14年前、事件は起きた。
当時、私は幼稚園に通っており、その日も幼稚園の送迎バスで家の前まで送ってもらった。
だが、その日だけはいつも出迎えてくれる母の姿が見当たら無かった。
しかし、私の父は小説家のため母が買い物などでいない場合でも代わりに父が出迎えてくれる。
そう思っていた。
バスから降り、自宅のインターホンを押すも応答が無かった。
私は、何か違和感を感じ家の裏から回り込み庭の窓から家に入ろうとした。
庭に入った時、何かが窓から出た気がする。
窓に目を向けると窓ガラスが割れていた。
庭に散乱するガラスの破片、そして血痕。
「ママ…パパ…」
家にあがり、何かが足に当たった。
目を向けるとそれはクッションでも人形でもない人間の腕であった。
「あ…あ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
恐怖のあまり走って父の仕事部屋に向かったが途中で転び手の甲をガラスで切ってしまい、左手の傷口を抑えながらゆっくり階段を上がって行った。
父の仕事部屋の扉の前には、人間の大腸が散乱している。
そして、上半身と下半身をバラバラにされた父の姿が。
仕事部屋には、母の首が机の上に置かれていた。
その光景を目の当たりした私の意識はそこで途絶えた。
次に目を覚ましたのは1週間後、都内の病院の病室であった。
病室には、自分が寝ていたベッドにパイプ椅子が一つ置かれていた。
この前、見た光景は夢であり、父と母は生きている。
そう信じたかった。
だが、現実はそうはいかず左手には包帯が巻かれていた。
それが、私に真実を教えてくる。
『辛い?』
頭の中に直接聞こえてくる女の子声。
うん、辛いよ。私から家族を奪った奴を殺したい。
『でも、君にはそんな力はない』
分かってる。自分が無力だってことは…。
『なら、僕が変わってこの状況からいや、復讐を代わりに果たしてあげる。でも、今じゃない遠い未来で』
え…?
雫は、黎と入れ変わり町を探索していた。
『どう?見つかりそう?』
「いやー、見つからんなぁー」
『あのさ、黎。もし、もしだよ?あの子の中にアナザーワンがいたとするよ?それが、暴れたりすることは有り得るの?』
「それは十分に有り得る。アナザーワンが未熟だったり、不安定だと暴走したりする可能性がある。私がもし、生まれて直ぐに表に出た場合、天災並のが起きていただろうな」
物事を理解出来ているかどうか怪しい子供に本物の銃を持たせると同じことか。
善悪の区別がつかないって恐ろしいものだ。
「おい、あいつじゃないか?銀髪で、鎌握って…」
前方、約10mから地面に刃を引きずらせながらこちらにゆっくり歩いてくる。
よく見ると刃には、血のようなものが付着していた。
『不味いかも』
「あぁ、ほんとに不味い」
幸いにも、人通りが全くない場所で良かった。
「どうする?」
『どうするって、とりあえず止めるしかない』
「だがなぁ?話し合いで解決すると思うか?」
『それは、もう諦めた!』
「君のそうゆうとこ好きだぜ私は」
『ありがと。じゃあ、行こう』
「創造<クリエイション>…」
と小さく唱えると、目の前に真っ白な刀が2本顕現された。
刀を握った瞬間、瑞葉が襲い掛かってきた。
咄嗟の判断で防いだものの、直ぐに瑞葉は鎌を短く持ち接近戦に切り替えてきた。
第2打はかわすことが出来たが、鎌が空振りした方に目を向けると、綺麗に削り取られ道路に裂け目が出来ていた。
「こいつ、鎌なんて扱いの難しいの使ってる癖にクソ強い!それに1回1回の攻撃が重い!」
『勝てる見込みは、有りそう?』
「厳しいかもな、最悪向こうの活動限界が来るまで受け身を取り続けるか、隙をついて逃げるかしないとダメだなぁ」
『黎、少し呼び掛けてみてもしかしたら反応してくれるかも』
「了解。おい!私が分からないのか!」
瑞葉に対して問いかけても返答が無い。
瑞葉からの一方的な攻撃は止むことが無く、ひたすら受け身を取りながら声を掛けてみたものの黙ったままである。
『勝てないなら、走って!』
「分かってる」
あの子の体に傷をつける訳にもいかないなら、時間稼ぎをするしか…ってあれ?
突如、瑞葉は鎌を落とし、まるで糸の切れた操り人形の様にその場で倒れた。
『黎!変わって!』
「はいよー」
うつ伏せに倒れた瑞葉の体を起こし、声をかけながら揺さぶってみたが反応がない。
『生きてるのか?』
「うん、息はある」
『とりあえず、今日は私達の家につれてかえろうぜ』
「そうだね。タクシー呼ぼう」
まただ、また倒れたんだ私。
夢のような感覚の中、自分に起こった出来事を思い出す。
目を開くとそこは真っ白な空間が広がっていた。
「おい、お前」
背後から声をしたから振り返ってみると和柄のポンチョを着た青と赤のオッドアイ少女が立っていた。
「君は?」
「名前なんて無い」
「そうなんだ。それで?私になんか用なの?」
「お前は昔、僕に言った「私から家族を奪った奴を殺したい」と」
「・・・・・・」
「そろそろ、頃合と思ったからこの空間にお前を引き込んだ」
「ここってどこなの?」
「僕が生まれた場所」
「はぁー。それで、私に何を?」
「いや、今君に起きていることについて話そうと思って」
「今、起きていること?」
「そう今、あなたの体を使って動いているのは僕だ」
その言葉を聞いた途端、瑞葉は笑みを浮かべながらその少女に近づき。
「?」
「歯食いしばれ」
次の瞬間、バシンと鈍い音と共に痛みが少女の頬に走る。
「痛ったぁぁぁぁ!何すんのさ!」
「勝手に人の体使って何するんだって言いたいのはこっちよ!この馬鹿!」
「誰が馬鹿だ!」
「あんたよ!誰が良いって言って人の体勝手に使ってんのよ!」
「はぁあああ?だったらお前は自分が何者かに許可でも貰っていきてんのか?!」
「知るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!とにかく出てけぇぇぇぇぇ!」
「お前がな!」
その言葉を最後に私の意識はそこで途絶えた。
次に目を開くと知らない天井が目に写った。
体を起こし、周りを見渡すと自分がいたのはまるでホテルのような豪華な部屋であった。
そして、隣には今朝からかって来た生徒確か、名前は………雫とかだった気がする。
雫は小さい寝息を立てながら隣で眠っている。
「てか、なんで私はだかなのぉぉぉぉ!?」
「ん……うるしゃ…い…」
ベッドカバーが剥ぐと雫も裸であった。
「し…しゃ……む…い」
そう言いながらベッドカバーでは無く、瑞葉に抱き着いた。
「いぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
瑞葉の叫びによって、雫がムクっと体を起こし、じーっと瑞葉を見た後、蔓延の笑み浮かべながら裸の瑞葉に再度抱き着きそのまま押し倒した。
寒かったのか、ベッドカバーを被り雫は自分の胸に瑞葉の顔を押し付けた。
「はーなーせー!この、変態!」
「良かった……」
「!!」
良かった?何の事?
まぁ、いいか今日はこのまま寝よう…。
そのまま、私も眠りにおちていった。
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