起こす事があり、前述の癌の発症率も各段に跳ね上がる事となる。
つまり、身体が資本のスポーツマンにとってタバコというものは極端に言えばタブーと言えるものだ。
俺は今まで本当ににサッカー一筋で生きてきた人間なので、スポーツマン達が集うこの部室棟の内部の人間が校内でタバコを吸っているというのはやはり信じ難い事だ。
「とにかく、なるべく早くそのタバコ吸ってるやつを見つけてやめさせないとな。じゃないとそいつのためにもならないし」
やはり同じスポーツマンとしてその吸ってる奴にはタバコをやめて欲しい。
どうしてそいつがタバコを吸うに至ったのかはわからないけど、タバコを吸い続ける事でそいつやその部活動にとって悪影響を及ぼすなら可及的速やかに止めさせるべきだろう。
「まずは少し部活の連中に探りを入れてみるか」
早速、俺は与えられた任務をこなす事にした。
十秋達生徒会役員や風紀委員達も合同でそのタバコ吸ってる奴を探しているみたいだけど、やはり場所的に考えるならここの調査を頼まれた俺が一番現場を押さえやすいだろう。
なら俺も出来ることからやっていこうと思う。
幸い、この学園の運動部は全体的に交流が多く、俺も他の運動部に友達が多いので探りを入れる事自体はそれほど難しい事ではない。
「そうとわかれば、早速行動開始だ」
気合を入れて俺は調査に乗り出した。
side out
それから修吾は第一部室棟を利用している部活動を数件調査して回った。
他の部の部室に顔を出すのは適当に「そっちの部の調子はどうだ?」とか「今度の大会はどれくらい行けそうだ?」などの話題を出せば修吾の社交性を考えれば不自然さは感じさることはなく調査する事がが可能だ。
あとは部室内にタバコの吸い殻や箱が落ちていないか、タバコの臭いが残っていないかなどの調査は簡単にできる。
「あ、そろそろ俺も部活に行かないとな・・・」
が、さすがにすべての部室を調査する事は無理だ。
そろそろサッカー部の練習を始めなければならない時間が迫っている。
サッカー部も夏の大会に向けて猛練習を積まなければいけない時期なので、修吾も仕方なく調査を一時切り上げて第一部室棟を出てグラウンドの方へ向かおうとした。
「あっ!」
「ん?」
ちょうど第一部室棟の出口を出た所で修吾はひとりの男子生徒と出会った。
「日下部?」
その男子生徒は修吾の知っている顔だった。
彼は「
「よ、よう二宮・・・」
「どうしたんだ日下部?早く行かないと練習遅刻するぞ?」
「わ、わかってるって・・・ちょっとトイレ行って来るだけだから・・・」
「そうか?あんまり遅れるなよ?」
「わ、わかってるって・・・。じゃ、漏れそうだから俺は行くぞ・・・」
「おう」
そう言って日下部は部室棟内のトイレへ駆け込んでいった。
「変な奴だなぁ・・・」
首を傾げながら修吾は部室棟に背を向けてグラウンドの方へ足を向けようとして―――――
「・・・・・・、んっ!?」
―――――そこでハッとなって部室棟の方へ振り返った。
「(そういえば、日下部って最近練習に少し遅れてくる事が結構あるよな。それにさっきの不自然な態度に、練習時間が迫って人気の無い部室棟のトイレ・・・、まさか・・・)」
修吾の胸に湧いた疑念はたちまち大きくなった。
もしかしてら、彼が一連の喫煙者騒動の犯人なのではないかと。
修吾は出来ればこの疑念が杞憂であることを願いたかった。
だが、胸にわいた疑念は晴れるどころかますます広がっていく。
確かめないわけにはいかないと修吾はゆっくりと部室棟のトイレに近づいてドアの隙間から中の様子を窺った。
「すー・・・・、ぷはー」
「っ!!!!」
修吾は見てしまった。
ちょうど彼がタバコをふかしているところをバッチリ見てしまった。
これで疑念は確信に変わった。
彼が、「日下部章宏」こそが一連の校内喫煙騒動の犯人であることを。
「(どうして・・・、どうしてなんだよ、日下部・・・)」
修吾は失意によってその場に崩れ落ちそうになったが、何とか堪えた。
彼とはサッカー部の一員として一年生の頃から共に厳しい練習をしてきた間柄だ。
