『面影は水面の中に』
「――さて、色々あったが今回も無事解決だ。ハグレ王国諸君のご協力に感謝を」
「先生、今更そんな堅苦しい事言わなくていいってば」
「そうかい? それじゃあ皆――乾杯!!」
「「「乾杯!」」」
そうして始まった恒例の打ち上げ。
海の家に集まった王国民たち――当然中には入りきらないので外にもテーブルを出しての大宴会。
ラプスやブーンといった料理自慢達による極上の料理も相まって、凄まじい熱狂のどんちゃん騒ぎは静まるところを知らなかった。
「お疲れ様。マリーちゃん」
「そちらこそ、お疲れ様です」
アルカナとローズマリーはこつんとグラスをぶつけ合う。
ハグレ王国と召喚士協会。双勢力のまとめ役は互いの健闘を労いつつ、今後の展望について話し始める。
「一時はどうなることかと思いましたけど、今回もなんとかなりましたね」
「そうだね。元々の目的であるハグルマの撃退は達成できた。さらにあれほどの脅威と立ち向かいながらも誰一人欠けることなく帰還できたんだ。それだけでも我々にとっては大きすぎる戦果だよ」
大きな懸念事項もできてしまったが、とアルカナは付け足す。
ジェスターが目論む神喰らいによる魔王への変生。
大それた野望だが、彼は実際にその一つを成し遂げてしまった。
その強さは今のハグレ王国を片手間にあしらい、遂にはアルカナに傷をつけてしまうほど。一柱だけ取り込んだだけでもこれだ。さらに奴が神を取り込めば、それこそ誰の手にも負えない怪物が誕生する。そうなってしまえば世界の終わりだ。
「東の世界樹についてはどうなりましたか?」
「うちの調査班からそろそろ結果が返って来る頃合いだな。何かしら見つかればいいが期待はできんな」
ジェスターは影の転移、アプリコは魔法による高速移動と、解放戦線の主要なメンバーはそれぞれが足取りを掴ませない術を持っている。
アルカナも彼らの拠点を叩くべく帝国内で関与が見られた者たちを片っ端からガサ入れしているが、二重三重と偽装商会などを跨いだルートを根元まで追うことは難しかった。
「先の事を考えるのは、これを祝ってからでも遅くはない。今は勝利の美酒に酔いしれようじゃないか」
そう言ってアルカナはグラスを傾けて空にする。
焚火の赤い光に照らされ、液体を通す喉の動きすらも色っぽさを感じさせる仕草にローズマリーは思わず息を呑んだ。
「――っはぁ、やっぱり労働の後に呑むこれは最高ってね」
「全く、あんたが一杯食わされたってのにお気楽なことね」
そこにやってきたのは今回の依頼人であるウズシオーネ。複数の腕にグラスを持ち、すかさずアルカナが空にしたばかりのグラスと交換する。
「おやウズちゃん、それじゃあもう一杯いただこうじゃないか」
「うまいこと言ったつもり?」
「えーっと、ウズさん、でいいんだよね?」
「ええ。でも別にどっちでもいいわよ。この身体はシオーネのものなんだし」
日中の朗らかさとは真逆の、落ちついた雰囲気で語るスキュラの彼女。
まるで人が変わったかのよう、というがそれもそのはず。目の前で言葉を交わす彼女は昼間にデーリッチ達と交流していたウズシオーネではない。
「驚きましたよ。まさかもう一人の魂が宿っているなんて」
事情を知らされたローズマリーは率直な感想を口にする。
本来、ウズシオーネとは個人の名前ではなかった。
元々はウズとシオーネ。二人のスキュラがこの世界には召喚されており、互いに力を合わせて隠れ住んでいた。
ある時、ウズは海で溺れていた子供を助けて陸に上がったのだが、それを魔物に襲われていると勘違いした人間に毒矢を射かけられて死亡した。
しかしウズの魂は無念からか昇天することなく現世に留まり、そのまま近くにいたシオーネの身体にとり憑くことになった。
二重人格――というのが適切かどうかは不明だが、そうして彼女たちは二人で一つの身体を共有して生活するようになったのだ。
基本的にシオーネの意識が沈んでいる間はウズが表面に出てくるようで、邪神の波動にあてられて狂いかけたシオーネを強引に眠らせたのはかなりの緊急事態であった。
「ただでさえ異種族で二重人格とかややこしいから、そういう細かい事情は追々説明するつもりだったんだ」
「
