ようこそ藍越学園へ   作:TAKUMAKI?

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新年明けましておめでとうございます!!

何とか年内に投稿できるようにしたかったのですが、間に合いませんでした・・・。

公演が終わった後は仕事に忙殺される日々でしたね。おまけにモンハンとポケモンもやっているのでそちらに現をぬかしておりまして・・・。

仕事に劇団員、ハンター、ポケモントレーナーに小説家と大忙しです・・・。

今回はゲーセンで遊ぶ一夏達をお送りします。


第八十話 ゲーセン満喫なう。

 1:格ゲーで勝負だ!

 

「よっしゃ、早速対戦で勝負だ。今日は圧勝してやるぜ」

 

 一夏と弾は格ゲーを中心としたコーナーに来ていた。

 行きの道中で言っていた弾のリベンジマッチという訳だ。

 ふたりは『FIGHTING IDIOT』という格ゲーの対戦台に座った。

 このゲームは家庭用に移殖されたほどの人気作である。

 

「今日は皆で来てるんだから一回勝負だぞ」

 

「わーかってるって」

 

 筐体を挟んで向かい合わせに座り、早速対戦を始めようとコインを投入する。

 

(ちょいちょい)

 

「ん、どうしたラウラ?」

 

 キャラクター選択画面になると、一緒に付いて来たラウラが一夏の背中を指先で突付いた。

 その瞳は興味あり気にゲーム画面に向けられていた。

 

『READY GO!!』

 

 そんなこんなで対戦が始まった。

 

「うりゃりゃりゃりゃりゃ!うりゃありゃりゃりゃ!!」

 

 対戦開始早々、弾は一気に攻勢に出た。

「先手必勝&攻撃は最大の防御作戦」とでも言おうか、相手に攻撃する暇を与えんばかりのラッシュを叩き込んでいく。

 相手はガードを余儀無くされ、そこから弾はさらにラッシュを掛けようと調子に乗るが、試合の流れは一瞬で変わった。

 

「な!?1フレームであの複雑なコマンド技を成功!?そこから追い討ち!?人間の反射速度じゃねぇ、ってこっちピヨッてるし!!しかもそこから即死技!?容赦ねぇぇーーーー!!!!」

 

『KO! PERFECT!!』

 

「ぐはっ・・・」

 

 今起こった事をありのまま話そう。

 相手に攻撃の暇を与えんばかりのラッシュを掛けていた弾だったが、ラッシュの一瞬の隙を突かれて逆にラッシュを喰らい、ラッシュの終了際に更に追い討ちのコマンドを叩き込まれて弾の操作キャラは気絶してしまう。先ほどのラッシュで必殺ゲージが最大まで溜まった相手はトドメにお情け無用の即死確定の超必殺技を叩き込んで試合終了となった。

 熟練のゲーマーも真っ青になりそうな鬼神っぷりだった。

 

「い、一夏、お前ってここまで強かったっけ!?ってゆーか、いくらなんでももうちょっと手加減を―――――っな!?」

 

 あまりの容赦の無さに文句を言おうと弾が向かいの筐体から顔を出すが、その瞬間に弾の顔が驚愕に染まった。

 

「♪~♪~」

 

 対戦台に座っていたのは一夏ではなく、長い銀髪を持った小柄な少女であった。

 

「い、今の・・・、ボーデヴィッヒ・・・?」

 

「うむ♪」

 

 ラウラは足をパタパタと揺らしながら満足気に頷いた。

 

「ラウラがやってみたいって言うからさ・・・。凄ぇ強かったな・・・」

 

 ラウラのプレイングを後ろから見ていた一夏も呆気に取られていた。

 

「ラウラ、お前ゲーセン来るの初めてって言ってたよな?」

 

「うむ、そうだぞ」

 

「このゲームやったのも初めてだよな?」

 

「初めてだぞ。上手くプレイできるかわからなかったが、こういうのもやってみると結構面白いのだな。それと兄様、勝ったから頭を撫でてくれ♪」

 

「お、おう・・・」

 

 ホクホク顔のラウラが無邪気に一夏に頭なでなでを頼むと一夏もちょっとどもりながらもラウラの頭を優しく撫でてあげた。

 

「ま、負けた・・・。しかも初めての奴に・・・」

 

 初見プレイの相手にあれほど痛めつけられたショックから弾はそのまま真っ白になってしまったのだった。

 

 

 

 

 2:クレーンゲームに初挑戦

 

「はわぁぁぁ、ファンシーですわ~」

 

 ゲーセン初体験のセシリアはまずクレーンゲームの筐体が並んだエリアに来ていた。

 女性受けのぬいぐるみだけを集めた筐体が多く配置されており、セシリアはそこに入れられたぬいぐるみ達のあまりの可愛さに少しトリップしていた。

 

「どうしたんだいオルコットさん?」

 

 トリップしているセシリアに数馬が声を掛けた。

 

