ざくざくアクターズ・ウォーキング   作:名無ツ草

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その37.サムライユズハ

 和国。

 

 帝国の存在する大陸から東に向かった果てにある極東の島国。

 

 閉鎖された環境下にて独特の文化を培っており、帝国でも和国から輸入されたものを取り扱う専門店だって存在する。

 

 色々と特徴的な文化を誇る国ではあるが、その中でも一つ取り上げて言うのであれば。

 

 和国から出てくる武人は、べらぼうに強いということだ。

 

「……とまあ、私はダイミョーとなるべく旅をしているわけだな」

 

 二回戦目に対戦することとなった和国人の柚葉。

 

 自らをダイミョー*1と自称する彼女は、開始早々にデーリッチを覇気が足らぬと挑発。

 そのまま試合開始の合図が鳴る。

 

 ――同時に、柚葉の目にも留まらぬ抜刀がデーリッチに襲い掛かった。

 

「あぶねえっ!?」

「むう、大将を落とそうと考えたのだが。成程、守りは盤石か」

 

 幸いにもニワカマッスルが構えた赤い盾、カリビアンシールドによって防がれたが、その場にいた誰もが反応できない速度で攻撃を仕掛けてきたという事実が動揺を走らせる。

 

 慌てて各々が得物を構えるが、既に柚葉は次の一手を繰り出していた。

 

「ウィンドブレスト!! ……いたあっ!!」

「ひゃあっ!?」

「きゃあ!?」

「あぶねえっ……!? サンキュー、リーダー!」

 

 落花落葉の刃。目にも留まらぬ速さで戦場を横断するその技は、鮮やかに咲く花も、青く茂る葉もいずれ等しく落ちる無常さのごとくハグレ王国を切り裂いた。

 速読詠唱を行ったヘルラージュによる風の支援が間に合い、間一髪でルークはこれを回避できた。しかし他の仲間が受けたダメージは大きい。

 

 ずば抜けた瞬発力から放たれる、鋭く重い刀の一撃。

 

 これがダイミョーとして君臨する実力かと戦慄する中、柚葉の口から衝撃の事実が語られる。

 

 なんと彼女、大名ではなくただの浪人だったのだ。

 そりゃこんなところにいる奴が一国一城の主なわけがない。

 

 サムライからダイミョーにレベルアップするために旅をしているというのだが、これがどうにもうさん臭い。

 

 ローズマリーの頭の中で強者=変人の図式が出来上がっていく。

 

 つかみどころの無い立ち振る舞いは相手のペースを乱す戦術として一般的なのだろうが、血反吐を吐きながら二属性の魔法を身に着けた身としては、どうか素であってほしいと願うのは決して間違いではないだろう。

 

 そんなどこか抜けた当人の性格とは裏腹に、戦闘は苛烈さを増していく一方。

 

「そらっ!」

「む、小癪な」

 

 ルークが左手で投げ放った投げナイフを柚葉は刀で叩き落し、一息で距離を詰め寄ってヤキニクソードを振るう。

 胴を狙ったその一撃を、ルークは右手の短剣で押しとどめる。

 柚葉の並外れた俊敏性に対応できているのは、現状ではルークのみだ。

 

 だが、ルークも柚葉の攻撃を目で追えているわけではない。

 彼女の攻撃がどこに来るのを無意識に感知した結果、身体が咄嗟に防御を成功させているのだ。

 魔法の才能には恵まれず、武術も決して覚えが良いと言えないルークだが、悪運の強さと、勘の鋭さについてはハグレ王国の中でもずば抜けていると言って良いだろう。

 

「ほう、これも防ぐか」

「おらああ!」

「ちょいさーっ!」

 

 反射的にとは言え、柚葉は自分の一撃を防がれていることに感心する。

 そこに、ニワカマッスルが振り上げた剣の一撃が襲い掛かる。

 これを柚葉は防ぎ、続いて雪乃が蹴り上げた氷塊が降り注ぐ。

 

「ぐああっ……!」

 

 流石に躱すことができずに柚葉は被弾する。

 そこへ畳みかけるようにしてラージュ姉妹が魔法を唱えた。

 

「「レイジングウィンド!!」」

「ぐぬう……! 中々やるではないか……!!」

 