そんな彼がタバコを吸っているとい現実が修吾にはとてつもなく悲しかった。
「すー・・・・、ぷはー」
修吾の悲しみなど知らずに、日下部は未だにタバコをふかし続けていた。
「(でも・・・、十秋との約束もある・・・。これはさすがに見逃せない・・・)」
修吾は悲しみを振り払うようにその場を離れてサッカー部の部室に向かった。
自分のロッカーから携帯電話を取り出してこの学園の生徒会長であり、最愛の彼女でもある十秋に連絡を取った。
「もしもし、修吾くん?何かあった?」
「あ、十秋・・・。その・・・、実は・・・」
修吾は少し言いよどんでしまう。
同じサッカー部に犯人がいた事のショックや同じサッカー部の仲間を売るみたいな真似になるんじゃないかと修吾は考えていた。
が、やはり彼のした事はやってはいけない事だ。
「タバコ吸ってる奴、見つけたよ・・・」
心を鬼にして修吾は電話口から十秋にそう告げた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アイキャッチしりとり
高嶺「今からあなたをすりつぶします」
虚「すりリンゴというやつですね」
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side 十秋
修吾くんから連絡を受けたあと、あたしはすぐに高嶺ちゃんに連絡を取って第一部室棟へやってきた。
ちなみに生徒会業務の方は虚ちゃんに任せてあるから心配はいらない。
「織斑さん、こっちです」
部室棟の前にはあたしより先に到着していた高嶺ちゃんと修吾くんが待っていた。
「お待たせっ。それで、その吸ってる生徒は?」
「部室棟の中の男子トイレに居る。出口にはずっと俺が立ってたからまだ出て来てないはずだ」
「そう。それじゃ、彼が出てくるまで待ちましょう」
「待ってください」
トイレの前で待ち伏せしようとしたら高嶺ちゃんが待ったを掛けてきた。
「し、紫藤さん、どうしたんだ?」
「ここ最近の調査でわかったのですが、ここのトイレの窓は確か建物の裏側に続いていたはずです。もしかしたらそちらから出てくる可能性もあるのではないでしょうか?」
「なるほど。その可能性もあるね」
「ど、どうするんだい?誰か裏側に回ってくるかい?」
確かにこのまま正面から出てくるのはあまりにも無防備だし、あまり人目の付かない裏側から出てくる方が可能性が高いかもしれない。
「わかった。あたしが裏側に回ってくるね」
「えっ!?十秋がひとりでか!?なら俺そっちに」
「あたしならひとりでも大丈夫だよ」
「で、でも・・・」
「心配はいらないから修吾くんは高嶺ちゃんと一緒に正面をお願いね」
「う、うん・・・」
修吾くんはあたしを心配してくれているらしいけど、あたしは千冬姉さんに負けないほどの体術を心得てるから相手が千冬姉さん以上の手練じゃなければ心配はいらない。
いくら相手が運動部とはいえ、あの千冬姉さん以上の相手がいるとは思えないしね。
「じゃ、行って来るね」
「はい、お気を付けて」
「何かあったらすぐに駆けつけるからな!」
ふたりに軽く手を振ってからあたしは建物の裏側に回った。
「(さてさて、獲物はどっちの網に引っ掛かるかなぁっと)」
そう心の中で呟きながら建物の影からさっきのトイレの窓を窺った。
「よっ・・・っと」
ちょうど例の男子生徒が窓を乗り越えて外に出てくるところだった。
ビンゴ、やっぱり正面からは出てこなかったね。
「やぁ」
「っ!!!」
獲物が網に引っ掛かったのを確認したあたしは彼の前に姿を現して声を掛けた。
彼はかなりびっくりしている。
「君、ちょっといい?」
「せ、生徒会長がこんなところで何してるんだよっ!?」
彼はかなり焦った様子であたしのそう言葉を返してきた。
「あたしはちょっと君に聞きたい事があるだけだよ」
「べ、別にこっちは話す事なんて何も無いぞっ!!」
「そう?わざわざ人気の無い部室棟の裏側にトイレの窓から出てきた時点で、生徒会長として君にはちょっと訳を説明して欲しいんだけど」
「うっ・・・」