「あ、いえ、可愛いぬいぐるみがいっぱいあるなぁと思いまして」

 

「まあ、最近のプライズ景品は豊富だしね」

 

 数馬の次に鈴が声を掛けてきた。

 

「こういうのって本当に取れるものなのですか?」

 

「慣れと見極めが出来ればね」

 

 鈴は財布から百円玉を出して適当な筐体にそれを入れた。

 

「う~む・・・。よし、ここね」

 

 慣れた手付きでクレーンを操作するとアームが猫のぬいぐるみをひとつ掴み上げてそのままポケットに落とした。

 

「ほら、こんな感じよ」

 

「まあ、本当に取れるものなのですね」

 

 ぬいぐるみをゲットした鈴にセシリアは感心したようにそう言った。

 

「オルコットさんも一回やってみたらどうだい?」

 

 数馬はせっかくなのでセシリアにもクレーンゲームを体験させようと提案する。

 

「そうですわね。何事も挑戦と言いますし、やってみますわ」

 

「それを言うなら経験ね。まあ、間違ってないけどさ」

 

 提案を受け、セシリアもクレーンゲームに初挑戦する事に。

 鈴と数馬はそれを後ろから見守る。

 

「あら?こちらのゲームはクレジットカードはどう使えばよろしいんですの?」

 

「「はぁ?クレジットカードッ!?」」

 

 セシリアはクレジットカードを持って筐体をキョロキョロと見回しており、セシリアの発言に鈴と数馬はぶったまげた声を上げた。

 

「セシリア、こういうゲームは普通クレカじゃ出来ないわよ・・・」

 

「あら?そうなんですの?困りましたわ。わたくし今日は細かいお金は持ってきていませんのに・・・」

 

「改めて思ったけど、オルコットさんって本当にお嬢様なんだな・・・」

 

 クレーンゲームをクレジットカードでプレイするとは普通は誰も思わないだろう。

 セシリアのお嬢様っぷりを改めて知る瞬間であった。

 

「ほら、あたしがお金出してあげるわよ」

 

 鈴は自分の財布から百円玉を取り出してセシリアに渡した。

 

「まあ、よろしいんですの?なんだか悪いですわ」

 

「気にしないでいいわよ。友達でしょ」

 

「ありがとうございます鈴さん」

 

 鈴の厚意に感謝しつつ、セシリアはクレーンゲームに百円玉を入れた。

 

 セシリアがプレイするクレーンゲームはアームが横に移動するボタンと前に移動するボタンの二つを使って操作するタイプである。

 まずは1と書いてあるボタンで横の位置を決め、次に2と書かれたボタンで前後の位置を決めるとクレーンのアームが自動的に降りるようになっている。

 

 ちなみに、クレーンのアームはボタンを押しっぱなしにした時間だけ移動するようになっており、一度ボタンを放してしまうとそのボタンはもう押しても効かなくなってしまう。

 

「それでは、参りますわ!」

 

(カチッ)

 

 やけに気合を込めてセシリアは1のボタンを()()()()シュ()した。

 クレーンのアームは微妙に動いたところでピタッと止まった。

 

「?」

 

 ピタッと止まったアームを見ながらセシリアが首を傾げる。

 

(カチッ、カチッ、カチッ)

 

 それから数回同じボタンを押すがアームは動かない。

 

(カチカチカチカチカチカチカチカチッ)

 

 今度はボタンを数連打するがアームは微動だにしない。

 

「・・・・・、横に動かなくなってしまいましたわ!?」

 

((ズルゥッ!))

 

 少し涙目になりながら訴えるセシリアを見て鈴と数馬が盛大にずっこけた。

 

「何で動かないんですの~」

 

「セシリア、あんた面白過ぎよ・・・」

 

「あははは・・・」

 

 クレーンゲーム初体験のお嬢様は少し変わった形でクレーンゲームの厳しさを味わったのだった。

 

 

 3、正しいナンパの追払い方

 

「えいっ、やぁ、それっ」

 

(ぺコンッ、パコンッ、ポコンッ)

 

「ふっ、ほっ、はっ」

 

(ぺコンッ、パコンッ、ポコンッ)

 

 シャルロットと箒は体感ゲームのコーナーで二人で出来るモグラ叩きのゲームをしていた。

 二人は軽快に穴から顔を出すモグラを叩き、叩く度にちょっと間の抜けた音が響いてくる。

 

「あ、終わったみたいだね」

 

 モグラが穴から顔を出さなくなったのでゲームは終了となった。

 正面にあるモニターには二人が叩いたモグラの回数が表示されており、かなりの回数を二人とも叩いている。

 回数は僅かに箒が多いほどだ。

 

「あ~、負けちゃったよ。やっぱり反射神経じゃ箒には敵わないね」

 

「でも僅差だったな。特にスポーツに打ち込んでる訳でもないお前がこのスコアなら大したものだろう」

 