「そんな寂しいことを言わないでほしいでち。デーリッチはウズちゃんとも友達になりたいでちよ」
「そうだぜ。一人だけ仲間外れなんて、ハグレ王国の名が廃るってもんよ」
スキュラ。二重人格。取り憑かれ。
その程度の個性を気にするような狭い器量の持ち主はハグレ王国にいない。
既に似たような
「……底抜けのお人よし集団ね。ここまで生きてこれたのが奇跡みたい」
「奇跡だよ。それこそ、空に伸ばした手で星を掴むような奇跡なんだ」
クスリと笑いながら言ったアルカナにウズの眉が動いた。
(こいつ、こんなに穏やかな顔で笑えたのね……)
それまで自分が接してきたアルカナという人間は、常に何かを追い求めて走り続けているかのように張り詰めた表情を余裕ぶった笑みで必死に隠している女だった。
それは自分たちと出会った時からだったし、彼女がシノブという待望の弟子を得てからも同じだった。
『世界を善く導かなくてはならない』
気高く、凛々しく、疲れ切った求道者。
強迫観念と変わらぬ命題に縛られていた彼女がここまで憑き物を落としたような顔で笑えている。それはつまり彼女もようやくその重荷を分け与えても良いと思えた存在に出会うことができたということ。
だから、彼女が信頼する国に自分たちも行ってみようと思うことができた。
実際に接してそれは確信になった。あって一日も経たない自分たちのために尽力してくれた彼女たちなら信頼できると、二人の意見は一致した。
あの日以来、シオーネが人目を避けて隠れ住んでいることをアルカナはずっと気にしていた。その悩みも解消できるのだから、意地を張ってこそこそし続ける理由もない。
それがきっと、自分たちのために尽力してくれた彼女への恩返しにもなるのだろう。
「ああ、それと済まないね。せっかく君たちが準備していた建物だったのに、あんなことになってしまった」
元々はドナウブルーを奪還するための戦いだったのだが、邪神召喚とそれを撃退した黎明剣の一撃でほぼ上のフロアが完全に吹き飛んでしまった。
こうなってはホテルとして運営するわけにもいかず、折角の門出が水の泡になったことをアルカナは謝罪するが、ウズはそれを追及しなかった。確かにホテル運営ができなくなったのは残念だが、海の家でも十分やっていけていたから問題はない。
「別にいいわよ、元々海の家の延長の暇つぶしだったし。あんな化け物召喚された時点で店じまいは確定してたし、こうして片付いただけでも御の字よ。それに――」
ウズは周りで騒ぐハグレ王国の仲間たちを見る。
年齢も性別も、果ては種族はバラバラ。
現地人もハグレも関係なく、わいわいと騒いで笑い合うお祭り騒ぎ。
そんな日常に、これから自分たちも飛び込んでいくのだ。
時折来る友人を楽しみにしながらふたり穏やかに暮らす日々も悪くは無かったが、それ以上に賑やかで飽きの来ない仲間たちとの日々が、
「これからは退屈なんて感情、感じる暇すらなさそうだもの」
こうして幾らかの不穏を残しながらも、海と世界の命運を巡るひと騒動は収まり。
めでたくハグレ王国に、新たな仲間が加わるのであった。
◇
「――はぁ」
波打ち際にて、女が一人。
物憂い気に項垂れ、水平線をうつろに眺めている。
「結局、私は何がしたかったのだろうな」
独りごちる。
普段なら隣にいるはずの三人の姿はない。
心配する声を振り切って、一人だけでここに来た。
彼らの励ましは頼もしい。
でも、今は独りになりたかった。
女の心は深く沈んでいる。
自分の手の届く範囲で、ひとつの命が失われた。
たったそれだけの話。
……たったそれだけのことすら阻止できなかった自分に、心底嫌気がさす。
空を見上げる。満月の光が眩く輝いており、それが水面に照り返す様は実に幻想的だろう。
しかし、その代わりに星の光は掻き消されてしまっている。
それはまさしく、今の彼女の心境を表していた。
ようやく手が届くと思った星の光を見失い、歩むべき道が分からなくなっている。
自分の試行錯誤が実を結びかけ、未来を善くできる手ごたえがあったと感じた矢先の出来事だったというのもあるだろう。
言葉を交わせば避けられたすれ違い。近隣の村人に説明をし、自分の手の中に抱えてしまえばそれで済んだ筈だ。実際にこれまでだってそうしてきたはずだ。
では今回は何故?