彼は動揺を露にした。
あらあら、ダメじゃない。そんな顔したら自分がやましい事をしていましたって認めているようなものだよ。
「単刀直入に聞くよ。君、タバコを吸っていたよね?」
「っ!!な、何の話だよっ!!」
彼は声を荒げてあたしを睨んだ。
ダメだなぁ。それじゃ隠せるものも隠せないよ。
「とぼけてもダメ。さっき君がそこのトイレでタバコを吸っているのを目撃した人がいるの。それに、本当にわずかだけどタバコの臭いが残ってるもの。よぉく注意してないとわからないくらいだけどね」
「・・・・くっ」
彼は少し後退りをした。
生憎と彼の後ろは袋小路で部室棟の表側に出る通路はあたしが立って塞いでいるので彼には逃げ場がない。
袋のネズミとは正にこの事だね。
「君、タバコの害については知ってる?」
「えっ?」
「長期に渡る喫煙は癌や心筋梗塞や慢性気管支炎になりやすいんだよ。あとは歯周病とかもね。それに未成年の内から喫煙をしていると身体障害を引き起こしやすくなるし、息切れも速くなる」
「???」
彼は少し怪訝そうな表情でこっちを見つめていた。
いきなり未成年喫煙の害を説明されて訳がわからなくなっているみたい。
「君はサッカー部だよね?」
「う、うん・・・」
「サッカーは好き?サッカーしてると楽しい?」
「そ、そりゃそうだ!じゃなきゃあんな厳しい練習を耐えたりできないぞ!」
「そうだよね。でも、身体が資本のスポーツマンにとってはタバコの弊害は致命傷。これ以上続けたらもしかしたらサッカーが出来なくなるかもしれないよ。それにこの事が公になればうちの学園のサッカー部は下手をすれば夏の大会の出場を止められるかもしれない。今まで厳しい練習に耐えて頑張ってきたサッカー部の皆に迷惑が掛かるし、何よりあなたが今まで真剣に打ち込んできたサッカーを裏切る事になるんだよ」
「・・・・・」
彼は黙り込んで顔を俯かせてしまった。
どうやら自分のしていた事に罪悪感を感じているみたいだ。
そこで、あたしは一番彼に聞いてみたかった事を聞いてみた。
「それとちょっと聞きたいんだけど、君はどうしてタバコを吸っているの?」
「そ、そりゃぁ・・・・・・、かっこいいだろぉ?」
「かっこいい?」
「タバコが吸える男って何だか大人の男って感じがしてかっこいいだろ?」
「それが吸ってた理由?」
「お、おう・・・」
なるほど、何だか理由が見えてきた気がする。
「少なくともあたしはかっこいいとは思わないかな」
「うぐっ!」
彼には悪いけど、あたしは彼がタバコを吸っていた理由を一刀両断した。
「で、でも、女は男がタバコを吸う姿を見てグッと来たりするって!」
「それは人の好みによると思うよ。それにそれは隠れて吸ってたら意味は無いよね」
「あ、い、言われてみれば・・・」
彼は本当に今気付いたみたいで目を丸くしていた。
コラコラ、それくらいは考え付こうよ。
「話を纏めると、君は女の子にモテたいからタバコを吸ってたって事なのかな?」
「え、あー、う、うん・・・」
要は、思春期男子特有の異性にモテるための努力だったってところみたいだね。
彼はその方向性がちょっと間違ってしまっただけみたいで、決して根が悪い人間には見えなかった。
「ど、どうしよう・・・、俺とんでもない事を・・・」
彼の顔色が変わり、後悔の念に苛まれているのが見て取れた。
「落ち込まないで。今なら君はまだ引き返せるから」
「か、会長・・・」
彼が顔を上げてあたしを見つめてきた。
「あたしと約束してくれる?もうタバコは吸わないって」
「わ、わかった!もう絶対に吸わないから!!」
「約束だよ」
あたしはニッコリと微笑みながら彼にそう言った。
「う、うん/////」
彼は顔を赤らめながら頷いてくれた。
「それじゃ、今回は不問にするね。もう練習に行ってもいいよ」
「へっ?で、でもぉ・・・」
どうやら彼はこのあと職員室か生徒会室にしょっぴかれて説教でも喰らう事でも想像していたようで、少し素っ頓狂な声を上げて困惑を表した。
