軽い茶番の後、妖精戦争編の開幕です。
安直なパロディとか含まれますのでご注意を
ザンブラコでの一件から数日が経ち、ハグレ王国に念願の道具屋が開設された。これで治療薬やメンタルナイスが拠点で購入できるようになり、冒険の支度が楽になったと歓迎の声を受けながらの開店を迎えた。
尚、この店舗提案の際にローズマリーから発せられた「土偶を並べてどぐうやー!」というギャグについては王国全体で物議を醸しだした挙句、
「……」(スッ
「え、何? 何この本?」
「使ってください……」
と、酷く沈痛な表情をしたヘルラージュから「流行のギャグフレーズ全集*1」という本が進呈されたが、まあ些細な出来事である。
道具屋開店について喜ばしいことは他にもある。
これまでルークが行っていた行商にベルが加わった事で行商の売上が乗算的に向上した。今までは冒険の成果物を売り買いするだけだったものに、通常の市場のポーションよりも効果的な代物が通常価格と大体同じで販売されるようになった利便性は計り知れないだろう。
「えーと、この月光草の産地が海岸洞窟で、こっちの超加速ハーブはトゲチーク山岳地帯ので……あれ、なんだこの芋?」
「それはパッポコ芋ですね。獣人族の村で米の代わりとして親しまれている芋です。それと薬草の産地分けできましたよ」
「おっそうか、サンキュー」
原産地マニュアルを片手にハーブや野菜の仕分けを行っているルークとベル。冒険者達に愛用される薬草や野菜は市場に出回るものなら効能が保証されるものであるが、それ以外の行商人から買うと産地不明でピンキリの粗悪品を掴まされるというトラブルが度々起こる。そのためこうしてマニュアルに従って品質保証を行う仕分けはとても大事である。
「さて、これで終わりだな。お疲れさん」
「はい!ルークさんもお疲れ様です!」
「んじゃ、小腹も空いたし何か食いに行こうか」
きっちりと仕分けを終えて、軽食を摂ろうと二人はキッチンへと向かう。
「ルークにベルじゃねえか、お前らも何か食いに行くのか?」
「おうマッスル、そんなところだ。お前もか?」
「マッスルさん、こんにちは!」
「おう!今日も元気だな。俺は運動後のプロテインだ、タンパク質の摂取は筋肉に欠かせねえからよ」
道中でニワカマッスルと合流する。
男同士の軽い会話を交えながらキッチンに到着すると、既にそこは貸し切り状態となっていた。
「ふんふんふーんずびすばー♪」
「おっ、ヅッチー。何してるんだ?」
「ああ、男子組。今ケーキ作ってるんだ。後もう少しで完成するから用があるなら待っててくれ」
鼻歌交じりにケーキを作っているヅッチー。その大きさはテーブルの半分を優に埋めている。
むりゅむりゅむりゅと立派な白い山がケーキの上に盛られていく。こんもりたっぷり使用された生クリームは下から上へと見事なとぐろを巻いており、見る者にあるものを連想させた。
「おいおい、生クリーム盛り過ぎてう○こみたいになってるじゃねえか……」
「わわっ!?」
「ぶっ」
お菓子に当てはめてはいけないものを口に出すニワカマッスル。これでクリームがチョコレートだったら本当にまずかった。
「馬鹿にするな! う○こが出なくなったら、人は死ぬんだぜ!?」
「突っ込むところそこ!?」
ヅッチーの斜め上の返しにツッコむベル。
「いいんだよ生クリームとイチゴはでかいほど! 子供達はそれを愛しているんだ!」
「分かるマン」
浪漫を語るヅッチーにルークが同意する。
大きければ大きいほど良い。それはこの世界の真理である。
「だけどよう。これもうちょっと盛り方ってものがあるだろ。こんなとぐろ巻いてちゃどう見たってう○こ――」
「ちょっとちょっと。拠点であまり下品な言葉を連発しないでくださいまし……!」
「あ、ヘルさんだ」
聞くに堪えたのかヘルラージュがたしなめにやってくる。
「おうヘルちん! マッスルが私のケーキにケチつけてくるんだよ! 言ってやってくれ!」
「子供が作ったケーキを相手に大人気無さすぎですわ。マッスルさん、反省してくださいまし」
「でも姉さん、見てくださいよ。この形はどう見てもう○こですぜ」
「一生懸命作っているものになんて言いぐさですか……! ベル君だっているんですのよ!」
「何故僕を引き合いに……」
子どもが見ている前でお菓子を排泄物に形容することに対して怒りを見せるヘルラージュ。
「いくら教わったからと言ってケーキ作りという難しいことに子供がチャレンジしているのですよ?」
「ここだけの話、ヘルさん自分でケーキ作るより買って食べるほうが好きみたいですよ」
「おだまりっ!
