頭ベレトかよ   作:ザマーメダロット

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気が向いたのでちょっとだけ。本業よりUAとかお気に入りとか感想が多くなるようなことが起こったら耐えられないので、この続きは当分書きません。
これを読んだ人はメダロットクラシックスを買うか、お金がないなら動画でもいいからメダロット5を速やかに履修してください。それからシリーズのナンバリングを行脚してください。GMとかBRAVEとかRは免除します。

2020/04/02 誤字修正


完全最終話 クラス:プレイヤーキラー

魔道に秀でる教師であり、紋章の研究に血道を上げていることで知られる初老の男、ハンネマン。彼が前触れ無く倒れ、ヒューベルトと仲良く医務室に寝かされていた頃のこと。黒鷲の学級の教師であるベレトは、無表情で何かを探しながら修道院を練り歩いていた。

 

(ハズレ……ハズレ……ハズレ……)

 

視界に入る生徒や兵士、修道士に視線を向けてはそらし、を繰り返し、内心で呟く。そして書庫を壁沿いにぐるりと回っている時、一人の生徒を見てその動きが止まった。先日ヒューベルトとは別の医務室に送られたエーデルガルトを除けば唯一銀髪の持ち主である少女、リシテアが、壁際の本棚の前に立っていた。書庫には他に誰もいなかった。ベレトが動きを止めて数秒、十数秒、数十秒、数分。できの良い人形にでもなったかのようなその有様にリシテアが気付いたのは、読書を中断してふと視線を上げた時のことだった。

 

「?……ベレト先生、でしたっけ?わたしになんか用ですか?」

 

ガルグ=マク修道院に到着し教師となって間もないベレトとは、所属学級の異なるリシテアは初対面だった。リシテアは、挨拶回りでもしているのだろうか、どうせなら生徒がひとところに集まっている時にすればいいのに効率の悪いことだ、と思った。

 

「お前は……リシテア=フォン=コーデリアか?」

 

「そうですけど」

 

質問に質問で返したベレトに対し、やや不快感を覚えつつも答えるリシテアに、ベレトは言葉を重ねる。

 

「俺と決闘(デュエル)しろ」

 

「は?」

 

「俺は紋章を2つ賭ける。俺が勝ったら、お前の紋章を2つ貰う」

 

「は?」

 

「なんだその態度は?ガキが……ナメてると潰すぞ」

 

「は?」

 

困惑が驚愕に、驚愕が怒りに変わりながら、リシテアの表情を彩る。対してベレトは、その声色の変化とは裏腹に、常に無表情だった。

唐突に、ベレトが右手をリシテアの頭の上にポンと置き、口を開く。

 

「お前より俺の方が背が高い。俺の先攻だ」

 

その言葉の後半の意味は理解できなかったリシテアだが、その堪忍袋の緒を切るのには前半で充分だった。怒り爆発、何かしてやらないと気が済まない――リシテアがそう思考した次の瞬間。

 

 

「俺のターン!!!!!!!111!!!11!11!1!!!!1!!!」

 

 

大気が、空間が激しく揺れる。ベレトの口から放たれた言葉、いや咆哮は、衝撃波となってリシテアに襲いかかった。至近距離から放たれた不可視・音速の一撃にリシテアには反応することはできず、数メートルふっ飛ばされて別の壁際の本棚に激突。分散した衝撃波が書庫じゅうを跳ね回り、本棚や机、高所の本を取るためのはしご等をドンドンと叩いた。地面に転がり、意識が朦朧とし、混乱してもいるリシテアの許へ、ベレトがゆっくりと歩み寄る。

 

(なにが、なんで、わたし)

 

視界がぼやける。思考が纏まらない。ただ、その暗い深緑の影が恐ろしい。リシテアは――小さな子どもが、母親がしつけのために語る荒唐無稽な怪物に対してそうするように――ベレトのことを、ひどく怖がっていた。現状を正しく認識するごとに、呆然とした表情が、恐怖に塗りつぶされていく。

 

(か、からだ、うごかな……)

 

ベレトは動けないリシテアの傍まで来ると、屈み、リシテアの顔に向かって手を伸ばした。その手が頬に触れると、リシテアは、自分の中から決定的な何かが抜け出ていってしまうように感じた。この時リシテアの目に映っているのは、魂を喰らう怪物だった。意識が、薄れていく。

 

(わたし、しぬの……?まだ、なにも、してないのに……)

 

手が触れてから1、2秒後、怪物が立ち上がり、用は済んだとばかりに踵を返して去っていく。リシテアは、その意識が完全に途絶える前に、去りゆく怪物の言葉を聞いた。

 

 

「ヒャハハハハハハハハ!!紋章ゲットォーーーーーーーー!!」

 

 

……

 

 

翌日。ハンネマンが職務に復帰し、一方で依然として目が覚めないヒューベルトをエーデルガルトが見舞った少し後のこと、ベレトは自室の机の上に手紙が置かれていることに気付いた。ベレトは指を封筒の隙間に突っ込んでバリバリと破り、中身を取り出して読んだ。便箋に書かれた文章はごく短いもので、その内容はこうだった。

 

 

「ベレト先生へ。好きです。わたしと結婚してください。リシテア=フォン=コーデリア」

 

 

"そうはならんじゃろ"――はじまりのもの、ソティスのその声は虚しく闇の中に吸い込まれ、また、手紙は飛行機へと姿を変じてフォドラ上空を舞い、やがて星になった。

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