この世界に生まれてくる中で最も幸せな人生とは何処から考えるものだろうか?
ある人は最初から最期まで最高なら幸せと言い
ある男は普通に生きられる事が幸せと言い
ある者は復讐が遂げられることが幸せと言い
ある女は好き勝手に生きるのが幸せと言う
だがわたしは違った
知っているが故に苦しみ、
高みに居るからこそ恐怖し
死を思うからこそ忌諱する
他人がどう行動するか分かるから嫌悪する
賢者は戦いよりも死を選ぶ、更なる賢者は生まれぬことを望む
どうやらわたしは賢者ではなく、ただカンニングペーパーを持たされた愚者らしい
最初に産まれた時は生前と変わらない街並みと平凡な家庭に感謝した
性別は女だったが特別病気や怪我もなく容姿も良いものだった
だが10の頃に一変した
もしかすれば気付いていたが見ないよう記憶を蓋をしていたのかもしれない
銃の悪魔
その災害を目の当たりにした時死ねば良かったと後悔した
悪魔にとって人間は餌でしかない
ナンセンスなマンガやコメディのように人が死ぬ
それを知ってどうしようもない
だからこそ諦めた生き方をしていた
だが悪魔は現れる
通学路の帰り道、縦から潰されて虫のように身じろぐ先程まで話していた男の子、
不自然に凹んだウェストで内臓を撒き散らす知り合いの女の子
最期まで叫びながらひしゃげた先生
その場に居合わせたわたし
圧死の悪魔と名乗った悪魔は
丸太のような無数の脚で蠢く蜘蛛の下半身と棒人形の様な上半身で3人を殺して現れた
偶然離れた位置に居たせいで足を折る程度で死ねなかった
「あっしはもっと楽しみたかったのにどうしてニンゲンは脆いですなぁ
最初は小突いただけなのに淡白な反応ですし、柔らかいのは吐いて動かない
多少大きいのはまあまあですなぁ
さて、次は長く楽しみたいのであっしも加減しますから」
何故存在を知っていて逃れなかったのだろう
そう思いながら折られた脚を踏まれバットでフルスイングされたかの様な痛みと折れていく腕で庇いながら後悔した
もう一度生きられたのに棒に振って何も残せず何も出来ずただ玩具のように死ぬ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだいやだ嫌だいやだいやだいやだいやだイやだイヤダイヤダイやだイヤダイヤダいy
唐突に衝撃が去り未だ動かせる腫れた瞳に見えたのは
圧死の悪魔が弾けた様にも掻き出された様にも見える致命傷を負い飛び出した存在
ソレはは悪魔の手足を削ぐ様に輪切りにし、その残骸の上でわたしを見下ろした
その姿はかつて別の世界、別の話、別の物語で語られた
「おかあさん……」
その日わたしは運命と出会えた