全く、私には分かりますよ、この輝きが。白銀に輝く生クリーム、例えるならそう、これは――」
とぐろを巻いて雄々しく鎮座する生クリームを前に、ヘルラージュが抱いた感想は――、
(う、う○こだ、これ……)
残念ながら彼らと同じだった模様。げに恐ろしきは、事前にう○こだと言われると実際にそう見えてきてしまうミーム汚染的なエフェクトである。
「例えるなら新雪の雪山というところです。くっ……」
「そうだろ!? やっぱ分かる人には分かっちゃうんだなー!」
それでも苦しまぎれに評価をするヘルラージュに得意げな顔をするヅッチー。
「あっクソッ。少しはみでちまった」
「ぶふっ!?」
「……」
「……」
視線を交わすニワカマッスルとルーク。
精神年齢十四歳の男子二人は、何も言わずともお互いの意図を理解していた。
まずニワカマッスルが仕掛けに行く。
「う○こ」
「ぶふぅっ!?」
すでにう○こしか連想できないヘルラージュは軽い不意打ちでも危険だ。
だが彼女は耐えた。
しかしそれを見逃す副官ではなかった。
「おいおい、ケーキ作ってる前でそんな直球に下ネタ言うなよマッスル。
しかし見れば見るほどかぶりつきたくなる大きさ。そして胸やけなんぞ知るかと言わんばかりの生クリームはヘルさんの言う通り雪山めいていて……
うーん、この形だあーっ!!」
「ぶっほwwwwwwwwww!?」
「ちょっとルークさん!?」
直球のワードというジャブから自分の発言を引用した明らかに誤解を招きかねない言い回し。
若干強引にでもギャグを叩き込んだルークはしたり顔。
うずくまるヘルラージュの恨めし気な視線が突き刺さるがどこ吹く風である。
「「YEAHHHHH!」」
ビシガシグッグッ
悪戯が成功したアホ男子二人は熱いグータッチを交わしてお互いの友情を確かめる。
「大の大人が二人でなに下らないことやってるんですか!」
「げほげほっ……。」
「むせちゃってるじゃないですか……。それにしてもこのチョコレート、よくできてますね」
呼吸困難レベルのヘルラージュを介抱しながら、ベルはケーキの上にあるチョコ細工の完成度に感心する。
ヅッチーとプリシラを象った人形菓子は、文句なしの出来映えであり、曰くローズマリー指導の下作成したのだという。
「ああ、プリシラと私の友情を表したんだ。これなら仲直りできそうだろう?」
「確かに、これだけの物を渡されたなら気持ちも伝わるはずだぜ」
「今日中に完成させて届けるんだー!」
そうして意気揚々と仕上げに取り掛かるヅッチー。
四人がそれを眺めていると、
「た、たたた、大変ですーっ!」
声が響き、雪乃が大慌てで駆け込んでくる。
「あら、どうしました雪乃さん?」
「ケーキ作りなんて場合じゃないですよ! 奴らが攻めてきたんですよ!」
「ええ? 攻めてきた? 何が? どこに?」
脈絡が読めずに首を傾げる一同。
雪乃は端的に用件を語った。
「ハグレ王国に、妖精王国が――!」
告げられた言葉は、先の不安が現実となった事実。
「……は?」
「ええ!?」
「なんだって!?」
「おおっと!?」
「うわっ!?」
完全に想定外な一報に、ヅッチーは思わず持っていた絞り器を握りつぶしてしまい、クリームが他の面々に飛んで行き、驚きからか不幸にも固まっていたベルの顔面に直撃してしまう。
「あっ、すまねえ!」
「しょうがねえな全く……、それで雪乃さん。今どうなってます?」
ルークがふきんでベルの顔をぬぐいながら状況を訊く。
「完全に包囲されてますー! 拠点の周りは妖精王国の兵隊でいっぱいです!」
「まじかよ……!」
ルークは眉を顰める。
どうやら自分達は想定以上に窮地に陥っているらしい。
予兆はあったか? 周囲の動きは? 敵の規模はどれだけだ?
