頭ベレトかよ   作:ザマーメダロット

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本業の
メダロット5? すすたけ村の転生者
をよろしくおねがいします。
読んでいて「メダロットのことがわからない」と感じたら原作ゲームをやってください。
これは命令です。


真・最終話 夜の衝突

夜。

医務室での経過観察が終了したヒューベルトは今、医師兼任の教師マヌエラから指示を受け、寮1階にあるベレトの部屋にやって来ていた。ベレトを魔法で攻撃した件について、ベレトと1体1で事情聴取を行うとのことだった。

 

寮ということで部屋の広さは20平方メートル強、備え付けの家具は各種収納に壁際の机と椅子、それとベッドくらいと、生徒の部屋と基本は同じだ。ただ、こういう機会があると事前に分かっていたかのように、机が1つ、それを挟んで向かい合う位置に椅子が2つ、部屋の中心に置かれていた。

ヒューベルトは入口に近い方の椅子に座り、シャンデリアの淡い光が照らしている部屋を見回す。私物等は一見少なく、きちんと整頓されており、ベレトの人となりを掴めそうな手がかりは見当たらなかった。

 

待っていると、外から足音が一つした。それは金属が触れ合うガシャガシャという音を伴っていて、鎧を着込んだ人物であることがわかる。足音は部屋に近づき、両開きの扉がゆっくりと開かれた。ヒューベルトが立ち上がって振り向くと、そこに立っていた人物はベレトではなかった。

 

白と赤の無機質な仮面がついた兜、肩に立ち並ぶ赤い羽飾りが目立つ暗い鎧、表が黒で裏が赤のマント。ベレトを待つようにと聞かされていたヒューベルトは、想定を遥かに超えた来訪者に驚きつつも、すぐに片手を自分の胸に当てて一礼した。

 

(なぜこの方は、今、この鎧を着てここに来られたのでしょうか?)

 

感情を表には出さず、顔を上げ、鎧の人物の言葉を待つヒューベルトに、鎧の人物は一声、

 

「わかるか。いいよな、この鎧」

 

と言った。

 

ヒューベルトの前で兜を外してみせたその人物の顔は、ベレトのものであった。慈しむような、優しい笑顔をしていた。

 

「なっ……馬鹿な、なぜそれを」

 

「ちょっとだけ無断で借りた。まずかったか?」

 

「……」

 

平然とした様子で返し、鎧姿のまま部屋の奥側の席に腰を下ろすベレト。ヒューベルトは唖然として、言葉が出なかった。固まっているヒューベルトに、ベレトが声をかける。

 

「どうした?座れ」

 

そこでようやくヒューベルトはベレトに向かって軽く一礼してから席についた。それを見て、ベレトの目つきが鋭くなる。

 

「ドアが開けっ放しだ。閉めろ」

 

「……」

 

座ったばかりのヒューベルトは立ち上がり、背後のドアを閉め、もう一度座った。ベレトは真剣な様子で話し始めた。

 

「マヌエラ先生から聞いていると思うが、これから事情聴取を行う。なぜ俺を攻撃したか、話してもらう」

 

「……」

 

机にペンと紙を置いて質問するベレトに、ヒューベルトは何も答えない。ヒューベルトは、そのおよそ学生とは思えない知性派の悪人面を無表情に保ちつつ、この場を切り抜けるべく思案していた。黙りこくるヒューベルトに向かって、もう一度ベレトが口を開く。

 

「といっても、まあ知っているんだが」

 

ヒューベルトはその一言に対して反射的に、拳を机に叩きつけて、ベレトを睨む。

 

「一体……何が目的なのですかな?」

 

「生徒であるお前に信用してもらうことだ」

 

「信用?貴方を?……ありえませんね」

 

教室での一幕、エーデルガルトの秘中の秘に関する暴露のことをヒューベルトははっきりと覚えている。それだけのことをしでかしておきながら信用を語るベレトを鼻で笑いつつも、机に叩きつけた拳は怒りで震えている。

 

「説得しようというわけじゃない。俺がいかに生徒に対して真剣か、ということを直にわかってもらう。そのためなら命も賭けてやる」

 

命を賭けると言ったベレトに、ヒューベルトは一旦居住まいを正して問いかける。

 

「ほう、どうやって?」

 

「正しさを証明するには、正しいことをすればいい。ヒューベルト、お前が最も他者より優れていると自負する分野を挙げてみろ」

 

「……ふむ」

 

ヒューベルトは顎に手を添えて少し考え、それから答えを述べた。

 

