青髪の男は寝不足だった、男は地方にしてはそれなりの民間のデビルハンターだった、だがある悪魔との契約の結果まともなデビルハンター業が行う余裕は減り
悪魔による殉職の列から逃れられた代わりに、ある悪魔の力である分野の業務をまとめて請け負っていた
男にはまさに天職と謳われたが本人としては対価のせいで悪夢であった
そんな中、回されてきた業務がこの場所の調書だった
ソイツの手掛かりは何もないが、存在するだけで充分だ
吾輩の悪魔の力でどうとでもなる
吾輩の手元の場違いな装丁のソレを広げ指をなぞる、女の姿を描き文書を綴る
ただそれだけで充分だ、女の全てが本となる、悪魔か化身か全て綴る
これまでの死体のカケラや遺品、不明な悪魔の残骸でも全て綴る
だからこそ前線から外された、目の前の暴力よりも後始末を押し付けられて、
普段ならそれで終わる筈だった
違和感はこの女であった
女の内容が突然同じワードの繰り返しになりその先が袋綴じになってから
普段ならありえないことだ悪魔との契約でもこのようなイレギュラーはなかった
そしてこの悪魔にとっても同じ様だ
いつもの余裕を無くして震えている
「開けちゃダメだ」そう警告する様に
だから仕方なく中を覗き込んだ、開けてないから問題無かろう
そして知った
「貴様、チェンソーマンとは何だ?」
その言葉を吐き出しながら、ある言葉を思い出す、天と地の間にはお前の哲学などには思いもよらぬ出来事があるのだ
髭面のクズの台詞を思い出しながら女の様子を注視する
女も聞かれた質問に仰天すると同時に青褪めていたそんな中異変があったのは部屋の以前からの異変であった
曰くその重傷者は治る速度がおかしく、その様は悪魔の様だ
曰く患者のうわごとが何人も聴こえている
曰く動けない患者なのに、移動している
曰くドアを叩く音がするが誰も居ない
曰く誰もいない廊下に足跡がある
曰く視線を感じる
曰くそばにいる
そんな女だからこそ何なのかを調べる為に吾輩が呼ばれた
だがこれはまずい
手はあるが余裕がない
周囲に湧くかの如く子どもが現れる
姿ははっきり見えないが明らかに悪魔だ
敵意が有り、殺意がある
「おかあさん?ころしていい?」
そんな声が聞こえる
女はいつのまにか壊れている拘束具の椅子に座ったまま青褪めていた、視線は彷徨い虫ですら怯えているようであった
それでも余裕が出てきたようでぎこちない返事をした
「だ大丈夫よ、お母さんは平気だからダメよ、お母さんこの人と話すからまた、いつものおそうじをお願い、お母さん虫やネズミが苦手だから…」
そういうと殺意は薄れ、周囲の悪魔は消えた
吾輩は遅れた準備をようやく整えて
「必要な物は?」
「紙とペンを」