彼女たちの意志を尊重したからか。それともこんな辺鄙な場所にわざわざ近づく人間も少ないと高をくくったか。この世界の人間たちがハグレに抱く迫害の意識を甘く見積もったか。
いずれにしても、自分の落ち度が招いた悲劇だったことに違いはない。
救って見せると豪語しておきながらこの体たらく。
はたして、本当に自分のやっていることに意義はあるのか、と。幾度となく重ねた自問自答が心を絡め取ろうとする。
自分がハグレを救済しようとするのは、いずれ来る滅びを回避するためであり、この世界が犯した過ちを正して人間が善き存在であることを示すため。
だというのに、当の問題に当たるべき召喚士たちは自らの既得権益の確保に腐心し、ハグレなど未だに代えの効く労働力か、厄介ごとの種としか思っていない。
そして何も知らない市井の人々もまた、自分たちとは異なる存在であるハグレを排斥する。
今回だってそうだ。
村人たちが彼女に矢を射かけたのは、溺れた子供を魔物から守るため。
悪意だけでなく、善意から生じる迫害もまた存在する以上、例えハグレ達を帰還させる術が完成したとしても、ハグレとの軋轢を解消させることは話が別だ。むしろ、行き来ができるようになったと考えれば野放図な召喚が加速する恐れだってある。
「いっそこの身を投げ出せたら楽になれるだろうに、ね」
己に課した
たかだが一時の気の迷いで投げ捨てるような真似は、決して許されていない。
……それでも、そんな世迷いごとを吐き出さなくてはとてもじゃないがやってられなかった。
「やめてよね。立て続けに友人二人を亡くすとか、第一発見者になるシオーネの気持ちを考えなさいよ」
けれど、それを咎める声がした。
力なく振り向けば、そこには友を失って泣き崩れていた異形の少女が、こちらを鋭い目つきで見つめていた。
「全く、いつまでしょげた面してるのよ。無駄にいい顔が台無しじゃない」
「……シオーネ?」
「覚えててくれるのは嬉しいけど、そうやっていつまでもうじうじとされてたら腹が立ってくるわ。死んだ奴の事なんてとっとと思い出にでもしてすっぱり切り替えなさいよ」
「いや、違う。きみ、は」
淡々と突き放すような、それでいてこちらへの気遣いを隠しきれていない物言い。
見た目は違っても、その振る舞いをする少女の名前を彼女は決して間違えない。
「……ウズ、なのか?」
「ええ、そうよ。つい先日、間抜けにも毒の矢で打ち抜かれて死んだウズよ」
あんまりにも見ていられないほどに弱ったアルカナを前に、ウズはらしくもない自虐ネタを皮肉気にかましてやった。
◇
「気が付いたら目の前に自分の死体があった時の気持ちとか分かる? ちょっとしたホラーよ」
「そりゃ確かに怪談だ。肝試しのネタには困らないね」
死んだと思ったら友人の身体に憑依していた。
聞けばびっくりするものだが、アルカナはそういうこともあるかとだけ返した。
自分が死んだことにあれだけショックを受けていたのに、生き返ったことはさらっと流すとは、コイツの感性はどうなってるんだとウズは訝しんだ。
が、まあこいつは最初からこういう奴だ。今更その辺りを気にしても仕方がない。
「しかも毒のせいでところどころ変色したり腫れてたりでもう見れたもんじゃなかったわ。しかもシオーネったらいつまで私を抱いて泣いてたのかわかんないぐらい長くやってたみたいでね、もう目が痛いわ体中がカチコチに固まってるわで、そんな状態でいきなり身体の感覚が戻ってきたもんだからとにかく痛いのなんのって」
「そんなに柔らかそうな体をしているのに固くなるんだ、やっぱり足は筋肉かい?」
「ええ。ちゃんとほぐさないと寝起きに絡まって大変なことになるし、その状態で攣ったりしたらもう悲惨よ」