次々と浮かぶ疑問。だがまずは何よりも現状の共有が大事だ。
「このことを知っているのは?」
「拠点外の近くにいた人たちだけです。とりあえず一番近くのここに駆け込んできました」
「じゃあマリーさんとデーリッチに伝えないといけないな。ヘルさん、頼みます」
「わ、わかりました。ルーク君は?」
「外で店を出している連中への呼びかけと、森内での状況の確認を」
即座に自分がやるべきことを理解したルークが率先して伝令役を買って出る。
ヘルラージュはローズマリーへこの事を伝えに行き、他の面々は会議室へと集合して残りの面々が集まるのを待つことにした。
◇
一方そのころ、拠点図書室。
ローズマリーはエステルから、海岸洞窟で発見された緑色のマナ植物、マナオニオンと名付けられたそれについての調査報告を受けていた。
「ふむ、そのマナオニオンを使って水流をいじったのがシノブさんだとして、何だって彼女はそんなことをするんだろうか?」
「手段から推察してみると、巨大ゲート、ゲートの固定化、マナの逆流……どこかで聞いた話だと思わない?」
「ああ、なるほど。つい最近聞いた話だ。ブリちんが語っていた古代人の移民の話だね?」
「ん?ああ、オレか?」
名前を呼ばれたブリギットが反応する。海岸洞窟で行われたのは古代人が世界間移動を行う際に用いた手法と同じであるという意見に彼女も同意する。
「じゃあやっぱり移民を……?」
「でも、じゃあ、その人物ってえのはもういないんじゃねえの?」
「……いえ、まだシノブはこの世界にいるわ。あれはただの実験だって言ってたもの、仮に目的が移民だとしてもそんな不確かな段階で実行するわけがないわ」
エステルの予想を裏付ける出来事として、アルカナの使いとして現れた二人組の冒険者、ブーンとロマネスクとの邂逅が脳裏に蘇っていた。
「それって、お前らが洞窟で出会ったっていう二人組のことか?」
「ええ。あの二人は先生に言われてシノブの実験の後始末に来たって言ってた。つまり、シノブがまだこの世界で何かの研究をしているってことを先生が知っているのよ」
「エステルやシノブの先生……、アルカナっていう人の事だね?」
「あのラクガキ書いたやつのことか。そいつが例の人物と連絡取り合ってるんなら心配いらねえんじゃねえのか?」
杞憂だというブリギットに、エステルはいいえと否定する。
「……おそらくなんだけど、先生とシノブは同じ目的があるわ」
「目的だあ?」
「ええ、うちの先生は召喚士として一部のハグレの監査も任されていたんだけど、あの人、よくぼやいていたのよね。『自分のやり方じゃあ状況の改善には程遠い』って」
アルカナの真意は不明だが、彼女のパーソナルデータや思想といった情報から目的を推察することはできる。
「状況の改善……?」
「多分だけど、ハグレそのものの境遇じゃないかしら。先生はハグレと親密に接してきたからか、他の人たちよりもハグレに対する感情は強いものだったわ。呼び出すだけ呼び出して、召喚された相手は帰ることができない……。その状況を変えようとしているのかもしれない」
「つまりハグレを元の世界に送り返そうってのか?別にいいじゃねえか」
召喚されて悪環境下での生活を強いられるハグレを帰還させる。確かにそれを聞けば損をする者などほとんどいない善行だろう。
それだけならば。
「ま、それなら私も止める理由はないんだけどさ。だったらなんで手伝わせてくれないのってことよ」