 吹き荒れる風がその華奢な身体に切り傷を刻んでいく。

 だが柚葉は臆することなく、今まさに魔法を使った彼女達に向けて突撃する。

 

 ……と見せかけて、背後から武器を奪い取ろうと忍び寄っていたルークの右手を取り押さえた。

 

「手癖が悪いな」

「やっべ……」

 

 和の国には無刀取り、という技がある。 

 相手に急接近して武器を取り上げる技であり、その技を知る柚葉はルークの行動にも対処することができた。

 ルークは己の軽率な行動が失敗だと悟った。得物を強奪するのは確かに効果的だが、一歩間違えればそれはむしろ致命的な隙を晒す事にもつながりかねないのだ。

 だがその反省は時すでに遅く、絶好の隙を見せたルークに柚葉は刃を向けた。

 

「まずは一人……むっ」

「何やってんのよ、スノーストーム!」

 

 致命的失敗(ファンブル)を晒したルークをカバーするように、ミアラージュが魔法を放つ。

 そのままなら斬られる筈のルークだったが、魔法への防御を優先した柚葉によって鳩尾を蹴り上げられ、強制的に距離を開けさせられるだけで済んだ。

 

「げほっ、げほっ……」

「ルーク君、立てますか?」

「ああ、すいませんね。リーダー……」

「もう、無茶はやめてちょうだい」

「……肝に銘じます」

 

 ヘルラージュのウィンドヒールによってルークは態勢を立て直す。彼女と出会って以降、即座の回復ができるこの魔法には助けられてばかりだ。

 そんなヘルラージュから嗜められて、ルークは気恥ずかしさで顔を背けつつ、柚葉への対抗策を考える。

 

「いやあ。彼女、半端なく強いっすわ」 

「やっぱりそう簡単にはいかないわよね」

「ま、対処法は分かったけどさ」

「あら。奇遇ね」

 

 柚葉の脅威はその圧倒的な俊敏性だ。

 とにかくこちらが後手に回され、回復も支援も追い付かない。

 だが物理型の例に漏れず、魔法に対する抵抗力は低いのだろう。

 魔法を使うメンバーを重点的に狙っているのがその証拠だ。

 

 となれば、やることはただ一つ。

 足を引っ張れば良いのだ。

 

 まず動いたのはミアラージュだ。

 彼女は柚葉の俊敏性を奪うべく、古神交霊術による忌まわしき呪いを柚葉へと与える。

 

「時の迷宮にご招待」

「むっ、面妖な……」

 

 午後十三時の迷宮。

 都市伝説に名高き学校の怪談の一つがここに再現される。

 対象の時間間隔を狂わせる呪いを受け、見て分かるほどに柚葉の動きが鈍くなった。

 

「それだけではございませんわ」

「アイスブーメラン!」

「雪コロニー落とし!」

「ぐぬぅ…!?」

 

 最早こちら側と同等の素早さでしかない彼女の動きは容易に捉えられる。

 仲間達にも攻め時と理解して総攻撃を仕掛けた。

 

 背後に回り込んだゼニヤッタが放った氷。

 そこに秘められた悪魔族に伝わる邪毒は只人である柚葉の身体を侵していく。

 そうして動きがさらに鈍くなったところに氷塊が飛来する。

 

「なんの、これしき……」

「げ、まだ動くんでちか!?」

 

 敏捷低下、麻痺、それに加えて体温の低下。

 並みの戦士ならば碌に動くことすらままならないだろうというのに、柚葉の闘志には僅かな揺らぎもない。

 

「あと一押しだ、やれ!」

「うおおお!」

「一度ぐらいはがんばるじゃーん!」

 

 ルークが三連撃を放ち、こたつドラゴンも武器を振るう。とどめにニワカマッスルの大地を割るようなパンチがその体に突き刺さった。

 

 

 この闘技大会では殺傷は禁止だが、それを考慮しても決して浅くない傷が刻まれる。

 

「……」

 

 だが、柚葉は倒れない。

 

 柚葉がよろめきながら、腰を落とす。

 魔法で打ちのめされ、深く切り裂かれていながら、尚二つの足で血を踏みしめる。

 

 そして、刀を握る力はより強く。

 

 鋭い眼光が、最も近くにいた相手を射抜いた。

 

「奥義――」

「しまった、ルーク――!!」

「あっ、やべ」

 

 