「そうかな?お世辞でも嬉しいよ」

 

「私は世辞は言わん。だから自信を持っていい」

 

「そうだね。あははっ♪」

 

 ちょっと上から目線っぽい発言だったかなと思って頭を掻いていた箒だったが、シャルロットの邪気の無い笑顔を見て自然と自身もはにかんでいた。

 

「僕ちょっとお手洗いに行って来るね」

 

「わかった。私はそこのベンチに座って待っているぞ」

 

「うん」

 

 シャルロットの背中を見送ると箒は近くにあったベンチに腰を下ろした。

 

「ねぇねぇ君」

 

「ん?」

 

 すると、突然箒に声を掛けてくる者がいた。

 声を掛けられた方を見ると、藍越学園とは別の学校の制服を着た二人組みの男が立っていた。

 その二人組みの顔を箒は知らない。

 

「もしかして一人かい?」

 

「よかったら俺達と一緒に遊ばない?」

 

 知らない人間に声を掛けられて箒は訝しげな視線を向けていた箒は「ああ、なるほど」と思った。

 

「それにしても、君マジで可愛いねぇ」

 

「なぁ、いいだろ。どうせ一人なら俺ら一緒に遊ぼうぜ」

 

 これは所謂、ナンパというやつだろうと箒は思った。

 これまでに箒は少なからずこういう場面に出くわした事はある。

 そのときは大体鈴と一緒にいて誘われる事がほとんどであったが、今は箒一人だけだ。

 

「断る」

 

 鈴がいれば彼女の社交性もあって適当にあしらってご退場願うところではあるのだが、箒はお世辞にも鈴のように社交性があるわけでも口が上手いわけでもないので、ただ不機嫌そうにして誘いを断るだけだった。

 

「心配しなくても俺達がおごるからさ」

 

「そんな怖い顔してないでさ。いいだろ、行こうよ」

 

 当然のように、それだけではナンパ男二人も引き下がらない。

 この手の連中は一言断りを入れても引き下がらない者達が多いのである。

 それと、箒が不機嫌なのはもうひとつ理由がある。

 それは先ほどからナンパ男二人の視線がチラチラと箒の胸に行っている事だ。

 正直なところ、箒は自分の胸の大きさをあまり好いてはいない。

 このように男から不愉快な視線を向けられる事があるからだ。

 聞く人によっては「何その贅沢な悩み?もしかして喧嘩売ってる?」と言われそうだが、箒自身がそう思っているのだから仕方ない。

 

「生憎と連れがいる。お引取り願おう」

 

「その連れって男?」

 

「それはもちろ―――――」

 

「―――――箒、お待たせ・・・、って、どうかしたの?」

 

 箒は心の内で「しまった」と思った。

 ここで連れが男だと言えばこの二人組みも退散すると思っていたのだが、そこにタイミング悪く手洗いを済ませたシャルロットが戻ってきてしまった。

 

「おっ、連れってこの娘の事?すっげぇ、この娘も超可愛いよ!」

 

「しかも外人さん!それもパツキン!これはやっべぇぞ!!」

 

 シャルロットが加わった事で男二人がさらに色めき立つ。

 それはそうであろう。シャルロットも箒と同様に標準を大きく上回るほど整った容姿をしている。

 ここで色めき立つなという方が無理と言うものだ。

 

「ねぇ箒、これって・・・」

 

「・・・・・(コクリ)」

 

 状況を察したシャルロットが箒に視線を向けると箒はしかめっ面で頷いた。

 それを見てシャルロットも「あちゃ~・・・」と言わんばかりの表情を浮かべる。

 

「二人とも俺達と一緒に上の階でボーリングでもどうだい?」

 

「今なら男女ペアで一割引きのキャンペーン中なんだって。なぁ、行こうよ」

 

「あの、僕達は他にも連れがいるので、悪いんですけどお断りします」

 

 シャルロットも箒より丁寧に男二人の誘いを断った。

 

「えー、でも君らしかいないじゃん」

 

「今はそれぞれ分かれて行動しているだけですから」

 

「君らみたいな可愛い娘達を放って遊んでる奴らの事なんて別にいいじゃん。そんな奴らより俺達と遊んだ方が絶対楽しいって」

 

「・・・・・」

 

 シャルロットが断りを入れてもやはり男二人は引き下がらなかった。

 しつこく誘ってくる事にシャルロットも若干うんざりした顔をするが、基本的に人が良いシャルロットはそれをあまり表には出さない。

 

「わかった。それなら私達とひとつゲームで勝負しろ」

 

「「「えっ?」」」

 

 どうやって引き下がってもらうかを考えていたシャルロットと男二人は箒の方を向いた。

 

「簡単な話だ。私の提案したゲームで私と勝負をしろ。お前達が勝ったらお前達に付き合ってやる。だが、負けた場合はさっさと消えてもらう。いいな?」

 

「・・・お、おう、いいぜ」

 