「あたしは校内喫煙者を捕まえて吊し上げるためにあなたを探していたんじゃないんだよ。確かに校内喫煙はよくない事だけど、君だってこの学園の生徒のひとり。あたしはこの学園の生徒会長なんだから、生徒の為だったらあたしは君の為になる事をしてあげたいんだ」
「か、かいちょぉ~・・・」
彼は瞳を潤ませて感激した様子だった。
「だからほら、もう練習に行って来なさい。夏の大会頑張ってね。応援してるから」
「あ、ありがとう!俺、頑張るよ!!」
「約束破っちゃダメだよー」
「わかってるよぉ!それじゃぁ!!」
彼は意気揚々と駆け出してその場を去っていった。
あたしは手を振って彼の後姿を見届けた。
「あれで良かったのですか?」
彼の後姿を見届けた後、建物の影から高嶺ちゃんが顔を出した。
その後ろには修吾くんの姿もあった。
どうやらあたしと彼の今までのやり取りを聞いていたみたいだね。
「良かったのかって何が?」
「あれでは本当に止めるのかどうか確証は持てませんよ」
「大丈夫。彼なら信用できるよ。ここはあたしに免じて彼を許してあげてよ。ね?」
「・・・・・、そうですね。織斑さんがそう言うのでしたら今回は大目に見ましょう」
「ありがとう高嶺ちゃん」
「いえ」
高嶺ちゃんはそう言って少しだけ笑った。
普段は真面目でキリッとしているので彼女のこういった表情を見れるのは凄く珍しい。
「では、わたしはこれで失礼します。風紀委員の通常業務がありますので」
高嶺ちゃんはすぐに表情をいつものキリッとした表情に戻した。
う~ん、こういうキリッした高嶺ちゃんも悪くないけど、さっきみたいな笑顔をもっと見せるようにした方がもっと素敵だと思うんだけどなぁ。
「それでは」
礼儀正しく頭を下げてから高嶺ちゃんはその場をあとにして行った。
「修吾くんもありがとうね。今回の件を解決できたのは修吾くんの協力のおかげだよ」
「いや、お礼を言うのはこっちの方だよ。それと、サッカー部の部長として謝らせて欲しい。今回はうちの部員が迷惑を掛けて悪かった。そして、日下部を許してくれてありがとう」
「ううん、あたしは生徒会長として正しいと思う事をしただけ。特別なことなんてしてないよ」
「でも、十秋の物の見方には改めて感銘を受けた。やっぱり十秋はこの学園の生徒会長に相応しい人間なんだと思ったよ」
「そう言ってもらえるとあたしも嬉しいよ♪」
あたしもこの学園の生徒会長として相応しい人間になるための努力は欠かせないで来たつもりなので、それを彼氏である修吾くんが言ってくれたのが凄く嬉しかった。
「さ、一件落着もしたところで、あたしは生徒会室に戻らなきゃ。虚ちゃんや他の役員の子達が首を長くして待ってるだろうからね」
「そうだな。俺もサッカー部の方に戻るよ」
「うん、練習頑張ってね」
「おう。それじゃ」
修吾くんも握り拳をこっちに見せてからグラウンドへ駆けて行った。
その後姿をあたしは手を振って見届けた。
「ん、ん~」
生徒会長として今回の一件を解決できた事の達成感を感じながら大きく伸びをひとつした。
「さてと、早く生徒会室に戻らなきゃ」
晴れ晴れとした気持ちの中、あたしは生徒会室へ戻る道に足を踏み出した。
side out
こうして、校内喫煙問題は穏便に解決したのでありました。
めでたしめでたし。
駄文にお付き合いくださってありがとうございます。
今回の事件は生徒会長・織斑十秋の実力と彼女が支持される理由の一旦というもの見せることが目的の回でしたがいかがでしたでしょうか?
実は今回の話は最初に考えていた構成は少し違っていました。前回の後書きに記しましたが、高嶺のキャラは十秋に対立的な立場を取る人間で、生徒会VS風紀委員みたいな感じで喫煙者捕獲作戦が行われる予定でした。
ですが、頭でイメージ出来ても文字にすると表現できないというのが執筆する立場だとよくある事で、今回は自分の文才の無さを痛感した回でもありました。
さて、次回は一夏達の日常回を書きたいと思います。
やっと日常回に戻ってこれましたよ・・・。
去年の七月にに○ファンの閉鎖から約八ヶ月・・・。
自分の筆の遅さったらないわぁ・・・。
感想もお待ちしています。では、また次回に。