「一以貫之の剣」

 

 繰り出されるは、目にも留まらぬ六連撃。

 今までにない速度で距離を詰めた柚葉を前に、ルークは防御姿勢を取る間もなく――、

 

 

 

 

 ぐぐ~~う。

 

 

 

 

 ピタリ。と、ルークの眼前で柚葉の動きが止まる。

 

「……は?」

「むう、しまった。こんな時に……!!」

 

 手痛い一撃を覚悟していたルークは突然の事態に目を丸くする。

 刀を振るう直前。突然何かが唸るような音が鳴り響いたかと思えば、柚葉は右手で腹を押さえて膝をついたのだ。

 やっぱりダメージを無視できなかったということだろうか?

 それとも油断させるための策か?

 警戒を解かずに、皆が次の行動に備える中、柚葉は悔し気に口を開いた。

 

「お、おなかがすいて、うごけぬ……」

「……は?」

 

 予想外の言葉に、仲間達も観客も唖然とする。

 

 そして。

 

 

 

 

 ぐぅ~~~~。

 

 

 

 

 柚葉の言葉を裏付けるように、腹の虫が二度目の空腹を訴えたのだった。

 

 

 

 

 

 

「あいやかたじけないもぐもぐ。これからはもぐおぬしらの為にもぐもぐ刃を振るおうぞもぐもぐもぐ」

「食べながら喋らないでください!」

 

 あの後、デーリッチが持っていたおにぎりを差し出し、その心意義に感動した柚葉は負けを認めた。

 そして恩義を返すとしてデーリッチに仕えると半ば強引にハグレ王国の仲間入りを果たしたのだった。

 

 なんとも締まらない終わり方を迎えた2回戦だったが、しかし得るものは大きかったとルークは無理やり納得させる。実際、柚葉の実力は文句なしだ。仲間に加わってくれるというのならこれほど心強い話はない。

 

「とりあえず雪乃ちゃん。柚葉さんを王国に送るからよろしくね……」

「え、私ですか……?」

「では案内を頼むぞ雪乃殿」

 

 微妙な顔をしながらも、承諾した雪乃は柚葉を伴ってパンドラゲートで王国へと戻っていった。

 

 それで、次にハグレ王国と対戦する選手はというと――

 

「ぶるぶるぶる……」

「こたつちゃんがまた震えてるでち」

「仕方ないよ。なにせ相手はあのリューコだ」

 

 そう。彼らは三回戦の相手については既に知っている。

 

 エリート竜人、リューコ。

 

 こたつドラゴンと因縁のある彼女と次に戦うのであった。

 かつての恐怖が蘇り、こたつドラゴンは震える。上に乗った湯呑もガタガタと音を鳴らしており、視覚的にもその震え具合がよく伝わるだろう。こたつ的には接合部が緩むので勘弁してほしい。

 

「大丈夫でち。こドラちゃんもかなり強くなったでち、今こそ見返してやるんでちよ」

「でもぉ……」

 

 デーリッチの言う通り、こたつドラゴンはかつての頃とは段違いに強くなった。

 それはハグレ王国の皆が保証する事実だ。

 

「何、全力でやって負けたとしても、差が埋まったのが分かれば次につながるさ」

 

 それでも、こたつドラゴンはリューコに敵わないかもしれない。

 だが少しでも相手に食らいつくことができたのなら、それだけでも勝負を挑んだ甲斐がある。

 ローズマリーの言葉に、こたつドラゴンも自信を持ち始める。

 

 今でも、昔に受けた仕打ちが頭をよぎる度に足がすくむ。

 だが、ここで逃げてしまえば昔から一歩も踏み出せなくなったまま。

 

 だがそれは一人での話だ。

 今のこたつドラゴンには仲間達ができた。

 彼らの力を借りることで、その力は何倍にもなるだろう。

 

「とは言え、私達は彼女に負けてあげるつもりはないけどね?」

「勿論ですわ。私達が目指す相手はその先にいるのですから」

 

 ラージュ姉妹の言う通り。

 彼女に苦戦しているようでは、ラプスに勝つなど夢のまた夢。

 

「よーし。こうなったら()()()を試してみるでち!」

「あの技って?」

「ああ! ゼニヤッタちゃんとの合体技のこと?」

「そうでち」

 