「その勝負乗るよ」

 

 箒の提案に若干驚きを見せる男二人だったが、箒の提案に乗ってきた。

 

「で、どんなゲームで勝負するの?」

 

「アレだ」

 

 そう言って箒はあるゲームの筐体を指差した。

 

「えっ、アレかい?」

 

「うむ」

 

「でもこれって、パンチングマシーンだよね?」

 

「そうだ。私とお前達のどっちかがこのゲームで勝負してスコアの高い方が勝ちだ」

 

 箒が提案したゲームはなんとパンチングゲームだった。

 これは明らかに男が有利なゲームなのだが。

 

「おう、いいよ」

 

「その勝負受けるよ!」

 

 少し面食らった様子の男達も提案されたゲームが勝てそうとふんだのか顔をニヤニヤとさせた。

 

「え~っと、箒・・・」

 

「大丈夫だ、任せろ」

 

 少し不安そうに箒を見るシャルロットだが、箒は大丈夫だと自信有り気な様子だ。

 

「じゃ、まずはこっちから行くね」

 

 まずは男子の代表者から余裕綽々といった表情でグローブをはめてパンチを打つ準備をする。

 

「よし、行くぜ。はああぁぁ!!!」

 

(バコーンッ!!)

 

 右ストレートがバッグに当たり目の前の画面にスコアが映し出される。

 そこには『248』と映し出されていた。

 

「まぁ、こんなモンかな」

 

 満足そうにしながらパンチを打った男はグローブを外す。

 

「ほい、次はそっちの番だよ」

 

 グローブを差し出す男から箒がグローブを受け取る。

 

「・・・・・」

 

 無言でグローブをはめる箒。

 シャルロットはそれを見守る。

 

「・・・・・」

 

 パンチを打つ構えを見せる箒だが、構えはボクシングではなく、彼女が修める『篠ノ之流・無手』の構えだ。

 その姿勢にはどこか迫力がある。

 その迫力に気付いていない男二人は勝ちを確信したようにニヤニヤしていた。

 迫力を察したシャルロットは固唾を呑む。

 

「はああああああぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

(バスコーーーンッ!!)

 

 気合の入った掛け声と共に箒の拳がバッグに吸い込まれ、景気の良い音が辺りに響いた。

 

(パンパカパーンッ!!)

 

 そして、ファンファーレの音と共にスコア画面にスコアが映し出された。

 

「「いいいぃぃぃっ!!!!!」」

 

 男二人が目玉が飛び出そうなほど驚いた。

 

「「よ、400・・・」」

 

 映し出されたスコアはなんと『400』だった。

 スコア差は152と圧倒的大差で、勝敗は歴然だった。

 ちなみに、先ほどのファンファーレ音はスコアがトップ3に入ると流れる仕組みになっており、箒のスコアは見事に1位にランクインしていた。

 

「で、まだ何か用か?」

 

「「・・・、し、失礼しましたぁぁぁーーーっ!!!」」

 

 箒はグローブを外しながら男二人を睨み付けると、男二人は脱兎のごとく逃げていった。

 

「まったく!せっかくテストも終わって楽しく遊んでいたというのに水を差しおって!!」

 

 箒はプンプンと怒りながらグローブを元の位置に戻した。

 テストも終わってゲーセンで楽しく遊んでいたところにとんだ横やりが入れば怒りたくもなるだろう。

 箒が勝負にパンチングマシーンを選んだ理由のひとつにストレス発散の意味が込められており、それが無くともあんな軟弱な男どもに箒は負けるつもりはなかったのだった。

 

「え~っと・・・、箒、凄かったね・・・」

 

 ゲームの一部始終を見ていたシャルロットは驚きと困惑で何と言っていいのかわからない表情をしていたが、とりあえず賛辞を箒に送る。

 

「素直には喜べんがな・・・」

 

 シャルロットの賛辞にも箒は苦い顔をするしかなかった。

 それは確かに、10代の乙女にパンチングマシーンでランキング1位のスコアを出して「凄かったね」と言われても喜ぶ者は少ないだろう。

 

「あんた達・・・」

 

「あ、鈴」

 

 声を掛けられた方を向くと、そこには呆れ顔の鈴が立っていた。

 

「あっちでパズルゲームでも一緒にやらないって誘いに来てみれば、一体何やってんのよ・・・」

 

「なんだ?見ていたなら声くらい掛ければいいだろう?」

 

「掛けようと思ったらあんたが凄い迫力でパンチングマシーンやってたから、つい沈黙を余儀無くされてさ」

 

「ちょっとうるさいハエを散らすのと、ただのストレス発散だ。気にするな」

 

「あ、そう。ま、うるさいハエが散ったなら良かったわ。じゃ、気分を改めてあっちのパズルゲームやりに行きましょう」

 

「ああ、いいぞ。今回は勝たせてもらうぞ」

 