「傍から見たらたいそう面白い絵面が見れるかもしれないね」
愚痴を吐き出し続けるウズの言葉をアルカナは相槌を返す。
「そんで落ち着いて状況を把握できた後は自分の死体を下ろそうとしたんだけど、シオーネの身体だから動かし勝手とかも違うし、足元が見づらいわなんか肩も重いわで一苦労よ」
「君と彼女は色々違ったけど、一番の差はやっぱりそこだったか」
「……前々から思っていたけど、あんたやっぱりそういう目で私たちを見てたの?」
「誤解しないでくれ。君たちと私たちで共通点を見出そうとしたら、どうしたって同じ上半身を見るのは当然じゃないか」
とりとめもない会話が続いて、しばらくした頃。
少しの沈黙の後、水面を眺めていたアルカナはぽつりと言葉を漏らした。
「……こうして君と会話をするのも、最後になるな」
「は?」
素っ頓狂な発言をウズは訝しむが、アルカナは気にせず、というより意識に入っていない様子で続けた。
「あんなことがあったんだ。こうして君が私と言葉を交わしてくれているのは嬉しいが、それでも君は私に対して不信感を持っている筈だ。だったら、友人でいるうちに人の目が届かない遠くまで逃げるべきだ。ちょうどここからしばらく南に行った辺りは無人島が多い。そこなら君とシオーネ君も不足なく暮らせるさ」
「ちょ、ちょいちょい。なに勝手に話決めてるのよ。シオーネを独りにするつもり?」
言外に自分たちと距離を置け、と語っているのは明白だった。
あまりにあまりな内容にウズが食い下がると、アルカナは不思議そうな目で見つめ返してきた。
「……人間が、憎くないのか?」
「憎いわよ。助けてやったのに魔物だと罵って、挙句に毒なんて持ち出した恩知らずども。どうせ私があれからどれだけ苦しんだかも知らず、あの子がどんなに悲しんだかなんて考えることも無く今ものうのうと暮らしている。正直言って反吐がでるわね」
「だったら、私からも離れるべきだ。帝国の人間は、ハグレを疎んでいる」
「それとこれとは話が別でしょ。それぐらいは分かってる筈じゃない?」
「同じだよ。私は君たちを強引にでも私の村に連れていくべきだった。こんなことが起こる危険性を知っていて、それを避けられたはずなのに見殺しにしたんだ。結局は自分たちの都合しか考えていない、君たちハグレを身勝手に扱う人でなしだ」
「できるわけがないでしょ。そんなに顔をくしゃくしゃにして泣いてくれてる相手を、どうやって嫌いになれっていうのよ」
アルカナの瞳からはらはらと零れ落ちる涙が、際限なく砂に染みこんでいく。
「それでも、君は私を憎むべきだ。嫌いになって、当然なんだ……」
震えるような声で吐き出される弱音に、ウズの心に怒りがふつふつと湧いてくる。
それは憎しみからではなく、目の前で不甲斐ない様を晒して弱音を吐き続けている彼女と、そうなるまで彼女を追い込んだこの世界に対する義憤だった。
「ああ、もう!」
ばしん、という小気味よい音が夜空に木霊し、その白い相貌に朱色が染められた。
平手を見舞った衝動のままに、ウズはアルカナの胸倉を掴み上げる。
「さっきから言わせておけば、ああだこうだと勝手なことばかり!!」
「どうせこの調子だと、自分じゃハグレを救えないなんて思い詰めているんでしょうね!!」
「だったらこっちも勝手に言わせてもらうわ。今更ハグレが一人死んだ程度でうじうじしてんじゃないわよ!」
「この世界の人間とハグレの共存。あなたが描いた夢は、その程度で挫けるものだったの!?」
「絵空事、戯言、だからこそ実現する意義があるんでしょう!? 私の事を悔やむなら、せめてそれぐらいはやり遂げて見せなさいよ!!」
悪意に晒され、命まで落とした少女からの激励は、アルカナの心をガツンと殴りつけた。