 こたつドラゴンのやる気を出させるべくデーリッチがそう宣言すると、詳細を知らないルークが首を傾げる。

 当の本人はその技についてすぐに理解したが、今度は別の不安によって身を震わせる。

 

「うーん。でもあの技、まだ未完成だし……」

「じゃあ今、次の試合で完成させるでち!」

「ぶっつけ本番かよ……」

「おやおや、ルーク君はこれまでに数々の主人公が戦いの中で技を編み出していったのをご存知ないでちか?」

 

 未完成の技を戦いの中で完成させる。

 デーリッチはそんな王道の展開に賭けるのだった。

 

「大丈夫ですわ。私も精一杯の力を尽くしてみせます」

「ゼニヤッタちゃんもこう言ってるでち。この心意義を無駄にするんでちか?」

「うぅ……」

 

 ゼニヤッタも王国に来て友人になってくれたこたつドラゴンの雪辱を晴らすべく、持てる力の全てを出すことを誓う。

 仲間たちの厚い心を目の前に、こたつドラゴンの心に火が灯った。

 

「わ、わかった! 精一杯やってみるじゃん……!」

 

 

 

 

 

 

 そうして、三回戦の幕が開く。

 

 リューコはハグレ王国の中にいるこたつドラゴンを見るや否や、目を丸くした後に嗤うように話しかけてきた。

 

「ははっ。誰かと思えばおちこぼれのこドラかよ。俺と当たったのが運の尽きだったなあ?」

 

 男勝りな口調。上から目線の物言い。格下と嘲るような視線。

 それら全てが嫌な記憶を呼び起こすものの、こたつドラゴンは勇気を振り絞ってその赤目を睨み返した。

 

「ううっ……。だけど、負けないじゃん!!」

「はっ、よく吠えるじゃねえか。しかし残念だけど、様子見とかする気はねえんだよ」

 

 リューコはそこで一旦言葉を止め、観客席のほうに視線をやる。

 そこには自分を負かした張本人が座っており、ハグレ王国との戦いを面白そうに見物していた。

 しかもその表情からするに、期待しているのは自分ではなくハグレ王国の方。

 そう、自分は落ちこぼれと蔑み下に見ていた相手が徒党を組んでいるハグレ王国だ。

 

 ……何もかもが気に入らなかった。

 自分が竜の血を引いてもいない相手に敗れたことも、その相手が弱者の集団に期待しているということも。

 何もかもが、腹立たしい。

 

「さっさと上に登ってあいつにこの傷の借りを返してやるんだからよぉ!!」

 

 その言葉の一瞬後、リューコは竜形態へと変身を終えていた。

 ラプスにコテンパンにされた屈辱か、あるいはハグレ王国を無意識に警戒したのか、リューコは最初から本気を出すつもりらしい。

 

 だが、彼女の雪辱を晴らそうとする意志は、残念ながらあっけなく挫かれてしまうのであった。

 

「スーパーインフェルノ!!」

「作戦開始!」

「こういう大一番に呼んでくれるの、やっぱり真打ちって感じでいいわね!」

 

 事前に呼ばれてきたエステルさんのファイアーウォールにてスーパーインフェルノを防ぐ。

 

「よーし、準備準備!」

「スタミナイレイス!」

「緊張してきた……」

「では、行きますわよ……」

 

 場を整えようと、ありとあらゆる妨害と支援がこたつドラゴンに降りかかる。

 その間にこたつドラゴンがこたつに入り、禍神降ろしにが付与されたことを確認してゼニヤッタがこたつを振り回す。

 

「行きますわよ、こどらさん!!」

「うおおおおおおっ! やってやるじゃーん!!」

「なんだ……?」

 

 リューコが訝しむ中、ゼニヤッタとこたつの回転数はどんどん上がっていき、つむじ風が舞い上がる。

 観客席にまでその風圧が届き始めたあたりで、その合体技が炸裂する。

 

「こたつカタパルト、発射!」

「こどら、いっきまーす!!」

 

 そのままゼニヤッタの腕からこたつが射出される!