「……もしそれが本当なら、事態はそう簡単な話じゃあ済まなくなるぞ。つまりそれは、この世界のパワーバランスが崩れるってことだからな」
「ああ、そうか。帰ることができるってのはつまりこっちに戻ってこれるのと同義だからか」
「おそらくその先生はそのことをわかっているから、秘密裏に進めているんじゃないかな。ハグレを取り巻く問題は多くの利権が絡んでくる。実態はともかく邪魔をしようとする人間や反発の声は多いだろうしね」
ハグレ王国の参謀という視点から、ローズマリーは意見を出す。仮にハグレ送還技術が成立したのならば、彼女らも決して無関係ではいられないのだから。
「何にせよ、そいつらと出会うなら疑ってかかるのはやめたほうがいいかもな」
ブリギットがそう忠告したところで、図書室の扉が開く。
「ローズマリーさん、お耳に入れたいことが……」
そうして入ってきたヘルラージュから告げられた、妖精王国の進軍という情報。
突如として降りかかる王国の危機に、ローズマリーも驚愕を隠し得なかった。
「すまない。エステル、ブリちん。緊急会議を開くから、みんなを集めてくれ……!!」
◇
「よっし、これで全員だな」
最後の一人が拠点に戻ってきたのを確認してから、ルークも会議室へと入室する。
その時は既に会議は大詰めに入っており、かなづち大明神を使者として妖精王国の陣営へ送り、要求を聞く事になっていた。
会議は一時中断。大明神が戻ってくるまで、王国民は各自拠点内で備えることとなった。
――静寂の中、鉄を打ち付ける音が拠点内に響く。
ジーナが武具を作っている様子は個室で待機している秘密結社のふたりの耳にも届いていた。
「どうなってしまうのかしら……」
「さあな。自分達にできることと言えば、こうして戦闘に備えることぐらいでしょう」
不安を口にするヘルラージュと、鞄から複数の道具を取り出し、道具を製作しているルーク。
「ルーク君は随分と冷静ですのね。雪乃さんが襲撃を伝えに来た時も、率先して動いていましたし」
「反射的に動いただけですよ。自分にできることは何でもやって生きてきたからで、今だってこうして小細工の準備でもしないと逆に落ち着かない。結局のところ、いつも何かしていないと自分を見失いそうになるんだ」
冷静なようでいて、ただ待機しているだけの状態に無力感と焦りを感じているヘルラージュ。そしてそれはルークも同じであった。
「普段は襲撃をかける側だってのに、いざこうやって攻められるとどうしようもねえ。俺はそんな盗賊崩れのチンピラさ」
普段のそれよりも気落ち気味にルークは自嘲の言葉を口にする。
「……そうやって自分を卑下するのはおやめください。貴方がいてくれるだけでも、私の不安は和らいでいますから」
「……ありがとよ」
「ルーク君の子供の頃ってどうでしたの?」
「前にも言った通り、自己主張の薄いただのガキですよ。帝都の貧民街で近所のガキ大将の後ろにひっついてた細長の子分ってポジションまんまなね」
「……私も、同じですわ。天才で両親からもてはやされた姉と、その後ろを付いて回っていただけの平凡な私。こうやって震えて目を背けるしかできない臆病者」
「何が平凡ですか、貴方の魔法の腕は十分に一流ですよ」
「そう、ね。お世辞でもありがとう」
ぽつりぽつりと、お互いの過去を話し合っていく二人。
普段であればやらない筈の会話だが、互いに気が滅入っているこの状況では不思議と抵抗は感じていなかった。
「……姉が、いたんだな」