「ふっ、返り討ちにしてやるわ」

 

「あ、待ってよ二人とも。僕も行くよ」

 

 パズルゲームのコーナーへ足を進める箒と鈴の背中をシャルロットは追いかけた。

 

 ちなみに、箒の出したスコアはしばらくの間、塗り替えられる事はなかったという。

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 アイキャッチしりとり

 

 パンチングマシーン「Knock Out!!」

 

 

 

 ナンパ男二人「「とんでもねぇ女が出たっ!!」」

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

4、エアホッケーで勝負

 

「よ~し!それじゃここいらでお目当てのエアホッケー勝負と行こうぜ!!」

 

「おっ、やるか?」

 

 ゲーセンに来てそこそこ時間も経ち、男性陣は行きの道中でも話していたエアホッケーの対戦台にやって来た。

 前回来た時にボロ負けをした弾は特に気合が入っており、先ほどから鼻息を荒くしている。

 

「でもここにある台は四人用だぞ?俺らは今三人しかいないじゃねぇか?」

 

「女子連中の誰かひとり呼んでくるか?鈴か篠ノ之あたりだったら参加してくれると思うが」

 

「いや、俺はリベンジがしたいんだ!台は四人用だが、ここはタイマン勝負といこうぜ!」

 

「んじゃ、弾と一夏で勝負してくれ。俺はお前らの勝負を観戦してっからよ」

 

「おう、悪いな数馬」

 

 まずはリベンジに燃える弾と一夏が対戦する事となり、数馬はそれを観戦する事になった。

 

「ふっふっふっ、俺はこの時をずっと待っていたぞ。あの日に味わった屈辱を晴らす日が来る事をな」

 

 マレット(スマッシャーとも言う)を両手に持ちながら弾が笑いながらそう呟いた。

 

「一夏、俺があの日味わった屈辱を今日お前にも味わわせてやるぜ!」

 

「エアホッケーくらいで大袈裟な奴だな。それに屈辱って言ったってさ、前回は大半がお前の自殺点だった事忘れてないか?」

 

「う、うるさい!とにかく今日は俺が圧勝してやるからな!!」

 

「さっき格ゲーでも似たような事言ってなかったか?」

 

「いいからさっさと勝負を始めるぞ!!」

 

「はいはい」

 

 一夏も弾の対面に行き、マレットを両手に持つ。

 

「じゃ、金入れるぞー」

 

 数馬が金を入れるとパック(円盤)は弾サイドに現れた。

 

「どうやら先手は俺のようだな」

 

ポケットからパックを取り出して盤上の上に置き、マレットでそれを押さえる。

 

「よし、それじゃ行くぜぇ!」

 

(カッ)

 

気合いの入った声と共に弾はパックを弾いた。

 

「よっと」

 

(カッ)

 

迫ってきたパックを一夏も危なげ無く弾き返す。

 

「ふんっ!」

 

(カッ)

 

「おっと」

 

(カッ)

 

弾の鋭角に反射を利用したシュートに一瞬反応が遅れた一夏はミスショット。

 

「もらったぁぁぁーーー!!」

 

パックはゆっくりと緩い軌道を描いて弾の陣地へと移動する。

一夏はミスショットによって態勢を崩している。

 

「食らえぇぇぇぇーーーー!!!」

 

(カコーンッ)

 

弾は渾身の力を込めてマレットをパックに叩きつけるようにスマッシュを放った。

 

「甘ぇよ」

 

(カコーンッ)

 

いつの間にか態勢を立て直した一夏は冷静に迫ってきたパックを逆にリターンスマッシュした。

 

(ピロリーン♪)

 

弾き返したパックは弾の陣地のゴールへ吸い込まれた。

 

「な、なにィ!?」

 

渾身のスマッシュをリターンされた弾はキャ○翼ばりの驚きを見せる。

 

「ふっ、見事に引っ掛かったな」

 

「ま、まさか、さっきのミスショットは釣りだったのか!?」

 

「そういう事だ。ちなみに態勢を崩したように見せたのはスマッシュを誘うための罠だ。それから弾、お前はスマッシュを打つ時は高確率でお前から見て右サイド、つまり俺の左サイドを狙ってくるからこっちはリターンを狙いやすいんだよ」

 

「そ、そんな俺の知らない癖まで読んでたのかお前・・・」

 

自分も知らなかった癖を言い当てられて弾の表情が驚愕に染まる。

 

「あのな、前にお前とここに来た時に何回勝負したと思ってんだよ。そんなわかり易い癖すぐに気付くだろ普通」

 

「その癖なら俺も気付いてたぜ。弾、お前の狙いはワンパターン過ぎだ。もうちょっと狙いを散らせや」

 

「ぐ・・・」

 

観戦していた数馬からもツッコまれて弾は言葉を詰まらせた。

 

「くそっ、再開するぞ!」

 

弾はサイドポケットからパックを取り出してまた盤上の上に置く。

 