 回転しながら宙を舞うこたつ。待て、それはそういう使い方じゃない。

 

「こ、こたつが飛んだあああああああああ!?」

「な、なんだそりゃあ!?」

 

 予想外の絵面に、観客席から驚愕の声が挙がる。

 リューコも面食らいながらも、このまま撃ち落としてやらんとブレスを吐き続ける。

 だがこたつはリューコのスーパーインフェルノのギリギリ上を滑るように飛んでいく。

 眼下の劫火におびえながらも、こたつドラゴンは意を決して霧のブレスを吐いた。

 するとおお、なんという事だろうか!

 霧のブレスによる推進力で、こたつの速度がさらに増したのである!!

 

「見ろ、こたつが……!」

「こドラちゃんの冷気と、リューコの熱気がぶつかり合って……」

 

 そしてさらに驚くことに、霧のブレスとスーパーインフェルノが衝突したことによって上昇気流が発生!追い風となってこたつをさらに加速させたのである!!

 

「これは……! いつものこたつカウンターの威力がゼニヤッタのパワーによる回転で2倍! それに二つのブレスがぶつかったことによる相乗効果の2×2で8倍! それがクリティカルヒットすれば、最終的な威力は16倍にまで昇る……!!」

 

 ローズマリーが冷静に技の威力を分析すると、当初の想定以上の威力が出ることに体が震えだす。観客も震える。レフェリーも震える。

 

 そんな質量兵器こたつが風を裂いてリューコの顔面へと突き進んでいく。

 

 リューコもまさか、あのこたつドラゴンがラプスと似たような芸当を行うとは思っても見なかったのだろう。

 

 唐突に視界を埋め尽くしたこたつの天板に反応する間もなく、リューコの意識は真っ黒に閉ざされた。

 

 めきょり、と嫌な音がする。

 竜の外皮を凹ませて、こたつの角が突き刺さる。

 竜鱗の衝撃吸収などなんのその、その角張りはダイレクトに痛みを内部へと伝える。

 その衝撃っぷりたるは、見た者に星が舞うエフェクトを幻視させたほど。

 

 脳を揺さぶられ、巨体を支えるバランスを失ったリューコが地に沈む。

 

 こたつはどういう訳か原型を保ったままで着地し、少し後にのそのそとこたつドラゴンが這い出てきた。

 

 ――これぞ合体技、こたつカタパルト!

 

「こたつカウンターが通用しない相手にもこたつカウンターを決めたい!」という要望にお応えして編み出されたゼニヤッタとの合体技。いわば、能動的こたつカウンター。

 

「あっちからこないならこっちからぶつかればいいじゃない」という大変頭の悪……いや革新的発想からこの技は誕生した。ゼニヤッタの剛腕によって投げたこたつを、中に入ったこたつドラゴンが軌道修正することで的確に相手の急所にこたつの角をかち当てる技である。(物理/投擲属性) 

 素直にこたつカウンター以外の技を使えばいいじゃんというごもっともな意見も上がったが、やはり物理攻撃に対して強力無比な性能を発揮する以上は、どこでだってこたつのポテンシャルを引き出してあげたいのが真のこたつ使いだとこたつドラゴンは断固として譲らなかった。こたつ使いって何だろう。

 欠点として、こたつカウンター状態でなければ発動しない点があげられるが、そもそもこたつカウンターを物理攻撃以外にも当てるための技なので問題はない。

 

 そうして研究が開始されたこの技は、始めはこたつドラゴン一人で研究していたのだが、いいアイディアが思いつかず、それを見かねたゼニヤッタが手を貸したことによって完成したという心温まるエピソードを持つ。

 なお、こたつを投げ飛ばしてみようという悪知恵を吹き込んだのはちょうど王国を訪れていたアルカナである。

 

 リューコはそんな合体技をもろに喰らい、背中から倒れた。

 竜の巨体は見る影もなく、人型に戻った彼女は額に大きなたんこぶを作り、顔の上で小鳥が輪を描いて舞っている。

 

 開始わずか1分で勝者が決まった。

 

「しょ……、勝者、ハグレ王国チーム……」

 

 あまりに奇天烈な攻略方法に、観客がぽかんと口を空ける中、ラプスが手を叩いて笑っていた。

 

 

*1
大名。大名主のこと。つまりは領地を持つ武士のことで、将軍に取り立てられて大名となる。




ラプス「m9(^Д^)プギャーwwwwwwww」

〇こたつカタパルト
わざわざまともにやり合うわけがない。
闘技場の真の覇者はこたつ説、あると思います。
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