「ええ。私なんかよりもずっと賢くて品性も素晴らしくて、その上私にも優しく接してくれた自慢の姉でした……」
「……今は?」
「ごめんなさい。それはまだ」
「じゃあ、聞かないでおくよ」
――実のところ、心当たりはある。
それを口にはせずにルークはただ黙々と準備を進めていった。
その静寂を破ったのは、入り口の方角での喧噪だった。
「大明神が帰ってきたってさ!」
誰かがそう言う声を聴き、二人も立ち上がる。
「では私達も表に出ましょうか、相手の要求がどうなるのか訊いてきたのでしょう」
「そうですわね」
◇
妖精王国の要求は、ヅッチーの身柄引き渡しという、想定されていた中の一つであった。
曰く、裏切者としてヅッチーを処刑する。
それが投石機にて負傷したかなづち大明神から伝えられた内容だ。
一晩待つ、ということで作戦会議は早朝に持ち越しとなり、就寝という運びになった。
「西の崖で何か組み立てているという報告はしたが、よりにもよって攻城兵器とは連中マジじゃねえか……」
「いいのかい?ヘルさんの側にいてあげなくて」
男組の共同部屋でルークとアルフレッドが会話をしている。
現在ハグレ王国での男部屋は二つで、もう一つの部屋は大柄なニワカマッスルと小柄なベルとバランスを考慮して割り当てられていた。
「いいんだよ。あいつも、土壇場で踏ん張るだけの度胸はある。というか、流石に夜を一緒の部屋で過ごしたとか余計な噂しか立たないだろ。こんな非常時にそんな事できるか」
「え?」
「何だよその今更?みたいな『え?』は」
「いや、てっきりそういう仲なのかと……」
「何言ってんだ。そんなの言ったらお前、ジュリアさんとかどうなんだよ」
「えっ、どうって、ジュリア姉はただの幼馴染だし……大体、あの人は戦前の不安とか無い筈でしょ」
「……まあそうだな。あーやめやめ、いいから寝ようぜ。明日の朝は早いからな」
お互いの近しい女性を気遣ってのことだったのだが、いかんせん思春期的にその手の話題へと転がりがちで、なおかつそういった話題で花を咲かせるのは苦手な性格。
二人は段々と言葉に詰まり強引に話を打ち切ることにした。
「……そうだね。僕も寝るとするよ」
「おう、おやすみ」
その夜、ルークは寝付くまで瞼の裏にヘルラージュの姿が映り込んで仕方がなかった。
早朝。会議室にてハグレ王国総会議が開かれた。
なぜかデーリッチとヅッチーのW国王がボロボロになっているが、ローズマリーが聞けば友情を確かめ合ったということらしい。
成程、と男連中は頷き、ふさぎ込んで士気が下がるよりはいいかとローズマリーも納得する。
作戦会議に議題は移る。
客将たるヅッチーの処刑を呑むことなどできるわけがなく、ハグレ王国の目的は最小限の犠牲による戦争の勝利ということで決定した。
そのための条件は二つ。
まず、西に配置された投石機の攻略。
これを放置すれば拠点への被害は甚大となるため、早急に無力化することが必要。
次に、南に陣取るプリシラ本隊。
元々好戦的でない妖精は彼女によって士気を保たれているため、主力を投じてこれを撃破する作戦だ。
二つの作戦と拠点防衛、合計三つの部隊を編成するということで、だれがどの部隊に配属されるかを話し合うことにすると、ヅッチーはプリシラ攻略に参加するという意思表明を行った。
プリシラの能力に詳しい彼女は適任だということで決定、デーリッチも王国の主力ということで本陣突破へ、そこに補佐としてエステルも加わり、3人が決定。
