東方運命録   作:無名の一

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2話目です。


2話 「幻想郷」

「それで、カズヤ君は『幻想郷』って言葉に聞き覚えはありますか?」

「『幻想郷』?いや、ないな」

ひとまず、腹ごしらえとして早苗が作ったざるうどんを食べ終えた俺は、当初の予定通り彼女から色々と質問を受けていた。

ちなみに、『カズヤ』というのは一応俺の名前ということになっている。というのも、何故かは知らんが俺には記憶が無く、自分自身の事すらさっぱり分からない。まあ、そういうわけだが、早苗がひとまず何かするにしても名前は必要だ、とのことで俺の名前を考えてくれたのだ。

「う~ん、そういった知識すらもないってことは、やっぱりカズヤ君は外来人なんでしょうか?」

外来人?さっき鏡を見たが、どう見ても俺はどこにでもいそうな、言ってしまえば平凡な顔立ちの日本人だったのだが…

ただ、今はそれよりも気になることがある。

「悪いが、その『外来人』?っていうのも気になるけど、それより先にその『幻想郷』について教えてくれないか?」

「あっ、はい。そうですね、まず『幻想郷』っていうのは、」

しかし、早苗のその言葉は途中で途切れてしまった。理由は単純、襖が開いて新たな人物が居間に入ってきたからだ。

「う~ん、おはよ~早苗」

眠そうな声を出しながら入ってきた少女は、金髪のショートボブに目?が付いた特徴的な帽子を被っていた。また、青と白を基調とした、これまた特徴的な服を着ているのだが、早苗の巫女服と違ってこちらの名前は分からない。

「おはようございます、諏訪子様。うどんぐらいならすぐ作れますけど、食べます?」

「うん、そうだね。もらおうかな」

そんなやり取りをした後、早苗は再び台所に戻って行ったが、その諏訪子様?はどうやら俺に気づいたらしい。視線を俺に向けると笑顔を浮かべてこう言った。

「あ、気がついたんだね。私は洩矢諏訪子(もりやすわこ)。これでも神だよ。よろしくね」

俺は自己紹介を返す。使い慣れていないはずの『カズヤ』という名前だが、あまり違和感は感じなかった。

すると、諏訪子様が握手を求めてきた。その手を取ろうとして、先程の彼女の言葉にあれ?と思った。

「神?神ってあの神ですか?」

「ん?あのが何かは分からないけど、多分その神であってるよ。Godの神」

目の前の諏訪子様を見る。どこからどう見ても普通の少女だ。

からかわれているのだろうか?そう思ったが、彼女の目を見ると至って真面目で嘘をついているようには見えない。

「・・・・・・・・・」

どう反応すればいいのか分からなくなって沈黙してしまう。

けれども、そんな俺の反応を見ても諏訪子様は変わらず笑顔のまま俺に手を差し伸べていた。

はぁ。こうなったら仕方ない。下手をすれば、俺が彼女の手を取るまでこの雰囲気が終わらない可能性もある。

そんなわけで、俺は若干恥ずかしがりつつも諏訪子様の手を取った。

・・・・・・別にこれで変な契約とかされないよな?

 

 

 

 

 

とまぁお互いの自己紹介だけでも結構時間がかかったのだが、俺のそもそもの目的は早苗に俺が何処まで知っているのかを確認してもらうことだったはずだ。

そういうわけで諏訪子様達も含めて質問や説明をしてもらったのだが・・・

「えーと、何?つまり、ここは幻想郷という名の異世界という事でいいのか?」

「ええ、まぁ、そうですね。ひとまずそう思っていただければいいかと」

・・・なるほど、さっぱりわからん。

というのも、俺は記憶喪失だが、一応自分の中では普通の男の子なのだ。

確かに異世界転生?転移?とか一度は夢見たことがある。(とはいえ記憶喪失なので憶測なのだが)

けれどだ。

いざ、自分がそういった身になってみると、まったくもって実感がわかない。

そんなこんなで、俺は納得も理解もできずに首をかしげていた時だった。

「まあ、わからないならわからないでいいさ。なに、ここで暮らしてれば段々わかるようになるよ」

すると、俺の顔から察したのか助け舟を出してくれた。

ただ、出してくれたのはのは早苗でも諏訪子様でもない。

背中についているそこそこ大きめの注連縄が特徴的な女の人で、早苗や諏訪子様いわくどうやら彼女も神様らしい。

まったく、神様ってこんな簡単に会えるものでいいんだろうか?

ちなみに諏訪子様が入ってきた十分くらい後に居間に入ってきたのだが、自己紹介をしたところ、思ったよりフランクな人だったのが意外だった。

・・・ん?ちょっと待て。なんか神奈子様の発言にひっかかることがあるような・・・

気のせいだろうか?

「まあ、そうですね。百聞は一見に如かずって言いますしね」

「うん、それでいいんじゃないかな」

どうやら気のせいではないらしい。気がつけば俺は当分の間ここで暮らすことになっていた。

「あの、いいんですか?自分で言うのもあれだけど、俺って結構怪しいと思うんですけど」

「そんなこと言って君、行く当てあるの?」

「ない、ですね・・・」

返答は思ったよりも早かった。どうやら、今は彼女たちの提案に乗るのが正解のようだ。

「はぁ、わかりました。えっと、その、当分の間お世話になります」

 

 

 

 

 

その後、今後のことを話し合ったり、夕飯を食べたりしたのだが、現在、俺は自分の部屋にいた。

自分の部屋といっても、最初に俺が寝ていた部屋をそのまま使わせてもらえることになっただけだ。

まあ、そんな部屋の中で俺は今カバン(ボディバック的な奴)の中身をあさっていた。どうやら、このカバンは俺が倒れていた時に身に着けていたものらしい。

しかし、中に入っていたのは財布とガラケー、あと変なカードだけで、携帯のデータは消されており個人情報にかかわるものは何もなかった。

まあ、少しカードについては気にはなるが、なんだか眠くなってきた。

たしか、明日は博麗神社というところに行くらしいので、今日のところは素直に寝ることにした。

 

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