アルカナはしばし呆け――その顔に苦笑が浮かんだ。
「――そうだな。それだけの言葉を貰った以上、ここで黄昏ている暇もないか」
ひとつ伸びをして、水平線を見つめる。
満月の光にも負けず、存在を主張する一等星。
そうだ。自分はいつもそれを探して歩いてきた。
この満天の空の煌めきを、その中でたった一つ輝く
例え今は見つからなくとも、私はその星を示し続けよう。
この世界で逸れる者が、一人でも少なくなるように。
「ありがとう。君がそういうなら、私ももう少し頑張ってみるよ」
アルカナはウズの手を取り、ウズは間近に迫ったその顔につい顔を背けた。
「ああもう、顔が近い! なんであなたったら無駄に顔がいいのよ!」
「自慢したことはないけど、私の性能は高く作られてるからね。当然、外見だってバッチリだよ」
「何で近づけてくるのよ、これ以上人の性癖を歪めるなー!」
――そして。
「やあ。シオーネちゃん」
「……あ、アルカナさん!」
「君のあの子に会いに少し。花も持ってきたよ」
「あれから少しは元気になりましたか?」
「それはこっちの台詞だよ。まあ、君も大事は無さそうでなによりだ」
後日、再び入り江をアルカナは訪れた。
シオーネも彼女を姿を認めると嬉しそうにはにかんで出迎える。
ウズの遺体は砂浜の端に埋葬され、それなりの墓石まで備えられていた。
アルカナが渡辺に作らせた代物だ。厳密には死んでいないというのかもしれないが、こうした行為は必要だ。
持参した花を添えて祈りを捧げた後、アルカナは話を切り出した。
「移住の件について、考えてくれたかい? あんなことがあった手前だけど、種族は違えど同じハグレとの間で暮らしていたほうが多少は融通が利くはずだ」
「お気遣いありがとうございます。でも、いいんです。私たちはしばらく人目につかないところにいた方がいいと思います。アルカナさんの領地は山中でしょう? 流石にそこまで行くには目立ってしまいますよ」
馬車を用意してあるとまで言おうかとも思ったが、アルカナは敢えてそれは言わなかった。
シオーネが海で暮らすのは彼女を独りにしないためなのだと、分かっていたから。
「そっか。でも、君一人だと寂しくはないかい?」
「大丈夫です。ウズちゃんはここにいますから」
どん、と胸に手を当ててみせる姿には、もはや悲しみの色は見えなかった。
「それにアルカナさん達もたまには遊びに来てくれるんですよね? だから寂しくはないですよ」
「ほーう。そういうこと言われちゃうとお姉さん嬉しくなっちゃうよ」
「あ、それと」
シオーネはそこで言葉を区切って、アルカナに向けて宣言する。
「これからは私、ウズシオーネと名乗ることにしました! これならウズちゃんと一緒にいられますし、アルカナさんも忘れずに済みますよね!」
「……ああ。いい提案だ。それならウズちゃんも喜ぶだろう」
さも名案といったように語る少女に、アルカナもまた心の底から笑みを浮かべた。
「――ってことになったんだけど、どう思う?」
「わかってたけど滅茶苦茶感情重いわねあの子!!」
「お互い様だろ」
○ウズシオーネ
アルカナ達と関わりを持った結果、そこまで孤独じゃなくなったので本編でその辺を掘り下げる必要が無くなってしまい微妙に影が薄くなってしまった節はある。その代わりアルカナの精神には絶大なダメージを受けてもらったのでヨシ。
ウズ→アルカナ 性癖を破壊された。あの綺麗な面が私を狂わせる……!
シオーネ→アルカナ お友達です!
アルカナ→ウズ 傷痕の一つであり、立ち直らせてくれた相手でもある。
アルカナ→シオーネ ↑のこともあって様子見の頻度を上げていた。落ち着いたのはシノブとエステルがアルカナの下にやってきて忙しくなってから。