次に投石機攻略部隊を決めるということで、ローズマリーとかなづち大明神を固定メンバーとして残りのメンバーを選定することにした。
「妖精達の大まかな共通点は?」
「空を飛んでいるから風・投擲が弱点だな。この辺りはヅッチーと変わりがない。ただ問題はプリシラだ。彼女は最早通常の妖精の範疇で語ることができないぐらいに成長しているとの事だ。弱点の属性も不明と言っていいだろう……」
「じゃあ俺も加わった方がいいかな? スカウトの役目だろ、こういうのは」
「そうだね。それじゃあルーク、君は決定だ。あとは投擲と森林の突破に有効な人員を揃えよう。ああ、回復役も忘れずにね」
そうして、彼女はテキパキとメンバーを決定していく。
「ブリギット、ハピコ、ハオ、ティーティー様」
「じゃあ、ちゃっちゃと済ませてしまおうぜ。オレに任せておきな。」
「お任せアレ!楽勝して不平等条約を押し付けましょうぜ、ぐふふっ!」
「ハオに万事お任せ!見せてやるデス!世界樹の巫女の力を―っ!」
「うむ、わしに任せておれ。誰も死にはせん、死なせはせん。」
名前を呼ばれた四人はそれぞれ意気込みを口にする。
「そして、最後にヘルちん。君の強力な風魔法は非常に有効だろう。お任せできるかい?」
「え?は、はい。わかりましたわ……」
「……大丈夫かな?」
若干の不安を覚えるローズマリー。
その様子を見てルークがヘルラージュに近づく。
「……ルーク君?」
「そういう訳でだ。みんなの命がかかってるこの作戦、頼りにしてますよ
「え?ルーク君、それって」
「いやー、もし秘密結社のリーダーにふさわしい姿を見られたら、私も成長を認めざるを得ませんねー。……どうですか?」
「……! ええ、わかりましたわ!!私にお任せください!!」
ルークの言葉に超絶やる気になったヘルラージュ。この女、チョロい。
サムズアップして見せるルークにローズマリーもサムズアップで応える。
(よっし)
(チョロいな……しかしナイスだ)
(うわチョロっ)
(チョロすぎるな……)
(乗せられやすいのう……)
(ヘルちん、やる気だしてるハオ。負けられないハオ!!)
「それで、作戦が成功したらどうするんです?」
「ふむ、あらかじめ時間を決めておくのも良いが、何かしら伝わる合図があればより迅速な作戦展開ができるのう」
「投石機を攻略できたらこいつで合図を送りましょう。火薬だけ詰めて撃てば、狼煙代わりになりますよ」
ルークは拳銃を取り出してそうアピールする。
「ふむ、じゃあ上手く行ったらそれを使おう。それともし聞こえなかった時のために、時刻も決めておくとしよう。皆も異存はないかな?」
両方の案を採用ということで、攻略に向かうことにした。
「全て終わったら、また会おう! お互い無事で……!それでは、出陣!」
ルークとベルは道具知識などで話が合い、ニワカマッスルは精神年齢が割と近く、アルフレッドはお互いの女性関係で話す機会が多いという設定。
あと拠点の部屋割りは完全に捏造です。
人物補足的なお話
アルカナとシノブ
この世界のことに真摯に向き合っていることをエステルは間近で見ているため、彼女の目が行き届いているシノブの目的もそれに近いものではないのかとエステルは推測しているようですが、真相は果たして。
ルーク
いじる時はとことんいじる。
自分も何かしなければいけないという使命感に駆られている。このころの王国民は大体そうかもしれない
次回は妖精戦争後編。
近いうちに投稿されると思います。