「お、まだやるか?」

 

「ったりめぇだ!俺はまだ負けてねぇぞ!さっき俺に癖を教えたのが運の尽きだ。こっからは俺のワンサイドゲームにしてやるぜ!」

 

「よし、じゃあ来いよ」

 

「いくぜ!うりゃぁぁぁーーーー!!!」

 

最初より気合いの入った掛け声で弾はパックをマレットで弾いた。

 

 

 

 

 

 

(数分後)

 

 

 

 

 

「な、なぜだ・・・。何故俺は一夏に勝つ事が出来ないんだ・・・」

 

「弾、お前は分かりやす過ぎなんだって。癖を教えた途端に逆サイドばっか狙ってくるようになってるし」

 

「さっき言ったろ。もっと狙いを散らせってさ」

 

結局、ゲームの結果はまたもや一夏の圧勝で幕を閉じたのであった。

 

 

5、続・エアホッケーで勝負

 

「兄様~♪」

 

「おお、ラウラか」

 

弾との勝負が終わり、一息入れていた一夏にラウラがじゃれついてきた。

 

「どうだラウラ、ゲーセンは楽しめてるか?」

 

「うむ。さっきまで銃を使ってゾンビを倒すゲームをしていたぞ。一応ノーダメージで全てのステージをクリアしたらいつの間にか周りに集まってたギャラリーからたくさんの拍手を貰ったぞ」

 

「そ、そうなのか・・・?大したもんだな・・・」

 

一応このゲーセンに置かれているガンシューティングゲームは一夏もプレイ済みでクリアもしているが、ノーダメージクリアは正直不可能だと思っていた。

それをあけらかんとやってのけた目の前の妹分に少しだけ戦慄を覚えた一夏だった。

 

「兄様はここで何をしていたのだ?」

 

「ああ、さっきまで弾達とこのゲームしてたぞ」

 

一夏はエアホッケーの対戦台を指差した。

ちなみに、勝負が着いた後に弾と数馬は音ゲーコーナー向かったためここには一夏しかいない。

 

「これは何をするゲームなのだ?」

 

「これはエアホッケーって言うんだ。このマレットて器具を使って盤上の上でパックを打ち合って得点を競うゲームなんだ」

 

「なるほど。面白そうだな」

 

「やってみるか?」

 

「やる!」

 

一夏の提案にラウラは嬉々として飛びついた。

 

「何々、あんたらエアホッケーやるの?だったらあたしもやるわ」

 

「お、鈴。それに箒達も」

 

そこに別行動中だった鈴、箒、シャルロット、セシリアの四人がやってきた。

 

「四人用の台だし、ここはタッグ戦で勝負といこうじゃない」

 

「でも、今ここには六人いるぞ?タッグ戦にするにしても二人あぶれてしまうではないか」

 

「え~っと、わたくしはやった事がないので観ていますわ」

 

「僕もやった事が無いから遠慮しておくよ。だから鈴達でやってみてよ」

 

セシリアとシャルロットはエアホッケー未経験なのでこの場は遠慮した。

 

「なら、ここはあたしと箒、一夏とラウラのコンビで対戦といきましょう」

 

鈴の提案した組み分けで対戦する事が決まった。

若干、箒が一夏と組みたかったと言いた気な表情だったが、相手がラウラだったので気にしないでおく事にした。

これが一夏のペアがシャルロットだったら箒は反対したであろう。

 

「お~し、じゃあコイン入れて始めるぞ~」

 

「よし、やるぞ」

 

「へっへ~ん♪圧倒してやるわよ♪」

 

「ふん、私と兄様のコンビに勝てるわけなかろう」

 

準備万端となったところでゲームが始まった。

 

 

(カッ、カッ、カッ、カッ)

 

ゲームが始まった序盤は両チーム打っては打ち返し、打ち返してはまた打ち返す単調なラリーが続いていた。

パックがピンポン玉のように盤上の上を行ったり来たりをする中、一部の隙も見せない両チーム。

そんな中で楔の一撃を虎視眈々と狙っている。

 

(ガッ)

 

すると、いきなり鈴がパックの上からマレットを被せて止めた。

 

「い~ちか♪ちょっといい?」

 

「何だ?どうし―――――」

 

「―――――隙ありっ!!」

 

(カッ)

 

「おぉっと!!」

 

鈴の不意討ちショットを一夏が何とか反応してパックを止めた。

 

「鈴、お前なぁ」

 

「てへっ♪」

 

非難の眼差しを向けるが鈴はぺロッと舌を出して笑っていた。

 

「レフェリーセシリア!今のプレイの判定は!?」

 

「レ、レフェリー!?」

 

唐突にラウラが対戦台の横でゲームを観ていたセシリアをレフェリーと呼び、今の鈴のプレイをどう判断すると迫ってきた。

 

「え、え~っとぉ、あのぉ・・・」

 