「戦術・戦略においては、エーデルガルト様を含め誰よりも勝ると考えております」

 

「あんな若年性認知症のことなんてどうでもいい。その分野でならオレにも余裕で勝てるだけの自信はあるか?」

 

ベレトの口からスッと出た主への罵倒に口の端を一瞬ひくつかせるが、気を落ち着けて質問に答える。

 

「もちろんです。若輩者ではありますが、研究を重ねておりますゆえ」

 

「ならこれは?」

 

ベレトが席を立ち、収納から箱を取り出して机に置く。箱を開けて取り出したのは、盤と駒。フォドラだけでなく、パルミラやブリギッド、ダグザにおいても知らぬ者はない有名なボードゲームだ。

 

1体1で行うこのゲームでは、軍の兵士や将軍に見立てた駒を動かし、敵軍の将を取ることで勝利となる。シンプルなルールながら奥深く、戦法や定跡を網羅するだけでも苦労する。

 

軍で指揮する立場の人間ならほぼ必ず嗜んでいるゲームでもあり、戦術・戦略に優れる者ほど優れた指し手であることが多い。故に、ヒューベルトから見てそのチョイスは納得行くものだった。無論、自身もそれなり……いや、かなりの指し手と自己評価している。

 

「そうですな……先生は傭兵として経験を積まれているのでしょうが、それでも負けはないでしょう」

 

「それはよかった」

 

ベレトは箱をどけて、駒を並べながら、さらに続ける。

 

「お前が勝ったら1つだけ、なんでも欲しいものをやる。言った通り、命でも」

 

「ゲームにものを賭けるのは好きではないのですが……万が一私が負けた場合、何を差し出せばよいのですかな?」

 

「それも言った通りだ。俺を信じてもらう」

 

あまりに自分が有利な賭けの内容に、ヒューベルトは訝しむ表情を見せた。

 

「信じる?私が貴方を信じているかどうか、どうやって保証するというのですか?」

 

「"その時お前は俺を信じているだろう"……と、俺は信じている。教師と生徒の間にある信用・信頼に、保証なんて必要ない」

 

ベレトが駒を並べ終える。ベレト側には赤い駒、ヒューベルト側には青い駒が、それぞれ並べられていた。ベレトは再び腰を下ろし、譲るように手を差し出して言う。

 

「どうぞ」

 

静かな夜、薄明るい部屋の中で、対局が始まった。

 

 

……

 

 

数時間後。途中で"やっぱり邪魔"と鎧を脱ぎ、涼しげな様子のベレトの対面には、対称的に、額を中心に脂汗をたっぷり滲ませたヒューベルトがいた。負けて失うものが実質何もないとしても、ヒューベルトは本気で指していた。対局前の言葉に嘘はなく、自らの主を含め、このゲームで敵となるものはいないと思っていた。だが、一つ前にベレトがアーチャーの駒を動かしたとき、その数手前から既に詰んでいたことを理解してしまった。

 

もしかするとイカサマかもしれない、とも一瞬だけ考えたが、このゲームでそのようなことはできようはずもないと思い直した。

 

「やっと能天気なお前でも呑み込めたようだな」

 

ベレトの言葉に、ヒューベルトはがくりと項垂れた。殺すつもりの闇魔法を素手で弾き返され、得意分野でも完全に敗北し、"この者には到底敵わない"と思い知らされてしまった。疲労とショックでうまく頭が回らない。

 

「く、くくく……まるで底が知れませんな」

 

口をついて出た笑い声には、いつものような余裕は感じられなかった。その言葉はベレトを評価するようでもあり、この結果に自嘲するようでもあった。

 

「これで楽しく遊べたのはかなり久々だ。ありがとう、ヒューベルト。もう部屋に戻っていいぞ」

 

「……そうですな。失礼させていただきましょう」

 

(明日からどうすべきか……まずは、エーデルガルト様に報告ですな)

 

疲れた頭を休ませないまま、ヒューベルトはベレトの部屋を出て、自室へと向かった。疲労で足取りは重いものの、その気分は不思議と、少し晴れやかであった。

 

1人になったベレトが何気なく視線を動かすと、脱いで放置した鎧が目に入った。

 

 

……

 

 

翌朝。

ヒューベルトとエーデルガルトそれぞれの自室の床に、いつの間にか、例の鎧が半分ずつ置かれていて、ヒューベルトは起き抜けから頭を抱えることになった。

エーデルガルトは泣きたくなった。




結局封印のランスとロット(あとアレン)がやってたあのゲームって、なんて名前なんでしょうね。

本業の
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