突然のレフェリー任命にしどろもどろとするセシリアが最終的に出した答えはというと―――――

 

「Please restart the game!(試合を再開してください!!)」

 

「流した!?しかも何で英語なの!?」

 

―――――全力で流す事だった。

何故かいきなり英語になった事にシャルロットが思わずツッコミを入れる。

 

「Please restart the game!(試合を再開してください!!)」

 

「レフェリーがこう言ってる。ゲームを再開しよう」

 

「そうだな」

 

レフェリーセシリアの判断により試合再開となった。

 

 

「ほっ」←鈴

 

(カッ)

 

「よっ」←一夏

 

(カッ)

 

「ふっ」←箒

 

(カッ)

 

「んっ」←ラウラ

 

(カッ)

 

その後、四人の白熱のラリーが続く。

 

(カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカッ!!!!!!!)

 

 

 

 

何か怖いほど「カ」という文字が並んでいる気がするが、まあそれは置いておいて、試合は拮抗状態を保ったままのラリーが続いていた。

 

 

 

 

 

(カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカッ!!!!!!!)

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

かれこれ五分以上は経過しただろうか?

シャルロットとセシリアを含む、いつの間にか出来ていた周りのギャラリー達が唖然とゲームを見つめていた。

それはそうだろう。

四人とも傍から見るともはやマッハの領域で手を動かしている様に見える。

おまけにさっきからパックが盤上を音速の域で右往左往と滑走しているのだ。

一体どんな動体視力してたらこんなゲームができるんだと思わずにはいられないだろう。

 

「い、一体いつまで続くのですか・・・?」

 

試合を見守るセシリアからそんな言葉が漏れた。

 

(カツッ)

 

「にゃあ!?しまった!ミスショット!!」

 

遂にゲームが動いた。

さすがに集中力が持たなかったのか、鈴がミスショットを放ってしまった。

パックは先ほどまでとは打って変わって緩やかな動きで一夏&ラウラコンビの陣地への方へ移動すると―――――

 

(ぴたり)

 

「「?」」

 

―――――突如、盤上の真ん中辺りで動きを止めた。

 

「滑りが悪くないか?」

 

「空気が出ていないな。恐らくタイムオーバーだな」

 

「ええっ!?このゲーム制限時間なんてあったの?」

 

「知らなかったな・・・」

 

「ああ、俺もだ・・・」

 

「ふむ・・・、白熱したが決着は着かずか・・・。」

 

「「あははははっ・・・」」

 

結局、お互いに得点を奪えないままドローとなった。

 

「空気が出てないけどパックはどうする?」

 

鈴がパックを持ってヒラヒラと手を振って皆に見せる。

ゲーム自体は終了してしまったが、パックはゴールに入っていないので外に出たままになっている。

 

「とりあえず入るまでやるか?」

 

「いや、俺はもういいよ」

 

「私もだ。お前らだけでやってくれ」

 

入るまでやろうかとラウラが提案したが、一夏と箒は興ざめしてしまったので遠慮した。

とりあえず、鈴とラウラでパックがゴールに決まるまで延長戦をする事にしたのだった。

 

「一夏さん、箒さん、お疲れ様です」

 

「はい、これおしぼりね。あそこのカウンターで貰って来たんだ」

 

「お、サンキューなシャル」

 

「すまないな」

 

「ちょーいっ!」とか「なんのぉー!」という鈴とラウラの掛け声が聞こえる中、

一夏と箒は対戦台の横で観戦していたシャルロットとセシリアに労いの言葉を掛けられた。

シャルロットに至ってはいつの間にかおしぼりうぇ用意しているという気遣いっぷりだ。

この辺の気遣いは流石はシャルロットと言うところだろう。

 

「鈴達が終わったらシャルとセシリアもやってみるか?」

 

「ええっ!?あ、あんなの絶対無理ですわ!あんな速度とてもじゃないけど付いていけませんわ!!」

 

「いや、あんなレベルでやらなきゃいけないって訳じゃないんだけど」

 

「とにかく、わたくしは遠慮致しますわ。あんな速度見てるだけでも恐ろしいです・・・」

 

「そんな感想初めて聞いたな・・・」

 

「私もだ」

 

「あははは・・・」

 

どうやらエアホッケーはセシリアに妙な苦手意識を植え付けてしまったようであった。

 

 

6、最後に皆で

 

あれから時間が経つのも忘れて遊び倒した一同にも少し疲れも見え始め、時間もいい頃合いになったという事でそろそろ帰ろうという事になった。

 

「ん~♪今日は遊んだ遊んだ~♪」

 

「そうだな。俺も久しぶりにゲーセン満喫したぜ」

 

「うむ、テストも終わって存分に羽が伸ばせたな」

 

「次来る時は絶対にリベンジしてやるぞ!」

 

「お前も懲りないな。ま、俺も音ゲーやら何やら存分に出来て満足してるよ」

 

「わたくしは初めてこういう場所に来ましたが、実に面白い体験ができましたわ」

 

「確かに時間経つのも忘れてしまうほど楽しい時間だったな」

 

「うん、楽しかったね。また皆で来ようね」

 

ゲーセンで過ごした感想をそれぞれ口にしながら一同は出口の方へと向かった。

 

「あ」

 

「ん、どうしたラウラ?」

 

出口へ向かっていると突然ラウラが足を止めた。

それを見て一同の足も止まる。

 

「あれは何をするゲームなんだ?」

 

ラウラがひとつの筐体を指差した。

 

「あー、あれはプリントシールを撮る機械だな」

 

「プリントシール?」

 

「簡単に言えば、この機械で写真を撮るんだ。そこで撮った写真をシールに加工してくれる機械なんだよ」

 

「ほぉ、面白そうだな」

 

「それじゃ、最後に皆で撮っていかない?」

 

プリントシールに興味深々のラウラのために皆で撮ろうとシャルロットが提案する。

 

「いいわね。撮りましょうか」

 

「うむ、せっかくだしな」

 

「俺もいいぜ」

 

「わたくしも是非」

 

「今日の記念に、だな」

 

「決まりだな」

 

全員満場一意でプリントシール撮影が決まった。

 

「よし、じゃあ皆入ってくれ」

 

一夏に促されて全員がプリントシール機の仕切り内へ入る。

 

「何か少し狭くないか?」

 

「まあ、流石にこの人数だしな」

 

全員が入り終えたのだが、やはり合計八人では少し狭いようだ。

 

「おい、もうちょい詰めてくれよ。これじゃ俺がフレームに納まんねぇよ」

 

最後に仕切り内に入った弾は狭い仕切り内に完全に入りきれずにはみ出てしまっていた。

 

「狭いからこれ以上は無理よ。っつーか弾、あんたは入んなくていいわよ」

 

「何でだよ!俺も入れてくれよ!!」

 

「確かに、弾が入ると暑苦しいかもな」

 

「じゃあ、弾は放っておいて撮る準備するか」

 

「おーい!頼むから俺も入れてくれよぉ!!」

 

「フレームはどれにしよっか?」

 

「シンプルにコレがいいだろう」

 

「文字も入れられるのですか?凄いですわね」

 

「よし、じゃあフレームも決まったし撮るぞ」

 

「おーい!俺は無視か!?無視なのか!?」

 

何とか入ろうとする弾だが、やはりフレームからはみ出ている。

 

「じゃ、行くぞ」

 

ギャーギャーと騒いでいる弾を無視して撮影開始ボタンを押す。

画面がカウントダウンを開始し、それぞれがポーズをとってシャッターが切られるのを待つ。

 

『3、2、1、ハイ、チーズ』

 

(パシャッ)

 

シャッターが切られて撮影は終了した。

 

「あとは出来上がりを待つだけだな。じゃあ、皆外に出てくれ」

 

撮影を終え、全員が仕切りの外に出てプリントシールが出来上がるのを待つ。

 

「くそっ、何とか端っこの方にだけど写ってるはずだ」

 

結局、弾は最後まではみ出た位置からシャッターが切られる瞬間に強引に顔をフレーム内に入れるという無茶をやってのけたのだった。

 

「お、出来た出来た」

 

「どんな出来だ?」

 

「見せて見せて」

 

プリントシールが出来上がり、皆で出来上がったプリントシールを覗き込む。

 

「おお、中々良い感じに出来上がってるね」

 

「本当に良く撮れていますわね」

 

「ああ、これは実に良い」

 

「やっぱり弾は顔が半分はみ出てるな」

 

「まあいいんじゃない、弾だし」

 

「お前ら本当に俺の友達か・・・?」

 

 

セシリア 箒 シャルロット 数馬

 

   鈴 ラウラ 一夏         弾

 

写真は上記のような配置で撮られており、それぞれが良い表情を浮かべて写っていた。

このプリントシールはこの日の記念に全員に配られ、それぞれのケータイやスマホに貼り付けらたのであった。

 

 

 

こうして、一夏達はテスト終わりの解放感と共にゲームセンターを満喫したのであった。




駄文にお付き合いくださってありがとうございます。

いやぁ、約4ヵ月ぶりの投稿になってしまいましたね。前に投稿したのは夏だったのに今じゃ年が明けてしまいましたよ。今年の下半期は本当に大変でした。

今回の話はまたアニメの話をモデルにしていたのですが、文章に起こそうとするとかなり大変でしたね。やっぱ映像と小説じゃ表現の仕方が違いますからねぇ・・・。

何気に今回は本作最大の文字数となりました。これまでは一夏とシャルロットがふたりでゲーセン行ってた回だったんですけど。私はゲーセンの話を書くと文字数が伸びるのか!?


では、本年も何卒『ようこそ藍越学園へ』をよろしくお願い致します。



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